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第51話:一生忘れない思い出になりました
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「立派な海ですね。海面が太陽の光に反射して、キラキラしていますわ。それにさっき通って来た森も、とても立派ですし」
「ここは王都から比較的近いリゾート地として、貴族の間での人気が高いのよ。海の幸、山の幸はもちろん、温暖な気候を利用して、果物の生産にも力を入れているの。リゾート地だから、お店も沢山あるのよ」
「そうなのですね。なんて素敵な街なのでしょう。増々楽しみになってきましたわ」
リゾート地とあって、貴族たちが利用しそうなお店やホテルなどが立ち並んでいる。カリアン王国にこんな素敵な街があっただなんて、知らなかったわ。
しばらくすると、馬車が停まった。どうやら港の様だ。
「あまり時間もないし、早速行きましょう。まずは船の旅でもしましょう」
目の前には、立派な船が待機していた。早速船に乗り込む。
「キャリーヌ、船は初めて?」
「ええ、初めてですわ」
「それなら、これを飲んでおいた方がいいわね。万が一船酔いを起こすと大変だから」
ミリアム様が、ハーブの香りがする飲み物を渡してきたのだ。よくわからないが、美味しく頂いた。
そしていよいよ、船が動き出した。
「ミリアム様、見て下さい。カモメの群れが寄ってきましたわ。可愛いですわね」
「キャリーヌ、あそこに魚がいるわよ。もう少し奥のほうまで行くと、イルカの群れやクジラも見られるかもしれないそうよ」
「それは本当ですか?私、海の生き物たちを見たことがないので、楽しみですわ」
まさか海の生き物を見られる日が来るだなんて、アラステ王国にいた頃は想像もできなかったわ。
「ミリアム殿下、キャリーヌ様、あちらがイルカの群れです」
使用人が指さす方向には、沢山のイルカたちが、元気にジャンプをしていたのだ。
「あれがイルカなのですね。なんて大きいのでしょう!それに凄いジャンプ力だわ。ミリアム様、凄いですわ。あんな生き物が、海の中にはいるのですね!」
「落ち着いて、キャリーヌ。あそこには魚の群れがいるわよ。あら?あの大きい生き物は、何かしら?」
ミリアム様の指さす方向には、見たこともないほど大きな生き物の姿が。あんな大きな生き物が、海の中にいるだなんて…
「あれはクジラですね。私達でもなかなか見る事が出来ないのですよ。お2人は幸運ですな」
そう教えてくれたのは、船員の方だ。あれがクジラなのね。なんて立派な姿をしているのかしら?
あまりの迫力に、ミリアム様と手を取り合い、ただクジラを見つめた。
「ミリアム殿下、キャリーヌ様、お食事の準備が整いました」
どうやらこの船で食事をする様だ。まさか船で食事が出来るだなんて。それも海が見渡せる場所に、豪華な食事が準備されている。もちろん、どれも新鮮なお魚の料理だ。
「すごいご馳走ですね。こんなにたくさんの魚料理、見たことがありませんわ。それに味も格別に美味しいです。魚料理が、こんなに美味しいだなんて」
「ここのお魚は新鮮だからね。それにきっと、真っ青な海を見ながら食べているから、余計に美味しく感じるのね。本当に素敵な海だ事。実は私、この地には初めて来たの。私はほとんど王都から出たことがなくてね。だから今日、キャリーヌと初めてこの場所に来られた事、本当に嬉しく思うわ。キャリーヌ、私に色々な世界を教えてくれて、ありがとう」
「お礼を言うのは、私の方ですわ。ミリアム様と出会って、本当に幸せな日々でした。今日もこんな素敵な場所に連れて来てくださって、本当にありがとうございます!私、幸せでたまりませんわ」
ミリアム様がいてくれたから、カリアン王国でも楽しく過ごすことが出来た。彼女のお陰で、サミュエル様とも心が通じ合った。本当にミリアム様は、女神様の様な方なのだ。
「キャリーヌが幸せなら、私も幸せよ」
そう言って少し悲しそうに笑ったのだ。その顔が、なんだか胸に突き刺さる。
「せっかくのお料理が冷めてしまうね。頂きましょう。後で生魚も食べさせてくれるのですって。楽しみね」
私の表情に気が付いたのか、すぐにいつものミリアム様に戻った。その後は初めて食べる生魚の美味しさに感動したり、ゆっくり船の旅を楽しみながら過ごした。
「ミリアム様、船の旅は本当に楽しかったですわ。ありがとうございます。そろそろ日が落ちかけてきましたので、帰りますか?」
目いっぱい船の旅を楽しんだ私たち、既に日が沈みかけている。
「その前に、どうしてもキャリーヌに見せたいものがあるの。少し付き合ってくれるかしら?」
「ええ、もちろんですわ」
2人で馬車に乗り込む。向った先は、丘の上だ。こんな場所に、何があるのかしら?よくわからないが、ミリアム様に続いて馬車から降りた。
「見て、キャリーヌ。とても綺麗でしょう?」
ミリアム様の指さす方を見ると、そこには夕日に照らされ真っ赤に染まった海が広がっていたのだ。
「本当ですわ、なんて綺麗なのかしら?」
さっきまで真っ青だった海が、今度は真っ赤に染まっている。なんて幻想的な風景なのだろう。
「カイロ様から話を聞いて、ぜひキャリーヌと一緒に来たいと思ったの。話には聞いていたけれど、こんなに綺麗だなんてね。最後にキャリーヌと一緒に、この景色を見られてよかったわ。キャリーヌ、今日は来てくれてありがとう。あなたとこの場所に来られて、本当によかったわ」
そう言って笑ったミリアム様。
「私の方こそ、この地に連れてきてくださり、ありがとうございました。最高の思い出が出来ましたわ」
最後にミリアム様とこの地に来られて、本当によかった。今日は忘れられない1日になった事は、言うまでもない。
「ここは王都から比較的近いリゾート地として、貴族の間での人気が高いのよ。海の幸、山の幸はもちろん、温暖な気候を利用して、果物の生産にも力を入れているの。リゾート地だから、お店も沢山あるのよ」
「そうなのですね。なんて素敵な街なのでしょう。増々楽しみになってきましたわ」
リゾート地とあって、貴族たちが利用しそうなお店やホテルなどが立ち並んでいる。カリアン王国にこんな素敵な街があっただなんて、知らなかったわ。
しばらくすると、馬車が停まった。どうやら港の様だ。
「あまり時間もないし、早速行きましょう。まずは船の旅でもしましょう」
目の前には、立派な船が待機していた。早速船に乗り込む。
「キャリーヌ、船は初めて?」
「ええ、初めてですわ」
「それなら、これを飲んでおいた方がいいわね。万が一船酔いを起こすと大変だから」
ミリアム様が、ハーブの香りがする飲み物を渡してきたのだ。よくわからないが、美味しく頂いた。
そしていよいよ、船が動き出した。
「ミリアム様、見て下さい。カモメの群れが寄ってきましたわ。可愛いですわね」
「キャリーヌ、あそこに魚がいるわよ。もう少し奥のほうまで行くと、イルカの群れやクジラも見られるかもしれないそうよ」
「それは本当ですか?私、海の生き物たちを見たことがないので、楽しみですわ」
まさか海の生き物を見られる日が来るだなんて、アラステ王国にいた頃は想像もできなかったわ。
「ミリアム殿下、キャリーヌ様、あちらがイルカの群れです」
使用人が指さす方向には、沢山のイルカたちが、元気にジャンプをしていたのだ。
「あれがイルカなのですね。なんて大きいのでしょう!それに凄いジャンプ力だわ。ミリアム様、凄いですわ。あんな生き物が、海の中にはいるのですね!」
「落ち着いて、キャリーヌ。あそこには魚の群れがいるわよ。あら?あの大きい生き物は、何かしら?」
ミリアム様の指さす方向には、見たこともないほど大きな生き物の姿が。あんな大きな生き物が、海の中にいるだなんて…
「あれはクジラですね。私達でもなかなか見る事が出来ないのですよ。お2人は幸運ですな」
そう教えてくれたのは、船員の方だ。あれがクジラなのね。なんて立派な姿をしているのかしら?
あまりの迫力に、ミリアム様と手を取り合い、ただクジラを見つめた。
「ミリアム殿下、キャリーヌ様、お食事の準備が整いました」
どうやらこの船で食事をする様だ。まさか船で食事が出来るだなんて。それも海が見渡せる場所に、豪華な食事が準備されている。もちろん、どれも新鮮なお魚の料理だ。
「すごいご馳走ですね。こんなにたくさんの魚料理、見たことがありませんわ。それに味も格別に美味しいです。魚料理が、こんなに美味しいだなんて」
「ここのお魚は新鮮だからね。それにきっと、真っ青な海を見ながら食べているから、余計に美味しく感じるのね。本当に素敵な海だ事。実は私、この地には初めて来たの。私はほとんど王都から出たことがなくてね。だから今日、キャリーヌと初めてこの場所に来られた事、本当に嬉しく思うわ。キャリーヌ、私に色々な世界を教えてくれて、ありがとう」
「お礼を言うのは、私の方ですわ。ミリアム様と出会って、本当に幸せな日々でした。今日もこんな素敵な場所に連れて来てくださって、本当にありがとうございます!私、幸せでたまりませんわ」
ミリアム様がいてくれたから、カリアン王国でも楽しく過ごすことが出来た。彼女のお陰で、サミュエル様とも心が通じ合った。本当にミリアム様は、女神様の様な方なのだ。
「キャリーヌが幸せなら、私も幸せよ」
そう言って少し悲しそうに笑ったのだ。その顔が、なんだか胸に突き刺さる。
「せっかくのお料理が冷めてしまうね。頂きましょう。後で生魚も食べさせてくれるのですって。楽しみね」
私の表情に気が付いたのか、すぐにいつものミリアム様に戻った。その後は初めて食べる生魚の美味しさに感動したり、ゆっくり船の旅を楽しみながら過ごした。
「ミリアム様、船の旅は本当に楽しかったですわ。ありがとうございます。そろそろ日が落ちかけてきましたので、帰りますか?」
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「その前に、どうしてもキャリーヌに見せたいものがあるの。少し付き合ってくれるかしら?」
「ええ、もちろんですわ」
2人で馬車に乗り込む。向った先は、丘の上だ。こんな場所に、何があるのかしら?よくわからないが、ミリアム様に続いて馬車から降りた。
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そう言って笑ったミリアム様。
「私の方こそ、この地に連れてきてくださり、ありがとうございました。最高の思い出が出来ましたわ」
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