59 / 73
第59話:やっと手に入れた大切な子だったのに…~ジェイデン視点~
しおりを挟む
「キャリーヌ嬢に側妃になれだと!お前は何を寝ぼけた事を言っているのだ!それに我が国では、側室制度は廃止されている。そもそも側室制度は欠陥だらけで…」
なぜか父上が怒り狂い、全力で反対してきたのだ。長い長い父上のお説教を受けた僕だが、正直なぜ側妃を迎える事がいけないのか分からない。
父上め、きっと2人の女性を手に入れようとしている僕に、嫉妬しているのだな。ただ、父上が反対している以上、話を進める事が出来ない。
その間にも、何度も何度もラミア王女から“早くキャリーヌと婚約を解消して、自分と婚約を結んで欲しい。婚約解消後に、改めて側妃の話をすればいい”そう訴えてくる。そんな中、父上と母上が公務の為、長期間国を留守にする事になったのだ。
国王でもある父上が不在の間、王太子でもある僕が一番の権力者だ。僕の言う事は絶対!そうだ、このタイミングで、キャリーヌを側妃にしてしまえばいいんだ。きっとキャリーヌも、話せばわかってくれる。そう思っていたのだが…
キャリーヌもマディスン公爵も、婚約解消は承諾してくれたが、側妃は頑なに拒否したのだ。王太子でもある僕に歯向かうだなんて、国家反逆罪だ!キャリーヌには、少し頭を冷やしてもらおう。
そう思い、キャリーヌを地下牢に入れた。さらに抗議してきたマディスン公爵も、同じく捕らえた。あの気味の悪い地下牢に入れば、キャリーヌも考え直してくれる。そう思ったのだ。
でも…
僕の前に立ちはだかったのは、実の弟でもあるサミュエルだ。サミュエルはいつの間にか捕らえていたマディスン公爵を地下牢から出しただけではなく、キャリーヌまでどこかに逃がしてしまったのだ。
父上まで味方に付け、父上が帰るまで、全ての権限はサミュエルに与えられてしまったのだ。
一体どうなっているのだ?僕はただ、キャリーヌとラミア王女、2人とも手に入れたかっただけなのに…
まさかキャリーヌが、他国に逃げてしまうだなんて…
どうやらキャリーヌは、実の姉の嫁ぎ先でもある、カリアン王国に避難している様だ。すぐに連れ戻したいが、今の僕にはその権限はない。
くそ、サミュエルめ。でも、大丈夫だ、僕は王太子なのだから。結局最後に権力を握るのは僕なのだ。今は抵抗しているマディスン公爵もキャリーヌも、最終的には折れるしかなくなる。
この国で生きていきたいなら、次期国王でもある僕の言う事は絶対なのだから。
ただ、今回の事件で怒りをあらわにしたマディスン公爵が、僕が王太子にはふさわしくないと言い出したのだ。僕を廃嫡して、サミュエルを新たな王太子にと考えているとの事。
マディスン公爵め、自分の立場が危うくなったからと言って、サミュエルを王太子に推すだなんて。でもきっと、父上がそんな事は許さない。それにこっちには、ラミア王女もいるんだから。
そんな中、父上たちが帰国した。僕の顔を見るなり
「ジェイデン、お前はなんて事をしたんだ!お前は権力を使い、あろう事か罪もないマディスン公爵とキャリーヌ嬢を投獄したそうじゃないか。これは立派な権力乱用だ。もうお前に忠誠を誓えないと、多くの貴族が申し出ているんだ」
そう怒鳴りつけて来たのだ。このままでは僕は、廃嫡されてしまう。そう思っていたのだが、僕には最大の味方、ラミア王女がいたのだ。
「国王陛下、私とジェイデン様が結婚すれば、この国にとってかなり国益になりますわ。それなのに、ジェイデン様を廃嫡するだなんて…もしその様な事をなさるのでしたら、私にも考えがございますわ」
そう言って、父上を脅したラミア王女。さすがに大国、ディステル王国を敵に回したくない父上は、僕を廃嫡する決断をする事が出来なくなった。
さらに貴族の中でも、ディステル王国との今後の関係を考え、僕を王太子にしたままラミア王女と結婚させた方がいいという意見も出始めたのだ。
もう僕には、ラミア王女に頼るしかない。このままラミア王女と結婚出来れば、僕はいずれ国王になれる。そうなれば権力を使い、キャリーヌを呼び戻し、僕の側妃にできる。
僕はやっぱり、キャリーヌの事が大好きだ。大丈夫、きっとうまくいく。それに僕は、キャリーヌにも沢山愛情を注ぐつもりだ。今はショックを受けているキャリーヌも、きっと僕を受け入れてくれるはず。
キャリーヌ…会いたい…この混乱のせいで、僕は半年近くもキャリーヌに会えていないのだ。この問題にケリがついたら、自らキャリーヌを迎えに行こう。
そう考えていたのに、事態は思わぬ方向へと進んでいったのだ。
そう、ディステル王国の陛下と王妃殿下が、ラミア王女を連れ戻しに来たのだ。その結果、僕とラミア王女の結婚は白紙に戻り、僕はラミア王女という最大の後ろ盾を無くした。
ラミア王女を失った僕は、あっと言う間に王太子の座をサミュエルに奪われてしまったのだ。さらにサミュエルはキャリーヌを迎えに行くため、カリアン王国に留学する事まで決まってしまったのだ。
あり得ない…
どうしてこんな事になってしまったのだろう…
7年半前、僕は間違いなくキャリーヌを手に入れたはずだったのに…キャリーヌの事を、誰よりも大切にしていたはずだったのに。それなのに、キャリーヌを失ってしまっただなんて…
なぜか父上が怒り狂い、全力で反対してきたのだ。長い長い父上のお説教を受けた僕だが、正直なぜ側妃を迎える事がいけないのか分からない。
父上め、きっと2人の女性を手に入れようとしている僕に、嫉妬しているのだな。ただ、父上が反対している以上、話を進める事が出来ない。
その間にも、何度も何度もラミア王女から“早くキャリーヌと婚約を解消して、自分と婚約を結んで欲しい。婚約解消後に、改めて側妃の話をすればいい”そう訴えてくる。そんな中、父上と母上が公務の為、長期間国を留守にする事になったのだ。
国王でもある父上が不在の間、王太子でもある僕が一番の権力者だ。僕の言う事は絶対!そうだ、このタイミングで、キャリーヌを側妃にしてしまえばいいんだ。きっとキャリーヌも、話せばわかってくれる。そう思っていたのだが…
キャリーヌもマディスン公爵も、婚約解消は承諾してくれたが、側妃は頑なに拒否したのだ。王太子でもある僕に歯向かうだなんて、国家反逆罪だ!キャリーヌには、少し頭を冷やしてもらおう。
そう思い、キャリーヌを地下牢に入れた。さらに抗議してきたマディスン公爵も、同じく捕らえた。あの気味の悪い地下牢に入れば、キャリーヌも考え直してくれる。そう思ったのだ。
でも…
僕の前に立ちはだかったのは、実の弟でもあるサミュエルだ。サミュエルはいつの間にか捕らえていたマディスン公爵を地下牢から出しただけではなく、キャリーヌまでどこかに逃がしてしまったのだ。
父上まで味方に付け、父上が帰るまで、全ての権限はサミュエルに与えられてしまったのだ。
一体どうなっているのだ?僕はただ、キャリーヌとラミア王女、2人とも手に入れたかっただけなのに…
まさかキャリーヌが、他国に逃げてしまうだなんて…
どうやらキャリーヌは、実の姉の嫁ぎ先でもある、カリアン王国に避難している様だ。すぐに連れ戻したいが、今の僕にはその権限はない。
くそ、サミュエルめ。でも、大丈夫だ、僕は王太子なのだから。結局最後に権力を握るのは僕なのだ。今は抵抗しているマディスン公爵もキャリーヌも、最終的には折れるしかなくなる。
この国で生きていきたいなら、次期国王でもある僕の言う事は絶対なのだから。
ただ、今回の事件で怒りをあらわにしたマディスン公爵が、僕が王太子にはふさわしくないと言い出したのだ。僕を廃嫡して、サミュエルを新たな王太子にと考えているとの事。
マディスン公爵め、自分の立場が危うくなったからと言って、サミュエルを王太子に推すだなんて。でもきっと、父上がそんな事は許さない。それにこっちには、ラミア王女もいるんだから。
そんな中、父上たちが帰国した。僕の顔を見るなり
「ジェイデン、お前はなんて事をしたんだ!お前は権力を使い、あろう事か罪もないマディスン公爵とキャリーヌ嬢を投獄したそうじゃないか。これは立派な権力乱用だ。もうお前に忠誠を誓えないと、多くの貴族が申し出ているんだ」
そう怒鳴りつけて来たのだ。このままでは僕は、廃嫡されてしまう。そう思っていたのだが、僕には最大の味方、ラミア王女がいたのだ。
「国王陛下、私とジェイデン様が結婚すれば、この国にとってかなり国益になりますわ。それなのに、ジェイデン様を廃嫡するだなんて…もしその様な事をなさるのでしたら、私にも考えがございますわ」
そう言って、父上を脅したラミア王女。さすがに大国、ディステル王国を敵に回したくない父上は、僕を廃嫡する決断をする事が出来なくなった。
さらに貴族の中でも、ディステル王国との今後の関係を考え、僕を王太子にしたままラミア王女と結婚させた方がいいという意見も出始めたのだ。
もう僕には、ラミア王女に頼るしかない。このままラミア王女と結婚出来れば、僕はいずれ国王になれる。そうなれば権力を使い、キャリーヌを呼び戻し、僕の側妃にできる。
僕はやっぱり、キャリーヌの事が大好きだ。大丈夫、きっとうまくいく。それに僕は、キャリーヌにも沢山愛情を注ぐつもりだ。今はショックを受けているキャリーヌも、きっと僕を受け入れてくれるはず。
キャリーヌ…会いたい…この混乱のせいで、僕は半年近くもキャリーヌに会えていないのだ。この問題にケリがついたら、自らキャリーヌを迎えに行こう。
そう考えていたのに、事態は思わぬ方向へと進んでいったのだ。
そう、ディステル王国の陛下と王妃殿下が、ラミア王女を連れ戻しに来たのだ。その結果、僕とラミア王女の結婚は白紙に戻り、僕はラミア王女という最大の後ろ盾を無くした。
ラミア王女を失った僕は、あっと言う間に王太子の座をサミュエルに奪われてしまったのだ。さらにサミュエルはキャリーヌを迎えに行くため、カリアン王国に留学する事まで決まってしまったのだ。
あり得ない…
どうしてこんな事になってしまったのだろう…
7年半前、僕は間違いなくキャリーヌを手に入れたはずだったのに…キャリーヌの事を、誰よりも大切にしていたはずだったのに。それなのに、キャリーヌを失ってしまっただなんて…
1,261
お気に入りに追加
4,142
あなたにおすすめの小説

婚約破棄されないまま正妃になってしまった令嬢
alunam
恋愛
婚約破棄はされなかった……そんな必要は無かったから。
既に愛情の無くなった結婚をしても相手は王太子。困る事は無かったから……
愛されない正妃なぞ珍しくもない、愛される側妃がいるから……
そして寵愛を受けた側妃が世継ぎを産み、正妃の座に成り代わろうとするのも珍しい事ではない……それが今、この時に訪れただけ……
これは婚約破棄される事のなかった愛されない正妃。元・辺境伯爵シェリオン家令嬢『フィアル・シェリオン』の知らない所で、周りの奴等が勝手に王家の連中に「ざまぁ!」する話。
※あらすじですらシリアスが保たない程度の内容、プロット消失からの練り直し試作品、荒唐無稽でもハッピーエンドならいいんじゃい!的なガバガバ設定
それでもよろしければご一読お願い致します。更によろしければ感想・アドバイスなんかも是非是非。全十三話+オマケ一話、一日二回更新でっす!

俺はお前ではなく、彼女を一生涯愛し護り続けると決めたんだ! そう仰られた元婚約者様へ。貴方が愛する人が、夜会で大問題を起こしたようですよ?
柚木ゆず
恋愛
※9月20日、本編完結いたしました。明日21日より番外編として、ジェラール親子とマリエット親子の、最後のざまぁに関するお話を投稿させていただきます。
お前の家ティレア家は、財の力で爵位を得た新興貴族だ! そんな歴史も品もない家に生まれた女が、名家に生まれた俺に相応しいはずがない! 俺はどうして気付かなかったんだ――。
婚約中に心変わりをされたクレランズ伯爵家のジェラール様は、沢山の暴言を口にしたあと、一方的に婚約の解消を宣言しました。
そうしてジェラール様はわたしのもとを去り、曰く『お前と違って貴族然とした女性』であり『気品溢れる女性』な方と新たに婚約を結ばれたのですが――
ジェラール様。貴方の婚約者であるマリエット様が、侯爵家主催の夜会で大問題を起こしてしまったみたいですよ?

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております

愛を求めることはやめましたので、ご安心いただけますと幸いです!
風見ゆうみ
恋愛
わたしの婚約者はレンジロード・ブロフコス侯爵令息。彼に愛されたくて、自分なりに努力してきたつもりだった。でも、彼には昔から好きな人がいた。
結婚式当日、レンジロード様から「君も知っていると思うが、私には愛する女性がいる。君と結婚しても、彼女のことを忘れたくないから忘れない。そして、私と君の結婚式を彼女に見られたくない」と言われ、結婚式を中止にするためにと階段から突き落とされてしまう。
レンジロード様に突き落とされたと訴えても、信じてくれる人は少数だけ。レンジロード様はわたしが階段を踏み外したと言う上に、わたしには話を合わせろと言う。
こんな人のどこが良かったのかしら???
家族に相談し、離婚に向けて動き出すわたしだったが、わたしの変化に気がついたレンジロード様が、なぜかわたしにかまうようになり――
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)


愛してくれない婚約者なら要りません
ネコ
恋愛
伯爵令嬢リリアナは、幼い頃から周囲の期待に応える「完璧なお嬢様」を演じていた。ところが名目上の婚約者である王太子は、聖女と呼ばれる平民の少女に夢中でリリアナを顧みない。そんな彼に尽くす日々に限界を感じたリリアナは、ある日突然「婚約を破棄しましょう」と言い放つ。甘く見ていた王太子と聖女は彼女の本当の力に気づくのが遅すぎた。

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる