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第60話:やっとキャリーヌに会えたのに~ジェイデン視点~
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何とか僕もカリアン王国に行きたくて、色々と手を尽くした。でも、なぜか相手国が、頑なに僕の入国を許してくれないのだ。
僕がカリアン王国に、何をしたというのだ!そういえばカリアン王国の王女殿下が義姉に泣き付き、ディステル王国の陛下と王妃殿下に、アラステ王国の状況を教えたと言っていたな。
僕の入国を拒んでいるのも、その王女だと聞いた。カリアン王国の王女め、どうして僕をそこまで目の敵にするのだろう。きっと性格の悪い女に決まっている。
もしかしたら、サミュエルを好きになって、それでサミュエルを手に入れるために留学を決めたのか?もしそれなら、ある意味ラッキーだ。サミュエルがその王女と結婚すれば、僕はキャリーヌと結婚できる。
これはいい感じの流れだぞ。そうなると、やっぱり僕が傷ついたキャリーヌに寄り添う為に、カリアン王国に行かないと!
そう思い、再びカリアン王国に手紙を出すことにした。今度は王女宛てにだ。僕が君とサミュエルの恋を応援する、だからどうか僕もカリアン王国に留学させてくれ、という旨の手紙を書いた。
早速執事に、手紙をカリアン王国に送ってもらう様に頼んだのだが…
「殿下、またカリアン王国に手紙を送るつもりなのですか?どうかもう、カリアン王国と関わろうとするのはお止め下さい!それになんですか、この手紙の内容は。カリアン王国と我が国の関係を、これ以上ぶち壊すおつもりですか!」
そう執事に怒られたのだ。
「でも、カリアン王国の王女は、サミュエルが好きなのだろう?だからサミュエルの留学を許した。それなら僕が、2人の仲を取り持てば、王女だって…」
「何を愚かな事を…カリアン王国の王女殿下は、キャリーヌ様の親友との事です。キャリーヌ様の為に、王女殿下は動かれているのです。そもそも王女殿下には、愛する婚約者がいらっしゃるそうですよ!カリアン王国の王女殿下は、非常に聡明な方と聞いております。きっとキャリーヌ様の事を考え、サミュエル殿下の留学は許可し、殿下の入国は拒否しているのでしょう」
「それはどういう意味だよ!何が聡明な王女だ。キャリーヌは僕の事が好きなのだぞ。それなのに、僕の入国を拒むだなんて、愚かな王女じゃないか!」
「いい加減にしてくださいませ!あなた様がキャリーヌ様にした仕打ちを考えれば、当然のご判断です。これ以上私の頭を悩ませるような事はなさらないで下さい。とにかく、殿下はカリアン王国には行けません。それから、王宮から出る事も禁止されています!とにかくサミュエル殿下がお戻りになるまでは、大人しくしていてください!」
顔を真っ赤にして、怒って出て行った執事。僕は確かにキャリーヌを地下牢に入れたけれど、それはキャリーヌが僕の言う事を聞いてくれなかったからだ。
きっと今も、僕がキャリーヌを側妃として迎え入れると思っているのだろう。ラミア王女がいなくなった今、僕はキャリーヌだけを愛し、キャリーヌだけを妻にするつもりなのに…
そうだ、僕の気持ちをしっかり伝えれば、キャリーヌはきっとわかってくれるはず。とにかく、キャリーヌが帰国するのを待とう。
こうして僕は、長い長い3ヶ月を耐え抜いた。そして、やっとサミュエルが帰ってきたのだ。
「サミュエル、お帰り。あれ?1人で帰ってきたのかい?キャリーヌは…」
なぜか王宮に、1人で帰ってきたサミュエル。もしかして、キャリーヌに拒否され、惨めにも1人で帰って来たのか?
あれだけ“キャリーヌの気持ちを大切にしたい”と豪語していたのに、愚かな奴だな。という事は、キャリーヌはまだ、カリアン王国にいるのか?それとも、別々に帰って来たのか?
とにかくサミュエルは1人で帰っていた。やっぱりキャリーヌは、僕が好きなんだ!そう確信した。
そして翌日、サミュエルとマディスン公爵が、朝から何やら話をしていた。サミュエルめ、きっとマディスン公爵に、キャリーヌの件で泣き付いているのだろう。
その時だった。
「サミュエル殿下、キャリーヌ嬢が門のところでお待ちです」
「何だって、キャリーヌが。すぐに行くよ」
ん?今なんて言った?キャリーヌが門のところに来ているだって?キャリーヌも帰国していたのか。きっと僕に会いに来てくれたんだ。こうしちゃいられない、僕も急いで行かないと!
そう思い、門のところまで来ると、そこには夢にまで見たキャリーヌの姿が。嬉しくて近づこうとしたのだが、サミュエルがキャリーヌを隠してしまったのだ。サミュエルめ、どうして僕の邪魔ばかりするんだ!
そんな思いから、サミュエルに文句を言い、キャリーヌに僕の気持ちを伝えた。きっと君も、僕と同じ気持ちだよね。そう思っていたのだが、キャリーヌは自分はサミュエルと結婚する、もう自分の事は忘れて欲しいと言い出したのだ。
さらにサミュエルと一緒に、王宮の中にさっさと入って行ってしまった。
きっとサミュエルや公爵に言わされているに決まっている。可哀そうなキャリーヌ。サミュエルに助けられた恩から、サミュエルとの婚約話を断れなかったのだろう。
でも、大丈夫だよ。
きっと僕が、君を助け出してあげるから。
なんたって僕たちは、愛し合っているのだから。どんな手を使っても、僕はキャリーヌを取り返す。久しぶりにキャリーヌの顔を見られた事で、俄然やる気が出て来たぞ。
待っていてね、キャリーヌ。必ず僕が助け出してあげるからね…
※次回、キャリーヌ視点に戻ります。
よろしくお願いします。
僕がカリアン王国に、何をしたというのだ!そういえばカリアン王国の王女殿下が義姉に泣き付き、ディステル王国の陛下と王妃殿下に、アラステ王国の状況を教えたと言っていたな。
僕の入国を拒んでいるのも、その王女だと聞いた。カリアン王国の王女め、どうして僕をそこまで目の敵にするのだろう。きっと性格の悪い女に決まっている。
もしかしたら、サミュエルを好きになって、それでサミュエルを手に入れるために留学を決めたのか?もしそれなら、ある意味ラッキーだ。サミュエルがその王女と結婚すれば、僕はキャリーヌと結婚できる。
これはいい感じの流れだぞ。そうなると、やっぱり僕が傷ついたキャリーヌに寄り添う為に、カリアン王国に行かないと!
そう思い、再びカリアン王国に手紙を出すことにした。今度は王女宛てにだ。僕が君とサミュエルの恋を応援する、だからどうか僕もカリアン王国に留学させてくれ、という旨の手紙を書いた。
早速執事に、手紙をカリアン王国に送ってもらう様に頼んだのだが…
「殿下、またカリアン王国に手紙を送るつもりなのですか?どうかもう、カリアン王国と関わろうとするのはお止め下さい!それになんですか、この手紙の内容は。カリアン王国と我が国の関係を、これ以上ぶち壊すおつもりですか!」
そう執事に怒られたのだ。
「でも、カリアン王国の王女は、サミュエルが好きなのだろう?だからサミュエルの留学を許した。それなら僕が、2人の仲を取り持てば、王女だって…」
「何を愚かな事を…カリアン王国の王女殿下は、キャリーヌ様の親友との事です。キャリーヌ様の為に、王女殿下は動かれているのです。そもそも王女殿下には、愛する婚約者がいらっしゃるそうですよ!カリアン王国の王女殿下は、非常に聡明な方と聞いております。きっとキャリーヌ様の事を考え、サミュエル殿下の留学は許可し、殿下の入国は拒否しているのでしょう」
「それはどういう意味だよ!何が聡明な王女だ。キャリーヌは僕の事が好きなのだぞ。それなのに、僕の入国を拒むだなんて、愚かな王女じゃないか!」
「いい加減にしてくださいませ!あなた様がキャリーヌ様にした仕打ちを考えれば、当然のご判断です。これ以上私の頭を悩ませるような事はなさらないで下さい。とにかく、殿下はカリアン王国には行けません。それから、王宮から出る事も禁止されています!とにかくサミュエル殿下がお戻りになるまでは、大人しくしていてください!」
顔を真っ赤にして、怒って出て行った執事。僕は確かにキャリーヌを地下牢に入れたけれど、それはキャリーヌが僕の言う事を聞いてくれなかったからだ。
きっと今も、僕がキャリーヌを側妃として迎え入れると思っているのだろう。ラミア王女がいなくなった今、僕はキャリーヌだけを愛し、キャリーヌだけを妻にするつもりなのに…
そうだ、僕の気持ちをしっかり伝えれば、キャリーヌはきっとわかってくれるはず。とにかく、キャリーヌが帰国するのを待とう。
こうして僕は、長い長い3ヶ月を耐え抜いた。そして、やっとサミュエルが帰ってきたのだ。
「サミュエル、お帰り。あれ?1人で帰ってきたのかい?キャリーヌは…」
なぜか王宮に、1人で帰ってきたサミュエル。もしかして、キャリーヌに拒否され、惨めにも1人で帰って来たのか?
あれだけ“キャリーヌの気持ちを大切にしたい”と豪語していたのに、愚かな奴だな。という事は、キャリーヌはまだ、カリアン王国にいるのか?それとも、別々に帰って来たのか?
とにかくサミュエルは1人で帰っていた。やっぱりキャリーヌは、僕が好きなんだ!そう確信した。
そして翌日、サミュエルとマディスン公爵が、朝から何やら話をしていた。サミュエルめ、きっとマディスン公爵に、キャリーヌの件で泣き付いているのだろう。
その時だった。
「サミュエル殿下、キャリーヌ嬢が門のところでお待ちです」
「何だって、キャリーヌが。すぐに行くよ」
ん?今なんて言った?キャリーヌが門のところに来ているだって?キャリーヌも帰国していたのか。きっと僕に会いに来てくれたんだ。こうしちゃいられない、僕も急いで行かないと!
そう思い、門のところまで来ると、そこには夢にまで見たキャリーヌの姿が。嬉しくて近づこうとしたのだが、サミュエルがキャリーヌを隠してしまったのだ。サミュエルめ、どうして僕の邪魔ばかりするんだ!
そんな思いから、サミュエルに文句を言い、キャリーヌに僕の気持ちを伝えた。きっと君も、僕と同じ気持ちだよね。そう思っていたのだが、キャリーヌは自分はサミュエルと結婚する、もう自分の事は忘れて欲しいと言い出したのだ。
さらにサミュエルと一緒に、王宮の中にさっさと入って行ってしまった。
きっとサミュエルや公爵に言わされているに決まっている。可哀そうなキャリーヌ。サミュエルに助けられた恩から、サミュエルとの婚約話を断れなかったのだろう。
でも、大丈夫だよ。
きっと僕が、君を助け出してあげるから。
なんたって僕たちは、愛し合っているのだから。どんな手を使っても、僕はキャリーヌを取り返す。久しぶりにキャリーヌの顔を見られた事で、俄然やる気が出て来たぞ。
待っていてね、キャリーヌ。必ず僕が助け出してあげるからね…
※次回、キャリーヌ視点に戻ります。
よろしくお願いします。
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