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第34話:カイ様とこれからは生きていきます
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ルイス様が帰国してから、早3ヶ月。あの後カルビア王国から何かを言ってくることはなかった。もしかして父が私を連れ戻しに来るかもしれない、そう思ったが、どうやら今のところなさそうだ。
ただ、ルイス様のあの様子だと、再びバーイン王国にやってくるのでは?と心配したが、カイ様が
“ルイス殿下がこの国に来ることはもうない。もちろん、君の父親もだ。だからアナスタシアは、安心して欲しい”
なぜか悲しそうに、そう言ったのだ。一体どういう意味だろうと思ったが、それ以上何も聞かなかった。もしかしたらカイ様が、陰で動いてくれたのかもしれない。
ちなみに私とカイ様は、先日正式に婚約をした。初めてこの国の貴族の方々にあったが、皆とてもいい人だった。
中には涙を流しながら
“陛下との結婚を決めていただき、ありがとうございました”
と言っていた人もいた。気になる令嬢たちだが、皆とてもいい人だった。私にはとても親切で
“何か困った事があったら、いつでも相談に乗りますわ”
そう言ってくれた。ただ、やはりカイ様が怖い様で、チラチラとカイ様を見ながら、時折怯えた表情を見せていた。やっぱりこの国の令嬢たちは、ちょっと失礼な様だ。
さらに王妃になる為の教育も受けているが、国は違えど王妃教育を受けていた身。王妃教育はどの国でもある程度共通の様で、復習みたいな感じで教わっている。
クロハを始め、王宮の使用人も貴族の人たちも、皆とても親切だ。その為、何不自由なく楽しく暮らしている。
そして今は、日課となった海に来ている。
「今日の海も穏やかね」
今日も穏やかな海。この海を見ると、私の心も落ち着くのだ。初めてここに来た時は、悲しくて辛くて心が潰れそうだった。でも今は…
「アナスタシア、また海に来ていたのか。本当に海が好きだね」
私の元にやって来たのは、カイ様だ。
「はい、海に来ると、心が落ち着くのです。カイ様、あの時私を助けて下さり、ありがとうございました。今あなた様の傍で生きていられることが、幸せでたまらないのです」
「私の方こそ、瀕死の状態からよく生き延びてくれた。もしかしたら君の専属メイドのリーナ殿が、生かしてくれたのかもしれないな。だって彼女は、君の事を大切に思ってくれていたのだろう?」
「リーナがですか?」
ふと海の方に目をやった。確かにリーナなら、私の幸せを誰よりも願ってくれてくれただろう。
その時だった。
”お嬢様、よかったですね。どうか幸せになってください…“
そうリーナの声が聞こえた気がした。もしかしたらリーナは、殺された後もずっと私の傍にいてくれたのかもしれない。そして命の危険に晒された私を、密かに助けてくれていたのかも…
そう思ったら、涙が溢れ出てきた。
「リーナは生前、ずっと私に寄り添い、私の幸せを考えていてくれた大切な人です。もしかしたらリーナは、殺された後もずっと私を見守っていてくれたのかもしれません。私が心から愛し、笑い合える人物に出会える様に…」
「そうかもしれないね。そもそも嵐に巻き込まれた時点で助かるだなんて、奇跡としか考えられない。それに運よく我が国の海岸に流れ着くなんて…やっぱりリーナ殿が助けてくれたんだよ。そう考えると、リーナ殿は私の恩人でもあるな。アナスタシアを私の元に連れてきてくれたのだから」
そう言って私を抱きしめるカイ様。
「アナスタシア、私も君も家族には恵まれなかった。だからこそ、私たちはこれから、誰もが羨む家族になろう。そしてこの国を、より良いものにしていこう」
カイ様が優しく微笑みながら、そう言った。
「はい、もちろんですわ。誰よりも素敵な家庭を作っていきましょう。2人で」
~数年後~
「「ほんぎゃぁぁぁ」」
「陛下、おめでとうございます。可愛らしい双子の王子殿下と王女殿下でございます」
「産まれたか!!」
私の元に駆け寄ってくるのは、カイ様だ。
「アナスタシア、お疲れ様。よく頑張ったね。元気な双子の男の子と女の子だ」
嬉しそうに笑うカイ様。そう、私は今、まさにカイ様との子供を出産したのだ。すぐに私の元に産まれたばかりの子供たちがやって来た。男の子の方はカイ様に似て黒い髪に赤い瞳をしている。女の子の方は…
「えっ…リーナ?」
そう、女の子の方は、金色の髪にエメラルドグリーンの瞳をしていたのだ。
「女の子の方は、私の母親に髪の毛は似てしまった様だね…でも、瞳はアナスタシアと同じだ。アナスタシア?どうしたんだ?」
「いえ…女の子の方が、リーナに髪も瞳の色も同じだったので…私とリーナは、瞳の色が同じだったのです…エメラルドグリーンの瞳なんて珍しいねって、よく2人で話していて…」
「そうだったのか。もしかしたら、この子はリーナ殿の生まれ変わりかもしれないな。よし、女の子の方はリーナという名前にしよう」
「カイ様、よろしいのですか?」
「ああ、元々女の子はアナスタシアにちなんだ名前にしようと思っていたんだ。男の子は、ルイにしようと思っている」
「ルイにリーナ、素敵な名前ですわ。あぁ…なんて可愛いのかしら?私たちの子供たちは」
産まれたばかりの子供たちを抱きしめる。小さくてふにゃふにゃで、とっても可愛い。
「本当にかわいい子たちだね。アナスタシア、こんなにも可愛い子供たちを産んでくれてありがとう。この子たちの為にも、今まで以上に平和な国をつくらないとな」
「はい、もちろんですわ。この子たちが安心して暮らせる国を、これからも作っていきましょう」
そっとカイ様の手に触れる。これからは家族4人で、温かい家庭を作っていこう。そして、今まで以上に戦争のない平和な国を目指していこう。大切な人たちの為に…
おしまい
~あとがき~
これにて完結です。
最後までお読みいただき、ありがとうございましたm(__)m
ただ、ルイス様のあの様子だと、再びバーイン王国にやってくるのでは?と心配したが、カイ様が
“ルイス殿下がこの国に来ることはもうない。もちろん、君の父親もだ。だからアナスタシアは、安心して欲しい”
なぜか悲しそうに、そう言ったのだ。一体どういう意味だろうと思ったが、それ以上何も聞かなかった。もしかしたらカイ様が、陰で動いてくれたのかもしれない。
ちなみに私とカイ様は、先日正式に婚約をした。初めてこの国の貴族の方々にあったが、皆とてもいい人だった。
中には涙を流しながら
“陛下との結婚を決めていただき、ありがとうございました”
と言っていた人もいた。気になる令嬢たちだが、皆とてもいい人だった。私にはとても親切で
“何か困った事があったら、いつでも相談に乗りますわ”
そう言ってくれた。ただ、やはりカイ様が怖い様で、チラチラとカイ様を見ながら、時折怯えた表情を見せていた。やっぱりこの国の令嬢たちは、ちょっと失礼な様だ。
さらに王妃になる為の教育も受けているが、国は違えど王妃教育を受けていた身。王妃教育はどの国でもある程度共通の様で、復習みたいな感じで教わっている。
クロハを始め、王宮の使用人も貴族の人たちも、皆とても親切だ。その為、何不自由なく楽しく暮らしている。
そして今は、日課となった海に来ている。
「今日の海も穏やかね」
今日も穏やかな海。この海を見ると、私の心も落ち着くのだ。初めてここに来た時は、悲しくて辛くて心が潰れそうだった。でも今は…
「アナスタシア、また海に来ていたのか。本当に海が好きだね」
私の元にやって来たのは、カイ様だ。
「はい、海に来ると、心が落ち着くのです。カイ様、あの時私を助けて下さり、ありがとうございました。今あなた様の傍で生きていられることが、幸せでたまらないのです」
「私の方こそ、瀕死の状態からよく生き延びてくれた。もしかしたら君の専属メイドのリーナ殿が、生かしてくれたのかもしれないな。だって彼女は、君の事を大切に思ってくれていたのだろう?」
「リーナがですか?」
ふと海の方に目をやった。確かにリーナなら、私の幸せを誰よりも願ってくれてくれただろう。
その時だった。
”お嬢様、よかったですね。どうか幸せになってください…“
そうリーナの声が聞こえた気がした。もしかしたらリーナは、殺された後もずっと私の傍にいてくれたのかもしれない。そして命の危険に晒された私を、密かに助けてくれていたのかも…
そう思ったら、涙が溢れ出てきた。
「リーナは生前、ずっと私に寄り添い、私の幸せを考えていてくれた大切な人です。もしかしたらリーナは、殺された後もずっと私を見守っていてくれたのかもしれません。私が心から愛し、笑い合える人物に出会える様に…」
「そうかもしれないね。そもそも嵐に巻き込まれた時点で助かるだなんて、奇跡としか考えられない。それに運よく我が国の海岸に流れ着くなんて…やっぱりリーナ殿が助けてくれたんだよ。そう考えると、リーナ殿は私の恩人でもあるな。アナスタシアを私の元に連れてきてくれたのだから」
そう言って私を抱きしめるカイ様。
「アナスタシア、私も君も家族には恵まれなかった。だからこそ、私たちはこれから、誰もが羨む家族になろう。そしてこの国を、より良いものにしていこう」
カイ様が優しく微笑みながら、そう言った。
「はい、もちろんですわ。誰よりも素敵な家庭を作っていきましょう。2人で」
~数年後~
「「ほんぎゃぁぁぁ」」
「陛下、おめでとうございます。可愛らしい双子の王子殿下と王女殿下でございます」
「産まれたか!!」
私の元に駆け寄ってくるのは、カイ様だ。
「アナスタシア、お疲れ様。よく頑張ったね。元気な双子の男の子と女の子だ」
嬉しそうに笑うカイ様。そう、私は今、まさにカイ様との子供を出産したのだ。すぐに私の元に産まれたばかりの子供たちがやって来た。男の子の方はカイ様に似て黒い髪に赤い瞳をしている。女の子の方は…
「えっ…リーナ?」
そう、女の子の方は、金色の髪にエメラルドグリーンの瞳をしていたのだ。
「女の子の方は、私の母親に髪の毛は似てしまった様だね…でも、瞳はアナスタシアと同じだ。アナスタシア?どうしたんだ?」
「いえ…女の子の方が、リーナに髪も瞳の色も同じだったので…私とリーナは、瞳の色が同じだったのです…エメラルドグリーンの瞳なんて珍しいねって、よく2人で話していて…」
「そうだったのか。もしかしたら、この子はリーナ殿の生まれ変わりかもしれないな。よし、女の子の方はリーナという名前にしよう」
「カイ様、よろしいのですか?」
「ああ、元々女の子はアナスタシアにちなんだ名前にしようと思っていたんだ。男の子は、ルイにしようと思っている」
「ルイにリーナ、素敵な名前ですわ。あぁ…なんて可愛いのかしら?私たちの子供たちは」
産まれたばかりの子供たちを抱きしめる。小さくてふにゃふにゃで、とっても可愛い。
「本当にかわいい子たちだね。アナスタシア、こんなにも可愛い子供たちを産んでくれてありがとう。この子たちの為にも、今まで以上に平和な国をつくらないとな」
「はい、もちろんですわ。この子たちが安心して暮らせる国を、これからも作っていきましょう」
そっとカイ様の手に触れる。これからは家族4人で、温かい家庭を作っていこう。そして、今まで以上に戦争のない平和な国を目指していこう。大切な人たちの為に…
おしまい
~あとがき~
これにて完結です。
最後までお読みいただき、ありがとうございましたm(__)m
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