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第15話:アナスタシア嬢が魅力的過ぎる~カイ視点~
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アナスタシア嬢を部屋まで送ると、急いで自室へと戻ってきた。まだ心臓がバクバクしてる。とにかく落ち着かないと…こんな時はやっぱり、剣を振るうのが一番だ!
早速稽古場で汗を流す。するとそこに、クロハがやって来た。
「陛下、こんなところにいらしたのですね。陛下、何ですか、あの情けない姿は!令嬢への免疫がないのは分かりますが、もう少しスマートにエスコートできないのですか?それにしても陛下を見ても、怖がらない令嬢が現れるだなんて…いいですか!陛下、このチャンスを絶対に逃してはいけません。幸いアナスタシア様は、自国に帰るつもりもないようですし。このまま陛下の妻として…」
「おい、勝手な事を言うのは止めてくれ。彼女にだって、選ぶ権利があるんだ!それに、自国に帰れない彼女を、無理やり妻になど…」
「陛下、そんな弱気でどうするのですか?少なくともアナスタシア様は、今の時点であなた様に悪い印象を持っていらっしゃいません。それに、強い男性に魅力を感じていらっしゃる様でしたので、どんどんご自分をアピールするべきです。それとも、アナスタシア様では役不足とおっしゃるのですか?」
「な…何て失礼な事を言うんだ!彼女は非常に魅力的な令嬢だぞ!あんなにも素敵な令嬢が、私の妻になんてなってくれる訳がないだろう」
「それがいけないのです!本当に国王としては非常に優秀ですのに、令嬢の事になると途端にダメ人間になってしまわれるのですから!いいですか?またとないチャンスを、逃がすべきではありません!」
クロハのあまりの迫力に、圧倒されてしまう。クロハは元々私の世話係だった人物。いわば母親代わりの様な存在なのだ。そんなクロハには、実は私も強くは言えない。
「わ…わかった。でも私は、アナスタシア嬢を無理に手に入れる様なことはしたくない。それに彼女、何か心に深い傷を負っている様だし…」
「ええ、分かっておりますわ。アナスタシア様の時折寂しそうな顔が、私も気になっておりますの。ぜひ陛下のお力で、心に傷を負ったアナスタシア様を癒して差し上げて下さいませ」
満面の笑みでふざけたことを言うクロハ。好き勝手言って…
とにかく私は、令嬢を無理やり妻にするつもりはない!それだけは譲れないのだ。
「陛下、そろそろ夕食のお時間です。私はアナスタシア様の元に戻りますので。いいですか?きちんと湯あみをして、清潔にしていらしてくださいよ」
そう私に伝え、去っていくクロハ。汗をかいたのだから、湯あみをするのは当然だ!本当にクロハは口うるさいのだから。
とにかく、アナスタシア嬢を待たせては大変だ。急いで湯あみを済ませ、食堂へと向かう。よかった、まだアナスタシア嬢は来ていない。私が席に付いたタイミングで、彼女がやって来た。
瞳の色に合わせた、エメラルドグリーンのドレスに身を包んだ彼女は、やはり美しい。
「陛下、お待たせして申し訳ございません」
ペコリと頭を下げると、早速食事がスタートした。
「この国のお魚は本当に新鮮でおいしいですわ。まさかお魚を生で食べる事になるなんて。私の国では、お魚は火を通して食べるのが一般的でしたので」
「気に入ってもらえてよかった。アナスタシア嬢のいた国には、海はなかったのかい?」
「海はありましたが、王都から離れておりましたので。あまり海を見る機会もなかったのです。私は王都から出る事を、禁止されておりましたし…」
少し悲しそうに笑ったアナスタシア嬢。
「すまない、辛い事も思い出させてしまったかな?こっちは岩塩と呼ばれる塩だ。この塩はなんにでも合うんだよ。お肉にかけても美味しいよ」
とにかく話題を変えないと、そう思い、近くにあった塩を取り出し話を振った。
「本当ですわ。とても美味しいです。この国の食べ物は、どれも本当に美味しいですね。それに、陛下と一緒にお食事を頂いているから、なおの事美味しく感じるのかもしれませんね。やはり、誰かとこうやって話をしながら頂く食事が一番ですわ。陛下、私と食べて下さり、ありがとうございます」
そう言うと、アナスタシア嬢が嬉しそうに微笑んだのだ。その微笑を見た瞬間、一気に鼓動が早くなる。
「こ…こっちこそ、いつも1人で寂しく食べていたから、こうやってアナスタシア嬢が一緒に食べてくれると、嬉しいよ」
そう伝えた。その後も、和やかな空気の中、食事が進んだ。それにしても、食事1つとっても、アナスタシア嬢の動きは洗練されている。クロハの言う通り、かなり高貴な身分だったのだろう。そんな女性が、一体なぜ国に帰れないなどというのだろう。
もしかして家族が謀反を起こし、家が潰されたのかもしれないな。そうだとしたら、我が国でしっかり保護しないと。
早速稽古場で汗を流す。するとそこに、クロハがやって来た。
「陛下、こんなところにいらしたのですね。陛下、何ですか、あの情けない姿は!令嬢への免疫がないのは分かりますが、もう少しスマートにエスコートできないのですか?それにしても陛下を見ても、怖がらない令嬢が現れるだなんて…いいですか!陛下、このチャンスを絶対に逃してはいけません。幸いアナスタシア様は、自国に帰るつもりもないようですし。このまま陛下の妻として…」
「おい、勝手な事を言うのは止めてくれ。彼女にだって、選ぶ権利があるんだ!それに、自国に帰れない彼女を、無理やり妻になど…」
「陛下、そんな弱気でどうするのですか?少なくともアナスタシア様は、今の時点であなた様に悪い印象を持っていらっしゃいません。それに、強い男性に魅力を感じていらっしゃる様でしたので、どんどんご自分をアピールするべきです。それとも、アナスタシア様では役不足とおっしゃるのですか?」
「な…何て失礼な事を言うんだ!彼女は非常に魅力的な令嬢だぞ!あんなにも素敵な令嬢が、私の妻になんてなってくれる訳がないだろう」
「それがいけないのです!本当に国王としては非常に優秀ですのに、令嬢の事になると途端にダメ人間になってしまわれるのですから!いいですか?またとないチャンスを、逃がすべきではありません!」
クロハのあまりの迫力に、圧倒されてしまう。クロハは元々私の世話係だった人物。いわば母親代わりの様な存在なのだ。そんなクロハには、実は私も強くは言えない。
「わ…わかった。でも私は、アナスタシア嬢を無理に手に入れる様なことはしたくない。それに彼女、何か心に深い傷を負っている様だし…」
「ええ、分かっておりますわ。アナスタシア様の時折寂しそうな顔が、私も気になっておりますの。ぜひ陛下のお力で、心に傷を負ったアナスタシア様を癒して差し上げて下さいませ」
満面の笑みでふざけたことを言うクロハ。好き勝手言って…
とにかく私は、令嬢を無理やり妻にするつもりはない!それだけは譲れないのだ。
「陛下、そろそろ夕食のお時間です。私はアナスタシア様の元に戻りますので。いいですか?きちんと湯あみをして、清潔にしていらしてくださいよ」
そう私に伝え、去っていくクロハ。汗をかいたのだから、湯あみをするのは当然だ!本当にクロハは口うるさいのだから。
とにかく、アナスタシア嬢を待たせては大変だ。急いで湯あみを済ませ、食堂へと向かう。よかった、まだアナスタシア嬢は来ていない。私が席に付いたタイミングで、彼女がやって来た。
瞳の色に合わせた、エメラルドグリーンのドレスに身を包んだ彼女は、やはり美しい。
「陛下、お待たせして申し訳ございません」
ペコリと頭を下げると、早速食事がスタートした。
「この国のお魚は本当に新鮮でおいしいですわ。まさかお魚を生で食べる事になるなんて。私の国では、お魚は火を通して食べるのが一般的でしたので」
「気に入ってもらえてよかった。アナスタシア嬢のいた国には、海はなかったのかい?」
「海はありましたが、王都から離れておりましたので。あまり海を見る機会もなかったのです。私は王都から出る事を、禁止されておりましたし…」
少し悲しそうに笑ったアナスタシア嬢。
「すまない、辛い事も思い出させてしまったかな?こっちは岩塩と呼ばれる塩だ。この塩はなんにでも合うんだよ。お肉にかけても美味しいよ」
とにかく話題を変えないと、そう思い、近くにあった塩を取り出し話を振った。
「本当ですわ。とても美味しいです。この国の食べ物は、どれも本当に美味しいですね。それに、陛下と一緒にお食事を頂いているから、なおの事美味しく感じるのかもしれませんね。やはり、誰かとこうやって話をしながら頂く食事が一番ですわ。陛下、私と食べて下さり、ありがとうございます」
そう言うと、アナスタシア嬢が嬉しそうに微笑んだのだ。その微笑を見た瞬間、一気に鼓動が早くなる。
「こ…こっちこそ、いつも1人で寂しく食べていたから、こうやってアナスタシア嬢が一緒に食べてくれると、嬉しいよ」
そう伝えた。その後も、和やかな空気の中、食事が進んだ。それにしても、食事1つとっても、アナスタシア嬢の動きは洗練されている。クロハの言う通り、かなり高貴な身分だったのだろう。そんな女性が、一体なぜ国に帰れないなどというのだろう。
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