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第66話:私の中で芽生えた疑惑
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ミリアム様やカイロ様と話をしたことで、なんだか気持ちが落ち着いた。そういえば私、ずっと湯あみをしていなかったわね。汚い体でサミュエル様の傍にずっといただなんて、令嬢として恥ずかしいわ。
急いで湯あみを済ませた。私が少し落ち着いたのを見て、クラミーを含めたメイドたちが、ここぞとばかりに食事を準備してくれた。さすがにがつがつと食べる事は出来なかったが、それでも果物だけ頂く事にした。
さあ、早くサミュエル様の元に向かわないと!急いで部屋から出ると
「やあ、キャリーヌ。会いたかったよ」
目の前には、ジェイデン殿下が。どうやらサミュエル様の様子を見に来ていた様だ。私は会いたくなんてなかったわ!そう言いたいが、もちろんそんな事は言えない。
「ジェイデン殿下も、サミュエル様が心配なのですね。私もサミュエル様が心配ですので、これで失礼いたしますわ」
笑顔でカーテシーを決め、急いでサミュエル様のお部屋に入ろうとした時だった。
「キャリーヌ、サミュエルはもう…いいや、何でもないよ。もうすぐ僕たちの幸せな未来が待っているから、楽しみにしていてね。それじゃあ、またね」
笑顔でジェイデン殿下が去っていく。この人、実の弟が危険な状態にいるのに、何を言っているの?僕たちの幸せな未来ですって?やっぱりミリアム様の言う通り、ジェイデン殿下がサミュエル様を?
実の弟なのに…
さすがにジェイデン殿下が、そんな事をするはずは…
ふと私に側妃になれと言った時の事を思い出す。あの人は自分の思い通りにさせるために、私を地下牢に入れただけでなく、食事すら与えなかった。あの人なら、やりかねないかもしれない…
そんな感情が、私の中に芽生える。
「お嬢様?サミュエル殿下の元に向かわなくてもよろしいのですか?」
全く動かない私を心配したクラミーが、声をかけてきてくれた。いけないわ、すぐにサミュエル様の元に向かわないと。
急いでサミュエル様の部屋に入る。
「王妃殿下、サミュエル様の様子は?」
「特に異変はないわ。ただ、とても苦しそうで…可哀そうに、私が代わってあげられたらいいのだけれど…それでキャリーヌちゃん、ミリアム殿下とのお話は終わったの?ミリアム殿下と話をして、少し落ち着いたのね。よかったわ」
「ご心配をおかけして、申し訳ございませんでした。ミリアム様も彼女の婚約者のカイロ様も、サミュエル様の事をとても心配してくださって。サミュエル様の容態を伝えたら、カリアン王国の医師や魔術師にも相談してくれるとおっしゃって下さって」
「まあ、そうだったの。カリアン王国は、我が国よりも医療もかなり発達しているものね。それに、一部の人間の中には、魔術が使える人がいると聞いたことがあるわ。もしかしたらサミュエルが苦しんでいる原因も、分かるかもしれないわね」
「はい、私も実は、カリアン王国の優秀な医師や魔術師に期待しております。我が国には、魔術師はいらっしゃいませんし、カリアン王国は本当にいろんな意味で、魅力的な国なのですね」
カリアン王国にいると言われている魔術師たち。普段はその正体を隠している彼らだが、何か問題が起こった時には魔術を使い、解決してくれる心強い人たち。昔ミリアム様に、そう教えてもらった。
もちろん、私もお会いしたことがないし、ミリアム様から存在を聞くまで、知らなかったくらいだ。それくらい、優秀で貴重な人材らしい。
「王妃殿下、後は私が見ておりますので、どうかお休みください。公務もたまっていらっしゃるのでしょう?」
私同様、王妃様も時間を見つけてはサミュエル様の元に来ている。それこそ、ご自身の睡眠時間を削って。そのせいで、王妃様も随分とやつれてしまわれた。
「ありがとう、キャリーヌちゃん。それじゃあお言葉に甘えて、公務をこなして来るわ。もし何か異変が起こったら、すぐに知らせて」
「はい、もちろんです」
王妃様を見送った後、サミュエル様のお世話を開始した。それにしても、凄い汗だ。せめて汗だけでも拭こう。
そう思い、濡れたタオルでサミュエル様の顔や手、足などを拭いていく。そういえばあのアザ。
ふと首の後ろのアザを見ると、赤紫色に変化していた。以前見た時は、ピンク色だったのに…
やっぱりこのアザ、なんだか変だわ。カイロ様も、このアザが気になると言っていたし…
とにかく今私にできる事は、サミュエル様の看病をする事だけ。お願い、サミュエル様、早く元気になって。
急いで湯あみを済ませた。私が少し落ち着いたのを見て、クラミーを含めたメイドたちが、ここぞとばかりに食事を準備してくれた。さすがにがつがつと食べる事は出来なかったが、それでも果物だけ頂く事にした。
さあ、早くサミュエル様の元に向かわないと!急いで部屋から出ると
「やあ、キャリーヌ。会いたかったよ」
目の前には、ジェイデン殿下が。どうやらサミュエル様の様子を見に来ていた様だ。私は会いたくなんてなかったわ!そう言いたいが、もちろんそんな事は言えない。
「ジェイデン殿下も、サミュエル様が心配なのですね。私もサミュエル様が心配ですので、これで失礼いたしますわ」
笑顔でカーテシーを決め、急いでサミュエル様のお部屋に入ろうとした時だった。
「キャリーヌ、サミュエルはもう…いいや、何でもないよ。もうすぐ僕たちの幸せな未来が待っているから、楽しみにしていてね。それじゃあ、またね」
笑顔でジェイデン殿下が去っていく。この人、実の弟が危険な状態にいるのに、何を言っているの?僕たちの幸せな未来ですって?やっぱりミリアム様の言う通り、ジェイデン殿下がサミュエル様を?
実の弟なのに…
さすがにジェイデン殿下が、そんな事をするはずは…
ふと私に側妃になれと言った時の事を思い出す。あの人は自分の思い通りにさせるために、私を地下牢に入れただけでなく、食事すら与えなかった。あの人なら、やりかねないかもしれない…
そんな感情が、私の中に芽生える。
「お嬢様?サミュエル殿下の元に向かわなくてもよろしいのですか?」
全く動かない私を心配したクラミーが、声をかけてきてくれた。いけないわ、すぐにサミュエル様の元に向かわないと。
急いでサミュエル様の部屋に入る。
「王妃殿下、サミュエル様の様子は?」
「特に異変はないわ。ただ、とても苦しそうで…可哀そうに、私が代わってあげられたらいいのだけれど…それでキャリーヌちゃん、ミリアム殿下とのお話は終わったの?ミリアム殿下と話をして、少し落ち着いたのね。よかったわ」
「ご心配をおかけして、申し訳ございませんでした。ミリアム様も彼女の婚約者のカイロ様も、サミュエル様の事をとても心配してくださって。サミュエル様の容態を伝えたら、カリアン王国の医師や魔術師にも相談してくれるとおっしゃって下さって」
「まあ、そうだったの。カリアン王国は、我が国よりも医療もかなり発達しているものね。それに、一部の人間の中には、魔術が使える人がいると聞いたことがあるわ。もしかしたらサミュエルが苦しんでいる原因も、分かるかもしれないわね」
「はい、私も実は、カリアン王国の優秀な医師や魔術師に期待しております。我が国には、魔術師はいらっしゃいませんし、カリアン王国は本当にいろんな意味で、魅力的な国なのですね」
カリアン王国にいると言われている魔術師たち。普段はその正体を隠している彼らだが、何か問題が起こった時には魔術を使い、解決してくれる心強い人たち。昔ミリアム様に、そう教えてもらった。
もちろん、私もお会いしたことがないし、ミリアム様から存在を聞くまで、知らなかったくらいだ。それくらい、優秀で貴重な人材らしい。
「王妃殿下、後は私が見ておりますので、どうかお休みください。公務もたまっていらっしゃるのでしょう?」
私同様、王妃様も時間を見つけてはサミュエル様の元に来ている。それこそ、ご自身の睡眠時間を削って。そのせいで、王妃様も随分とやつれてしまわれた。
「ありがとう、キャリーヌちゃん。それじゃあお言葉に甘えて、公務をこなして来るわ。もし何か異変が起こったら、すぐに知らせて」
「はい、もちろんです」
王妃様を見送った後、サミュエル様のお世話を開始した。それにしても、凄い汗だ。せめて汗だけでも拭こう。
そう思い、濡れたタオルでサミュエル様の顔や手、足などを拭いていく。そういえばあのアザ。
ふと首の後ろのアザを見ると、赤紫色に変化していた。以前見た時は、ピンク色だったのに…
やっぱりこのアザ、なんだか変だわ。カイロ様も、このアザが気になると言っていたし…
とにかく今私にできる事は、サミュエル様の看病をする事だけ。お願い、サミュエル様、早く元気になって。
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