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第22話:僕がバカだった…~ルイス視点~
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そんな中、アナスタシアが目覚めたと言う知らせが入ったのだ。
「マルモット、アナスタシアが目覚めたそうだ。早速アナスタシアを迎えに行こう」
嬉しくてついマルモットを抱きしめながら、報告をした。やっと…やっとアナスタシアが目覚めたのだ。この3年、どんなに僕が、彼女が目覚めるのを待ち望んでいたか。
ただ、なぜかマルモットは、浮かない顔。どうしたのだろう?まあ、いいか。
翌日、早速アナスタシアに会いに行った。でも、僕とマルモットの結婚を知って、悲しそうな顔をしている。僕はとっさに、“これ以上王太子妃の座を空けておくことが出来なくて”と、嘘を付いてしまった。
本当はアナスタシアが目覚めない寂しさを埋めるために、マルモットと結婚したなんて、口が裂けても言えない。そして、彼女に側室として迎える事を伝えた。
難色を示すアナスタシア。何とか彼女を説得しようとしたところで、なんとマルモットが乱入してきたのだ。泣いて謝るマルモットを必死に宥めた。
僕たちの様子を見ていたアナスタシアは
“大好きな2人が幸せになってくれたのですもの。素直にお祝いさせて。おめでとう”
そう言ってほほ笑んでいた。よかった、アナスタシアが笑ってくれた。
とにかく、早く側室として迎える準備を始めないと!そんな思いから、僕はすぐにアナスタシアが暮らす離宮を整えた。本当は本宮に住まわせたいが、さすがにそれは出来ない。それでも、彼女が不自由なく暮らせるように、手配を進めた。
さらにアナスタシアの父親にも彼女を側室として迎え入れたいという話をしたら、それはそれは喜んでいた。よし、これで後は、彼女を迎え入れるだけだ。
やっとこれで、アナスタシアと結婚できる。マルモットが一応王妃だけれど、きっと優しい彼女なら、アナスタシアを立ててくれるだろう。そう思っていた、でも…
王宮への輿入れを翌日に控えた夜、アナスタシアは公爵家から移動し始めたのだ。彼女には、婚約者時代から居場所を特定できる機械が付いたイヤリングを付けさせていた。その機械が急に移動し始めたため、いち早くアナスタシアの異変に気が付けたのだ。
もしかしたら、誘拐されたのかもしれない。そう思った僕は、至急公爵と連絡をとり、アナスタシアを連れ戻す様騎士たちに指示を出す。大丈夫だ、居場所を特定できる機械を付けているのだから。
そう思っていた。でも…
「殿下、申し訳ございません。アナスタシア様の姿を見失ってしまいました。居場所を特定できるイヤリングは、男たちが持っておりました。彼らの話では、道に落ちていたとの事です」
騎士がアナスタシアに付けさせていたイヤリングを持って、やって来たのだ。
「何を言っているのだ?その男たちが、アナスタシアを誘拐した犯人ではないのか?とにかくアナスタシアを探せ!きっとまだ王都内にいるはずだ。それから、その男たちの行方も探すんだ!」
この国の騎士たちは何をしているのだ。どいつもこいつも、役に立たないのだから。そうだ、このイヤリング!録音機能もあるのだった。この録音をきけば、アナスタシアの事が分かるはず。
そう思い、早速イヤリングに録音されていた音声を確認する。すると…
王宮には来たくないと思っていた事。姉の様に慕っていた使用人が処刑され、ショックを受けている事。さらに彼女の親友でもあるマルモットが、本当は毒を彼女に盛り、アナスタシアの使用人のせいにした事。全てを絶望して、自ら公爵家を出たことがわかった。
「そんな…まさかマルモットが…僕と結婚したいが為に、アナスタシアに毒を…そんな事とは知らず、僕はアナスタシアを殺そうとした女と、まんまと結婚してしまったなんて…」
あまりのショックに、僕はその場にへたり込んだ。
よく考えてみれば、アナスタシアが毒を盛られたとき、彼女と一緒にいた。そして、彼女と彼女のメイドの証言で、アナスタシアの専属メイドが犯人という事になったのだ。
ろくに調査もせずに、僕は真犯人をまんまと次期王妃にしてしまったのだ。アナスタシア…すまない。僕はなんて過ちを犯してしまったのだろう…
とにかく、真実を知った以上、僕はもうあの女と婚姻を続ける事なんて出来ない!
その時だった。
「ルイス様、アナスタシアが行方不明になったと聞きましたわ。それで、アナスタシアは」
心配そうな顔をして、僕の元にやって来たマルモット。それにしても、すごい演技力だ。よくもまあ、こんな演技が出来るものだ。
「ああ、今騎士たちが必死に探しているよ」
「そうなのですね。どうしてアナスタシアは、そんなバカな事を」
僕に寄り添い、涙を流すマルモット。この涙に何度騙された事か…
「すまないが、今日は1人にしてくれるかい?」
すっとマルモットを振り払い、部屋を後にしたのだった。
「マルモット、アナスタシアが目覚めたそうだ。早速アナスタシアを迎えに行こう」
嬉しくてついマルモットを抱きしめながら、報告をした。やっと…やっとアナスタシアが目覚めたのだ。この3年、どんなに僕が、彼女が目覚めるのを待ち望んでいたか。
ただ、なぜかマルモットは、浮かない顔。どうしたのだろう?まあ、いいか。
翌日、早速アナスタシアに会いに行った。でも、僕とマルモットの結婚を知って、悲しそうな顔をしている。僕はとっさに、“これ以上王太子妃の座を空けておくことが出来なくて”と、嘘を付いてしまった。
本当はアナスタシアが目覚めない寂しさを埋めるために、マルモットと結婚したなんて、口が裂けても言えない。そして、彼女に側室として迎える事を伝えた。
難色を示すアナスタシア。何とか彼女を説得しようとしたところで、なんとマルモットが乱入してきたのだ。泣いて謝るマルモットを必死に宥めた。
僕たちの様子を見ていたアナスタシアは
“大好きな2人が幸せになってくれたのですもの。素直にお祝いさせて。おめでとう”
そう言ってほほ笑んでいた。よかった、アナスタシアが笑ってくれた。
とにかく、早く側室として迎える準備を始めないと!そんな思いから、僕はすぐにアナスタシアが暮らす離宮を整えた。本当は本宮に住まわせたいが、さすがにそれは出来ない。それでも、彼女が不自由なく暮らせるように、手配を進めた。
さらにアナスタシアの父親にも彼女を側室として迎え入れたいという話をしたら、それはそれは喜んでいた。よし、これで後は、彼女を迎え入れるだけだ。
やっとこれで、アナスタシアと結婚できる。マルモットが一応王妃だけれど、きっと優しい彼女なら、アナスタシアを立ててくれるだろう。そう思っていた、でも…
王宮への輿入れを翌日に控えた夜、アナスタシアは公爵家から移動し始めたのだ。彼女には、婚約者時代から居場所を特定できる機械が付いたイヤリングを付けさせていた。その機械が急に移動し始めたため、いち早くアナスタシアの異変に気が付けたのだ。
もしかしたら、誘拐されたのかもしれない。そう思った僕は、至急公爵と連絡をとり、アナスタシアを連れ戻す様騎士たちに指示を出す。大丈夫だ、居場所を特定できる機械を付けているのだから。
そう思っていた。でも…
「殿下、申し訳ございません。アナスタシア様の姿を見失ってしまいました。居場所を特定できるイヤリングは、男たちが持っておりました。彼らの話では、道に落ちていたとの事です」
騎士がアナスタシアに付けさせていたイヤリングを持って、やって来たのだ。
「何を言っているのだ?その男たちが、アナスタシアを誘拐した犯人ではないのか?とにかくアナスタシアを探せ!きっとまだ王都内にいるはずだ。それから、その男たちの行方も探すんだ!」
この国の騎士たちは何をしているのだ。どいつもこいつも、役に立たないのだから。そうだ、このイヤリング!録音機能もあるのだった。この録音をきけば、アナスタシアの事が分かるはず。
そう思い、早速イヤリングに録音されていた音声を確認する。すると…
王宮には来たくないと思っていた事。姉の様に慕っていた使用人が処刑され、ショックを受けている事。さらに彼女の親友でもあるマルモットが、本当は毒を彼女に盛り、アナスタシアの使用人のせいにした事。全てを絶望して、自ら公爵家を出たことがわかった。
「そんな…まさかマルモットが…僕と結婚したいが為に、アナスタシアに毒を…そんな事とは知らず、僕はアナスタシアを殺そうとした女と、まんまと結婚してしまったなんて…」
あまりのショックに、僕はその場にへたり込んだ。
よく考えてみれば、アナスタシアが毒を盛られたとき、彼女と一緒にいた。そして、彼女と彼女のメイドの証言で、アナスタシアの専属メイドが犯人という事になったのだ。
ろくに調査もせずに、僕は真犯人をまんまと次期王妃にしてしまったのだ。アナスタシア…すまない。僕はなんて過ちを犯してしまったのだろう…
とにかく、真実を知った以上、僕はもうあの女と婚姻を続ける事なんて出来ない!
その時だった。
「ルイス様、アナスタシアが行方不明になったと聞きましたわ。それで、アナスタシアは」
心配そうな顔をして、僕の元にやって来たマルモット。それにしても、すごい演技力だ。よくもまあ、こんな演技が出来るものだ。
「ああ、今騎士たちが必死に探しているよ」
「そうなのですね。どうしてアナスタシアは、そんなバカな事を」
僕に寄り添い、涙を流すマルモット。この涙に何度騙された事か…
「すまないが、今日は1人にしてくれるかい?」
すっとマルモットを振り払い、部屋を後にしたのだった。
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