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第42話:サミュエル殿下はあの時と変わりません
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翌朝、いつもの様に制服に着替え、馬車に乗り込んだ。昨日の夜、色々と考えすぎて中々眠る事が出来なかったから、少し眠い。
昨日お姉様から話を聞いて、サミュエル殿下は私の気持ちを大切にしてくれていると感じた。本来なら、さっさと私を帰国させて、自分の婚約者にすればいいだけだ。
それなのにサミュエル殿下は、他の貴族たちを説得してまで、留学すると決意してくださったのだ。
私は昔、彼を裏切り傷つけたのに…
サミュエル殿下が私の気持ちを優先してくれればくれるほど、あの時の罪悪感が増すのだ。サミュエル殿下が優しくしてくだされば下さるほど、心が痛い。
ただ、私の為にわざわざカリアン王国まで来てくださったのだから、きちんと話をしないといけないのは分かっている。なんだか気が重いな…
それに昨日あまり寝ていないせいか、少し頭が痛い。きっと色々と考えたからだろう。
なんだか気が重いが学院に着いてしまったため、馬車から降り教室へと向かった。
「おはようございます」
いつも通り、笑顔で挨拶をする。私はこれでも公爵令嬢だ、体調が悪い姿なんて、見せる訳にはいかない。
「おはようございます、キャリーヌ様」
「おはよう、キャリーヌ。今日はとても天気がいいわね。お昼は中庭で、皆で食べるのはどう?」
朝からミリアム様含め、令嬢たちが話しかけて来た。
「中庭でランチ、いいですわね。皆様さえよければ、そうしましょう」
まずいわ、なんだか頭痛が酷くなっている気がする。それでも笑顔で答える。
「おはよう、キャリーヌ。あれ?なんだか体調が悪そうだね。大丈夫かい?」
私達の輪に入って来たのは、サミュエル殿下だ。どうして私の体調が悪いという事が、分かったのかしら?でも、ここはごまかさないと!
「おはようございます、サミュエル殿下。私は元気ですわよ」
オホホホホ、と言わんばかりに、笑顔を作る。
「いいや、そんな事はないよ。キャリーヌは体調が悪くなると、うっすらと青筋が出るんだ。今青筋が出ているだろう?とにかく医務室に向かおう」
なんと!私は体調が悪くなると、青筋が出るですって?そんな事、私ですら知らなかったわ。彼の発言に驚いているうちに、私の手を握り歩き出したサミュエル殿下。
まずいわ、増々頭が痛くなってきた…
「確か医務室はこっちだったよね?て、キャリーヌ、大丈夫かい?」
何を思ったのか、私を抱きかかえたのだ。
「サミュエル殿下、私は大丈夫ですわ。ですから…」
「そんな真っ青な顔をして“大丈夫”と言われても、説得力がないよ。とにかく、今はジッとして。確か医務室は…あった、あそこだ」
サミュエル殿下が、医務室へと入っていく。
「先生、キャリーヌの体調が悪い様で。すぐに見て下さい」
「あらあら。よほど体調が悪いのですね。さあ、ここに横になってください」
ちょっと、さすがに抱っこされて登場だなんて、恥ずかしすぎるわ。先生も笑っているじゃない。
ただ…7年半前と比べると、すっかり大きくなったサミュエル殿下。背も私より随分高くなったし、こんなに軽々しく私を抱きかかえられるだなんて…
体は随分大きくなったけれど、私の事をよく見ている姿は、あの頃と何にも変わっていない。子供の頃からずっと、私の事を気にかけ、私のちょっとした異変にも気が付いてくれていた。
「見たところどこも悪くはなさそうですけれど、とりあえずベッドで休んでいてください」
軽く診察を終え、そのままベッドに寝かされた。
「キャリーヌ、君、寝不足だったのだろう?昨日僕が急に留学してきたから、色々と考えていたのだろう。僕のせいで、ごめんね」
「どうして私が寝不足だってわかるのですか?サミュエル殿下は、昔からそうです。私の事を何でも知っていて。私達、7年半以上もほとんど会っていなかったのに…どうして…」
「僕はキャリーヌの事なら、何でもわかるよ。離れていた時間だって、君の事を忘れたことはないからね」
少し寂しそうに、サミュエル殿下が笑った。その顔を見た瞬間、胸がズキリと痛んだ。こんなにも私を大切にしてくれているサミュエル殿下を、私は…
「とにかく、ゆっくり休んで。それじゃあ、僕は教室に戻るよ」
そう言うと、医務室から出て行ったサミュエル殿下。昔からサミュエル殿下は、ずっと私に優しかった。今もあの頃と分からず、私の事を一番理解し、優しく接してくれる。
あんなにも優しくて素敵なサミュエル殿下を、私を裏切ったのだ。きっと私とジェイデン殿下が婚約を結んだと聞いた時、サミュエル殿下は相当なショックを受けただろう。
本来なら、もう二度と私の顔なんて見たくない!そう思っても不思議ではない。それなのに、どうしてあの頃と変わらず、優しくしてくれるのだろう…
サミュエル殿下の優しさが、私の胸に突き刺さる。私の様な人間が、このままサミュエル殿下と共に幸せになっていいの?サミュエル殿下には、もっと素敵な令嬢が似合うのではないの?
あんなにも素敵なサミュエル殿下を裏切った私ではなく、もっと他の令嬢の方が…
やっぱり私は、サミュエル殿下の気持ちを受け入れてはいけない。だって私は、それだけの事をしたのだから…
昨日お姉様から話を聞いて、サミュエル殿下は私の気持ちを大切にしてくれていると感じた。本来なら、さっさと私を帰国させて、自分の婚約者にすればいいだけだ。
それなのにサミュエル殿下は、他の貴族たちを説得してまで、留学すると決意してくださったのだ。
私は昔、彼を裏切り傷つけたのに…
サミュエル殿下が私の気持ちを優先してくれればくれるほど、あの時の罪悪感が増すのだ。サミュエル殿下が優しくしてくだされば下さるほど、心が痛い。
ただ、私の為にわざわざカリアン王国まで来てくださったのだから、きちんと話をしないといけないのは分かっている。なんだか気が重いな…
それに昨日あまり寝ていないせいか、少し頭が痛い。きっと色々と考えたからだろう。
なんだか気が重いが学院に着いてしまったため、馬車から降り教室へと向かった。
「おはようございます」
いつも通り、笑顔で挨拶をする。私はこれでも公爵令嬢だ、体調が悪い姿なんて、見せる訳にはいかない。
「おはようございます、キャリーヌ様」
「おはよう、キャリーヌ。今日はとても天気がいいわね。お昼は中庭で、皆で食べるのはどう?」
朝からミリアム様含め、令嬢たちが話しかけて来た。
「中庭でランチ、いいですわね。皆様さえよければ、そうしましょう」
まずいわ、なんだか頭痛が酷くなっている気がする。それでも笑顔で答える。
「おはよう、キャリーヌ。あれ?なんだか体調が悪そうだね。大丈夫かい?」
私達の輪に入って来たのは、サミュエル殿下だ。どうして私の体調が悪いという事が、分かったのかしら?でも、ここはごまかさないと!
「おはようございます、サミュエル殿下。私は元気ですわよ」
オホホホホ、と言わんばかりに、笑顔を作る。
「いいや、そんな事はないよ。キャリーヌは体調が悪くなると、うっすらと青筋が出るんだ。今青筋が出ているだろう?とにかく医務室に向かおう」
なんと!私は体調が悪くなると、青筋が出るですって?そんな事、私ですら知らなかったわ。彼の発言に驚いているうちに、私の手を握り歩き出したサミュエル殿下。
まずいわ、増々頭が痛くなってきた…
「確か医務室はこっちだったよね?て、キャリーヌ、大丈夫かい?」
何を思ったのか、私を抱きかかえたのだ。
「サミュエル殿下、私は大丈夫ですわ。ですから…」
「そんな真っ青な顔をして“大丈夫”と言われても、説得力がないよ。とにかく、今はジッとして。確か医務室は…あった、あそこだ」
サミュエル殿下が、医務室へと入っていく。
「先生、キャリーヌの体調が悪い様で。すぐに見て下さい」
「あらあら。よほど体調が悪いのですね。さあ、ここに横になってください」
ちょっと、さすがに抱っこされて登場だなんて、恥ずかしすぎるわ。先生も笑っているじゃない。
ただ…7年半前と比べると、すっかり大きくなったサミュエル殿下。背も私より随分高くなったし、こんなに軽々しく私を抱きかかえられるだなんて…
体は随分大きくなったけれど、私の事をよく見ている姿は、あの頃と何にも変わっていない。子供の頃からずっと、私の事を気にかけ、私のちょっとした異変にも気が付いてくれていた。
「見たところどこも悪くはなさそうですけれど、とりあえずベッドで休んでいてください」
軽く診察を終え、そのままベッドに寝かされた。
「キャリーヌ、君、寝不足だったのだろう?昨日僕が急に留学してきたから、色々と考えていたのだろう。僕のせいで、ごめんね」
「どうして私が寝不足だってわかるのですか?サミュエル殿下は、昔からそうです。私の事を何でも知っていて。私達、7年半以上もほとんど会っていなかったのに…どうして…」
「僕はキャリーヌの事なら、何でもわかるよ。離れていた時間だって、君の事を忘れたことはないからね」
少し寂しそうに、サミュエル殿下が笑った。その顔を見た瞬間、胸がズキリと痛んだ。こんなにも私を大切にしてくれているサミュエル殿下を、私は…
「とにかく、ゆっくり休んで。それじゃあ、僕は教室に戻るよ」
そう言うと、医務室から出て行ったサミュエル殿下。昔からサミュエル殿下は、ずっと私に優しかった。今もあの頃と分からず、私の事を一番理解し、優しく接してくれる。
あんなにも優しくて素敵なサミュエル殿下を、私を裏切ったのだ。きっと私とジェイデン殿下が婚約を結んだと聞いた時、サミュエル殿下は相当なショックを受けただろう。
本来なら、もう二度と私の顔なんて見たくない!そう思っても不思議ではない。それなのに、どうしてあの頃と変わらず、優しくしてくれるのだろう…
サミュエル殿下の優しさが、私の胸に突き刺さる。私の様な人間が、このままサミュエル殿下と共に幸せになっていいの?サミュエル殿下には、もっと素敵な令嬢が似合うのではないの?
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