1 / 20
第1話:自由に生きる事を決めました
しおりを挟む
卒業まで3ヶ月に迫ったある日、私はいつもの様に1人中庭で食事をする。
相変わらず私に聞こえる様に悪口を言う令嬢たち。もう悪口にも慣れたわ…ここにいても悪口を言われるだけだし、図書館にでも行きましょう。そう思い、1人図書館へと向かう。
ふと中庭を歩いていると、私の婚約者でもある、王太子のエイダン様が何人かの貴族に囲まれていた。
「後3ヶ月もすれば、僕はあの女と結婚しないといけないなんて、本当に地獄以外何者でもない」
また私の悪口を言っている。
「お可哀そうなエイダン様。それにしても図々しい女ね。ここまでエイダン様が嫌がっているのに、頑なに婚約破棄を受け入れないなんて」
「そうだろう?僕が何度も婚約を破棄して欲しいと言っても、“エイダン様と結婚できないなら死んでやる”って、ヒステリックを起こすから困っているんだ。本当に、どうにかして欲しいよ」
「ヤダ、死んでやる!だなんて、本当に品の無い令嬢ね」
そう言って皆で私を笑いものにしていた。
その瞬間、私の中で何かが切れた。
私だってあんな男大嫌いよ!あんな男と一生を共にしないといけないなんて。
私はいつまで我慢をすればいいの!
溢れる涙を堪えられず、1人静かに泣いた。泣いて泣いて泣き続けたら、少しすっきりした。落ち着いたところで、図書館に向かう。いつもの様に、恋愛小説を読もうとした時だった。
ふとある本に目が留まる。
「今悩んでいるあなたへ」
と言う題名の本だった。どうしても気になって、その本を手に取る。
“自分を偽るのは止めましょう。あなたはあなた、自分が思うがまま生きれば、おのずと道は切り開かれる“
そう書かれていたのだ。自分を偽るのを止めるか…
今の私は、皆に嫌われている。きっとこれからもずっと、嫌われ続けるのだろう。もちろん、エイダン様からも…
それならいっそ、好きな事をして生きるのも悪くない。王妃様の話では、結婚後私は離宮に住むことになっているらしい。その話を聞いた時はショックだったけれど、でも離宮で暮らせるなら、あの男の相手をしなくてもいいのだろう。
そうか、私はあの男と結婚すれば、両親とも離れられる。もう両親に干渉されることも、嫌味を言われることもなくなるんだわ。離宮に引きこもれば、王妃様にも会わなくて済む。
エイダン様の相手は側室に任せておいて、今までできなかった事をしよう。どうせ私は、あの男と結婚しないといけないんだ。ずっと悲しんでいるなんてバカらしい。よし、そうと決まれば、なんだか気持ちが軽くなった。
後3ヶ月大人しく過ごしていれば、私はある意味で自由になれる。そうね、離宮では何をしようかしら?特に取柄もないもの。まあいいか、離宮に移動してから考えよう。
それからと言うもの、両親やエイダン様、王妃様から暴言を吐かれても、それほど気にならなくなった。ただ、この人たちを怒らせると面倒だ。いつもの様に、無難にやり過ごす。
そして迎えた卒業式の日、何を思ったのかエイダン様からドレスと宝石が贈られてきた。エイダン様の瞳の色でもある紫色に金の刺繍がしてあるドレス、さらにアメジストのネックレスとイヤリング、ティアラまである。
どうやら結婚直前まで、私に嫌がらせをしてくるつもりの様だ。こんなものを身につけて行ったら、令嬢たちからバカにされることは目に見えている。きっとその姿を見て、笑うつもりなんだろう。本当に性格の悪い男だ!
増々あの男が憎くてたまらなくなってきた。本当は暴言の一つでも吐いてやりたいが、もちろんそんな事をするつもりはない。とにかく、関わらない様にすることが先決だ。
案の定、卒業式の時には、令嬢たちにバカにされた。でもなぜかこの日に限って
「サーラ、今日は学院最後の日かつ、君の独身最後の日でもある。せっかくだから踊ろう」
そう誘われた。でも、正直こんな男と踊るつもりはない。体調が悪いと伝え、すっとあの男から離れた。その瞬間、令嬢たちの暴言が飛ぶ。はいはい、もうなんとでも言ってください。それで気が済むなら、私は構いませんから。
無事卒業式を終え、家に帰ると両親が待っていた。
「サーラ、明日はお前とエイダン殿下の結婚式だ。やっとここまで来た。さすがにもう、婚約破棄はないだろう。お前みたいなトロい女でも、家の役に立つこともあるんだな。いいか、殿下に取り入り、世継ぎを産め。そうすれば、我が家もさらに安泰だ」
そう言って嬉しそうにワインを飲んでいるお父様。何が殿下に取り入って世継ぎを産め!よ。悪いけれど私は、あの男に指一本触れさせるつもりはない。それに輿入れしてしまえば、もうお父様に指図される事もなくなるだろう。
そんな思いから、私はベッドに入った。明日から私は、生まれ変わるのよ。もうあいつらの言いなりなんかにはならないわ。離宮で新たな人生を歩むのだから!
相変わらず私に聞こえる様に悪口を言う令嬢たち。もう悪口にも慣れたわ…ここにいても悪口を言われるだけだし、図書館にでも行きましょう。そう思い、1人図書館へと向かう。
ふと中庭を歩いていると、私の婚約者でもある、王太子のエイダン様が何人かの貴族に囲まれていた。
「後3ヶ月もすれば、僕はあの女と結婚しないといけないなんて、本当に地獄以外何者でもない」
また私の悪口を言っている。
「お可哀そうなエイダン様。それにしても図々しい女ね。ここまでエイダン様が嫌がっているのに、頑なに婚約破棄を受け入れないなんて」
「そうだろう?僕が何度も婚約を破棄して欲しいと言っても、“エイダン様と結婚できないなら死んでやる”って、ヒステリックを起こすから困っているんだ。本当に、どうにかして欲しいよ」
「ヤダ、死んでやる!だなんて、本当に品の無い令嬢ね」
そう言って皆で私を笑いものにしていた。
その瞬間、私の中で何かが切れた。
私だってあんな男大嫌いよ!あんな男と一生を共にしないといけないなんて。
私はいつまで我慢をすればいいの!
溢れる涙を堪えられず、1人静かに泣いた。泣いて泣いて泣き続けたら、少しすっきりした。落ち着いたところで、図書館に向かう。いつもの様に、恋愛小説を読もうとした時だった。
ふとある本に目が留まる。
「今悩んでいるあなたへ」
と言う題名の本だった。どうしても気になって、その本を手に取る。
“自分を偽るのは止めましょう。あなたはあなた、自分が思うがまま生きれば、おのずと道は切り開かれる“
そう書かれていたのだ。自分を偽るのを止めるか…
今の私は、皆に嫌われている。きっとこれからもずっと、嫌われ続けるのだろう。もちろん、エイダン様からも…
それならいっそ、好きな事をして生きるのも悪くない。王妃様の話では、結婚後私は離宮に住むことになっているらしい。その話を聞いた時はショックだったけれど、でも離宮で暮らせるなら、あの男の相手をしなくてもいいのだろう。
そうか、私はあの男と結婚すれば、両親とも離れられる。もう両親に干渉されることも、嫌味を言われることもなくなるんだわ。離宮に引きこもれば、王妃様にも会わなくて済む。
エイダン様の相手は側室に任せておいて、今までできなかった事をしよう。どうせ私は、あの男と結婚しないといけないんだ。ずっと悲しんでいるなんてバカらしい。よし、そうと決まれば、なんだか気持ちが軽くなった。
後3ヶ月大人しく過ごしていれば、私はある意味で自由になれる。そうね、離宮では何をしようかしら?特に取柄もないもの。まあいいか、離宮に移動してから考えよう。
それからと言うもの、両親やエイダン様、王妃様から暴言を吐かれても、それほど気にならなくなった。ただ、この人たちを怒らせると面倒だ。いつもの様に、無難にやり過ごす。
そして迎えた卒業式の日、何を思ったのかエイダン様からドレスと宝石が贈られてきた。エイダン様の瞳の色でもある紫色に金の刺繍がしてあるドレス、さらにアメジストのネックレスとイヤリング、ティアラまである。
どうやら結婚直前まで、私に嫌がらせをしてくるつもりの様だ。こんなものを身につけて行ったら、令嬢たちからバカにされることは目に見えている。きっとその姿を見て、笑うつもりなんだろう。本当に性格の悪い男だ!
増々あの男が憎くてたまらなくなってきた。本当は暴言の一つでも吐いてやりたいが、もちろんそんな事をするつもりはない。とにかく、関わらない様にすることが先決だ。
案の定、卒業式の時には、令嬢たちにバカにされた。でもなぜかこの日に限って
「サーラ、今日は学院最後の日かつ、君の独身最後の日でもある。せっかくだから踊ろう」
そう誘われた。でも、正直こんな男と踊るつもりはない。体調が悪いと伝え、すっとあの男から離れた。その瞬間、令嬢たちの暴言が飛ぶ。はいはい、もうなんとでも言ってください。それで気が済むなら、私は構いませんから。
無事卒業式を終え、家に帰ると両親が待っていた。
「サーラ、明日はお前とエイダン殿下の結婚式だ。やっとここまで来た。さすがにもう、婚約破棄はないだろう。お前みたいなトロい女でも、家の役に立つこともあるんだな。いいか、殿下に取り入り、世継ぎを産め。そうすれば、我が家もさらに安泰だ」
そう言って嬉しそうにワインを飲んでいるお父様。何が殿下に取り入って世継ぎを産め!よ。悪いけれど私は、あの男に指一本触れさせるつもりはない。それに輿入れしてしまえば、もうお父様に指図される事もなくなるだろう。
そんな思いから、私はベッドに入った。明日から私は、生まれ変わるのよ。もうあいつらの言いなりなんかにはならないわ。離宮で新たな人生を歩むのだから!
60
お気に入りに追加
3,509
あなたにおすすめの小説
婚約破棄でみんな幸せ!~嫌われ令嬢の円満婚約解消術~
春野こもも
恋愛
わたくしの名前はエルザ=フォーゲル、16才でございます。
6才の時に初めて顔をあわせた婚約者のレオンハルト殿下に「こんな醜女と結婚するなんて嫌だ! 僕は大きくなったら好きな人と結婚したい!」と言われてしまいました。そんな殿下に憤慨する家族と使用人。
14歳の春、学園に転入してきた男爵令嬢と2人で、人目もはばからず仲良く歩くレオンハルト殿下。再び憤慨するわたくしの愛する家族や使用人の心の安寧のために、エルザは円満な婚約解消を目指します。そのために作成したのは「婚約破棄承諾書」。殿下と男爵令嬢、お二人に愛を育んでいただくためにも、後はレオンハルト殿下の署名さえいただければみんな幸せ婚約破棄が成立します!
前編・後編の全2話です。残酷描写は保険です。
【小説家になろうデイリーランキング1位いただきました――2019/6/17】
伝える前に振られてしまった私の恋
メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。
そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。
【完結】不倫をしていると勘違いして離婚を要求されたので従いました〜慰謝料をアテにして生活しようとしているようですが、慰謝料請求しますよ〜
よどら文鳥
恋愛
※当作品は全話執筆済み&予約投稿完了しています。
夫婦円満でもない生活が続いていた中、旦那のレントがいきなり離婚しろと告げてきた。
不倫行為が原因だと言ってくるが、私(シャーリー)には覚えもない。
どうやら騎士団長との会話で勘違いをしているようだ。
だが、不倫を理由に多額の金が目当てなようだし、私のことは全く愛してくれていないようなので、離婚はしてもいいと思っていた。
離婚だけして慰謝料はなしという方向に持って行こうかと思ったが、レントは金にうるさく慰謝料を請求しようとしてきている。
当然、慰謝料を払うつもりはない。
あまりにもうるさいので、むしろ、今までの暴言に関して慰謝料請求してしまいますよ?
新しい人生を貴方と
緑谷めい
恋愛
私は公爵家令嬢ジェンマ・アマート。17歳。
突然、マリウス王太子殿下との婚約が白紙になった。あちらから婚約解消の申し入れをされたのだ。理由は王太子殿下にリリアという想い人ができたこと。
2ヵ月後、父は私に縁談を持って来た。お相手は有能なイケメン財務大臣コルトー侯爵。ただし、私より13歳年上で婚姻歴があり8歳の息子もいるという。
* 主人公は寛容です。王太子殿下に仕返しを考えたりはしません。
蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
どうして私にこだわるんですか!?
風見ゆうみ
恋愛
「手柄をたてて君に似合う男になって帰ってくる」そう言って旅立って行った婚約者は三年後、伯爵の爵位をいただくのですが、それと同時に旅先で出会った令嬢との結婚が決まったそうです。
それを知った伯爵令嬢である私、リノア・ブルーミングは悲しい気持ちなんて全くわいてきませんでした。だって、そんな事になるだろうなってわかってましたから!
婚約破棄されて捨てられたという噂が広まり、もう結婚は無理かな、と諦めていたら、なんと辺境伯から結婚の申し出が! その方は冷酷、無口で有名な方。おっとりした私なんて、すぐに捨てられてしまう、そう思ったので、うまーくお断りして田舎でゆっくり過ごそうと思ったら、なぜか結婚のお断りを断られてしまう。
え!? そんな事ってあるんですか? しかもなぜか、元婚約者とその彼女が田舎に引っ越した私を追いかけてきて!?
おっとりマイペースなヒロインとヒロインに恋をしている辺境伯とのラブコメです。ざまぁは後半です。
※独自の世界観ですので、設定はゆるめ、ご都合主義です。
そう言うと思ってた
mios
恋愛
公爵令息のアランは馬鹿ではない。ちゃんとわかっていた。自分が夢中になっているアナスタシアが自分をそれほど好きでないことも、自分の婚約者であるカリナが自分を愛していることも。
※いつものように視点がバラバラします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる