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第28話:1人置いてきぼりをくらっています
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「キャリーヌ、本当に久しぶりだね。ずっとずっと君に会いたかったんだ。まずは兄上の件、謝らせてほしい。あの様な酷い仕打ちをキャリーヌにしてしまった事、本当に申し訳なく思っている。謝っても許される事ではない事は分かっているが、王族として謝罪させてくれ」
授業が終わると同時に、サミュエル殿下が頭を下げて謝罪されたのだ。
「サミュエル殿下、どうか頭をお上げください。ジェイデン殿下の件は、あなた様とは関係ないお話しですわ。それに今回、サミュエル殿下が私や私の家族を助けて下さったと、父からも聞いております。サミュエル殿下、私と家族を助けて下さり、ありがとうございました」
サミュエル殿下に頭を下げた。彼がいなかったら私は今頃どうなっていたか…私はサミュエル殿下を裏切ったのに、私を助けて下さった彼には感謝しかない。
「キャリーヌ、頭を上げてくれ。君がお礼を言う必要はないよ。君は兄上の件で深く傷つき、もう王族の顔なんて見たくもないだろう。君が次期王妃になるため、やりたい事も諦め、好きな物を好きなだけ食べる事も出来ず、毎日血のにじむ様な努力を重ねて来たことを、僕は知っている。君をずっと見て来たからね」
「サミュエル殿下?それは一体…」
ジェイデン殿下の婚約者に決まって以降、サミュエル殿下はほとんど私の前に姿を見せなくなった。私も何となく気まずくて、あえてサミュエル殿下と関わる事はしなかったのだが…
「いや、何でもないよ。それよりも、カリアン王国では沢山の友達が出来、沢山やりたい事をやって、楽しい時間を過ごしていると聞いたよ。キャリーヌは今まで散々我慢してきたのだから、カリアン王国での時間を出来る限り楽しんで欲しいと思っている。ただ…いや、この話しの続きは、2人きりの時にしよう。とにかく、今日からよろしくね、キャリーヌ」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします…あの、どうしてサミュエル殿下が、カリアン王国にいらしているのですか?あなた様は、アラステ王国の王太子殿下になる事が決まったのでしょう?カリアン王国にいらしている場合ではないのではありませんか?」
私が聞きたかったのは、どうしてサミュエル殿下がこの国に来ているかという事だ。確かに王位争いに決着はついた様だが、だからこそ今、自国でやらなければいけないことが沢山あるはず。
それなのに、このタイミングでカリアン王国にいらっしゃるだなんて…
「自国の事は、もう全て解決しているから大丈夫だよ。両親やマディスン公爵はじめ、貴族たちも僕がカリアン王国に留学する事に賛成してくれたし。ただ…僕は王太子としてやらなければいけないことが、山ほどあるからね。だから3ヶ月だけ、時間をもらったんだよ」
「時間をもらったとは、一体どういうことですか?どうしてカリアン王国に、留学する必要があるのですか?私にわかる様に、説明してください」
サミュエル殿下の言っている意味が、さっぱり分からないのだ。真っすぐサミュエル殿下を見つめた。すると、小さくため息をついたのだ。
そして
「2人きりの時に話そうと思っていたのだけれど…まあいいか。キャリーヌ、僕は君を迎えに来たのだよ。僕は子供の時からずっと、君が好きだった。キャリーヌが兄上と婚約したことで、一時は諦めようと思った。でも…どうしてもキャリーヌを諦める事が出来なかった。そんな中、愚かな兄上があのような事件を起こした。正直キャリーヌは、王族はもう懲り懲りかもしれない。でも、僕はやっぱり、キャリーヌが大好きだ。僕と共に、アラステ王国を支えて欲しいと考えている」
今、なんて言った?私を迎えに来たですって?サミュエル殿下は、今でも私の事が好き?
「サミュエル殿下、私はかつてあなた様を裏切り、ジェイデン殿下を選んだのです。ですから私は…」
「あの日、兄上を選んだことを気にしているのかい?そんな事は気にしなくてもいいよ。そもそも、あの時キャリーヌは、兄上を選ばない訳にはいかなかった事くらい、僕も理解しているよ」
「ですが…」
「キャリーヌ、もう過去の事は気にしないで欲しい。僕はね、やっとキャリーヌに自分の気持ちを目いっぱいぶつけられることが、嬉しくてたまらないんだ。これから3ヶ月、キャリーヌに振り向いてもらえる様に、目いっぱい頑張るつもりだから。そして3ヶ月後、僕と一緒にアラステ王国に戻ってもらえる様に。ただ、無理強いはしないから、もしどうしても僕との結婚が嫌だったら、このままカリアン王国にお世話になり続けてもいい。キャリーヌの気持ちを大切にしたいんだ」
再びサミュエル殿下が、にっこり微笑んだのだ。
サミュエル殿下がこの国に来たのは、私の為?サミュエル殿下が今も私の事を大切に思って下さっている?
一体どうなっているの?
授業が終わると同時に、サミュエル殿下が頭を下げて謝罪されたのだ。
「サミュエル殿下、どうか頭をお上げください。ジェイデン殿下の件は、あなた様とは関係ないお話しですわ。それに今回、サミュエル殿下が私や私の家族を助けて下さったと、父からも聞いております。サミュエル殿下、私と家族を助けて下さり、ありがとうございました」
サミュエル殿下に頭を下げた。彼がいなかったら私は今頃どうなっていたか…私はサミュエル殿下を裏切ったのに、私を助けて下さった彼には感謝しかない。
「キャリーヌ、頭を上げてくれ。君がお礼を言う必要はないよ。君は兄上の件で深く傷つき、もう王族の顔なんて見たくもないだろう。君が次期王妃になるため、やりたい事も諦め、好きな物を好きなだけ食べる事も出来ず、毎日血のにじむ様な努力を重ねて来たことを、僕は知っている。君をずっと見て来たからね」
「サミュエル殿下?それは一体…」
ジェイデン殿下の婚約者に決まって以降、サミュエル殿下はほとんど私の前に姿を見せなくなった。私も何となく気まずくて、あえてサミュエル殿下と関わる事はしなかったのだが…
「いや、何でもないよ。それよりも、カリアン王国では沢山の友達が出来、沢山やりたい事をやって、楽しい時間を過ごしていると聞いたよ。キャリーヌは今まで散々我慢してきたのだから、カリアン王国での時間を出来る限り楽しんで欲しいと思っている。ただ…いや、この話しの続きは、2人きりの時にしよう。とにかく、今日からよろしくね、キャリーヌ」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします…あの、どうしてサミュエル殿下が、カリアン王国にいらしているのですか?あなた様は、アラステ王国の王太子殿下になる事が決まったのでしょう?カリアン王国にいらしている場合ではないのではありませんか?」
私が聞きたかったのは、どうしてサミュエル殿下がこの国に来ているかという事だ。確かに王位争いに決着はついた様だが、だからこそ今、自国でやらなければいけないことが沢山あるはず。
それなのに、このタイミングでカリアン王国にいらっしゃるだなんて…
「自国の事は、もう全て解決しているから大丈夫だよ。両親やマディスン公爵はじめ、貴族たちも僕がカリアン王国に留学する事に賛成してくれたし。ただ…僕は王太子としてやらなければいけないことが、山ほどあるからね。だから3ヶ月だけ、時間をもらったんだよ」
「時間をもらったとは、一体どういうことですか?どうしてカリアン王国に、留学する必要があるのですか?私にわかる様に、説明してください」
サミュエル殿下の言っている意味が、さっぱり分からないのだ。真っすぐサミュエル殿下を見つめた。すると、小さくため息をついたのだ。
そして
「2人きりの時に話そうと思っていたのだけれど…まあいいか。キャリーヌ、僕は君を迎えに来たのだよ。僕は子供の時からずっと、君が好きだった。キャリーヌが兄上と婚約したことで、一時は諦めようと思った。でも…どうしてもキャリーヌを諦める事が出来なかった。そんな中、愚かな兄上があのような事件を起こした。正直キャリーヌは、王族はもう懲り懲りかもしれない。でも、僕はやっぱり、キャリーヌが大好きだ。僕と共に、アラステ王国を支えて欲しいと考えている」
今、なんて言った?私を迎えに来たですって?サミュエル殿下は、今でも私の事が好き?
「サミュエル殿下、私はかつてあなた様を裏切り、ジェイデン殿下を選んだのです。ですから私は…」
「あの日、兄上を選んだことを気にしているのかい?そんな事は気にしなくてもいいよ。そもそも、あの時キャリーヌは、兄上を選ばない訳にはいかなかった事くらい、僕も理解しているよ」
「ですが…」
「キャリーヌ、もう過去の事は気にしないで欲しい。僕はね、やっとキャリーヌに自分の気持ちを目いっぱいぶつけられることが、嬉しくてたまらないんだ。これから3ヶ月、キャリーヌに振り向いてもらえる様に、目いっぱい頑張るつもりだから。そして3ヶ月後、僕と一緒にアラステ王国に戻ってもらえる様に。ただ、無理強いはしないから、もしどうしても僕との結婚が嫌だったら、このままカリアン王国にお世話になり続けてもいい。キャリーヌの気持ちを大切にしたいんだ」
再びサミュエル殿下が、にっこり微笑んだのだ。
サミュエル殿下がこの国に来たのは、私の為?サミュエル殿下が今も私の事を大切に思って下さっている?
一体どうなっているの?
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