30 / 75
第30話:僕の幼馴染~アレックス視点~
しおりを挟む
僕には子供頃、いつも一緒に遊んでいた幼馴染がいた。1人は伯爵令息のディアン、もう1人が伯爵令嬢のユーリだ。親同士が仲が良かったのと、家が近くだったという事もあり、いつも3人で遊んでいた。
僕もディアンもユーリが大好きで、いつもユーリにバレない様に、ユーリを取り合っていた。あの時の僕は、本当にユーリが大好きだった。絶対にディアンになんて渡したくない。ユーリと結婚するのは、僕だ!
そんな思いで、ディアンと張り合っていた。少しでもユーリに好かれたくて、ユーリをとても大切にした。ユーリが嬉しそうに笑うと、僕も嬉しい気持ちになるのだ。僕はユーリの笑顔が大好きだ。
この笑顔を、絶対に僕の手で守りたい。ずっとそう思っていた。ユーリには僕だけを見て欲しい。日に日にユーリに対する想いは増していく。でも、ユーリの隣には僕だけでなく、常にディアンもいた。
ディアンさえいなければ、ユーリは僕だけのものになるのに!そう思っていたある日。急にディアンから呼び出されたのだ。ディアンは元々体が弱いため、領地で暮すことになったらしい。その話を聞いた時、僕は嬉しくてたまらなかった。
さらにディアンは
「アレックス、僕はユーリの事を諦める。だから、どうかユーリの事を幸せにしてやって欲しい」
そんな事を言いだしたのだ。ディアンがユーリを諦めるだなんて、一体どういう事だろう?よくわからなかったが、ライバルが自ら身を引くというのだ。わざわざ僕が、とやかく言う必要はない。
これでやっと、ユーリは僕だけのものだ!
「僕がディアンの分まで、ユーリを大切にするから安心して」
そう笑顔で伝えた。それでもまだ心配そうな顔のディアンに、何度も何度も念押しをされた。そんなに僕って、信用ないのかな?本当に失礼な奴だな。そう思ったが、極力冷静な顔で、必ずユーリを幸せにすると約束したのだ。
僕の言葉を聞いたディアンは、少し寂しそうに笑っていた。そして翌日、ディアンは領地へと旅立って行った。
もう僕にライバルはいなくなった。これでユーリは僕のものだ。すぐにでもユーリと婚約を結べるように、両親やユーリの両親に話しをしようと思ったが、最大のライバルでもあるディアンが居なくなった今、別に焦る必要はないか。
そうだ、別に今すぐ婚約を結ばなくても、ユーリは逃げないだろう。それにユーリ自身の気持ちもわからない。もしかしたら、ユーリに断られるかもしれないものな。
その日から僕は、増々ユーリの傍にいる様になった。ディアンが居なくなったせいか、最初は寂しそうにしていたユーリだが、半年もするとすっかり元気になったのだ。
さらに
「アレックス、あなたが好きなサンドウィッチを料理長に作ってもらって来たの。家の領地で大切に育てた牛肉を使ったサンドウィッチで、とても美味しいのよ」
そう言って僕の為に、色々と尽くしてくれる様になったのだ。お茶会に参加した時も、極力僕の傍から離れないユーリ。きっとユーリも、僕の事が好きなのだろう。
ちょうどユーリの気持ちに気が付いたころから、よく令嬢たちに話し掛けられる様になった。どうやら僕は、令嬢から人気がある様だ。僕が令嬢たちと話をしていると、不安そうな顔で見つめてくるユーリ。
彼女なりに、僕が急にモテだしたから心配なのだろう。ユーリは僕に釣り合う令嬢になるべく、マナーやダンスのレッスンに力を入れ始めたのだ。僕の為に、色々と頑張るユーリを見ていると、なんだか嬉しい気持ちになった。
さらに僕たちが10歳になったある日。
「アレックス様、私、アレックス様の事が大好きです。どうか私と、婚約してくださいませんでしょうか?」
真剣な表情で、ユーリが訴えて来たのだ。まさかユーリから、そんな事を言いだすだなんて思わなかった。ただ…なぜだろう、あれほど好きだったユーリを、まだ受け入れる気にはなれなかったのだ。
その為、やんわりと断りを入れた。悲しそうに僕の傍を去っているユーリの姿を見た瞬間、胸がチクリと痛んだ。
ユーリ、ショックだったかな?もしかしてこのまま、ユーリが僕を避けだしたら。そんな不安が、僕を襲った。でも、翌日からユーリは、いつも通り僕に話しかけてきたのだ。それどころか
「私、やっぱりアレックス様の事が大好きです。いつかアレックス様に振り向いてもらえる様に、頑張りますわ」
そう笑顔で伝えてくれたのだ。
その後も、僕の為に色々と尽くしてくれるユーリ。そんな日々を送っているうちに、僕たちは貴族学院に入学したのだった。
僕もディアンもユーリが大好きで、いつもユーリにバレない様に、ユーリを取り合っていた。あの時の僕は、本当にユーリが大好きだった。絶対にディアンになんて渡したくない。ユーリと結婚するのは、僕だ!
そんな思いで、ディアンと張り合っていた。少しでもユーリに好かれたくて、ユーリをとても大切にした。ユーリが嬉しそうに笑うと、僕も嬉しい気持ちになるのだ。僕はユーリの笑顔が大好きだ。
この笑顔を、絶対に僕の手で守りたい。ずっとそう思っていた。ユーリには僕だけを見て欲しい。日に日にユーリに対する想いは増していく。でも、ユーリの隣には僕だけでなく、常にディアンもいた。
ディアンさえいなければ、ユーリは僕だけのものになるのに!そう思っていたある日。急にディアンから呼び出されたのだ。ディアンは元々体が弱いため、領地で暮すことになったらしい。その話を聞いた時、僕は嬉しくてたまらなかった。
さらにディアンは
「アレックス、僕はユーリの事を諦める。だから、どうかユーリの事を幸せにしてやって欲しい」
そんな事を言いだしたのだ。ディアンがユーリを諦めるだなんて、一体どういう事だろう?よくわからなかったが、ライバルが自ら身を引くというのだ。わざわざ僕が、とやかく言う必要はない。
これでやっと、ユーリは僕だけのものだ!
「僕がディアンの分まで、ユーリを大切にするから安心して」
そう笑顔で伝えた。それでもまだ心配そうな顔のディアンに、何度も何度も念押しをされた。そんなに僕って、信用ないのかな?本当に失礼な奴だな。そう思ったが、極力冷静な顔で、必ずユーリを幸せにすると約束したのだ。
僕の言葉を聞いたディアンは、少し寂しそうに笑っていた。そして翌日、ディアンは領地へと旅立って行った。
もう僕にライバルはいなくなった。これでユーリは僕のものだ。すぐにでもユーリと婚約を結べるように、両親やユーリの両親に話しをしようと思ったが、最大のライバルでもあるディアンが居なくなった今、別に焦る必要はないか。
そうだ、別に今すぐ婚約を結ばなくても、ユーリは逃げないだろう。それにユーリ自身の気持ちもわからない。もしかしたら、ユーリに断られるかもしれないものな。
その日から僕は、増々ユーリの傍にいる様になった。ディアンが居なくなったせいか、最初は寂しそうにしていたユーリだが、半年もするとすっかり元気になったのだ。
さらに
「アレックス、あなたが好きなサンドウィッチを料理長に作ってもらって来たの。家の領地で大切に育てた牛肉を使ったサンドウィッチで、とても美味しいのよ」
そう言って僕の為に、色々と尽くしてくれる様になったのだ。お茶会に参加した時も、極力僕の傍から離れないユーリ。きっとユーリも、僕の事が好きなのだろう。
ちょうどユーリの気持ちに気が付いたころから、よく令嬢たちに話し掛けられる様になった。どうやら僕は、令嬢から人気がある様だ。僕が令嬢たちと話をしていると、不安そうな顔で見つめてくるユーリ。
彼女なりに、僕が急にモテだしたから心配なのだろう。ユーリは僕に釣り合う令嬢になるべく、マナーやダンスのレッスンに力を入れ始めたのだ。僕の為に、色々と頑張るユーリを見ていると、なんだか嬉しい気持ちになった。
さらに僕たちが10歳になったある日。
「アレックス様、私、アレックス様の事が大好きです。どうか私と、婚約してくださいませんでしょうか?」
真剣な表情で、ユーリが訴えて来たのだ。まさかユーリから、そんな事を言いだすだなんて思わなかった。ただ…なぜだろう、あれほど好きだったユーリを、まだ受け入れる気にはなれなかったのだ。
その為、やんわりと断りを入れた。悲しそうに僕の傍を去っているユーリの姿を見た瞬間、胸がチクリと痛んだ。
ユーリ、ショックだったかな?もしかしてこのまま、ユーリが僕を避けだしたら。そんな不安が、僕を襲った。でも、翌日からユーリは、いつも通り僕に話しかけてきたのだ。それどころか
「私、やっぱりアレックス様の事が大好きです。いつかアレックス様に振り向いてもらえる様に、頑張りますわ」
そう笑顔で伝えてくれたのだ。
その後も、僕の為に色々と尽くしてくれるユーリ。そんな日々を送っているうちに、僕たちは貴族学院に入学したのだった。
1,111
お気に入りに追加
2,380
あなたにおすすめの小説

夫と親友が、私に隠れて抱き合っていました ~2人の幸せのため、黙って身を引こうと思います~
小倉みち
恋愛
元侯爵令嬢のティアナは、幼馴染のジェフリーの元へ嫁ぎ、穏やかな日々を過ごしていた。
激しい恋愛関係の末に結婚したというわけではなかったが、それでもお互いに思いやりを持っていた。
貴族にありがちで平凡な、だけど幸せな生活。
しかし、その幸せは約1年で終わりを告げることとなる。
ティアナとジェフリーがパーティに参加したある日のこと。
ジェフリーとはぐれてしまったティアナは、彼を探しに中庭へと向かう。
――そこで見たものは。
ジェフリーと自分の親友が、暗闇の中で抱き合っていた姿だった。
「……もう、この気持ちを抑えきれないわ」
「ティアナに悪いから」
「だけど、あなただってそうでしょう? 私、ずっと忘れられなかった」
そんな会話を聞いてしまったティアナは、頭が真っ白になった。
ショックだった。
ずっと信じてきた夫と親友の不貞。
しかし怒りより先に湧いてきたのは、彼らに幸せになってほしいという気持ち。
私さえいなければ。
私さえ身を引けば、私の大好きな2人はきっと幸せになれるはず。
ティアナは2人のため、黙って実家に帰ることにしたのだ。
だがお腹の中には既に、小さな命がいて――。

振られたあとに優しくされても困ります
菜花
恋愛
男爵令嬢ミリーは親の縁で公爵家のアルフォンスと婚約を結ぶ。一目惚れしたミリーは好かれようと猛アタックしたものの、彼の氷のような心は解けず半年で婚約解消となった。それから半年後、貴族の通う学園に入学したミリーを待っていたのはアルフォンスからの溺愛だった。ええとごめんなさい。普通に迷惑なんですけど……。カクヨムにも投稿しています。
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。

【完結】好きでもない私とは婚約解消してください
里音
恋愛
騎士団にいる彼はとても一途で誠実な人物だ。初恋で恋人だった幼なじみが家のために他家へ嫁いで行ってもまだ彼女を思い新たな恋人を作ることをしないと有名だ。私も憧れていた1人だった。
そんな彼との婚約が成立した。それは彼の行動で私が傷を負ったからだ。傷は残らないのに責任感からの婚約ではあるが、彼はプロポーズをしてくれた。その瞬間憧れが好きになっていた。
婚約して6ヶ月、接点のほとんどない2人だが少しずつ距離も縮まり幸せな日々を送っていた。と思っていたのに、彼の元恋人が離婚をして帰ってくる話を聞いて彼が私との婚約を「最悪だ」と後悔しているのを聞いてしまった。

竜人のつがいへの執着は次元の壁を越える
たま
恋愛
次元を超えつがいに恋焦がれるストーカー竜人リュートさんと、うっかりリュートのいる異世界へ落っこちた女子高生結の絆されストーリー
その後、ふとした喧嘩らか、自分達が壮大な計画の歯車の1つだったことを知る。
そして今、最後の歯車はまずは世界の幸せの為に動く!

たとえこの想いが届かなくても
白雲八鈴
恋愛
恋に落ちるというのはこういう事なのでしょうか。ああ、でもそれは駄目なこと、目の前の人物は隣国の王で、私はこの国の王太子妃。報われぬ恋。たとえこの想いが届かなくても・・・。
王太子は愛妾を愛し、自分はお飾りの王太子妃。しかし、自分の立場ではこの思いを言葉にすることはできないと恋心を己の中に押し込めていく。そんな彼女の生き様とは。
*いつもどおり誤字脱字はほどほどにあります。
*主人公に少々問題があるかもしれません。(これもいつもどおり?)

ガネス公爵令嬢の変身
くびのほきょう
恋愛
1年前に現れたお父様と同じ赤い目をした美しいご令嬢。その令嬢に夢中な幼なじみの王子様に恋をしていたのだと気づいた公爵令嬢のお話。
※「小説家になろう」へも投稿しています

(本編完結)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?
水無月あん
恋愛
本編は完結してます。8/6より、番外編はじめました。よろしくお願いいたします。
私は、公爵令嬢のアリス。ピンク頭の女性を腕にぶら下げたルイス殿下に、婚約解消を告げられました。美形だけれど、無表情の婚約者が苦手だったので、婚約解消はありがたい! はれて自由の身になれて、うれしい! なのに、なぜ、近づいてくるんですか? 私に興味なかったですよね? 無表情すぎる、美形王子の本心は? こじらせ、ヤンデレ、執着っぽいものをつめた、ゆるゆるっとした設定です。お気軽に楽しんでいただければ、嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる