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番外編1
旦那様の誕生日パーティーを開きます~その4~
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翌朝笑顔で旦那様を見送ると、早速出かける準備を始めた。お姉様と二人で出かけるなんて、いつぶりかしら?今日は旦那様が私のお気に入りのお店を予約してくれたと言っていた。
そう、王都で2号店を出した、領地で人気のお店だ。この前旦那様と一緒に行った時、相変わらず美味しかったのよね。またあのお料理が食べられるなんて、楽しみだわ。
「ローラ様、メーラ様がいらっしゃいましたよ」
「今すぐ行くわ」
急いで玄関に向かうと、お姉様が待っていた。
「お姉様、おはようございます。今日はわざわざありがとうございます。早速行きましょう」
「おはよう、ローラ。今日は姉妹水入らずで楽しみましょう。子供たちはメイドに預けて来たし、ゆっくりできるわよ」
お姉様と一緒に、馬車に乗り込んだ。
「まずはアーサー様のプレゼントを見に行きましょう。貴族に人気のお店があるの。きっと素敵なものが見つかるはずよ」
そう言ってにっこり笑ったお姉様。おしゃれなお姉様が紹介してくれるのだから、きっと素敵なお店なのだろう。
街に着くと、立派なお店の前に停まった。それにしても、お姉様の護衛の数、多すぎない?
私の為に旦那様が付けてくれた護衛が2人に対し、お姉様の護衛は5人もいるのだ。
「ごめんね、ローラ。アルフィーって嫉妬深いでしょう?だらか出かけるときは、必ず護衛を5人付けるのよ」
私が護衛を見て固まっている事に気が付いたのか、お姉様が説明してくれた。そうか、アルフィーお義兄様は嫉妬深いのか…そういえば、独身の時はお姉様をめぐって、熾烈な争いが繰り広げられていたと聞いたことがある。
そんな中、お姉様の心を射止めたのがアルフィーお義兄様なのだ。おっと話しがそれてしまった。とにかく、旦那様のプレゼントを選ばないと。
お店に入ると、すぐに女性が飛んできた。
「レーフエス侯爵夫人とお連れ様、お待ちしておりました。さあ、中へどうぞ」
女性が奥へと案内してくれた。どうやらこの女性が店長の様だ。貴族御用達のお店とあって、とても立派な造りになっている。そして一番奥の個室に案内され、立派なソファーに腰を下ろす。
すぐに別のスタッフがお茶とお菓子を出してくれる。
「レーフエス侯爵夫人、今日はどういった物をお探しでしょうか?」
「今日は妹が夫の誕生日プレゼントに万年筆を購入したいとの事なので、連れてきましたの」
「まあ、お隣にいらした方は妹君でしたか。レーフエス侯爵夫人によく似ておられますわ」
ここは私も挨拶をしないとね。
「ローラ・バーエンスと申します。今日は夫に合う万年筆を探しに来ましたの。よさそうな物はありますでしょうか?」
「バーエンス公爵令息夫人でございましたか。これは失礼いたしました。今すぐ万年筆を準備いたしますので、少々お待ちください」
急いで部屋から出て行った店長。チラリとお姉様の方を見ると、優雅に紅茶を飲んでいた。これが本来の侯爵夫人の姿なのね。私もいずれ公爵夫人になるのだから、お姉様を見習わないと。
「ローラ、ジロジロ見てどうしたの?あなたも紅茶でも飲んで、リラックスしなさい」
「お姉様はやっぱり、侯爵夫人なんだなっと思いまして。なんと言うか、貫禄があるというか…」
「あなた、何を言っているの?あなただって元伯爵令嬢で、今は公爵令息夫人なのよ。もう少し堂々としていなさい。第一あなたは、ぬいぐるみ作りばかり精を出して、社交界に関しては全く興味がないのだから。この機会に、ドレスや宝石などにも興味を持たないと。大体あなたは…」
「お姉様、もう分かりましたわ。それより、どんな万年筆を持ってきてくれるのでしょうね?」
お姉様はお母様とよく似て、一度愚痴を言い出すと止まらないのだ。変なところばかりお母様に似るのだから。
ちょうどタイミングよく、店長が戻ってきた。
「お待たせいたしました。こちらは貴族の間で人気の万年筆でございます。宝石をはめ込んだり、お好きな文字を嵌める事も可能でございます」
目の前にはたくさんの万年筆が並んでいた。どれも素敵ね。これは決められないわ。て、そんな事を言っている場合じゃないわね。
一つ一つ手に取り、じっくり吟味していく。あら?この万年筆、水色なのね。まるで旦那の瞳の色みたい。
「あら、その万年筆、素敵じゃない。まるでアーサー様の瞳の色みたいね」
お姉様も私と同じことを思った様だ。
「私、これにしますわ」
「ありがとうございます。宝石や文字はどうされますか?」
「文字は旦那様の誕生日の日付を入れていただきたいです。宝石は…」
正直宝石の事はよくわからない。どうしよう…
お姉様に助けを求める様に見つめる。
「せっかくなら、入れてもらったら?そうね、あなたの瞳の色…だと青で被ってしまうから…ローラの髪の色に合わせて、ピンク系の宝石を入れたらどうかしら?アクセントになって、素敵になるんじゃない?」
ピンク系の宝石か…
「それでしたら、今すぐピンク系の宝石を準備させていただきますね」
そう言うと、近くに控えていたスタッフに指示を出している。その後色々な種類の宝石の中から、ピンクサファイアを入れてもらう事にした。
通常2週間程度かかるらしいが、旦那様の誕生日が来週だと伝えると、なんとか誕生日当日までに仕上げてもらえる事になった。
「本日はありがとうございました。完成し次第、お屋敷にお伺いさせていただきます」
「ありがとうございます、よろしくお願いします」
有難い事に、持ってきてもらえる様だ。満面の笑みで見送ってくれる店長やスタッフたちに挨拶をして、店を後にする。
「結構時間が掛かったわね。そろそろお昼にしましょうか」
「そうですわね。既にお店を予約してありますので行きましょう」
「あら、ローラが予約してくれているなんて珍しいわね。楽しみだわ」
お姉様と一緒に一旦馬車に乗り込み、お店を目指す。
お店の前まで来ると、相変わらず大行列が出来ていた。
「ローラ、まさかこのお店?ここは中々予約が取れないと有名なのよ。そういえば、バーエンス公爵家が全面バックアップしたお店なのよね。ずっと気になっていたの。楽しみだわ」
急にテンションが高くなったお姉様と一緒に、予約専用の入り口から入った。以前旦那様と一緒に食べた時と同じ、奥の部屋へと案内された。
「ここのお店は美味しいだけでなく、見た目も可愛いと評判なのよね。あぁ、楽しみだわ」
ニコニコ顔のお姉様。しばらくすると、次々と料理が運ばれてきた。相変わらず可愛いお料理ばかりだ。
「ローラ、見て。このお肉、バラの形をしているわ。こっちはウサギのコロッケ。なんて可愛いのかしら?味もとても美味しいわ。あぁ、アルフィーやリアム、リラにも食べさせてあげたいわ」
いつも優美に食事をするお姉様が、珍しく子供の様にはしゃいでいる。こんなお姉様、初めて見たわ。
その後も興奮気味のお姉様と一緒に、食事を楽しんだ。
「お姉様、これ。今日のお礼です。アルフィーお義兄様やリアム、リラに食べさせてあげて下さい。リラのは野菜で作ったお菓子だから、間違えないで下さいね」
帰り際、店長に頼んで作ってもらったデザートを、お姉様に渡した。
「ローラ、ありがとう。きっとアルフィーも子供たちも喜ぶわ」
そう言って嬉しそうに笑ったお姉様。そんなお姉様を見たら、私もつい頬が緩んだ。なんだか今日は、お姉様の別の顔が見られた気がした。
「お姉様、また一緒にお出かけしましょうね」
「ええ、もちろんよ。さあ、そろそろ帰りましょう」
久しぶりにお姉様と手を繋いで、一緒に馬車に乗り込んだのであった。
そう、王都で2号店を出した、領地で人気のお店だ。この前旦那様と一緒に行った時、相変わらず美味しかったのよね。またあのお料理が食べられるなんて、楽しみだわ。
「ローラ様、メーラ様がいらっしゃいましたよ」
「今すぐ行くわ」
急いで玄関に向かうと、お姉様が待っていた。
「お姉様、おはようございます。今日はわざわざありがとうございます。早速行きましょう」
「おはよう、ローラ。今日は姉妹水入らずで楽しみましょう。子供たちはメイドに預けて来たし、ゆっくりできるわよ」
お姉様と一緒に、馬車に乗り込んだ。
「まずはアーサー様のプレゼントを見に行きましょう。貴族に人気のお店があるの。きっと素敵なものが見つかるはずよ」
そう言ってにっこり笑ったお姉様。おしゃれなお姉様が紹介してくれるのだから、きっと素敵なお店なのだろう。
街に着くと、立派なお店の前に停まった。それにしても、お姉様の護衛の数、多すぎない?
私の為に旦那様が付けてくれた護衛が2人に対し、お姉様の護衛は5人もいるのだ。
「ごめんね、ローラ。アルフィーって嫉妬深いでしょう?だらか出かけるときは、必ず護衛を5人付けるのよ」
私が護衛を見て固まっている事に気が付いたのか、お姉様が説明してくれた。そうか、アルフィーお義兄様は嫉妬深いのか…そういえば、独身の時はお姉様をめぐって、熾烈な争いが繰り広げられていたと聞いたことがある。
そんな中、お姉様の心を射止めたのがアルフィーお義兄様なのだ。おっと話しがそれてしまった。とにかく、旦那様のプレゼントを選ばないと。
お店に入ると、すぐに女性が飛んできた。
「レーフエス侯爵夫人とお連れ様、お待ちしておりました。さあ、中へどうぞ」
女性が奥へと案内してくれた。どうやらこの女性が店長の様だ。貴族御用達のお店とあって、とても立派な造りになっている。そして一番奥の個室に案内され、立派なソファーに腰を下ろす。
すぐに別のスタッフがお茶とお菓子を出してくれる。
「レーフエス侯爵夫人、今日はどういった物をお探しでしょうか?」
「今日は妹が夫の誕生日プレゼントに万年筆を購入したいとの事なので、連れてきましたの」
「まあ、お隣にいらした方は妹君でしたか。レーフエス侯爵夫人によく似ておられますわ」
ここは私も挨拶をしないとね。
「ローラ・バーエンスと申します。今日は夫に合う万年筆を探しに来ましたの。よさそうな物はありますでしょうか?」
「バーエンス公爵令息夫人でございましたか。これは失礼いたしました。今すぐ万年筆を準備いたしますので、少々お待ちください」
急いで部屋から出て行った店長。チラリとお姉様の方を見ると、優雅に紅茶を飲んでいた。これが本来の侯爵夫人の姿なのね。私もいずれ公爵夫人になるのだから、お姉様を見習わないと。
「ローラ、ジロジロ見てどうしたの?あなたも紅茶でも飲んで、リラックスしなさい」
「お姉様はやっぱり、侯爵夫人なんだなっと思いまして。なんと言うか、貫禄があるというか…」
「あなた、何を言っているの?あなただって元伯爵令嬢で、今は公爵令息夫人なのよ。もう少し堂々としていなさい。第一あなたは、ぬいぐるみ作りばかり精を出して、社交界に関しては全く興味がないのだから。この機会に、ドレスや宝石などにも興味を持たないと。大体あなたは…」
「お姉様、もう分かりましたわ。それより、どんな万年筆を持ってきてくれるのでしょうね?」
お姉様はお母様とよく似て、一度愚痴を言い出すと止まらないのだ。変なところばかりお母様に似るのだから。
ちょうどタイミングよく、店長が戻ってきた。
「お待たせいたしました。こちらは貴族の間で人気の万年筆でございます。宝石をはめ込んだり、お好きな文字を嵌める事も可能でございます」
目の前にはたくさんの万年筆が並んでいた。どれも素敵ね。これは決められないわ。て、そんな事を言っている場合じゃないわね。
一つ一つ手に取り、じっくり吟味していく。あら?この万年筆、水色なのね。まるで旦那の瞳の色みたい。
「あら、その万年筆、素敵じゃない。まるでアーサー様の瞳の色みたいね」
お姉様も私と同じことを思った様だ。
「私、これにしますわ」
「ありがとうございます。宝石や文字はどうされますか?」
「文字は旦那様の誕生日の日付を入れていただきたいです。宝石は…」
正直宝石の事はよくわからない。どうしよう…
お姉様に助けを求める様に見つめる。
「せっかくなら、入れてもらったら?そうね、あなたの瞳の色…だと青で被ってしまうから…ローラの髪の色に合わせて、ピンク系の宝石を入れたらどうかしら?アクセントになって、素敵になるんじゃない?」
ピンク系の宝石か…
「それでしたら、今すぐピンク系の宝石を準備させていただきますね」
そう言うと、近くに控えていたスタッフに指示を出している。その後色々な種類の宝石の中から、ピンクサファイアを入れてもらう事にした。
通常2週間程度かかるらしいが、旦那様の誕生日が来週だと伝えると、なんとか誕生日当日までに仕上げてもらえる事になった。
「本日はありがとうございました。完成し次第、お屋敷にお伺いさせていただきます」
「ありがとうございます、よろしくお願いします」
有難い事に、持ってきてもらえる様だ。満面の笑みで見送ってくれる店長やスタッフたちに挨拶をして、店を後にする。
「結構時間が掛かったわね。そろそろお昼にしましょうか」
「そうですわね。既にお店を予約してありますので行きましょう」
「あら、ローラが予約してくれているなんて珍しいわね。楽しみだわ」
お姉様と一緒に一旦馬車に乗り込み、お店を目指す。
お店の前まで来ると、相変わらず大行列が出来ていた。
「ローラ、まさかこのお店?ここは中々予約が取れないと有名なのよ。そういえば、バーエンス公爵家が全面バックアップしたお店なのよね。ずっと気になっていたの。楽しみだわ」
急にテンションが高くなったお姉様と一緒に、予約専用の入り口から入った。以前旦那様と一緒に食べた時と同じ、奥の部屋へと案内された。
「ここのお店は美味しいだけでなく、見た目も可愛いと評判なのよね。あぁ、楽しみだわ」
ニコニコ顔のお姉様。しばらくすると、次々と料理が運ばれてきた。相変わらず可愛いお料理ばかりだ。
「ローラ、見て。このお肉、バラの形をしているわ。こっちはウサギのコロッケ。なんて可愛いのかしら?味もとても美味しいわ。あぁ、アルフィーやリアム、リラにも食べさせてあげたいわ」
いつも優美に食事をするお姉様が、珍しく子供の様にはしゃいでいる。こんなお姉様、初めて見たわ。
その後も興奮気味のお姉様と一緒に、食事を楽しんだ。
「お姉様、これ。今日のお礼です。アルフィーお義兄様やリアム、リラに食べさせてあげて下さい。リラのは野菜で作ったお菓子だから、間違えないで下さいね」
帰り際、店長に頼んで作ってもらったデザートを、お姉様に渡した。
「ローラ、ありがとう。きっとアルフィーも子供たちも喜ぶわ」
そう言って嬉しそうに笑ったお姉様。そんなお姉様を見たら、私もつい頬が緩んだ。なんだか今日は、お姉様の別の顔が見られた気がした。
「お姉様、また一緒にお出かけしましょうね」
「ええ、もちろんよ。さあ、そろそろ帰りましょう」
久しぶりにお姉様と手を繋いで、一緒に馬車に乗り込んだのであった。
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