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第19話:僕の可愛いオニキスは何を考えているのだ~ブライン視点~
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僕の可愛いオニキスが、あの女の罠に嵌められてからと言うもの、僕はより一層オニキスの様子を頻繁に確認した。
本当にあの女は、何て言う恐ろしい女なんだ。オニキスを怒鳴りつけ、何度泣かせた事か!あいつは魔女だ!そうに違いない、毎日毎日オニキスに無理難題を押し付け、怒鳴りまくるあの女にいい加減僕は頭に来ていた。
「ヴァン、僕はもう我慢できない。僕の可愛いオニキスに酷い暴言を吐き、毎日泣かせているあの女がどうしても許せないんだ。あいつを捕まえ、牢にぶち込むんだ!」
「殿下、落ち着いて下さい。私にはなんだかんだ言って、オニキス様はクロエ様を慕い、楽しそうにしていらっしゃる様に見えます。それに、陛下も公爵様も少し様子を見ようとおっしゃっておりましたし。大丈夫ですよ、心お優しいオニキス様は、クロエ様の言う様な悪い人間には逆立ちしてもなれませんので。それより殿下!今度はオニキス様の枕カバーを公爵家から取り寄せたのですか?いい加減にしてください」
「どこをどう見たら楽しそうなんだ。見ろ、またオニキスが涙を流しているではないか。あの女、伯爵令嬢の分際で、僕の可愛いオニキスに暴言を吐くだなんて!それからヴァン、僕は毎日オニキスの匂いをかがないと公務に集中できないんだ。だからその件に関しては、黙っていてくれ」
「確かに殿下は、オニキス様の匂いを嗅ぐと、恐ろしいほどの勢いで仕事をこなすという事は知っておりますが…どうも気持ち悪いと申しますか…なんと申しますか…」
「何をブツブツ言っているんだ?まあいい、明日ついに、階段から突き落とし大作戦という、ふざけた作戦を決行するらしいぞ。いいか、あの女がどうなろうと知った事ではないが、オニキスが怪我をしない様に、護衛騎士たちに全力で見守らせよう。あぁ、万が一オニキスが誤って階段から落ちたらどうしよう」
考えただけで、心臓が止まりそうになる。
「殿下、オニキス様の枕カバーをスリスリしながら心配されても、あまり説得力がないですよ。どうやら明日のお昼に決行されるそうですね」
「どうしてヴァンはそんなに冷静なんだ。万が一オニキスが怪我でもしたら…そうか、オニキスが怪我をしたら、僕が医務室まで運んであげたらいいんだな」
オニキスは僕の婚約者だ。誰にも触らせない!オニキスの体はきっと、温かくて柔らかいんだろうな…
「殿下、鼻血が噴出しています。とにかく、横になってください。いいですか?突き落とされるのはクロエ様です。オニキス様ではありませんので、殿下がオニキス様を抱きかかえて運ぶことはありません。変な妄想をして、無駄に出血するのはお止めください」
変な妄想とは失礼な奴め。とにかく明日は、しっかりオニキスを監視しないと!
そして翌日、お昼ご飯を急いで口に放り込み、オニキスの様子を伺う。あぁ、今日も可愛いな…ついオニキスを見つめてしまう。そして他の令嬢たちに断りを入れ、教室から出て行ったオニキス。
階段の奥の一目に付きにくい場所に着くと、オニキスの顔がぱぁっと明るくなった。オニキスの目指す先には、不機嫌そうに腕を組んでいるあの女の姿が。あの女、オニキスがあんなにも可愛い顔をしてあの女の元に向かっているのに、あろう事かオニキスを怒鳴りつけるだなんて。
どれほど性格が悪い女なんだ!やっぱりあの女を今すぐ牢へ…て、ダメだ。今はとにかく見守るしかない。
どうやら一番上からあの女を突き落とす様だ。やっぱりオニキスはあの女を階段から突き落とすことが不安な様で、怯えた顔をしている。あぁ、可哀そうに。僕が代わりにあの女を階段から突き落としてあげたい…
そんな事を考えているうちに、あの女が歩いて来た。ゆっくりとあの女に近づくオニキス。でも、恐怖からか震えている。可哀そうに、後ろからギュッと抱きしめてあげたい。きっと柔らかくて温かいんだろうな。ダメだ…
”殿下、また変な妄想をしていますね。顔がにやけて気持ち悪いですよ。また鼻血が噴き出ると大変ですので、落ち着いて下さい“
近くで一緒に様子を見ていたヴァンが、僕に忠告する。誰が気持ち悪いだ。こいつ、最近僕に対する暴言が酷くないか?
おっと、今はヴァンなんてどうでもいい、オニキスだ。ふとオニキスを見ると、やはり突き落とせない様で、泣きそうな顔であの女に訴えている。と、次の瞬間、勝手に転がり落ちていくあの女。
すぐさま心配そうに近づくオニキス。あの女の悲鳴を聞いて、皆集まって来た。僕も急いで向かう。
完全に動揺したオニキスは、涙を流しながらあの女を心配している。でも、我に返ったのか
「あ…あなたが悪いのよ。ブライン様に手を出すからこうなるのよ。いい気味ね」
そう叫んだのだ。でも、全く説得力がない。周りの皆も、えっ?何を言っているのだ?という顔をしている。それなのにあの女は、涙を流して、オニキスを悪者にしようとしている。
この女、ふざけているのか?もう我慢できない、一言文句を言ってやろうとしたのだが…オニキスの友人たちによって、反撃を受けたあの女。さらに他の生徒たちも、オニキスの味方に回った。
僕もこんなバカげた遊びは止める様に忠告して、その場を去る…ふりをして、すぐにオニキスの様子を確認する。
すると、なんとクラッシーノ侯爵家のブレッドと楽しそうに話しをしているではないか。ブレッドめ!僕の可愛いオニキスと話をするだなんて!
本当にあの女は、何て言う恐ろしい女なんだ。オニキスを怒鳴りつけ、何度泣かせた事か!あいつは魔女だ!そうに違いない、毎日毎日オニキスに無理難題を押し付け、怒鳴りまくるあの女にいい加減僕は頭に来ていた。
「ヴァン、僕はもう我慢できない。僕の可愛いオニキスに酷い暴言を吐き、毎日泣かせているあの女がどうしても許せないんだ。あいつを捕まえ、牢にぶち込むんだ!」
「殿下、落ち着いて下さい。私にはなんだかんだ言って、オニキス様はクロエ様を慕い、楽しそうにしていらっしゃる様に見えます。それに、陛下も公爵様も少し様子を見ようとおっしゃっておりましたし。大丈夫ですよ、心お優しいオニキス様は、クロエ様の言う様な悪い人間には逆立ちしてもなれませんので。それより殿下!今度はオニキス様の枕カバーを公爵家から取り寄せたのですか?いい加減にしてください」
「どこをどう見たら楽しそうなんだ。見ろ、またオニキスが涙を流しているではないか。あの女、伯爵令嬢の分際で、僕の可愛いオニキスに暴言を吐くだなんて!それからヴァン、僕は毎日オニキスの匂いをかがないと公務に集中できないんだ。だからその件に関しては、黙っていてくれ」
「確かに殿下は、オニキス様の匂いを嗅ぐと、恐ろしいほどの勢いで仕事をこなすという事は知っておりますが…どうも気持ち悪いと申しますか…なんと申しますか…」
「何をブツブツ言っているんだ?まあいい、明日ついに、階段から突き落とし大作戦という、ふざけた作戦を決行するらしいぞ。いいか、あの女がどうなろうと知った事ではないが、オニキスが怪我をしない様に、護衛騎士たちに全力で見守らせよう。あぁ、万が一オニキスが誤って階段から落ちたらどうしよう」
考えただけで、心臓が止まりそうになる。
「殿下、オニキス様の枕カバーをスリスリしながら心配されても、あまり説得力がないですよ。どうやら明日のお昼に決行されるそうですね」
「どうしてヴァンはそんなに冷静なんだ。万が一オニキスが怪我でもしたら…そうか、オニキスが怪我をしたら、僕が医務室まで運んであげたらいいんだな」
オニキスは僕の婚約者だ。誰にも触らせない!オニキスの体はきっと、温かくて柔らかいんだろうな…
「殿下、鼻血が噴出しています。とにかく、横になってください。いいですか?突き落とされるのはクロエ様です。オニキス様ではありませんので、殿下がオニキス様を抱きかかえて運ぶことはありません。変な妄想をして、無駄に出血するのはお止めください」
変な妄想とは失礼な奴め。とにかく明日は、しっかりオニキスを監視しないと!
そして翌日、お昼ご飯を急いで口に放り込み、オニキスの様子を伺う。あぁ、今日も可愛いな…ついオニキスを見つめてしまう。そして他の令嬢たちに断りを入れ、教室から出て行ったオニキス。
階段の奥の一目に付きにくい場所に着くと、オニキスの顔がぱぁっと明るくなった。オニキスの目指す先には、不機嫌そうに腕を組んでいるあの女の姿が。あの女、オニキスがあんなにも可愛い顔をしてあの女の元に向かっているのに、あろう事かオニキスを怒鳴りつけるだなんて。
どれほど性格が悪い女なんだ!やっぱりあの女を今すぐ牢へ…て、ダメだ。今はとにかく見守るしかない。
どうやら一番上からあの女を突き落とす様だ。やっぱりオニキスはあの女を階段から突き落とすことが不安な様で、怯えた顔をしている。あぁ、可哀そうに。僕が代わりにあの女を階段から突き落としてあげたい…
そんな事を考えているうちに、あの女が歩いて来た。ゆっくりとあの女に近づくオニキス。でも、恐怖からか震えている。可哀そうに、後ろからギュッと抱きしめてあげたい。きっと柔らかくて温かいんだろうな。ダメだ…
”殿下、また変な妄想をしていますね。顔がにやけて気持ち悪いですよ。また鼻血が噴き出ると大変ですので、落ち着いて下さい“
近くで一緒に様子を見ていたヴァンが、僕に忠告する。誰が気持ち悪いだ。こいつ、最近僕に対する暴言が酷くないか?
おっと、今はヴァンなんてどうでもいい、オニキスだ。ふとオニキスを見ると、やはり突き落とせない様で、泣きそうな顔であの女に訴えている。と、次の瞬間、勝手に転がり落ちていくあの女。
すぐさま心配そうに近づくオニキス。あの女の悲鳴を聞いて、皆集まって来た。僕も急いで向かう。
完全に動揺したオニキスは、涙を流しながらあの女を心配している。でも、我に返ったのか
「あ…あなたが悪いのよ。ブライン様に手を出すからこうなるのよ。いい気味ね」
そう叫んだのだ。でも、全く説得力がない。周りの皆も、えっ?何を言っているのだ?という顔をしている。それなのにあの女は、涙を流して、オニキスを悪者にしようとしている。
この女、ふざけているのか?もう我慢できない、一言文句を言ってやろうとしたのだが…オニキスの友人たちによって、反撃を受けたあの女。さらに他の生徒たちも、オニキスの味方に回った。
僕もこんなバカげた遊びは止める様に忠告して、その場を去る…ふりをして、すぐにオニキスの様子を確認する。
すると、なんとクラッシーノ侯爵家のブレッドと楽しそうに話しをしているではないか。ブレッドめ!僕の可愛いオニキスと話をするだなんて!
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