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第73話:サンクトスの羽の奇跡
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しばらく進むと、丘の上のお屋敷に入ってく。既にたくさんの使用人たちが、私たちを待っていたくれていた。
あら?あの人たちは…
馬車から降りると
「「ユーリ(ちゃん)」」
「お兄様、お義姉様も。どうしてこちらにいらっしゃるのですか?」
なぜかお兄様とお義姉様がいらしたのだ。
「どうしてもユーリとディアン殿に会いたくてね。カスタマーディス伯爵に頼んで、君たちを出迎えさせてもらう事にしたのだよ」
「そうだったのですね。お義姉様は今、妊娠中と聞いております。大きなお腹で大変だったでしょう。とにかく中に入りましょう。ディアンもお部屋に連れて行かないといけないですし」
今お義姉様は、妊娠8ヶ月。大きくなったお腹を抱え、わざわざ来てくれたのだ。
「ディアン殿…本当にまだ意識が戻らないのだな…」
「ユーリちゃん、辛かったわね。可哀そうに」
お義姉様が抱きしめてくれた。その瞳には、涙が浮かんでいる。お兄様も、悲しそうな顔をしている。
「お兄様もお義姉様も、ご心配をおかけしてごめんなさい。でも、私はもう大丈夫ですわ。さあ、お屋敷に入りましょう。使用人の皆様も、お出迎えありがとうございます。今日からよろしくお願いしますね」
外で一緒に待っていてくれた使用人たちにも、挨拶を済ませた。
そして屋敷に入っていく。
「ユーリ様…いいえ、若奥様とお呼びした方がよろしいですね。旦那様から色々と聞いております。本当にありがとうございました。私がこの領地を取り仕切っている、執事のディーゼルです。どうぞよろしくお願いします」
優しそうな男性が、話しかけてきたのだ。この人がおじ様がおっしゃっていた執事ね。
「あなたがディーゼルね。どうかこの1ヶ月、色々と私に教えてください。私、この領地をもっともっと良くしたいのです。ディアンが目覚めた時、ディアンがびっくりするくらいに」
「お坊ちゃまが目覚めたら…ですか。そうですね、お坊ちゃまが目覚めた時、びっくりされるほど素敵な領地を作って参りましょう。私も全力で手助けをさせていただきます。早速明日、視察に参りましょう」
「そうして頂けると嬉しいわ」
「ユーリ、僕も全力でユーリの手助けをするよ。領地経営の先輩としてね」
「まあ、頼もしいですわ。よろしくお願いしますね」
挨拶もすんだところで、私たちの部屋へと向かった。カスタマーディス伯爵家では別々の部屋だったが、領地ではディアンと同じ部屋が準備されていた。本当の夫婦になった様ね。
ディーゼルも私の事を、若奥様と呼んでいたし。若奥様だなんて、なんだか恥ずかしいわ。
「失礼いたします。若奥様、晩餐の準備が整っております。どうぞ食堂へ」
「ありがとう、ここのお野菜は、本当に美味しいのね。そうだわ、食後は温泉に入ってもいいかしら?」
「ええ、もちろんですわ。若奥様は毎日遅くまで領地経営のお勉強をされているとお伺いしております。どうぞ領地にいる間は、少しでもリラックスしてお過ごしください」
そう言ってほほ笑んでいる使用人たち。どうやら私の事を、領地の使用人たちは受け入れてくれている様だ。次期女主人だなんて!そう思われているかもと少し心配したが、よかったわ。
使用人に連れられ食堂に向かうと、お兄様とお義姉様が待ってくれていた。夕食を一緒に食べてくれる様だ。
ただお義姉様の体の負担を考え、食後はすぐに帰って行った。それでも私たちの為に、わざわざカスタマーディス伯爵領に来てくれたことが、嬉しくてたまらない。
食後は温泉に入り、1日の疲れを癒した。本当にこの屋敷のお風呂は最高ね。それに肌がつるつるになるし。
温泉を堪能した後は、明日に備え、早く休むことにした。
「ディアン、今日からまた一緒に寝られるわ。私はディアンの傍が一番落ち着くのよ」
そっとディアンの布団に入り込み、寄り添う。温かくて気持ちいい…
これから毎日、ディアンの温もりを感じながら眠れるのか。これは最高ね。
この日はあっという間に眠りについたのだった。
そして翌日、朝からディーゼルと一緒に、街に視察に行った。特に重点的に見て回ったのが、温泉だ。そう、私は温泉を使った化粧品を作ろうと考えたのだ。ここの温泉は本当に肌がつるつるになる。きっとこの温泉を使った化粧水を売り出せば、貴族たちに人気が出ると踏んだのだ。
もちろん、温泉だけを見て回る訳ではない。街の様子などもしっかり視察した。
そしてその翌日。この日はお兄様が様子を見に来てくれるとの事で、屋敷でお兄様が来るのを待つ。
「ディアン、今日もいい天気よ。今日はね、お兄様が来てくれるの。領地について、色々とアドバイスをくれるのですって」
ディアンに向かって話しかけるが、反応はない。
そういえば1年前のこの日、森でサンクトスを見たのよね。懐かしいわ、あの日からもう1年か…
あの時落としたサンクトスの羽のお陰で、私はディアンと結ばれることが出来た。
確かサンクトスの羽、持ってきていたわよね。
鞄の中をあさると…
あった、これだわ。
青い宝石箱に入っている、サンクトスの羽を取り出した。相変わらず虹色に輝いていて、とても綺麗だ。
その時だった、サンクトスの羽が、一瞬光を放ったのだ。
「なんて綺麗な光なの…」
虹色の光は一瞬だったが、とても美しくて、つい言葉が漏れてしまった。
その時だった。
「ユーリ…」
えっ…この声は…
あら?あの人たちは…
馬車から降りると
「「ユーリ(ちゃん)」」
「お兄様、お義姉様も。どうしてこちらにいらっしゃるのですか?」
なぜかお兄様とお義姉様がいらしたのだ。
「どうしてもユーリとディアン殿に会いたくてね。カスタマーディス伯爵に頼んで、君たちを出迎えさせてもらう事にしたのだよ」
「そうだったのですね。お義姉様は今、妊娠中と聞いております。大きなお腹で大変だったでしょう。とにかく中に入りましょう。ディアンもお部屋に連れて行かないといけないですし」
今お義姉様は、妊娠8ヶ月。大きくなったお腹を抱え、わざわざ来てくれたのだ。
「ディアン殿…本当にまだ意識が戻らないのだな…」
「ユーリちゃん、辛かったわね。可哀そうに」
お義姉様が抱きしめてくれた。その瞳には、涙が浮かんでいる。お兄様も、悲しそうな顔をしている。
「お兄様もお義姉様も、ご心配をおかけしてごめんなさい。でも、私はもう大丈夫ですわ。さあ、お屋敷に入りましょう。使用人の皆様も、お出迎えありがとうございます。今日からよろしくお願いしますね」
外で一緒に待っていてくれた使用人たちにも、挨拶を済ませた。
そして屋敷に入っていく。
「ユーリ様…いいえ、若奥様とお呼びした方がよろしいですね。旦那様から色々と聞いております。本当にありがとうございました。私がこの領地を取り仕切っている、執事のディーゼルです。どうぞよろしくお願いします」
優しそうな男性が、話しかけてきたのだ。この人がおじ様がおっしゃっていた執事ね。
「あなたがディーゼルね。どうかこの1ヶ月、色々と私に教えてください。私、この領地をもっともっと良くしたいのです。ディアンが目覚めた時、ディアンがびっくりするくらいに」
「お坊ちゃまが目覚めたら…ですか。そうですね、お坊ちゃまが目覚めた時、びっくりされるほど素敵な領地を作って参りましょう。私も全力で手助けをさせていただきます。早速明日、視察に参りましょう」
「そうして頂けると嬉しいわ」
「ユーリ、僕も全力でユーリの手助けをするよ。領地経営の先輩としてね」
「まあ、頼もしいですわ。よろしくお願いしますね」
挨拶もすんだところで、私たちの部屋へと向かった。カスタマーディス伯爵家では別々の部屋だったが、領地ではディアンと同じ部屋が準備されていた。本当の夫婦になった様ね。
ディーゼルも私の事を、若奥様と呼んでいたし。若奥様だなんて、なんだか恥ずかしいわ。
「失礼いたします。若奥様、晩餐の準備が整っております。どうぞ食堂へ」
「ありがとう、ここのお野菜は、本当に美味しいのね。そうだわ、食後は温泉に入ってもいいかしら?」
「ええ、もちろんですわ。若奥様は毎日遅くまで領地経営のお勉強をされているとお伺いしております。どうぞ領地にいる間は、少しでもリラックスしてお過ごしください」
そう言ってほほ笑んでいる使用人たち。どうやら私の事を、領地の使用人たちは受け入れてくれている様だ。次期女主人だなんて!そう思われているかもと少し心配したが、よかったわ。
使用人に連れられ食堂に向かうと、お兄様とお義姉様が待ってくれていた。夕食を一緒に食べてくれる様だ。
ただお義姉様の体の負担を考え、食後はすぐに帰って行った。それでも私たちの為に、わざわざカスタマーディス伯爵領に来てくれたことが、嬉しくてたまらない。
食後は温泉に入り、1日の疲れを癒した。本当にこの屋敷のお風呂は最高ね。それに肌がつるつるになるし。
温泉を堪能した後は、明日に備え、早く休むことにした。
「ディアン、今日からまた一緒に寝られるわ。私はディアンの傍が一番落ち着くのよ」
そっとディアンの布団に入り込み、寄り添う。温かくて気持ちいい…
これから毎日、ディアンの温もりを感じながら眠れるのか。これは最高ね。
この日はあっという間に眠りについたのだった。
そして翌日、朝からディーゼルと一緒に、街に視察に行った。特に重点的に見て回ったのが、温泉だ。そう、私は温泉を使った化粧品を作ろうと考えたのだ。ここの温泉は本当に肌がつるつるになる。きっとこの温泉を使った化粧水を売り出せば、貴族たちに人気が出ると踏んだのだ。
もちろん、温泉だけを見て回る訳ではない。街の様子などもしっかり視察した。
そしてその翌日。この日はお兄様が様子を見に来てくれるとの事で、屋敷でお兄様が来るのを待つ。
「ディアン、今日もいい天気よ。今日はね、お兄様が来てくれるの。領地について、色々とアドバイスをくれるのですって」
ディアンに向かって話しかけるが、反応はない。
そういえば1年前のこの日、森でサンクトスを見たのよね。懐かしいわ、あの日からもう1年か…
あの時落としたサンクトスの羽のお陰で、私はディアンと結ばれることが出来た。
確かサンクトスの羽、持ってきていたわよね。
鞄の中をあさると…
あった、これだわ。
青い宝石箱に入っている、サンクトスの羽を取り出した。相変わらず虹色に輝いていて、とても綺麗だ。
その時だった、サンクトスの羽が、一瞬光を放ったのだ。
「なんて綺麗な光なの…」
虹色の光は一瞬だったが、とても美しくて、つい言葉が漏れてしまった。
その時だった。
「ユーリ…」
えっ…この声は…
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