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第21話:キャリーヌの為に何が出来るの?~ミリアム視点~
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とはいえ、一体どうやって話を振ればいいのだろう。単刀直入に聞く?でも、キャリーヌにとって自国の話をするのは辛い事だろう。
だからと言って、このままではいけないわよね。
「ミリアム様、最近難しいお顔をされて、どうしたのですか?カイロ様との関係も、改善したのでしょう?」
私の様子が変な事に気が付いたのか、心配そうにキャリーヌが話しかけてきたのだ。この子、本当に私の事をよく見ているのね。
「何でもないわ。キャリーヌのお陰で、カイロ様との仲も順調よ。昨日も公爵家で夕食まで頂いて来たのよ。だから、あなたが心配するような事は何一つないわ」
て、私、なに自分が幸せですアピールをしているのかしら?感じ悪い子よね。またやってしまったわ。
「それならよかったですわ。ミリアム様が幸せだと、私も嬉しいです」
そう言ってほほ笑むキャリーヌ。
どこまで優しい子なのだろう。こんな優しい子が、自国に戻れずに寂しい思いをしているとしたら…
考えただけで、胸が締め付けられそうになる。
「キャリーヌ、私もね、あなたには幸せになって欲しいと思っているの。ねえ、キャリーヌ、あなたはどうしたいの?母国に帰りたい?」
真っすぐ彼女の目を見て問いかけた。
「私は…そうですね。母国には残してきた家族がおりますから。ただ、まだ国自体が混乱している様で…家族はもちろん、サミュエル殿下の身が心配で…私だけ呑気にこの国で暮していて、よいものなのかと考えてしまいますの」
ん?サミュエル殿下?
誰だったかしら?確かキャリーヌの元婚約者の王太子殿下の名前は、ジェイデン殿下だったわよね。そうするとサミュエル殿下と言うのは…
「サミュエル殿下は、第二王子の事?キャリーヌは、第二王子が心配なの?」
「いえ…その…サミュエル殿下は、私や家族を助けてくれた人ですし。それに私は、ジェイデン殿下を選んだのです。サミュエル殿下はずっと、私の事を大切に思って下さっていたのに…きっとサミュエル殿下は、私の事を恨んでいますわ。実際に私とジェイデン殿下が婚約して以降、私を避けておられましたし…」
キャリーヌが切なそうにそう呟いたのだ。
この子、もしかして…
「あなた、サミュエル殿下の事が好きなの?」
しまった、さすがにそんな踏み込んだことを、聞くべきではなかったわ。
「あの…別に話したくないなら…」
「サミュエル殿下を好きだなんて、そんな図々しい事は思っておりませんわ。でも…彼は私の初恋の人なのです」
頬を赤らませて、そう呟いたキャリーヌ。この子、きっとサミュエル殿下が好きなのね。ただ、キャリーヌは公爵令嬢、王太子でもあるジェイデン殿下がキャリーヌとの結婚を希望すれば、それに従う事しかなかったのだろう。
きっと自分の気持ちに蓋をし、キャリーヌなりにジェイデン殿下を愛してきた。それなのに、キャリーヌにあのような酷い仕打ちを!
ジェイデン殿下、許せないわ!
「少し暗い話をしてしまいましたね、ごめんなさい。私はミリアム様のお陰で今、とても充実した時間を過ごしておりますので、どうか私の事は気にしないで下さい」
気にするなと言われても…
やっぱりキャリーヌは、今も国に残してきた家族が心配でたまらないのだろう。そりゃそうだ、キャリーヌは誰よりも優しい子。きっと自分だけ安全な国にいるという事に、負い目に感じているに違いない。
いつも私に心配させない様にと笑顔で過ごしているが、きっと心では…
キャリーヌの切なそうな顔が忘れられない。
キャリーヌのお陰で、私は今の幸せがある。私もキャリーヌには幸せになってもらいたい。でも、他国の私に、何が出来るのだろうか…
王女と言っても名ばかりで、何の力もないのだ。大切なキャリーヌの為に、何も出来ないだなんて…情けなくて悔しくて、涙が込みあげてくる。
いいえ、私はこれでも一国の王女よ。何も出来ない事なんてないはずよ。ディステル王国のラミア王女さえ何とかすれば、状況も改善するのだろうけれど…
私がアラステ王国に行って、ラミア王女に文句を言うべき?ラミア王女はどんな女性なのかしら?まあ、婚約者がいる他国の王太子を誘惑するくらいだから、ろくでもない女なのだろう。
それでもまずは、ラミア王女について調べた方がよさそうね。
よし!
「すぐにディステル王国のラミア王女について調べて欲しいの。出来るだけ早くお願い」
私は専属執事に、ラミア王女についての調査を依頼したのだ。
調査を依頼してから1ヶ月後。
「殿下、こちらがラミア王女に関する書類です」
「ありがとう。すぐに目を通すわ」
早速調査報告書に目を通した。ラミア王女は非常に優秀なうえ、男性に取り入るのが上手い事から、貿易を一任されているらしい。持ち前の美しさを武器に、次々と自国が優位になる条件で貿易を結んでいる事から、他の王族からも一目置かれているとの事。
ただ…
非常に我が儘な性格をしており、彼女を人知れず嫌っている人物も多数いるとの事。過去に貿易相手国とトラブルになった事もあるが、自国にいる王族に情報が行かない様に、上手く手を回しているという情報もあるとの事。
「なるほど、厄介な女ね。きっと今回のトラブルも、ディステル王国の王族たちは知らないという訳ね。彼女はずっと他国を回っているから、しばらく国に帰らなくても、王族たちは不審がらないという訳か。それなら、何とか出来るかもしれないわ」
だからと言って、このままではいけないわよね。
「ミリアム様、最近難しいお顔をされて、どうしたのですか?カイロ様との関係も、改善したのでしょう?」
私の様子が変な事に気が付いたのか、心配そうにキャリーヌが話しかけてきたのだ。この子、本当に私の事をよく見ているのね。
「何でもないわ。キャリーヌのお陰で、カイロ様との仲も順調よ。昨日も公爵家で夕食まで頂いて来たのよ。だから、あなたが心配するような事は何一つないわ」
て、私、なに自分が幸せですアピールをしているのかしら?感じ悪い子よね。またやってしまったわ。
「それならよかったですわ。ミリアム様が幸せだと、私も嬉しいです」
そう言ってほほ笑むキャリーヌ。
どこまで優しい子なのだろう。こんな優しい子が、自国に戻れずに寂しい思いをしているとしたら…
考えただけで、胸が締め付けられそうになる。
「キャリーヌ、私もね、あなたには幸せになって欲しいと思っているの。ねえ、キャリーヌ、あなたはどうしたいの?母国に帰りたい?」
真っすぐ彼女の目を見て問いかけた。
「私は…そうですね。母国には残してきた家族がおりますから。ただ、まだ国自体が混乱している様で…家族はもちろん、サミュエル殿下の身が心配で…私だけ呑気にこの国で暮していて、よいものなのかと考えてしまいますの」
ん?サミュエル殿下?
誰だったかしら?確かキャリーヌの元婚約者の王太子殿下の名前は、ジェイデン殿下だったわよね。そうするとサミュエル殿下と言うのは…
「サミュエル殿下は、第二王子の事?キャリーヌは、第二王子が心配なの?」
「いえ…その…サミュエル殿下は、私や家族を助けてくれた人ですし。それに私は、ジェイデン殿下を選んだのです。サミュエル殿下はずっと、私の事を大切に思って下さっていたのに…きっとサミュエル殿下は、私の事を恨んでいますわ。実際に私とジェイデン殿下が婚約して以降、私を避けておられましたし…」
キャリーヌが切なそうにそう呟いたのだ。
この子、もしかして…
「あなた、サミュエル殿下の事が好きなの?」
しまった、さすがにそんな踏み込んだことを、聞くべきではなかったわ。
「あの…別に話したくないなら…」
「サミュエル殿下を好きだなんて、そんな図々しい事は思っておりませんわ。でも…彼は私の初恋の人なのです」
頬を赤らませて、そう呟いたキャリーヌ。この子、きっとサミュエル殿下が好きなのね。ただ、キャリーヌは公爵令嬢、王太子でもあるジェイデン殿下がキャリーヌとの結婚を希望すれば、それに従う事しかなかったのだろう。
きっと自分の気持ちに蓋をし、キャリーヌなりにジェイデン殿下を愛してきた。それなのに、キャリーヌにあのような酷い仕打ちを!
ジェイデン殿下、許せないわ!
「少し暗い話をしてしまいましたね、ごめんなさい。私はミリアム様のお陰で今、とても充実した時間を過ごしておりますので、どうか私の事は気にしないで下さい」
気にするなと言われても…
やっぱりキャリーヌは、今も国に残してきた家族が心配でたまらないのだろう。そりゃそうだ、キャリーヌは誰よりも優しい子。きっと自分だけ安全な国にいるという事に、負い目に感じているに違いない。
いつも私に心配させない様にと笑顔で過ごしているが、きっと心では…
キャリーヌの切なそうな顔が忘れられない。
キャリーヌのお陰で、私は今の幸せがある。私もキャリーヌには幸せになってもらいたい。でも、他国の私に、何が出来るのだろうか…
王女と言っても名ばかりで、何の力もないのだ。大切なキャリーヌの為に、何も出来ないだなんて…情けなくて悔しくて、涙が込みあげてくる。
いいえ、私はこれでも一国の王女よ。何も出来ない事なんてないはずよ。ディステル王国のラミア王女さえ何とかすれば、状況も改善するのだろうけれど…
私がアラステ王国に行って、ラミア王女に文句を言うべき?ラミア王女はどんな女性なのかしら?まあ、婚約者がいる他国の王太子を誘惑するくらいだから、ろくでもない女なのだろう。
それでもまずは、ラミア王女について調べた方がよさそうね。
よし!
「すぐにディステル王国のラミア王女について調べて欲しいの。出来るだけ早くお願い」
私は専属執事に、ラミア王女についての調査を依頼したのだ。
調査を依頼してから1ヶ月後。
「殿下、こちらがラミア王女に関する書類です」
「ありがとう。すぐに目を通すわ」
早速調査報告書に目を通した。ラミア王女は非常に優秀なうえ、男性に取り入るのが上手い事から、貿易を一任されているらしい。持ち前の美しさを武器に、次々と自国が優位になる条件で貿易を結んでいる事から、他の王族からも一目置かれているとの事。
ただ…
非常に我が儘な性格をしており、彼女を人知れず嫌っている人物も多数いるとの事。過去に貿易相手国とトラブルになった事もあるが、自国にいる王族に情報が行かない様に、上手く手を回しているという情報もあるとの事。
「なるほど、厄介な女ね。きっと今回のトラブルも、ディステル王国の王族たちは知らないという訳ね。彼女はずっと他国を回っているから、しばらく国に帰らなくても、王族たちは不審がらないという訳か。それなら、何とか出来るかもしれないわ」
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