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第28話:王都に戻って来たのですが…
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「お嬢様、起きて下さい。王都に入りましたよ」
ん?王都に入った?
ゆっくりと目を開けると、見慣れた王都の街並みが。
「もう王都に着いたの?随分と早いわね」
「それはお嬢様が、ずっとおやすみになっていらしたからですわ」
そう言ってメイドが苦笑いしている。
ついに王都に戻って来たのだ。馬車の中は暇で、やる事もないのでつい眠ってしまうことも多い。今日も昼食を頂いた後、ずっと眠っていた様だ。
そして懐かしい我が家に馬車が入っていく。約1ヶ月留守にしただけなのに、もう何年も帰っていない気がするのは、それだけ充実した時間を送っていたという事なのだろう。
馬車から降りると、お父様とお母様、使用人たちが待っていてくれた。
「皆、ただいま戻りました」
「おかえりなさい、ユーリ。長旅で疲れたでしょう。さあ、中に入って」
「しばらく会わないうちに、なんだか雰囲気が変わったな。出発するときはなんというか、少し元気がなかった様だが。領地はどうだった?楽しかったかい?」
「ええ、とっても楽しかったですわ。ディアンにも再開できましたし。次の長期休みにも、絶対に領地に行きたいですわ」
「そうか、それはよかった。次はお父様も一緒に領地に行こうかな」
そう言ってお父様が笑っていた。
「家の中でゆっくり話をしましょう。ユーリ、中に入って」
お母様に促され、久しぶりの我が家に入る。なんだか懐かしい。
自室に戻り、一旦着替えを済ませた。そして両親や使用人たちに、領地でのお土産を渡す。
「ユーリ、それで領地は、どうだったのだい?」
「とても楽しかったですわ。そうそう、領地の森で、サンクトスを見ましたの。とても綺麗でしたわ」
「まあ、サンクトスを見られたの?よかったわね。あの鳥は幸せを運ぶ鳥と言われていて、サンクトスを見た人は幸せになれると言われているわよ。きっとユーリには、これから幸せな事が沢山待ち受けているわ。あっ…でも…」
なぜかお母様が気まずそうな顔をしている。一体どうしたのかしら?
その時だった。
「お取込み中の所、申し訳ございません。あの…また今日も、ドリトーディン伯爵令息様がいらしておりますが、どういたしましょう」
「えっ?アレックス様が?どうしてアレックス様が我が家に?」
訳が分からない、どうして彼が我が家に来ているのだろう。お父様とお母様の方を見ると、なんだか気まずそうな顔をしていた。
「色々とあってね。とりあえずユーリは疲れているから、お引き取り頂いて。ユーリもアレックス様に会いたくはないでしょう?」
色々とは一体どういう事だろう。でも、せっかく訪ねて来てくださったのに、そのまま追い返すのもなんだか申し訳ない。
「お母様、私、アレックス様に会って参りますわ。もしかしたら、何か急用でいらしているのかもしれませんし」
「待って、ユーリ」
後ろからお母様が私を呼んだが、気にせず玄関へと向かった。私はもう、アレックス様の事は何とも思っていない。だからきっと、アレックス様に会っても大丈夫なはずだ。
もしかしたらセレナ様との婚約が決まった事を、報告に来てくれたのかもしれない。その時は、笑顔でおめでとうと伝えよう。これからは幼馴染として、彼の幸せを見守っていきたい。
今は素直にそう思っている。
「アレックス様、お待たせしてごめんなさい。今日はどのようなご用だったでしょうか?」
久しぶりに見たアレックス様。よかった、姿を見ても、特に動揺する事もない。きっともう大丈夫ね。
「ユーリ、やっと領地から帰って来たのだね。会いたかったよ…」
何を思ったのか、私に抱き着こうとしてきたのだ。間一髪の頃で、上手くよける事が出来た。この人、一体何を考えているのかしら?いくら私の事を妹みたいに思っているからって、急に抱き着いてくるだなんて。
「アレックス様、私はこれでも令嬢です。さすがに抱き着こうとするのは、いかがなものかと」
「ごめんね、ユーリに久しぶりに会えて、嬉しくてつい」
「それで今日は、どの様なご用件でしょうか?」
「別に用事はないのだけれど。ユーリの告白を断ってから、学院にも来なくなってしまっただろう?半期休みに入ってからは、すぐに領地に行ってしまったし。ユーリの事を、ずっと心配していたのだよ。君は僕にとって、大切な子だから」
大切な子か…
「アレックス様、色々とご心配をおかけしてごめんなさい。でも、もう私はもう大丈夫ですわ。アレックス様の事は、綺麗さっぱり諦めましたし。これからはクラスメイトとして付き合っていければと考えております。どうかもう、私の事は気にしないで下さい」
もう私の事を気にしてもらう事はない。そう思って伝えたのだが…
「ユーリ、今更だけど僕…」
「アレック様、申し訳ございませんが、ユーリは今しがた領地から戻ったばかりでして。どうかお引き取り願えませんでしょうか。ご覧の通り、ユーリは元気ですので。もう心配して頂く必要はございませんわ」
私達の元にやって来たのは、お母様だ。
「…分かりました。今日は帰ります。ユーリ、また明日様子を見に来るから。その時に、ゆっくり話をしよう」
そう言うとアレックス様は、屋敷から出て行ったのだった。
ん?王都に入った?
ゆっくりと目を開けると、見慣れた王都の街並みが。
「もう王都に着いたの?随分と早いわね」
「それはお嬢様が、ずっとおやすみになっていらしたからですわ」
そう言ってメイドが苦笑いしている。
ついに王都に戻って来たのだ。馬車の中は暇で、やる事もないのでつい眠ってしまうことも多い。今日も昼食を頂いた後、ずっと眠っていた様だ。
そして懐かしい我が家に馬車が入っていく。約1ヶ月留守にしただけなのに、もう何年も帰っていない気がするのは、それだけ充実した時間を送っていたという事なのだろう。
馬車から降りると、お父様とお母様、使用人たちが待っていてくれた。
「皆、ただいま戻りました」
「おかえりなさい、ユーリ。長旅で疲れたでしょう。さあ、中に入って」
「しばらく会わないうちに、なんだか雰囲気が変わったな。出発するときはなんというか、少し元気がなかった様だが。領地はどうだった?楽しかったかい?」
「ええ、とっても楽しかったですわ。ディアンにも再開できましたし。次の長期休みにも、絶対に領地に行きたいですわ」
「そうか、それはよかった。次はお父様も一緒に領地に行こうかな」
そう言ってお父様が笑っていた。
「家の中でゆっくり話をしましょう。ユーリ、中に入って」
お母様に促され、久しぶりの我が家に入る。なんだか懐かしい。
自室に戻り、一旦着替えを済ませた。そして両親や使用人たちに、領地でのお土産を渡す。
「ユーリ、それで領地は、どうだったのだい?」
「とても楽しかったですわ。そうそう、領地の森で、サンクトスを見ましたの。とても綺麗でしたわ」
「まあ、サンクトスを見られたの?よかったわね。あの鳥は幸せを運ぶ鳥と言われていて、サンクトスを見た人は幸せになれると言われているわよ。きっとユーリには、これから幸せな事が沢山待ち受けているわ。あっ…でも…」
なぜかお母様が気まずそうな顔をしている。一体どうしたのかしら?
その時だった。
「お取込み中の所、申し訳ございません。あの…また今日も、ドリトーディン伯爵令息様がいらしておりますが、どういたしましょう」
「えっ?アレックス様が?どうしてアレックス様が我が家に?」
訳が分からない、どうして彼が我が家に来ているのだろう。お父様とお母様の方を見ると、なんだか気まずそうな顔をしていた。
「色々とあってね。とりあえずユーリは疲れているから、お引き取り頂いて。ユーリもアレックス様に会いたくはないでしょう?」
色々とは一体どういう事だろう。でも、せっかく訪ねて来てくださったのに、そのまま追い返すのもなんだか申し訳ない。
「お母様、私、アレックス様に会って参りますわ。もしかしたら、何か急用でいらしているのかもしれませんし」
「待って、ユーリ」
後ろからお母様が私を呼んだが、気にせず玄関へと向かった。私はもう、アレックス様の事は何とも思っていない。だからきっと、アレックス様に会っても大丈夫なはずだ。
もしかしたらセレナ様との婚約が決まった事を、報告に来てくれたのかもしれない。その時は、笑顔でおめでとうと伝えよう。これからは幼馴染として、彼の幸せを見守っていきたい。
今は素直にそう思っている。
「アレックス様、お待たせしてごめんなさい。今日はどのようなご用だったでしょうか?」
久しぶりに見たアレックス様。よかった、姿を見ても、特に動揺する事もない。きっともう大丈夫ね。
「ユーリ、やっと領地から帰って来たのだね。会いたかったよ…」
何を思ったのか、私に抱き着こうとしてきたのだ。間一髪の頃で、上手くよける事が出来た。この人、一体何を考えているのかしら?いくら私の事を妹みたいに思っているからって、急に抱き着いてくるだなんて。
「アレックス様、私はこれでも令嬢です。さすがに抱き着こうとするのは、いかがなものかと」
「ごめんね、ユーリに久しぶりに会えて、嬉しくてつい」
「それで今日は、どの様なご用件でしょうか?」
「別に用事はないのだけれど。ユーリの告白を断ってから、学院にも来なくなってしまっただろう?半期休みに入ってからは、すぐに領地に行ってしまったし。ユーリの事を、ずっと心配していたのだよ。君は僕にとって、大切な子だから」
大切な子か…
「アレックス様、色々とご心配をおかけしてごめんなさい。でも、もう私はもう大丈夫ですわ。アレックス様の事は、綺麗さっぱり諦めましたし。これからはクラスメイトとして付き合っていければと考えております。どうかもう、私の事は気にしないで下さい」
もう私の事を気にしてもらう事はない。そう思って伝えたのだが…
「ユーリ、今更だけど僕…」
「アレック様、申し訳ございませんが、ユーリは今しがた領地から戻ったばかりでして。どうかお引き取り願えませんでしょうか。ご覧の通り、ユーリは元気ですので。もう心配して頂く必要はございませんわ」
私達の元にやって来たのは、お母様だ。
「…分かりました。今日は帰ります。ユーリ、また明日様子を見に来るから。その時に、ゆっくり話をしよう」
そう言うとアレックス様は、屋敷から出て行ったのだった。
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