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第4話:カリアン王国に着きました
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「お嬢様、お腹が空いていらっしゃるのではありませんか?ジェイデン殿下はお嬢様が側妃になる事を受け入れるまで、食事を与えないとおっしゃっていたそうなので。サンドウィッチしかありませんが、どうかお食べ下さい」
クラミーが野菜とお肉がたっぷり入ったサンドウィッチを渡してくれたのだ。そういえば私、お腹がペコペコだったのだ。
「ありがとう。早速頂くわ」
サンドウィッチを手で小さくちぎり、口に入れていく。
「美味しいわ、やっぱり我が家のサンドウィッチが一番おいしいわね」
きっと料理長が作ってくれたのだろう。
「やっとお嬢様に、笑顔が戻りましたね。少し進んだところでトイレ休憩を挟んだ後、そのままカリアン王国を目指します。本来ならお疲れのお嬢様には、ホテルでゆっくり過ごしていただきたいのですが、万が一ジェイデン殿下が追いかけてくるといけませんので、少しでも進めさせていただきますわ」
ジェイデン殿下が追いかけてくるか…
どうして私をそこまでして側妃にしたいのだろう。そんなに私を苦しめたいのかしら?彼の事を考えたら、無性に腹が立ってきた。ジェイデン殿下、もう二度とあの男の顔なんて見たくないわ。
どうか私の事は諦めて、ラミア王女と好きに生きて欲しいものだ。でも、あんな横暴な人が、もし国王になったら…
自分の言う事を聞かなかった私の家族、それにサミュエル殿下も、酷い目に合わないかしら?あれでも一応王太子だものね…
やっぱり皆の事が、不安になってきた。
「お嬢様、また不安そうな顔をしていらっしゃいますね。旦那様の話では、陛下から“どんなことがあろうと、勝手に貴族を捕まえ裁く事を禁ずる!もし破れば、たとえ王族であっても、厳罰に処す“との命令が、サミュエル殿下経由で発令されたそうです。さらに陛下が帰国するまで、全ての権限をサミュエル殿下に与えるともおっしゃっていたそうですわ。ですので、ジェイデン殿下がまたお嬢様を捕まえたとしても、勝手に投獄する事は出来ません。旦那様や奥様達もです。ですから、どうかご安心ください」
「それは本当なの?でも、ジェイデン殿下は王太子なのよ。もし彼が王になったら、その時私の家族やサミュエル殿下が酷い目に合わないかしら?」
「きっと大丈夫ですわ。今回の件で、さすがの陛下や王妃殿下もカンカンとの事です。もしかすると、ジェイデン殿下の廃嫡もあり得ます。特に今回被害者でもあるお嬢様に、今後危害が及ばない様に、きっと陛下も王妃殿下も策を講じるでしょう。ですのでどうかお嬢様は、ご自分の事だけを考えて下さい」
「分かったわ。それにしても、クラミーは色々と知っているのね」
「ええ、私はずっと、旦那様とサミュエル殿下のやり取りを見ておりましたので。ただ、本来主から仕入れた情報を、他の人に報告する事は禁止されております。ですので、どうかご内密に」
「あら、あなたの主人は私よ。主人に情報を提供して何が悪いの?でも、分かったわ。内緒にしておくわね。クラミー、色々と教えてくれてありがとう。少しだけ心が軽くなったわ」
「それは良かったですわ。どうかカリアン王国に着きましたら、ごゆっくりお過ごしください」
「ええ、そうさせてもらうわ。お姉様やお義兄様に会うのも楽しみだし。何よりグランに初対面できるのよね。きっと可愛いのでしょうね」
グランとは、昨年生まれたお姉様の子供だ。私にとっては甥にあたる人物。彼に会う事をずっと楽しみにしていたのだ。まさかこんな形で会えるだなんてね。
「その調子ですわ。お嬢様、どうか少しお休みください。と言っても、馬車の中ではお休みになりにくいでしょうが…」
「ありがとう。なんだか無性に眠たくなってきたから、休むわね」
馬車のソファに体を寝かせ、目をつぶる。さすがに疲れていたのか、あっと言う間に眠ってしまった。
翌日、目を覚ますと既に太陽が高く昇っていた。この日は一旦ホテルに立ち寄り、そこで湯あみと食事を済ませて再び馬車に乗り込んだ。どうやら今日も、夜通し走る様だ。
翌日も休憩を挟みつつ、カリアン王国を目指した。そしてついに!
「お嬢様、カリアン王国に入りましたよ」
窓の外を見ると、立派な建物が並んでいた。さすが大国、カリアン王国だ。母国、アラステ王国とは規模が全然違う。こんな立派な国に、お姉様は暮らしているのね。
しばらく進むと、立派な建物が目に入った。
「あら?あれは一体何かしら?」
かなり大きな建物で、門にはたくさんの家紋が付いた馬車が停まっていた。
「“セントラル貴族学院”と書いてありましたね」
「あれが噂の貴族学院なのね。立派な建物ね」
カリアン王国では、14歳から16歳の貴族や王族は、貴族学院というところに通う事が義務付けられているらしい。どうやらこの2年で、貴族間同士の交流関係を築き、貴族として生きていくための事を学ぶそうだ。
私は8歳からずっと、王妃教育や慈善活動を行って来た。その為、同じ歳の貴族たちと交流を持つ時間もほとんどなかったのだ。
同じ年頃の令嬢や令息たちとお話ししたりお茶をしたり、一緒に学んだりできるだなんて、羨ましいわね。貴族学院を見つめながら、ついそんな事を考えてしまう。
さらに進むと、立派なお屋敷に馬車が入って行った。どうやらここがお姉様の嫁ぎ先、クレスティル公爵家の様だ。
クラミーが野菜とお肉がたっぷり入ったサンドウィッチを渡してくれたのだ。そういえば私、お腹がペコペコだったのだ。
「ありがとう。早速頂くわ」
サンドウィッチを手で小さくちぎり、口に入れていく。
「美味しいわ、やっぱり我が家のサンドウィッチが一番おいしいわね」
きっと料理長が作ってくれたのだろう。
「やっとお嬢様に、笑顔が戻りましたね。少し進んだところでトイレ休憩を挟んだ後、そのままカリアン王国を目指します。本来ならお疲れのお嬢様には、ホテルでゆっくり過ごしていただきたいのですが、万が一ジェイデン殿下が追いかけてくるといけませんので、少しでも進めさせていただきますわ」
ジェイデン殿下が追いかけてくるか…
どうして私をそこまでして側妃にしたいのだろう。そんなに私を苦しめたいのかしら?彼の事を考えたら、無性に腹が立ってきた。ジェイデン殿下、もう二度とあの男の顔なんて見たくないわ。
どうか私の事は諦めて、ラミア王女と好きに生きて欲しいものだ。でも、あんな横暴な人が、もし国王になったら…
自分の言う事を聞かなかった私の家族、それにサミュエル殿下も、酷い目に合わないかしら?あれでも一応王太子だものね…
やっぱり皆の事が、不安になってきた。
「お嬢様、また不安そうな顔をしていらっしゃいますね。旦那様の話では、陛下から“どんなことがあろうと、勝手に貴族を捕まえ裁く事を禁ずる!もし破れば、たとえ王族であっても、厳罰に処す“との命令が、サミュエル殿下経由で発令されたそうです。さらに陛下が帰国するまで、全ての権限をサミュエル殿下に与えるともおっしゃっていたそうですわ。ですので、ジェイデン殿下がまたお嬢様を捕まえたとしても、勝手に投獄する事は出来ません。旦那様や奥様達もです。ですから、どうかご安心ください」
「それは本当なの?でも、ジェイデン殿下は王太子なのよ。もし彼が王になったら、その時私の家族やサミュエル殿下が酷い目に合わないかしら?」
「きっと大丈夫ですわ。今回の件で、さすがの陛下や王妃殿下もカンカンとの事です。もしかすると、ジェイデン殿下の廃嫡もあり得ます。特に今回被害者でもあるお嬢様に、今後危害が及ばない様に、きっと陛下も王妃殿下も策を講じるでしょう。ですのでどうかお嬢様は、ご自分の事だけを考えて下さい」
「分かったわ。それにしても、クラミーは色々と知っているのね」
「ええ、私はずっと、旦那様とサミュエル殿下のやり取りを見ておりましたので。ただ、本来主から仕入れた情報を、他の人に報告する事は禁止されております。ですので、どうかご内密に」
「あら、あなたの主人は私よ。主人に情報を提供して何が悪いの?でも、分かったわ。内緒にしておくわね。クラミー、色々と教えてくれてありがとう。少しだけ心が軽くなったわ」
「それは良かったですわ。どうかカリアン王国に着きましたら、ごゆっくりお過ごしください」
「ええ、そうさせてもらうわ。お姉様やお義兄様に会うのも楽しみだし。何よりグランに初対面できるのよね。きっと可愛いのでしょうね」
グランとは、昨年生まれたお姉様の子供だ。私にとっては甥にあたる人物。彼に会う事をずっと楽しみにしていたのだ。まさかこんな形で会えるだなんてね。
「その調子ですわ。お嬢様、どうか少しお休みください。と言っても、馬車の中ではお休みになりにくいでしょうが…」
「ありがとう。なんだか無性に眠たくなってきたから、休むわね」
馬車のソファに体を寝かせ、目をつぶる。さすがに疲れていたのか、あっと言う間に眠ってしまった。
翌日、目を覚ますと既に太陽が高く昇っていた。この日は一旦ホテルに立ち寄り、そこで湯あみと食事を済ませて再び馬車に乗り込んだ。どうやら今日も、夜通し走る様だ。
翌日も休憩を挟みつつ、カリアン王国を目指した。そしてついに!
「お嬢様、カリアン王国に入りましたよ」
窓の外を見ると、立派な建物が並んでいた。さすが大国、カリアン王国だ。母国、アラステ王国とは規模が全然違う。こんな立派な国に、お姉様は暮らしているのね。
しばらく進むと、立派な建物が目に入った。
「あら?あれは一体何かしら?」
かなり大きな建物で、門にはたくさんの家紋が付いた馬車が停まっていた。
「“セントラル貴族学院”と書いてありましたね」
「あれが噂の貴族学院なのね。立派な建物ね」
カリアン王国では、14歳から16歳の貴族や王族は、貴族学院というところに通う事が義務付けられているらしい。どうやらこの2年で、貴族間同士の交流関係を築き、貴族として生きていくための事を学ぶそうだ。
私は8歳からずっと、王妃教育や慈善活動を行って来た。その為、同じ歳の貴族たちと交流を持つ時間もほとんどなかったのだ。
同じ年頃の令嬢や令息たちとお話ししたりお茶をしたり、一緒に学んだりできるだなんて、羨ましいわね。貴族学院を見つめながら、ついそんな事を考えてしまう。
さらに進むと、立派なお屋敷に馬車が入って行った。どうやらここがお姉様の嫁ぎ先、クレスティル公爵家の様だ。
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