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第5話:やっぱり胸が苦しいです
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「おはよう、皆」
「おはよう、ユーリ、カリン」
いつもの様に皆が挨拶をしてくれる。
「おはよう、ユーリ。昨日は大丈夫だったかい?急に走ってどこかに行ってしまうから、心配していたんだよ。でも、元気そうでよかった」
私の元にやって来たのは、何とアレックス様だ。彼の顔を見た瞬間、心が揺れ動く。ダメよ、もうアレックス様の事は諦めると決めたのだから。彼は私の事を、妹としか見ていないのだ。だからきっと、妹を心配する感じで話しかけて来てくださっているのだろう。
それでもやはり、私の事を心配してくれるアレックス様に対し、嬉しいという感情が生まれる。
「昨日は急にその場を去ってしまって、申し訳ございませんでした。大丈夫ですので、気にしないで下さい。それではこれで」
ペコリと頭を下げ、急いで自分の席に座った。
ただ、胸がドキドキしている。いくらアレックス様の事を忘れようと心に誓っても、そう簡単に気持ちを切り替えられるものではない。そもそも私は、ずっとアレックス様が好きだったのだ。
現に私を心配してくれたことが、嬉しくてたまらない。このままではダメだ。いつまでたっても前には進めない。
とにかく、アレックス様とは距離を置かないと!
午前の授業が終わり、お昼休みに入った。いつもならアレックス様と一緒に食事を摂るため、彼の元に向かうのだが、もちろん今日は、アレックス様の元に向かう事はない。
ただ、レーナもカリンもマリアンも、皆婚約者と一緒に昼食を摂るのよね。という事は、私は1人か。まあいいわ、今日は1人で中庭で食事をしよう。
そう思い、1人中庭に向かおうとした時だった。
「ユーリ、一緒にお昼を食べましょう」
私の元に来てくれたのは、レーナ・カリン・マリアンの3人だ。
「あなた達、婚約者の方たちと昼食を食べるのでしょう?私の事は気にしないで」
「何を言っているのよ。私達の事は気にしなくていいから。ほら、行きましょう」
3人とも、私の為に…
彼女たちの優しさが、嬉しくてたまらない。きっと愛する婚約者と一緒に食事を摂りたいだろう。それなのに、私が1人にならない様に気を使ってくれるだなんて。
「ありがとう、皆。私、本当にいい友達を持ったわね」
「もう、ユーリは大げさなのだから。婚約者とはこれから一生一緒にいるのよ。でも、友人とは貴族学院を卒業したら、中々会えないでしょう。だから学生のうちは、友人との時間を優先したいと前々から思っていたのよ」
「そうよ、私達、あと1年半しか一緒にいられないのよ。学院を出たら、夜会くらいでしか会えなくなるのですもの。だからこそ、学生でもある今、ユーリたちと一緒に過ごしたいの」
「だからね、これからは一緒に昼食を摂りましょう。学院に入った頃の様に」
3人が微笑んでくれる。
「ありがとう、皆」
「だから泣かないでよ。本当にユーリは泣き虫ね。昔はもっとしっかりしていたのに。さあ、行きましょう」
4人で中庭にやって来ると、テラス席に座り、皆でお弁当を広げた。こうやって友人たちとお昼を食べるのは、いつぶりだろう。
「ユーリ、今朝アレックス様に話し掛けられていたけれど、大丈夫だった?」
ふいにレーナが話しかけてきたのだ。他の2人も心配そうにこちらを見ていた。
「大丈夫…と言えば嘘になるかな…私、ずっとアレックス様の事が好きだったでしょう。正直まだ、彼に優しくされると嬉しいと思ってしまう自分がいるの。それがなんだかもどかしくて」
「そりゃそうよ。ずっと好きだった相手ですもの。そう簡単に、忘れられるものじゃないわ」
「そうよ、それでもユーリは、アレックス様を忘れようと今、苦しんでいるのでしょう?今までのユーリなら“やっぱりアレックス様が好き!もっと頑張るわ!”と言っていたのに、今回はそう言わないという事は、少しずつ忘れるために前に進んでいるという事よ」
「そうよ、ユーリ。だから焦らないで。私達も、極力ユーリの傍にいるから」
「ありがとう、皆」
友人たちも私を心配して、手を貸してくれている。彼女たちの気持ちに応えるためにも、私も頑張らないと。
友人達と楽しい昼食を済ませた後、教室に戻ってきた。ふと目に飛び込んできたのは、アレックス様とセレナ様が楽しそうに話しをしている姿だった。彼らの姿を見た瞬間、胸がズキリと痛んだ。
アレックス様はやはり、セレナ様の事が好きなのだろう。それにセレナ様も…正直まだ、2人の幸せそうな姿を見るのは辛い。それでも彼らの姿を見る事で、私にはどう転んでもアレックス様に振り向いてはもらえないと、再認識する事が出来る。
ある意味、私には彼らの姿を目の当たりにする事は、いい事なのかもしれない。
「ユーリ、大丈夫?やっぱり辛いわよね。一度教室を出ましょう」
私の様子に気が付いたカリンが、声をかけてきてくれた。でも…
「カリン、気を使ってくれてありがとう。でも、大丈夫よ。それにそろそろ先生がいらっしゃるわ。席に着きましょう」
「でも…」
心配そうなカリンの手を引き、教室に入り席に着いた。
平気そうな顔をして座ったものの、胸が苦しくてたまらない。やっぱり私、まだアレックス様の事が大好きなのだろう。いつかこの苦しみが、和らいでくれるといいな…
「おはよう、ユーリ、カリン」
いつもの様に皆が挨拶をしてくれる。
「おはよう、ユーリ。昨日は大丈夫だったかい?急に走ってどこかに行ってしまうから、心配していたんだよ。でも、元気そうでよかった」
私の元にやって来たのは、何とアレックス様だ。彼の顔を見た瞬間、心が揺れ動く。ダメよ、もうアレックス様の事は諦めると決めたのだから。彼は私の事を、妹としか見ていないのだ。だからきっと、妹を心配する感じで話しかけて来てくださっているのだろう。
それでもやはり、私の事を心配してくれるアレックス様に対し、嬉しいという感情が生まれる。
「昨日は急にその場を去ってしまって、申し訳ございませんでした。大丈夫ですので、気にしないで下さい。それではこれで」
ペコリと頭を下げ、急いで自分の席に座った。
ただ、胸がドキドキしている。いくらアレックス様の事を忘れようと心に誓っても、そう簡単に気持ちを切り替えられるものではない。そもそも私は、ずっとアレックス様が好きだったのだ。
現に私を心配してくれたことが、嬉しくてたまらない。このままではダメだ。いつまでたっても前には進めない。
とにかく、アレックス様とは距離を置かないと!
午前の授業が終わり、お昼休みに入った。いつもならアレックス様と一緒に食事を摂るため、彼の元に向かうのだが、もちろん今日は、アレックス様の元に向かう事はない。
ただ、レーナもカリンもマリアンも、皆婚約者と一緒に昼食を摂るのよね。という事は、私は1人か。まあいいわ、今日は1人で中庭で食事をしよう。
そう思い、1人中庭に向かおうとした時だった。
「ユーリ、一緒にお昼を食べましょう」
私の元に来てくれたのは、レーナ・カリン・マリアンの3人だ。
「あなた達、婚約者の方たちと昼食を食べるのでしょう?私の事は気にしないで」
「何を言っているのよ。私達の事は気にしなくていいから。ほら、行きましょう」
3人とも、私の為に…
彼女たちの優しさが、嬉しくてたまらない。きっと愛する婚約者と一緒に食事を摂りたいだろう。それなのに、私が1人にならない様に気を使ってくれるだなんて。
「ありがとう、皆。私、本当にいい友達を持ったわね」
「もう、ユーリは大げさなのだから。婚約者とはこれから一生一緒にいるのよ。でも、友人とは貴族学院を卒業したら、中々会えないでしょう。だから学生のうちは、友人との時間を優先したいと前々から思っていたのよ」
「そうよ、私達、あと1年半しか一緒にいられないのよ。学院を出たら、夜会くらいでしか会えなくなるのですもの。だからこそ、学生でもある今、ユーリたちと一緒に過ごしたいの」
「だからね、これからは一緒に昼食を摂りましょう。学院に入った頃の様に」
3人が微笑んでくれる。
「ありがとう、皆」
「だから泣かないでよ。本当にユーリは泣き虫ね。昔はもっとしっかりしていたのに。さあ、行きましょう」
4人で中庭にやって来ると、テラス席に座り、皆でお弁当を広げた。こうやって友人たちとお昼を食べるのは、いつぶりだろう。
「ユーリ、今朝アレックス様に話し掛けられていたけれど、大丈夫だった?」
ふいにレーナが話しかけてきたのだ。他の2人も心配そうにこちらを見ていた。
「大丈夫…と言えば嘘になるかな…私、ずっとアレックス様の事が好きだったでしょう。正直まだ、彼に優しくされると嬉しいと思ってしまう自分がいるの。それがなんだかもどかしくて」
「そりゃそうよ。ずっと好きだった相手ですもの。そう簡単に、忘れられるものじゃないわ」
「そうよ、それでもユーリは、アレックス様を忘れようと今、苦しんでいるのでしょう?今までのユーリなら“やっぱりアレックス様が好き!もっと頑張るわ!”と言っていたのに、今回はそう言わないという事は、少しずつ忘れるために前に進んでいるという事よ」
「そうよ、ユーリ。だから焦らないで。私達も、極力ユーリの傍にいるから」
「ありがとう、皆」
友人たちも私を心配して、手を貸してくれている。彼女たちの気持ちに応えるためにも、私も頑張らないと。
友人達と楽しい昼食を済ませた後、教室に戻ってきた。ふと目に飛び込んできたのは、アレックス様とセレナ様が楽しそうに話しをしている姿だった。彼らの姿を見た瞬間、胸がズキリと痛んだ。
アレックス様はやはり、セレナ様の事が好きなのだろう。それにセレナ様も…正直まだ、2人の幸せそうな姿を見るのは辛い。それでも彼らの姿を見る事で、私にはどう転んでもアレックス様に振り向いてはもらえないと、再認識する事が出来る。
ある意味、私には彼らの姿を目の当たりにする事は、いい事なのかもしれない。
「ユーリ、大丈夫?やっぱり辛いわよね。一度教室を出ましょう」
私の様子に気が付いたカリンが、声をかけてきてくれた。でも…
「カリン、気を使ってくれてありがとう。でも、大丈夫よ。それにそろそろ先生がいらっしゃるわ。席に着きましょう」
「でも…」
心配そうなカリンの手を引き、教室に入り席に着いた。
平気そうな顔をして座ったものの、胸が苦しくてたまらない。やっぱり私、まだアレックス様の事が大好きなのだろう。いつかこの苦しみが、和らいでくれるといいな…
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