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第46話:私は大バカです
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「善は急げね。今すぐサミュエル殿下のところに行って、話しを付けましょう。サミュエル殿下のお部屋はこっちよ。私が案内するわ」
「えっ…今からですか?でも…」
「今更何を戸惑っているのよ。明日にはサミュエル殿下は、アラステ王国に帰ってしまわれるのよ。今日話さないで、どうするのよ!」
確かにそうだけれど…アラステ王国に帰ると決めたサミュエル殿下に、今更やっぱり私もあなたが好きです!なんて言ったら、迷惑じゃないかしら?既に帰国も決めている様だし…私の我が儘のせいで、皆に迷惑を掛けたら…
「キャリーヌ、もしかして今更皆に迷惑をかけるのでは…なんて心配をしているのではないわよね。お兄様もお義姉様も、出来ればサミュエル殿下には後1ヶ月半この国にいてもらって、キャリーヌと共に帰国して欲しいと思っているわ。今あなたが考えなければいけない事は、サミュエル殿下との未来の事だけよ!わかったら行くわよ」
ミリアム様の言葉が、胸にしみる。彼女がどれほど私の事を大切に思ってくれていたのか、今更気付くだなんて。ミリアム様の為にも、これ以上ウジウジ言っている訳にはいかない。
意を決して、ミリアム様についていく。そして…
「ここがサミュエル殿下のお部屋よ。今サミュエル殿下に話しを通しているから、少し待っていて」
この扉の向こうに、サミュエル殿下が…そう思ったら、なんだか緊張してきた。そして、ゆっくり扉が開いたかと思うと、そこにはサミュエル殿下の姿が。
「キャリーヌ、来てくれたのだね。中に入って」
相変わらず笑顔で対応してくれるサミュエル殿下。でも、よく見ると少しやつれている様な気がする。私のせいで、サミュエル殿下が…
つい弱気になってしまうのは、私の悪い癖だ。
“今のキャリーヌなら大丈夫よ!気持ちを素直に伝えるのよ”
ミリアム様が耳元でささやくと、そっと私の背中を押したのだ。優しい眼差しで見つめるミリアム様を見たら、なんだか勇気が湧いて来た。
「それでは、失礼いたします」
サミュエル殿下のお部屋に入ると、すぐにソファに案内された。そして私の好きだったお菓子と紅茶が準備される。
「このお菓子は…私が子供の頃好きだったお菓子ですね。懐かしいですわ」
懐かしいお菓子を見て、つい頬が緩む。サミュエル殿下は、いつもこうやって私が何をしたら喜ぶのか考えてくれている。それなのに私は…
もう逃げてばかりではいけない!真っすぐサミュエル殿下の方を向いた。
「あの…今まで酷い態度を取ってしまって、本当に申し訳ございませんでした。私の行いのせいで、サミュエル殿下は深く傷つき、国に帰る事を決めたのですよね?私、自分の事ばかり考えていなくて、本当にごめんなさい…」
溢れる涙を堪える事が出来ずに、その場で泣いてしまった。私ったら、どこまでダメな人間なのかしら?こんなところで泣いたら、サミュエル殿下に迷惑がかかるのに。それなのに、涙を止める事が出来ない。
そんな私の隣に座り、ハンカチで涙をぬぐってくれるサミュエル殿下。彼の優しさが、さらに私の涙を誘う。
「キャリーヌ、君が謝る事ではないよ。僕の方こそ、君の気持ちを無視してカリアン王国に勝手に留学して来てごめんね。兄上に裏切られ、傷ついた君を僕は結局傷つける形になってしまって、本当にすまなかった。僕たちはろくでもない兄弟だよ…」
「そんな!サミュエル殿下は、ジェイデン殿下とは全然違いますわ。私はずっとサミュエル殿下の心優しく、相手を思いやれる人柄に惹かれていたのです。今回だって、私をすぐに帰国させろと言う貴族たちを説得し、私に考える時間を与えて下さったではありませんか?それなのに私は…」
「いいや、結局は僕もキャリーヌと結婚したくて、この国に押しかけて来たのだから、兄上と変わらないよ…キャリーヌにしたら、いい迷惑だったよね。この国で平和に暮らしているのに、急に僕が来て…キャリーヌ、ごめんね。もう僕の事は気にしなくていいのだよ。アラステ王国の事は僕に任せて、君はカリアン王国で好きに暮らしたらいい。素敵な殿方を見つけて、この地でどうか幸せになってくれ」
今にも泣きそうな顔で、それでも必死に笑顔を作っているサミュエル殿下。私は彼にここまで言わせてしまうだなんて…本当に最低で大バカ者だわ。
ミリアム様の言う通り、どこまで私はサミュエル殿下を傷つけたら気が済むのだろう…大バカ者の私だけれど、さすがにどうするべきなのか、今ならわかる。
再びサミュエル殿下の方を、真っすぐ向いた。
「えっ…今からですか?でも…」
「今更何を戸惑っているのよ。明日にはサミュエル殿下は、アラステ王国に帰ってしまわれるのよ。今日話さないで、どうするのよ!」
確かにそうだけれど…アラステ王国に帰ると決めたサミュエル殿下に、今更やっぱり私もあなたが好きです!なんて言ったら、迷惑じゃないかしら?既に帰国も決めている様だし…私の我が儘のせいで、皆に迷惑を掛けたら…
「キャリーヌ、もしかして今更皆に迷惑をかけるのでは…なんて心配をしているのではないわよね。お兄様もお義姉様も、出来ればサミュエル殿下には後1ヶ月半この国にいてもらって、キャリーヌと共に帰国して欲しいと思っているわ。今あなたが考えなければいけない事は、サミュエル殿下との未来の事だけよ!わかったら行くわよ」
ミリアム様の言葉が、胸にしみる。彼女がどれほど私の事を大切に思ってくれていたのか、今更気付くだなんて。ミリアム様の為にも、これ以上ウジウジ言っている訳にはいかない。
意を決して、ミリアム様についていく。そして…
「ここがサミュエル殿下のお部屋よ。今サミュエル殿下に話しを通しているから、少し待っていて」
この扉の向こうに、サミュエル殿下が…そう思ったら、なんだか緊張してきた。そして、ゆっくり扉が開いたかと思うと、そこにはサミュエル殿下の姿が。
「キャリーヌ、来てくれたのだね。中に入って」
相変わらず笑顔で対応してくれるサミュエル殿下。でも、よく見ると少しやつれている様な気がする。私のせいで、サミュエル殿下が…
つい弱気になってしまうのは、私の悪い癖だ。
“今のキャリーヌなら大丈夫よ!気持ちを素直に伝えるのよ”
ミリアム様が耳元でささやくと、そっと私の背中を押したのだ。優しい眼差しで見つめるミリアム様を見たら、なんだか勇気が湧いて来た。
「それでは、失礼いたします」
サミュエル殿下のお部屋に入ると、すぐにソファに案内された。そして私の好きだったお菓子と紅茶が準備される。
「このお菓子は…私が子供の頃好きだったお菓子ですね。懐かしいですわ」
懐かしいお菓子を見て、つい頬が緩む。サミュエル殿下は、いつもこうやって私が何をしたら喜ぶのか考えてくれている。それなのに私は…
もう逃げてばかりではいけない!真っすぐサミュエル殿下の方を向いた。
「あの…今まで酷い態度を取ってしまって、本当に申し訳ございませんでした。私の行いのせいで、サミュエル殿下は深く傷つき、国に帰る事を決めたのですよね?私、自分の事ばかり考えていなくて、本当にごめんなさい…」
溢れる涙を堪える事が出来ずに、その場で泣いてしまった。私ったら、どこまでダメな人間なのかしら?こんなところで泣いたら、サミュエル殿下に迷惑がかかるのに。それなのに、涙を止める事が出来ない。
そんな私の隣に座り、ハンカチで涙をぬぐってくれるサミュエル殿下。彼の優しさが、さらに私の涙を誘う。
「キャリーヌ、君が謝る事ではないよ。僕の方こそ、君の気持ちを無視してカリアン王国に勝手に留学して来てごめんね。兄上に裏切られ、傷ついた君を僕は結局傷つける形になってしまって、本当にすまなかった。僕たちはろくでもない兄弟だよ…」
「そんな!サミュエル殿下は、ジェイデン殿下とは全然違いますわ。私はずっとサミュエル殿下の心優しく、相手を思いやれる人柄に惹かれていたのです。今回だって、私をすぐに帰国させろと言う貴族たちを説得し、私に考える時間を与えて下さったではありませんか?それなのに私は…」
「いいや、結局は僕もキャリーヌと結婚したくて、この国に押しかけて来たのだから、兄上と変わらないよ…キャリーヌにしたら、いい迷惑だったよね。この国で平和に暮らしているのに、急に僕が来て…キャリーヌ、ごめんね。もう僕の事は気にしなくていいのだよ。アラステ王国の事は僕に任せて、君はカリアン王国で好きに暮らしたらいい。素敵な殿方を見つけて、この地でどうか幸せになってくれ」
今にも泣きそうな顔で、それでも必死に笑顔を作っているサミュエル殿下。私は彼にここまで言わせてしまうだなんて…本当に最低で大バカ者だわ。
ミリアム様の言う通り、どこまで私はサミュエル殿下を傷つけたら気が済むのだろう…大バカ者の私だけれど、さすがにどうするべきなのか、今ならわかる。
再びサミュエル殿下の方を、真っすぐ向いた。
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