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第55話:家族から明かされた真実
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「遅くなって申し訳ございません。さあ、お茶にしましょう」
「あら、そんなに急いで戻って来なくてもよかったのよ。それよりも、ミリアム様と言うのは、カリアン王国の第一王女、ミリアム殿下の事よね?通信機で繋がっているだなんて、よほど仲良しなのね」
「キャリーヌちゃんは、カリアン王国でかけがえのない大切な友人が出来たのね。彼女のお陰で、この国も救われたのですもの。本当にミリアム殿下には、感謝してもしきれないわ」
えっ?今お義姉様、なんて言ったの?ミリアム様のお陰で、国が救われた?
「本当よね、彼女がキャリーヌの為に、あそこまでして下さるだなんて…きっと素敵な王女殿下なのでしょうね。私もぜひ会って、お礼が言いたいわ。キャリーヌは今まで、ずっと自分の事は二の次だったもの。あんな形ではあったけれど、キャリーヌにとってカリアン王国で生活出来た事は、ある意味よかったのかもしれないわね」
ちょっと待って!お母様まで一体何を言っているの?
「あの…お2人のおっしゃっている意味が、全く分からないのですが…ミリアム様が一体、何をなされたというのですか?」
心底びっくりして、2人の顔を交互に見た。なぜか2人も、目を見開いて固まっている。
「あなた、もしかして何も聞いていないの?ミリアム殿下のお陰で、ラミア王女が帰国したことを…」
「ラミア王女が帰国したのは、ディステル王国の両陛下が現状を知って、迎えにいらしたからでしょう?その件とミリアム様が、何の関係があるというのですか?」
全く理解できない。一体何があったというの?
「キャリーヌちゃんは、本当に何も知らないの?ミリアム殿下が、義姉でもあるグランズ王国の女王陛下に当時アラステ王国で起こっている出来事を、すべて話してくださったのよ。それでグランズ王国の女王陛下が、すぐにディステル王国の王妃殿下に、我が国の状況を説明してくれたの。その結果、状況を知ったディステル王国の両陛下が、慌てて我が国に来てくださったという話なのだけれど…」
「ディステル王国の王妃殿下の話では、ミリアム殿下自らグランズ王国に出向き、涙なら我に“親友のキャリーヌを助けて欲しい”そう訴えたそうよ。ミリアム殿下は、あまり感情を出さない方らしいのに、キャリーヌ為にそこまでして下さるだなんてね。本当にキャリーヌは、素敵な友人に恵まれたわね。だから、ミリアム殿下には返しきれない程の恩があるのよ」
私の為に、そんな事まで…でも、どうして黙っていたのかしら?サミュエル様も、何にも言っていなかったし…
よく考えてみれば、2週間ほどお兄様がいるグランズ王国に行っていた時があった。あの後しばらくして、我が国の情勢が落ち着いた。きっとあの時に、ミリアム様は義理のお姉様でもある、女王陛下にお願いに行っていたのだわ。
そうとも知らずに私は…
「ミリアム様が…私の為にそこまでして下さっていただなんて…私はいつも、ミリアム様に助けられてばかりで…私、ミリアム様の為に、なに1つしてあげられていないのに」
初めて貴族学院に行った時、令嬢たちに無視されていた私と友達になってくれたミリアム様。あの日から私の傍にずっといてくれただけでなく、私が自国に帰れる様に陰で動いて下さっていただなんて。
サミュエル様と気持ちが通じ合ったのも、ミリアム様のお陰だ。私がカリアン王国で幸せに暮らせたのも、サミュエル様と一緒にアラステ王国に帰国出来たのも、こうやって家族と再会できたのも、全てミリアム様が動いていてくれたから…
「キャリーヌ、泣かないで。アリーナの話では、ミリアム殿下は元々自分の感情をうまく表現する事が苦手で、ずっと独りぼっちだったそうね。そんな彼女を救ったのが、キャリーヌだと聞いたわ。だからあなたがミリアム殿下の為に、なに1つしてあげられていないというのは、違うのではないかしら?」
「そうよ、キャリーヌちゃん。きっとミリアム殿下も、キャリーヌちゃんが大切だから、キャリーヌちゃんに幸せになって欲しいから、そう心から願っての行動だと思うの。キャリーヌちゃんだって、ミリアム殿下が幸せになってくれるなら、何だってするでしょう?」
「ええ、もちろんですわ。私はミリアム様が笑っていてくれるなら、私も嬉しいですから」
「ミリアム殿下も、同じ気持ちだったのよ。キャリーヌちゃんが笑っていてくれるなら、幸せでいてくれるならと思って行動したのよ。もしかしたら、皆がミリアム殿下の行動をキャリーヌちゃんに黙っていたのも、ミリアム殿下が口止めしていたのかもしれないわね。キャリーヌちゃんに、余計な気を遣わせない様に」
私に気を遣わせない様にか…ミリアム様なら、考えそうなことだ。
「キャリーヌ、よかったわね。そこまであなたを大切に思ってくれている親友が出来て。どこの国でも、貴族社会は損得で動く世界よ。だからこそ、ミリアム殿下の様な存在は、あなたにとって最大の財産になるわ。これからもミリアム殿下を、大切にしなさいね」
「ええ、もちろんですわ。私、カリアン王国に行って、ミリアム様に出会えた事、本当に幸せに思いますわ。ミリアム様に心配を掛けない様に、これから目いっぱい幸せになります。その為にも、もっと頑張らないと」
「そうね、あなたが幸せになる事が、ミリアム殿下への恩返しにもなるのよ。ただ、今まで散々頑張って来たから、あまり頑張らなくてもいいわ。それにあの男…」
「お義母様!とにかくキャリーヌちゃんは、しばらくは公爵家でのんびり過ごせばいいからね。さあ、お茶にしましょう。カリアン王国の様子を色々と聞かせて」
ん?今お母様が何か言いかけたのを、お義姉様が止めたような…
お母様も口を押えていたし…
まあいいか。
それにしてもミリアム様ったら、陰で私の為に動いて下さっていただなんて…お母様の言う通り、ミリアム様の存在は、私にとって宝物以外何物でもない。これからもミリアム様との関係を、大切にしたい、そう改めて思った。
そしてその後は女3人、時間が許す限り話に花を咲かせたのだった。
「あら、そんなに急いで戻って来なくてもよかったのよ。それよりも、ミリアム様と言うのは、カリアン王国の第一王女、ミリアム殿下の事よね?通信機で繋がっているだなんて、よほど仲良しなのね」
「キャリーヌちゃんは、カリアン王国でかけがえのない大切な友人が出来たのね。彼女のお陰で、この国も救われたのですもの。本当にミリアム殿下には、感謝してもしきれないわ」
えっ?今お義姉様、なんて言ったの?ミリアム様のお陰で、国が救われた?
「本当よね、彼女がキャリーヌの為に、あそこまでして下さるだなんて…きっと素敵な王女殿下なのでしょうね。私もぜひ会って、お礼が言いたいわ。キャリーヌは今まで、ずっと自分の事は二の次だったもの。あんな形ではあったけれど、キャリーヌにとってカリアン王国で生活出来た事は、ある意味よかったのかもしれないわね」
ちょっと待って!お母様まで一体何を言っているの?
「あの…お2人のおっしゃっている意味が、全く分からないのですが…ミリアム様が一体、何をなされたというのですか?」
心底びっくりして、2人の顔を交互に見た。なぜか2人も、目を見開いて固まっている。
「あなた、もしかして何も聞いていないの?ミリアム殿下のお陰で、ラミア王女が帰国したことを…」
「ラミア王女が帰国したのは、ディステル王国の両陛下が現状を知って、迎えにいらしたからでしょう?その件とミリアム様が、何の関係があるというのですか?」
全く理解できない。一体何があったというの?
「キャリーヌちゃんは、本当に何も知らないの?ミリアム殿下が、義姉でもあるグランズ王国の女王陛下に当時アラステ王国で起こっている出来事を、すべて話してくださったのよ。それでグランズ王国の女王陛下が、すぐにディステル王国の王妃殿下に、我が国の状況を説明してくれたの。その結果、状況を知ったディステル王国の両陛下が、慌てて我が国に来てくださったという話なのだけれど…」
「ディステル王国の王妃殿下の話では、ミリアム殿下自らグランズ王国に出向き、涙なら我に“親友のキャリーヌを助けて欲しい”そう訴えたそうよ。ミリアム殿下は、あまり感情を出さない方らしいのに、キャリーヌ為にそこまでして下さるだなんてね。本当にキャリーヌは、素敵な友人に恵まれたわね。だから、ミリアム殿下には返しきれない程の恩があるのよ」
私の為に、そんな事まで…でも、どうして黙っていたのかしら?サミュエル様も、何にも言っていなかったし…
よく考えてみれば、2週間ほどお兄様がいるグランズ王国に行っていた時があった。あの後しばらくして、我が国の情勢が落ち着いた。きっとあの時に、ミリアム様は義理のお姉様でもある、女王陛下にお願いに行っていたのだわ。
そうとも知らずに私は…
「ミリアム様が…私の為にそこまでして下さっていただなんて…私はいつも、ミリアム様に助けられてばかりで…私、ミリアム様の為に、なに1つしてあげられていないのに」
初めて貴族学院に行った時、令嬢たちに無視されていた私と友達になってくれたミリアム様。あの日から私の傍にずっといてくれただけでなく、私が自国に帰れる様に陰で動いて下さっていただなんて。
サミュエル様と気持ちが通じ合ったのも、ミリアム様のお陰だ。私がカリアン王国で幸せに暮らせたのも、サミュエル様と一緒にアラステ王国に帰国出来たのも、こうやって家族と再会できたのも、全てミリアム様が動いていてくれたから…
「キャリーヌ、泣かないで。アリーナの話では、ミリアム殿下は元々自分の感情をうまく表現する事が苦手で、ずっと独りぼっちだったそうね。そんな彼女を救ったのが、キャリーヌだと聞いたわ。だからあなたがミリアム殿下の為に、なに1つしてあげられていないというのは、違うのではないかしら?」
「そうよ、キャリーヌちゃん。きっとミリアム殿下も、キャリーヌちゃんが大切だから、キャリーヌちゃんに幸せになって欲しいから、そう心から願っての行動だと思うの。キャリーヌちゃんだって、ミリアム殿下が幸せになってくれるなら、何だってするでしょう?」
「ええ、もちろんですわ。私はミリアム様が笑っていてくれるなら、私も嬉しいですから」
「ミリアム殿下も、同じ気持ちだったのよ。キャリーヌちゃんが笑っていてくれるなら、幸せでいてくれるならと思って行動したのよ。もしかしたら、皆がミリアム殿下の行動をキャリーヌちゃんに黙っていたのも、ミリアム殿下が口止めしていたのかもしれないわね。キャリーヌちゃんに、余計な気を遣わせない様に」
私に気を遣わせない様にか…ミリアム様なら、考えそうなことだ。
「キャリーヌ、よかったわね。そこまであなたを大切に思ってくれている親友が出来て。どこの国でも、貴族社会は損得で動く世界よ。だからこそ、ミリアム殿下の様な存在は、あなたにとって最大の財産になるわ。これからもミリアム殿下を、大切にしなさいね」
「ええ、もちろんですわ。私、カリアン王国に行って、ミリアム様に出会えた事、本当に幸せに思いますわ。ミリアム様に心配を掛けない様に、これから目いっぱい幸せになります。その為にも、もっと頑張らないと」
「そうね、あなたが幸せになる事が、ミリアム殿下への恩返しにもなるのよ。ただ、今まで散々頑張って来たから、あまり頑張らなくてもいいわ。それにあの男…」
「お義母様!とにかくキャリーヌちゃんは、しばらくは公爵家でのんびり過ごせばいいからね。さあ、お茶にしましょう。カリアン王国の様子を色々と聞かせて」
ん?今お母様が何か言いかけたのを、お義姉様が止めたような…
お母様も口を押えていたし…
まあいいか。
それにしてもミリアム様ったら、陰で私の為に動いて下さっていただなんて…お母様の言う通り、ミリアム様の存在は、私にとって宝物以外何物でもない。これからもミリアム様との関係を、大切にしたい、そう改めて思った。
そしてその後は女3人、時間が許す限り話に花を咲かせたのだった。
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