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第49話:沢山の人に見守られていた様です
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「キャリーヌ、今回の件だけれど、サミュエル殿下やミリアム殿下、王太子殿下夫妻にまで多大なるご迷惑をおかけしたことは、しっかり反省しなさいよ!」
帰りの馬車の中、お姉様からお叱りを受けた。ごもっともすぎて、何も反論できない。
「まあまあ、キャリーヌはアラステ王国で随分辛い思いをしたのだから、慎重になるのは当然だろう。それに、別に皆、迷惑だとは思っていないのじゃないかな?キャリーヌはミリアム殿下の恩人だからね。あれくらいしても、罰は当たらないよ」
「もう、あなたはすぐにキャリーヌを甘やかすのだから」
私を庇ってくれたお義兄様にまで、火の粉が飛んでしまった。本当に申し訳ない。
「お姉様の言う通り、私が愚かだったのですわ。ミリアム様にはこれでもかというくらい、迷惑をかけたし…これからどうやって恩返しをしていけばいいのでしょう」
今回、ミリアム様から受けた恩は相当なものだ。きっとミリアム様なら、そんな事は気にしなくてもいいと言いそうだが…
「そんなの、これまで通りミリアム殿下と仲良くして行けばいいだけじゃない。友人同士で恩を返さなきゃ!なんていう発想がおかしいのよ。キャリーヌだって大切な人が困っていたら、見返りなんて気にせずに、手を差し伸べるでしょう?それと一緒よ」
確かにもしミリアム様が困っていたら、迷わず手を差し伸べるだろう。
「あなたは8歳から、同じ年の子とほとんど触れ合えず、ずっと狭い王宮で勉強をさせられたり、慈善活動として街に出ていたから、人との付き合い方がよくわからないのでしょうね。キャリーヌにとっては、こうやって他国に来て色々と人間関係が学べたことは、よかったのかもしれないわ」
確かに私は、母国には友人と呼べるような人はいなかった。次期王妃という事もあり、令嬢たちも一線を引いて私に接していた。ある意味私は、人との付き合い方や相手の気持ちを考える事が、上手く出来ていなかったのかもしれない。
自分の気持ちを優先し、間違った方向に暴走してしまったりしたし…私もまだまだ未熟者という事なのだろう。
「とにかく、1ヶ月半後にはアラステ王国に帰るのだから、目いっぱい思い出を作るといいわ」
そう言ってお姉様がほほ笑んだ。隣でお義兄様もほほ笑んでいる。
「はい、めいっぱいカリアン王国を楽しみますわ」
せっかく出来た大切な友人たちと一緒に、沢山思い出を作りたい。それに、私のせいで全くカリアン王国を楽しめなかったであろうサミュエル様にも、カリアン王国の素晴らしさを沢山伝えたい。もちろん、ミリアム様との思い出も。
後1ヶ月半、目いっぱい楽しまないと!
翌日、いつもの様に制服に着替え、馬車に乗り込んだ。なんだか今日は、気持ちが晴れやかだ。ここ最近、ずっと気持ちが重かったのだが、一気に解消されたお陰だろう。
学院に着くと、サミュエル様が待っていてくれた。
「サミュエル様、おはようございます。あの…今日からよろしくお願いします」
「おはよう、キャリーヌ。こちらこそよろしくね。さあ、一緒に教室に行こう」
2人で手を繋いで、一緒に教室へと向かった。急に私たちが手を繋いで教室に入ったら、皆びっくりするかしら?そう思っていたのだが…
「「「おめでとうございます、サミュエル殿下、キャリーヌ様(嬢)」」」
教室に入った瞬間、なぜかクラスメイト達から祝福されたのだ。
「皆様…どうして?」
「さっきミリアム様から聞きましたの。本当によかったですわ。お2人とも思い合っているのに、中々結ばれないから冷や冷やしていましたのよ」
「本当ですわ。キャリーヌ様が少しでも嫉妬して自分の気持ちに正直になって下さるようにと、あえてサミュエル殿下と関わったりしていたのに。キャリーヌ様ったら、悲しそうな顔をするだけで、ちっとも素直になって下さらないのですもの」
「ここまで思い合っている2人が、どうしてこうも結ばれないのか、俺たちもヤキモキしていたんだよ。でも、結ばれて本当によかったな」
「今日ミリアム殿下から話を聞いた時、クラス中から歓喜の声が上がったんだぜ。2人が結ばれて、本当によかったよ」
まさかクラスの皆が、私たちの事を見守ってくれていただなんて…それじゃあ、サミュエル様に絡んでいたのも、演技だったって事?私の為に、皆密かに動いてくれていたってこと?
「皆様、ありがとうございます…私の為に…」
嬉しくて涙が溢れだす。私はいつの間にか、こんなにも素敵なクラスメイト達に見守られていたのだ。そう思ったら、涙が止まらない。
「キャリーヌ様、泣かないで下さい。あなた様が最初、どんな思いでこの国にいらしたか知らずに、酷い態度を取ってしまってごめんなさい。それなのに、私達にも優しくださって。本当に嬉しかったのです」
「お優しいキャリーヌ様が幸せになれないだなんて、どうしても納得できなくて…お節介だとは思ったのですが…」
「とにかく、キャリーヌ様とサミュエル殿下が結ばれて、本当によかったですわ」
そう言いながら、一部の令嬢たちも涙を流してくれている。
「キャリーヌ、よかったね。君はこの国に来て、かけがえのない友人たちを手に入れた。それは何物にも代えられない君の宝物だ」
「ええ…そうですね。皆様、本当にありがとうございます。私の愚かさ故に、皆様にも多大なる心配をおかけした事、心よりお詫び申し上げます。後1ヶ月半ですが、どうか仲良くしてください」
改めてクラスメイトに頭を下げた。残り少ない時間ではあるが、大切な友人たちと、沢山思い出を作ろう。改めてそう思ったのだった。
帰りの馬車の中、お姉様からお叱りを受けた。ごもっともすぎて、何も反論できない。
「まあまあ、キャリーヌはアラステ王国で随分辛い思いをしたのだから、慎重になるのは当然だろう。それに、別に皆、迷惑だとは思っていないのじゃないかな?キャリーヌはミリアム殿下の恩人だからね。あれくらいしても、罰は当たらないよ」
「もう、あなたはすぐにキャリーヌを甘やかすのだから」
私を庇ってくれたお義兄様にまで、火の粉が飛んでしまった。本当に申し訳ない。
「お姉様の言う通り、私が愚かだったのですわ。ミリアム様にはこれでもかというくらい、迷惑をかけたし…これからどうやって恩返しをしていけばいいのでしょう」
今回、ミリアム様から受けた恩は相当なものだ。きっとミリアム様なら、そんな事は気にしなくてもいいと言いそうだが…
「そんなの、これまで通りミリアム殿下と仲良くして行けばいいだけじゃない。友人同士で恩を返さなきゃ!なんていう発想がおかしいのよ。キャリーヌだって大切な人が困っていたら、見返りなんて気にせずに、手を差し伸べるでしょう?それと一緒よ」
確かにもしミリアム様が困っていたら、迷わず手を差し伸べるだろう。
「あなたは8歳から、同じ年の子とほとんど触れ合えず、ずっと狭い王宮で勉強をさせられたり、慈善活動として街に出ていたから、人との付き合い方がよくわからないのでしょうね。キャリーヌにとっては、こうやって他国に来て色々と人間関係が学べたことは、よかったのかもしれないわ」
確かに私は、母国には友人と呼べるような人はいなかった。次期王妃という事もあり、令嬢たちも一線を引いて私に接していた。ある意味私は、人との付き合い方や相手の気持ちを考える事が、上手く出来ていなかったのかもしれない。
自分の気持ちを優先し、間違った方向に暴走してしまったりしたし…私もまだまだ未熟者という事なのだろう。
「とにかく、1ヶ月半後にはアラステ王国に帰るのだから、目いっぱい思い出を作るといいわ」
そう言ってお姉様がほほ笑んだ。隣でお義兄様もほほ笑んでいる。
「はい、めいっぱいカリアン王国を楽しみますわ」
せっかく出来た大切な友人たちと一緒に、沢山思い出を作りたい。それに、私のせいで全くカリアン王国を楽しめなかったであろうサミュエル様にも、カリアン王国の素晴らしさを沢山伝えたい。もちろん、ミリアム様との思い出も。
後1ヶ月半、目いっぱい楽しまないと!
翌日、いつもの様に制服に着替え、馬車に乗り込んだ。なんだか今日は、気持ちが晴れやかだ。ここ最近、ずっと気持ちが重かったのだが、一気に解消されたお陰だろう。
学院に着くと、サミュエル様が待っていてくれた。
「サミュエル様、おはようございます。あの…今日からよろしくお願いします」
「おはよう、キャリーヌ。こちらこそよろしくね。さあ、一緒に教室に行こう」
2人で手を繋いで、一緒に教室へと向かった。急に私たちが手を繋いで教室に入ったら、皆びっくりするかしら?そう思っていたのだが…
「「「おめでとうございます、サミュエル殿下、キャリーヌ様(嬢)」」」
教室に入った瞬間、なぜかクラスメイト達から祝福されたのだ。
「皆様…どうして?」
「さっきミリアム様から聞きましたの。本当によかったですわ。お2人とも思い合っているのに、中々結ばれないから冷や冷やしていましたのよ」
「本当ですわ。キャリーヌ様が少しでも嫉妬して自分の気持ちに正直になって下さるようにと、あえてサミュエル殿下と関わったりしていたのに。キャリーヌ様ったら、悲しそうな顔をするだけで、ちっとも素直になって下さらないのですもの」
「ここまで思い合っている2人が、どうしてこうも結ばれないのか、俺たちもヤキモキしていたんだよ。でも、結ばれて本当によかったな」
「今日ミリアム殿下から話を聞いた時、クラス中から歓喜の声が上がったんだぜ。2人が結ばれて、本当によかったよ」
まさかクラスの皆が、私たちの事を見守ってくれていただなんて…それじゃあ、サミュエル様に絡んでいたのも、演技だったって事?私の為に、皆密かに動いてくれていたってこと?
「皆様、ありがとうございます…私の為に…」
嬉しくて涙が溢れだす。私はいつの間にか、こんなにも素敵なクラスメイト達に見守られていたのだ。そう思ったら、涙が止まらない。
「キャリーヌ様、泣かないで下さい。あなた様が最初、どんな思いでこの国にいらしたか知らずに、酷い態度を取ってしまってごめんなさい。それなのに、私達にも優しくださって。本当に嬉しかったのです」
「お優しいキャリーヌ様が幸せになれないだなんて、どうしても納得できなくて…お節介だとは思ったのですが…」
「とにかく、キャリーヌ様とサミュエル殿下が結ばれて、本当によかったですわ」
そう言いながら、一部の令嬢たちも涙を流してくれている。
「キャリーヌ、よかったね。君はこの国に来て、かけがえのない友人たちを手に入れた。それは何物にも代えられない君の宝物だ」
「ええ…そうですね。皆様、本当にありがとうございます。私の愚かさ故に、皆様にも多大なる心配をおかけした事、心よりお詫び申し上げます。後1ヶ月半ですが、どうか仲良くしてください」
改めてクラスメイトに頭を下げた。残り少ない時間ではあるが、大切な友人たちと、沢山思い出を作ろう。改めてそう思ったのだった。
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