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第47話:王都を後にします
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裁判が無事終わった翌日。
「それではお父様、どうかお体にお気をつけて」
「レアンヌも、元気に暮らすのだぞ。アレクスリア王国での就任式は私も出席するから」
「姉上、どうかお元気で」
「カロイド殿下もお元気で。どうか父の事、よろしくお願いします」
お父様とカロイド殿下、さらに貴族たちに見送られ、私たちはこのままアレクスリア王国に向かう事になった。予想以上に長い間王都にいたため、予定が押してしまったのだ。
ただ、ファレッスの街は通り道の為、少しだけ寄っていくことが出来るらしい。その為、ミハイル様や動物たちには、その時挨拶をしようと思っている。
「それでは長い間お世話になりました。さあ、レアンヌ、行こう」
旦那様と一緒に馬車に乗り込もうとした時だった。
“レアンヌ、元気でね”
“意地悪な王妃と王女もいなくなったし、またいつでも遊びに来てね。僕たち、ずっとここで待っているから”
「皆、来てくれたのね。ありがとう。皆も元気でね」
子供の頃からずっと傍にいてくれた、王都の動物たち。彼らがわざわざお見送りに来てくれたのだ。彼らをギュッと抱きしめた。そして、馬車に乗り込む。
ゆっくり走り出す馬車。
「相変わらずレアンヌは、動物たちに愛されているのだね。わざわざ見送りに来てくれるだなんて」
そう言って苦笑いしている旦那様。
「彼らは孤独だった私の傍にずっといてくれた、大切な家族ですから…」
「大切な家族か。レアンヌ、これからは私がいる。だから、もう動物たちに頼る必要は無いよ。これからはずっと一緒だ」
そう言うと、ギュッと旦那様が抱きしめてくれる。その温もりが、やっぱり落ち着く。
ちなみにアレクスリア王国まではここから1週間かかる。かなりの長旅だ。
「レアンヌ、すまない。早くアレクスリア王国に向かわないといけないため、観光は出来なさそうだ」
「大丈夫ですわ。王都をゆっくりと観光しましたから。それに私も早くアレクスリア王国に向かいたいですし」
申し訳なさそうにしている旦那様に向かって、笑顔で答えた。この街並みとも、またしばらくお別れなのね。そう思うと、なぜか心がチクリと痛んだ。旦那様の元に嫁ぐときは、ここから出られると、ウキウキしていたのに…
お父様とカロイド殿下の事が脳裏をよぎる。不思議なもので、大切な人がいる街だから、こんな気持ちになるのね。
「レアンヌ、寂しいのかい?やっと父親と思いが通じ合ったのだものね。でも、またすぐに会えるから」
そう言って旦那様が慰めてくれる。旦那様の言う通り、生きている限り会おうと思えばいつでも会える。そう思う事にした。
その後も馬車は進んでいき、今回も休憩を挟みつつ、ホテルに泊まりながら進んでいく。そして3日目、懐かしい街が見えて来た。そう、ファレッスの街だ。
今日は住み慣れたこのお屋敷で泊る事になっているのだ。
「皆、ただいま」
「「おかえりなさいませ、旦那様、奥様」」
数名の使用人が出迎えてくれた。既にほとんどの使用人たちが、アレクスリア王国に向かっている為、最低限の使用人しか残っていないとの事。彼らも私たちと一緒に、アレクスリア王国に向かう事になっている。
ちなみにマックは、既にアレクスリア王国に向かったとの事。
「旦那様、もうしばらくこの地には来られないのです。森に行ってもいいですか?」
森の皆ともお別れなのだ。最後に挨拶と、今回助けてくれたお礼を言いたい。そんな思いから、玄関を出ようとしたのだが…
「待てレアンヌ。私も一緒に行こう」
やっぱり旦那様も来る様だ。でも森に行く事をダメと言わなかっただけ、ましかもしれない。
2人で手を繋いで森へと向かうと
“レアンヌ、おかえり。でもすぐに、アレクスリア王国に向かうのだろう?”
すぐに動物たちが出迎えてくれた。
「ええ、そうよ。それよりも皆、この前はありがとう。ミハイル様にもお礼を言いたいのだけれど」
動物たちと話をしていると、スッと風が吹いたと思ったらミハイル様が現れた。
「ミハイル様、この前は助けて頂き、ありがとうございました。それから、私はこの国を出る事になりましたので、お別れの挨拶をしに来ました」
“お礼はいらないよ。それにお別れの挨拶もね”
そう言うと、にっこりとほほ笑むミハイル様。一体どういう事かしら?
“レアンヌ、私と動物たちも、アレクスリア王国に行く事にしたんだ。アレクスリア王国の王宮の近くにも大きな森があるからね。あそこには精霊もいないから、あそこに移り住むことにしたんだよ”
にっこり微笑むミハイル様。
「まあ、そうだったのですね。それでしたら、皆でアレクスリア王国に行けるのですね。嬉しいですわ」
もうみんなとお別れかと思っていたけれど、どうやら彼らも来る様だ。
「レアンヌ、どうしたのだい?精霊はなんと言っているのだい?」
「ミハイル様も動物たちも、皆でアレクスリア王国の王宮近くの森に移り住むそうです。皆で一緒にお引越しですわ」
「何だって!動物たちだけでも煩わしいのに、精霊まで来るだと!何てことだ…これじゃあ、アレクスリア王国の国王になった意味がないじゃないか。せっかくレアンヌを精霊から遠ざけられると思ったのに…」
がっくりと肩を落とす旦那様に対し、
“そんなに落ち込むな。お前がしっかりとレアンヌを幸せにするか、見届けないといけないからな”
そう言って笑っているミハイル様。
旦那様には悪いが、私は皆と一緒にアレクスリア王国に行けると思うと、嬉しくてたまらないのだ。落ち込む旦那様をなだめながら、そんな風に思ったのだった。
※次回最終話です。
「それではお父様、どうかお体にお気をつけて」
「レアンヌも、元気に暮らすのだぞ。アレクスリア王国での就任式は私も出席するから」
「姉上、どうかお元気で」
「カロイド殿下もお元気で。どうか父の事、よろしくお願いします」
お父様とカロイド殿下、さらに貴族たちに見送られ、私たちはこのままアレクスリア王国に向かう事になった。予想以上に長い間王都にいたため、予定が押してしまったのだ。
ただ、ファレッスの街は通り道の為、少しだけ寄っていくことが出来るらしい。その為、ミハイル様や動物たちには、その時挨拶をしようと思っている。
「それでは長い間お世話になりました。さあ、レアンヌ、行こう」
旦那様と一緒に馬車に乗り込もうとした時だった。
“レアンヌ、元気でね”
“意地悪な王妃と王女もいなくなったし、またいつでも遊びに来てね。僕たち、ずっとここで待っているから”
「皆、来てくれたのね。ありがとう。皆も元気でね」
子供の頃からずっと傍にいてくれた、王都の動物たち。彼らがわざわざお見送りに来てくれたのだ。彼らをギュッと抱きしめた。そして、馬車に乗り込む。
ゆっくり走り出す馬車。
「相変わらずレアンヌは、動物たちに愛されているのだね。わざわざ見送りに来てくれるだなんて」
そう言って苦笑いしている旦那様。
「彼らは孤独だった私の傍にずっといてくれた、大切な家族ですから…」
「大切な家族か。レアンヌ、これからは私がいる。だから、もう動物たちに頼る必要は無いよ。これからはずっと一緒だ」
そう言うと、ギュッと旦那様が抱きしめてくれる。その温もりが、やっぱり落ち着く。
ちなみにアレクスリア王国まではここから1週間かかる。かなりの長旅だ。
「レアンヌ、すまない。早くアレクスリア王国に向かわないといけないため、観光は出来なさそうだ」
「大丈夫ですわ。王都をゆっくりと観光しましたから。それに私も早くアレクスリア王国に向かいたいですし」
申し訳なさそうにしている旦那様に向かって、笑顔で答えた。この街並みとも、またしばらくお別れなのね。そう思うと、なぜか心がチクリと痛んだ。旦那様の元に嫁ぐときは、ここから出られると、ウキウキしていたのに…
お父様とカロイド殿下の事が脳裏をよぎる。不思議なもので、大切な人がいる街だから、こんな気持ちになるのね。
「レアンヌ、寂しいのかい?やっと父親と思いが通じ合ったのだものね。でも、またすぐに会えるから」
そう言って旦那様が慰めてくれる。旦那様の言う通り、生きている限り会おうと思えばいつでも会える。そう思う事にした。
その後も馬車は進んでいき、今回も休憩を挟みつつ、ホテルに泊まりながら進んでいく。そして3日目、懐かしい街が見えて来た。そう、ファレッスの街だ。
今日は住み慣れたこのお屋敷で泊る事になっているのだ。
「皆、ただいま」
「「おかえりなさいませ、旦那様、奥様」」
数名の使用人が出迎えてくれた。既にほとんどの使用人たちが、アレクスリア王国に向かっている為、最低限の使用人しか残っていないとの事。彼らも私たちと一緒に、アレクスリア王国に向かう事になっている。
ちなみにマックは、既にアレクスリア王国に向かったとの事。
「旦那様、もうしばらくこの地には来られないのです。森に行ってもいいですか?」
森の皆ともお別れなのだ。最後に挨拶と、今回助けてくれたお礼を言いたい。そんな思いから、玄関を出ようとしたのだが…
「待てレアンヌ。私も一緒に行こう」
やっぱり旦那様も来る様だ。でも森に行く事をダメと言わなかっただけ、ましかもしれない。
2人で手を繋いで森へと向かうと
“レアンヌ、おかえり。でもすぐに、アレクスリア王国に向かうのだろう?”
すぐに動物たちが出迎えてくれた。
「ええ、そうよ。それよりも皆、この前はありがとう。ミハイル様にもお礼を言いたいのだけれど」
動物たちと話をしていると、スッと風が吹いたと思ったらミハイル様が現れた。
「ミハイル様、この前は助けて頂き、ありがとうございました。それから、私はこの国を出る事になりましたので、お別れの挨拶をしに来ました」
“お礼はいらないよ。それにお別れの挨拶もね”
そう言うと、にっこりとほほ笑むミハイル様。一体どういう事かしら?
“レアンヌ、私と動物たちも、アレクスリア王国に行く事にしたんだ。アレクスリア王国の王宮の近くにも大きな森があるからね。あそこには精霊もいないから、あそこに移り住むことにしたんだよ”
にっこり微笑むミハイル様。
「まあ、そうだったのですね。それでしたら、皆でアレクスリア王国に行けるのですね。嬉しいですわ」
もうみんなとお別れかと思っていたけれど、どうやら彼らも来る様だ。
「レアンヌ、どうしたのだい?精霊はなんと言っているのだい?」
「ミハイル様も動物たちも、皆でアレクスリア王国の王宮近くの森に移り住むそうです。皆で一緒にお引越しですわ」
「何だって!動物たちだけでも煩わしいのに、精霊まで来るだと!何てことだ…これじゃあ、アレクスリア王国の国王になった意味がないじゃないか。せっかくレアンヌを精霊から遠ざけられると思ったのに…」
がっくりと肩を落とす旦那様に対し、
“そんなに落ち込むな。お前がしっかりとレアンヌを幸せにするか、見届けないといけないからな”
そう言って笑っているミハイル様。
旦那様には悪いが、私は皆と一緒にアレクスリア王国に行けると思うと、嬉しくてたまらないのだ。落ち込む旦那様をなだめながら、そんな風に思ったのだった。
※次回最終話です。
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