56 / 75
第56話:アレックス様が学院に戻って来てくれました
しおりを挟む
レーナに話しを聞いてもらったその日、早速レーナに教えてもらったデザインを持って、ディアンの家へと向かった。
ただ…
「ごめんなさい、ユーリちゃん。今ディアンは少し出掛けていて。せっかくユーリちゃんが来てくれたのだから、ディアンが帰ってくるまで、私と一緒にお茶をしましょう」
どうやらディアンは出掛けている様で、おば様と一緒にお茶をしながら、ディアンを待つ事にした。せっかくなので、おば様にもデザインを見せた。
「まあ、素敵ね。そうだわ、ここのメイン会場の木には、宝石で作ったお花を飾るのはどうかしら?」
「まあ、素敵ですね。それでしたら、私とディアンの瞳をイメージしたお花なんてどうでしょう?」
「いいわ、とても素敵ね。よかった…ユーリちゃん、最近あまり元気がないとリリーが話していたから、心配していたの。ユーリちゃん、改めてディアンを選んでくれてありがとう。あの子、ずっとユーリちゃんが好きだったから。私達も嬉しくてね。でも、ユーリちゃんが無理をしていないか心配で…」
おば様…
まさかおば様にまで、心配をかけてしまっていただなんて…私、何をやっているのかしら…
「ご心配をおかけしてごめんなさい。お礼を言うのは私の方ですわ。ディアンがいてくれたから私は、前に進むことが出来たのです。ディアンが傍にいてくれるから、今とても幸せなのです。私はディアンが大好きで、ディアンと共に未来を歩みたい、そう強く思っています。でも、私は弱くて…」
「ユーリちゃんは弱く何てないわ。ごめんなさい、嫌な話をしてしまったわね。さあ、装飾の話の続きをしましょう。それじゃあ、早速宝石商を呼ばないとね。なんだか増々楽しくなって来たわ。ちょっとあなた、明日にでも宝石商に来てもらう様に手配しておいて」
近くにいたメイドに、指示を出すおば様。
「おば様、ディアンに報告してからの方がいいのではありませんか?ディアンの考えも聞かないと」
「いいのよ、あの子は。男はね、そう言うのにあまり興味がないから。きっとディアンも“ユーリの言う事に従うよ”と言うに決まっているわ」
そう言っておば様が笑っていた。その時だった。
「ユーリ、来ていたのだね。なんだかとても楽しそうに話していた様だけれど、一体何の話をしていたのだい?」
「おかえりなさい、ディアン。今日話していた装飾の件、早速レーナに話したの。それで色々と教えてもらって、私なりにデザインを描いてみたから、ディアンにみてほしくて持ってきたのよ。それで今、おば様に見てもらっていたの」
「そうだったのだね。僕にも見せて」
ディアンに早速デザインを見せた。
「さっきユーリちゃんとも話していたのだけれど、メイン会場の木には、あなた達の瞳の色の宝石を使った造花を飾ろうと思っているの。どうかしら?」
「ユーリがそれでいいと言っているなら、僕はそれでいいと思うよ」
ディアンが嬉しそうに呟いている。そんなディアンを見た私とおば様が、2人で顔を見合わせ笑った。
「まあ、ディアンったら」
「男はすぐこれだものね。ユーリちゃん、私達で勝手に決めましょう」
私達がなぜ笑っているのか分からない様で、ディアンが首をかしげている。その姿がおかしくて、また声を上げて笑った。
こんな風に笑ったのは、いつぶりだろう。そう思うほど、笑ったのだ。
その後はディアンも加わり、和やかな空気の中過ごした。
そして…
「ユーリ、今日は訪ねてきてくれてありがとう。今日ユーリの笑顔を見られて、嬉しかったよ」
いつもの様に家まで送ってくれるディアンと一緒に、帰りの馬車に乗っていた時の事。ディアンがポツリと呟いたのだ。
「ディアン、今まで本当にごめんなさい。まだアレックス様の事は心配だけれど、私がくよくよしていたらきっと、アレックス様も喜ばないものね。これからは少しずつ、私も気持ちを切り替えていくわ」
「ユーリ、無理はしなくてもいいよ。君がどれほどアレックスの事を大切に思っているか、僕も知っているからね。それにアレックスは、もう大丈夫だと思うよ…」
「えっ、それはどういう事…」
「もう君の家に着いたね。それじゃあ、また明日ね」
私を馬車から降ろすと、足早に去って行ってしまった。
一体どういう意味かしら?
よくわからないまま翌日を迎えた。
いつもの様に貴族学院に向かうと
「おはよう、ユーリ。ごめんね、君には随分と心配をかけたね。正直まだ辛いけれど、もう僕は大丈夫だよ」
何と目の前には、制服を着たアレックス様の姿が。
「アレックス様、学院に出て来てくださったのですね。ですが、随分とお窶れになって…その、私…」
「ユーリ、そんな顔をしないで。実は昨日、ディアンが家に尋ねてきてくれてね。それで色々と話をして、少しだけれど気持ちが吹っ切れたんだ。ユーリ、もしディアンに泣かされる様なことがあったら、すぐに僕に言ってね。僕がディアンをぶっ飛ばすから」
そう言って笑ったアレックス様。
よかった、アレックス様も、前に進むことが出来たのね。
ただ…
「ごめんなさい、ユーリちゃん。今ディアンは少し出掛けていて。せっかくユーリちゃんが来てくれたのだから、ディアンが帰ってくるまで、私と一緒にお茶をしましょう」
どうやらディアンは出掛けている様で、おば様と一緒にお茶をしながら、ディアンを待つ事にした。せっかくなので、おば様にもデザインを見せた。
「まあ、素敵ね。そうだわ、ここのメイン会場の木には、宝石で作ったお花を飾るのはどうかしら?」
「まあ、素敵ですね。それでしたら、私とディアンの瞳をイメージしたお花なんてどうでしょう?」
「いいわ、とても素敵ね。よかった…ユーリちゃん、最近あまり元気がないとリリーが話していたから、心配していたの。ユーリちゃん、改めてディアンを選んでくれてありがとう。あの子、ずっとユーリちゃんが好きだったから。私達も嬉しくてね。でも、ユーリちゃんが無理をしていないか心配で…」
おば様…
まさかおば様にまで、心配をかけてしまっていただなんて…私、何をやっているのかしら…
「ご心配をおかけしてごめんなさい。お礼を言うのは私の方ですわ。ディアンがいてくれたから私は、前に進むことが出来たのです。ディアンが傍にいてくれるから、今とても幸せなのです。私はディアンが大好きで、ディアンと共に未来を歩みたい、そう強く思っています。でも、私は弱くて…」
「ユーリちゃんは弱く何てないわ。ごめんなさい、嫌な話をしてしまったわね。さあ、装飾の話の続きをしましょう。それじゃあ、早速宝石商を呼ばないとね。なんだか増々楽しくなって来たわ。ちょっとあなた、明日にでも宝石商に来てもらう様に手配しておいて」
近くにいたメイドに、指示を出すおば様。
「おば様、ディアンに報告してからの方がいいのではありませんか?ディアンの考えも聞かないと」
「いいのよ、あの子は。男はね、そう言うのにあまり興味がないから。きっとディアンも“ユーリの言う事に従うよ”と言うに決まっているわ」
そう言っておば様が笑っていた。その時だった。
「ユーリ、来ていたのだね。なんだかとても楽しそうに話していた様だけれど、一体何の話をしていたのだい?」
「おかえりなさい、ディアン。今日話していた装飾の件、早速レーナに話したの。それで色々と教えてもらって、私なりにデザインを描いてみたから、ディアンにみてほしくて持ってきたのよ。それで今、おば様に見てもらっていたの」
「そうだったのだね。僕にも見せて」
ディアンに早速デザインを見せた。
「さっきユーリちゃんとも話していたのだけれど、メイン会場の木には、あなた達の瞳の色の宝石を使った造花を飾ろうと思っているの。どうかしら?」
「ユーリがそれでいいと言っているなら、僕はそれでいいと思うよ」
ディアンが嬉しそうに呟いている。そんなディアンを見た私とおば様が、2人で顔を見合わせ笑った。
「まあ、ディアンったら」
「男はすぐこれだものね。ユーリちゃん、私達で勝手に決めましょう」
私達がなぜ笑っているのか分からない様で、ディアンが首をかしげている。その姿がおかしくて、また声を上げて笑った。
こんな風に笑ったのは、いつぶりだろう。そう思うほど、笑ったのだ。
その後はディアンも加わり、和やかな空気の中過ごした。
そして…
「ユーリ、今日は訪ねてきてくれてありがとう。今日ユーリの笑顔を見られて、嬉しかったよ」
いつもの様に家まで送ってくれるディアンと一緒に、帰りの馬車に乗っていた時の事。ディアンがポツリと呟いたのだ。
「ディアン、今まで本当にごめんなさい。まだアレックス様の事は心配だけれど、私がくよくよしていたらきっと、アレックス様も喜ばないものね。これからは少しずつ、私も気持ちを切り替えていくわ」
「ユーリ、無理はしなくてもいいよ。君がどれほどアレックスの事を大切に思っているか、僕も知っているからね。それにアレックスは、もう大丈夫だと思うよ…」
「えっ、それはどういう事…」
「もう君の家に着いたね。それじゃあ、また明日ね」
私を馬車から降ろすと、足早に去って行ってしまった。
一体どういう意味かしら?
よくわからないまま翌日を迎えた。
いつもの様に貴族学院に向かうと
「おはよう、ユーリ。ごめんね、君には随分と心配をかけたね。正直まだ辛いけれど、もう僕は大丈夫だよ」
何と目の前には、制服を着たアレックス様の姿が。
「アレックス様、学院に出て来てくださったのですね。ですが、随分とお窶れになって…その、私…」
「ユーリ、そんな顔をしないで。実は昨日、ディアンが家に尋ねてきてくれてね。それで色々と話をして、少しだけれど気持ちが吹っ切れたんだ。ユーリ、もしディアンに泣かされる様なことがあったら、すぐに僕に言ってね。僕がディアンをぶっ飛ばすから」
そう言って笑ったアレックス様。
よかった、アレックス様も、前に進むことが出来たのね。
495
お気に入りに追加
2,385
あなたにおすすめの小説
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。

振られたあとに優しくされても困ります
菜花
恋愛
男爵令嬢ミリーは親の縁で公爵家のアルフォンスと婚約を結ぶ。一目惚れしたミリーは好かれようと猛アタックしたものの、彼の氷のような心は解けず半年で婚約解消となった。それから半年後、貴族の通う学園に入学したミリーを待っていたのはアルフォンスからの溺愛だった。ええとごめんなさい。普通に迷惑なんですけど……。カクヨムにも投稿しています。
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。

【完結】好きでもない私とは婚約解消してください
里音
恋愛
騎士団にいる彼はとても一途で誠実な人物だ。初恋で恋人だった幼なじみが家のために他家へ嫁いで行ってもまだ彼女を思い新たな恋人を作ることをしないと有名だ。私も憧れていた1人だった。
そんな彼との婚約が成立した。それは彼の行動で私が傷を負ったからだ。傷は残らないのに責任感からの婚約ではあるが、彼はプロポーズをしてくれた。その瞬間憧れが好きになっていた。
婚約して6ヶ月、接点のほとんどない2人だが少しずつ距離も縮まり幸せな日々を送っていた。と思っていたのに、彼の元恋人が離婚をして帰ってくる話を聞いて彼が私との婚約を「最悪だ」と後悔しているのを聞いてしまった。

大好きな婚約者に「距離を置こう」と言われました
ミズメ
恋愛
感情表現が乏しいせいで""氷鉄令嬢""と呼ばれている侯爵令嬢のフェリシアは、婚約者のアーサー殿下に唐突に距離を置くことを告げられる。
これは婚約破棄の危機――そう思ったフェリシアは色々と自分磨きに励むけれど、なぜだか上手くいかない。
とある夜会で、アーサーの隣に見知らぬ金髪の令嬢がいたという話を聞いてしまって……!?
重すぎる愛が故に婚約者に接近することができないアーサーと、なんとしても距離を縮めたいフェリシアの接近禁止の婚約騒動。
○カクヨム、小説家になろうさまにも掲載/全部書き終えてます

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

たとえこの想いが届かなくても
白雲八鈴
恋愛
恋に落ちるというのはこういう事なのでしょうか。ああ、でもそれは駄目なこと、目の前の人物は隣国の王で、私はこの国の王太子妃。報われぬ恋。たとえこの想いが届かなくても・・・。
王太子は愛妾を愛し、自分はお飾りの王太子妃。しかし、自分の立場ではこの思いを言葉にすることはできないと恋心を己の中に押し込めていく。そんな彼女の生き様とは。
*いつもどおり誤字脱字はほどほどにあります。
*主人公に少々問題があるかもしれません。(これもいつもどおり?)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる