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第41話:ディアン争奪戦です
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授業が終わると、早速ディアンに話しかける。
「ディアン、困ったことがあったら何でも言って。そうだわ、学院内の事、全然わからないでしょう?私が案内してあげる。さあ、行きましょう」
「それは本当かい?ありがとう、それじゃあ、早速頼むよ」
嬉しそうにしているディアンの手を握り、そのまま教室を出ようとした時だった。
「ディアン、久しぶりだね。いつ王都に戻って来たのだい?ユーリ、ディアンは僕が案内するよ。令嬢が案内するよりも、男の僕が案内した方が何かといいだろう。男は男同士が一番だ」
私の目の前に立ちはだかったのは、アレックス様だ。確かにアレックス様とディアンも、幼馴染で仲が良かったけれど…
「アレックス、久しぶりだね。体は大きくなったけれど、見た目はあまり変わっていないから、すぐにわかったよ」
そう言ってアレックス様に笑顔を向けているディアン。
「アレックス様、あなた様はずっとディアンに会っていなかったでしょう?私は領地でディアンと再会し、一緒に過ごしたので、私の方がディアンも安心すると思いますわ。ですので、私がディアンを案内します」
そうアレックス様に笑顔で答えた。
「領地では、ディアンと一緒にいたのかい?そんな話、聞いていないよ。それからユーリ、いくら仲の良い幼馴染だからって、令息を呼び捨ては良くないよ!君は伯爵令嬢だろう?」
「その件は、僕がユーリに頼んで、呼び捨てで呼んでもらっているのだよ。“ディアン”と呼んで貰った方が、僕も嬉しいから。だからどうか、そこは理解して欲しい」
「だからって…呼び捨てだなんて…」
まだアレックス様が、ブツブツ言っている。
「あら、別によろしいのではないですか?ユーリとディアン様は、それだけ仲が良いという事ですよね?」
「そうですわ、本人の間で問題なしとしているのなら、外野が騒ぐのはおかしいですわよ」
「ユーリ、早く行かないと休憩時間が終わってしまうわよ」
友人たちが私の背中を押してくれたのだ。
「ありがとう、皆。ディアン、行きましょう。早くしないと、本当に休憩時間が終わってしまうわ」
ディアンの手を引き、教室を出た。
「待って、僕も行くよ」
なぜかアレックス様まで付いて来たのだ。久しぶりに幼馴染との再開が嬉しいのだろう。確かに昔は3人仲良しだったものね。きっとディアンも、アレックス様とも一緒にいたいだろう。
仕方がない、ここは私が我慢するか…
「ディアン、あそこが図書館棟であの大きな建屋が、訓練場よ。私は訓練場は行ったことがないからわからないけれど、かなり充実していると聞いたことがあるわ」
「訓練場もあるのだね。それは楽しみだな」
「ディアンは領地でもずっと、体を鍛えていたものね」
和やかな空気のまま、次に向かったのは中庭だ。
「ここで皆お昼ご飯を食べたり、放課後お茶を楽しんだりしているのよ。貴族学院の中庭は本当に素敵でしょう。そうだわ、今日の放課後、一緒にお茶をしましょう。もっと詳しくディアンにも中庭を案内したいし」
「それはいいね。それじゃあ、一緒にお茶をしよう。領地から持ってきたお菓子もあるし」
「それじゃあ決まり…」
「ディアン、あまりユーリとばかり仲良くするのは良くないと思うよ。君はずっと領地にいたのだから、やっぱり令息の友達を作るべきだよ、そうだ、ディアンは体を鍛えていたのだね。それなら、放課後一緒に剣の練習をしようよ。他の令息たちも誘って、皆でさ」
ここにきて、アレックス様が口を挟んできたのだ。この人、何なの?今私とディアンが、約束していたのを見ていたはずなのに。
「アレックス様、私が先にディアンと約束を交わしたのです。後から予定を被せてくるのは、おやめください」
「別に被せたつもりはないよ。ただ、ディアンは伯爵家の嫡男で、今後伯爵家を継ぐのだろう?それなら、ユーリとばかり仲良くしていたら、ディアンの為にならないと思っただけだよ。やはり貴族間の繋がりは大切だからね」
確かにアレックス様の言う通り、伯爵家を継ぐディアンには、令息の友人たちの存在は大切だろう。私よりアレックス様と一緒にいた方が、ディアンにとってはメリットが大きい。
その事実が、なんだか悲しい…
「ユーリ、そんな悲しそうな顔をしないで。アレックス、悪いが今日は、ユーリとお茶を楽しむよ。ユーリを悲しませたくないんだ。それに友人なら、そのうち出来るだろうし」
「ディアン、ありがとう。でも、アレックス様の言う通り、令息の友人は早く作った方がいいわ。私の事はいいから、アレックス様と剣の練習をして」
「…わかったよ、それじゃあ、アレックス。放課後は剣の練習をしよう。僕、結構剣の腕を上げたんだよ。もうアレックスには負けないから」
「それは楽しみだね、僕だって結構剣は強いよ。それじゃあ、勝負しよう」
そう言ってアレックス様とディアンが楽しそうに話している。悔しいが、同じ男性でもあるアレックス様と一緒の方が、ディアンも嬉しいのだろう。
分かっている、私も女友達は、また格別な存在だ。でも、なぜだかモヤモヤするこの気持ちは一体…
「ディアン、困ったことがあったら何でも言って。そうだわ、学院内の事、全然わからないでしょう?私が案内してあげる。さあ、行きましょう」
「それは本当かい?ありがとう、それじゃあ、早速頼むよ」
嬉しそうにしているディアンの手を握り、そのまま教室を出ようとした時だった。
「ディアン、久しぶりだね。いつ王都に戻って来たのだい?ユーリ、ディアンは僕が案内するよ。令嬢が案内するよりも、男の僕が案内した方が何かといいだろう。男は男同士が一番だ」
私の目の前に立ちはだかったのは、アレックス様だ。確かにアレックス様とディアンも、幼馴染で仲が良かったけれど…
「アレックス、久しぶりだね。体は大きくなったけれど、見た目はあまり変わっていないから、すぐにわかったよ」
そう言ってアレックス様に笑顔を向けているディアン。
「アレックス様、あなた様はずっとディアンに会っていなかったでしょう?私は領地でディアンと再会し、一緒に過ごしたので、私の方がディアンも安心すると思いますわ。ですので、私がディアンを案内します」
そうアレックス様に笑顔で答えた。
「領地では、ディアンと一緒にいたのかい?そんな話、聞いていないよ。それからユーリ、いくら仲の良い幼馴染だからって、令息を呼び捨ては良くないよ!君は伯爵令嬢だろう?」
「その件は、僕がユーリに頼んで、呼び捨てで呼んでもらっているのだよ。“ディアン”と呼んで貰った方が、僕も嬉しいから。だからどうか、そこは理解して欲しい」
「だからって…呼び捨てだなんて…」
まだアレックス様が、ブツブツ言っている。
「あら、別によろしいのではないですか?ユーリとディアン様は、それだけ仲が良いという事ですよね?」
「そうですわ、本人の間で問題なしとしているのなら、外野が騒ぐのはおかしいですわよ」
「ユーリ、早く行かないと休憩時間が終わってしまうわよ」
友人たちが私の背中を押してくれたのだ。
「ありがとう、皆。ディアン、行きましょう。早くしないと、本当に休憩時間が終わってしまうわ」
ディアンの手を引き、教室を出た。
「待って、僕も行くよ」
なぜかアレックス様まで付いて来たのだ。久しぶりに幼馴染との再開が嬉しいのだろう。確かに昔は3人仲良しだったものね。きっとディアンも、アレックス様とも一緒にいたいだろう。
仕方がない、ここは私が我慢するか…
「ディアン、あそこが図書館棟であの大きな建屋が、訓練場よ。私は訓練場は行ったことがないからわからないけれど、かなり充実していると聞いたことがあるわ」
「訓練場もあるのだね。それは楽しみだな」
「ディアンは領地でもずっと、体を鍛えていたものね」
和やかな空気のまま、次に向かったのは中庭だ。
「ここで皆お昼ご飯を食べたり、放課後お茶を楽しんだりしているのよ。貴族学院の中庭は本当に素敵でしょう。そうだわ、今日の放課後、一緒にお茶をしましょう。もっと詳しくディアンにも中庭を案内したいし」
「それはいいね。それじゃあ、一緒にお茶をしよう。領地から持ってきたお菓子もあるし」
「それじゃあ決まり…」
「ディアン、あまりユーリとばかり仲良くするのは良くないと思うよ。君はずっと領地にいたのだから、やっぱり令息の友達を作るべきだよ、そうだ、ディアンは体を鍛えていたのだね。それなら、放課後一緒に剣の練習をしようよ。他の令息たちも誘って、皆でさ」
ここにきて、アレックス様が口を挟んできたのだ。この人、何なの?今私とディアンが、約束していたのを見ていたはずなのに。
「アレックス様、私が先にディアンと約束を交わしたのです。後から予定を被せてくるのは、おやめください」
「別に被せたつもりはないよ。ただ、ディアンは伯爵家の嫡男で、今後伯爵家を継ぐのだろう?それなら、ユーリとばかり仲良くしていたら、ディアンの為にならないと思っただけだよ。やはり貴族間の繋がりは大切だからね」
確かにアレックス様の言う通り、伯爵家を継ぐディアンには、令息の友人たちの存在は大切だろう。私よりアレックス様と一緒にいた方が、ディアンにとってはメリットが大きい。
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「ディアン、ありがとう。でも、アレックス様の言う通り、令息の友人は早く作った方がいいわ。私の事はいいから、アレックス様と剣の練習をして」
「…わかったよ、それじゃあ、アレックス。放課後は剣の練習をしよう。僕、結構剣の腕を上げたんだよ。もうアレックスには負けないから」
「それは楽しみだね、僕だって結構剣は強いよ。それじゃあ、勝負しよう」
そう言ってアレックス様とディアンが楽しそうに話している。悔しいが、同じ男性でもあるアレックス様と一緒の方が、ディアンも嬉しいのだろう。
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