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第28話:嫌だ!~ロイド視点~
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溢れ出る涙を抑える事が出来ず、1人別室に入った。
「セイラ…どうしてセイラがこんな目に遭わないといけないんだ。あの子が一体何をしたというのだ。あんなにも優しくていい子が…」
今にも消えてしまいそうなセイラを見ていると、胸が張り裂けそうになる。1週間前からセイラは、ベッドから起き上がれなくなった。
きっと想像を絶する苦しみなのだろう。セイラの母親、公爵夫人はあまりの苦しさに、夜な夜なうめき声をあげていたと聞く。それなのにセイラは、僕の前ではいつも笑顔なのだ。
ただ、既に覚悟を決めているようにも見える悲しげな瞳を見ると、耐えられなくなるのだ。
セイラは本当に優しい子で、苦しくてたまらないはずなのに、残された使用人の事を心配し、さっき僕に彼女たちの事を託してきた。
まるでもうすぐ命が尽きる事を分かっているかのようなセイラの言動を聞いていると、苦しくて悲しくてたまらないのだ。
セイラが一番苦しいはずなのに、僕は彼女に何もしてあげられない。それが悔しくてたまらない。
もし僕と婚約していなければ、セイラは病気にならなかったのかな…もっと幸せな未来が待っていたのかな…そんな事を考えてしまう。
この3ヶ月、僕にとってはセイラとずっと一緒にいられて正直幸せだった。でも、それと同時に月日が経つのが怖かった。ずっと時間が止まってしまえばいいのに、そう何度願ったか。
僕はセイラに生きて欲しい…もう決して助からない事は分かっている。あと数日で、セイラの命が尽きる事も…
でも、その現実をどうしても僕は受け入れられないのだ。セイラがいないこの世界で、僕はどうやって生きていけばいいのだろう。そんな事ばかり、最近考えている。
セイラを失うのが怖くてたまらない。もし叶うなら、僕が代わってあげたい。でも、そんな事は出来ない。
「セイラ…僕はどうすればいいのだろう…君を失うのが怖くてたまらない。こんな臆病な僕を残して逝かないでくれ…どうか僕も連れて行ってくれ…」
こんな弱気な発言、セイラが聞いたらきっと幻滅するだろう。でも、口に出さずにはいられないのだ。ここには誰もいない。だから今だけは、弱音を吐く事を許して欲しい。
早くセイラの元に戻らないと。セイラといられる時間は、もう残りわずかなのだ。1秒でも長く、セイラといたいのに。それなのに、涙が止まらないのだ。
早く止まれ!泣くな、泣いていたらセイラに会えないじゃないか。
そう何度も自分に言い聞かせるが、どうしても涙が止まらないのだ。どうして僕は、いつもこうなのだろう。怒りと悲しみの感情が、僕の心を支配し、思いっきり壁を叩いた。自分の感情すらコントロールできなくなっているだなんて、本当に情けないな…
その時だった。
「殿下、こちらにいらしたのですね。大変です、セイラ様が…」
「セイラがどうしたのだい?」
「今さっき、息を引き取られました」
「何だって…セイラが…息を引き取っただって…」
セイラが…息を引き取った…嘘だ…だってさっき…
「セイラ…セイラ!」
嫌だ!セイラが息を引き取るだなんて、そんなの嫌だ。だってまだ、きちんと話が出来ていないのに…それなのに!
「セイラ!」
セイラの部屋に入ると、使用人たちが声を上げて泣いていた。そして専属医師も、俯きセイラの手を握っている。
「そんな…セイラ」
急いでセイラの元に駆けつけ、彼女を抱き上げた。ぐったりとしているセイラ、でもまだ温かい。
「セイラ、眠っているのかい?起きてくれ、僕、まだ君に話したい事を話せていないのだよ。セイラ、起きて」
何度もセイラを揺すり、声をかけるが反応はない。
「殿下…申し上げにくいのですが、お嬢様はもう…」
「嘘だ!君、さっき言ったじゃないか。後3日程度は持つと。それなのに、どうしてセイラは…セイラは…」
嫌だ、まだ何もセイラに伝えられていないのに。こんな別れなんて、絶対に嫌だ。
「セイラ、頼む…目をあけてくれ…まだ何も君に伝えられていないのに…セイラ」
僕はいつもそうだ、いつも一番大切な時に、何もできない。君を傷つけてばかりで…最期の時ですら、傍にいてあげられなかったのだから…
こんな男、セイラからしたら願い下げだよね。
でも僕は…
「セイラ…どうしてセイラがこんな目に遭わないといけないんだ。あの子が一体何をしたというのだ。あんなにも優しくていい子が…」
今にも消えてしまいそうなセイラを見ていると、胸が張り裂けそうになる。1週間前からセイラは、ベッドから起き上がれなくなった。
きっと想像を絶する苦しみなのだろう。セイラの母親、公爵夫人はあまりの苦しさに、夜な夜なうめき声をあげていたと聞く。それなのにセイラは、僕の前ではいつも笑顔なのだ。
ただ、既に覚悟を決めているようにも見える悲しげな瞳を見ると、耐えられなくなるのだ。
セイラは本当に優しい子で、苦しくてたまらないはずなのに、残された使用人の事を心配し、さっき僕に彼女たちの事を託してきた。
まるでもうすぐ命が尽きる事を分かっているかのようなセイラの言動を聞いていると、苦しくて悲しくてたまらないのだ。
セイラが一番苦しいはずなのに、僕は彼女に何もしてあげられない。それが悔しくてたまらない。
もし僕と婚約していなければ、セイラは病気にならなかったのかな…もっと幸せな未来が待っていたのかな…そんな事を考えてしまう。
この3ヶ月、僕にとってはセイラとずっと一緒にいられて正直幸せだった。でも、それと同時に月日が経つのが怖かった。ずっと時間が止まってしまえばいいのに、そう何度願ったか。
僕はセイラに生きて欲しい…もう決して助からない事は分かっている。あと数日で、セイラの命が尽きる事も…
でも、その現実をどうしても僕は受け入れられないのだ。セイラがいないこの世界で、僕はどうやって生きていけばいいのだろう。そんな事ばかり、最近考えている。
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「セイラ…僕はどうすればいいのだろう…君を失うのが怖くてたまらない。こんな臆病な僕を残して逝かないでくれ…どうか僕も連れて行ってくれ…」
こんな弱気な発言、セイラが聞いたらきっと幻滅するだろう。でも、口に出さずにはいられないのだ。ここには誰もいない。だから今だけは、弱音を吐く事を許して欲しい。
早くセイラの元に戻らないと。セイラといられる時間は、もう残りわずかなのだ。1秒でも長く、セイラといたいのに。それなのに、涙が止まらないのだ。
早く止まれ!泣くな、泣いていたらセイラに会えないじゃないか。
そう何度も自分に言い聞かせるが、どうしても涙が止まらないのだ。どうして僕は、いつもこうなのだろう。怒りと悲しみの感情が、僕の心を支配し、思いっきり壁を叩いた。自分の感情すらコントロールできなくなっているだなんて、本当に情けないな…
その時だった。
「殿下、こちらにいらしたのですね。大変です、セイラ様が…」
「セイラがどうしたのだい?」
「今さっき、息を引き取られました」
「何だって…セイラが…息を引き取っただって…」
セイラが…息を引き取った…嘘だ…だってさっき…
「セイラ…セイラ!」
嫌だ!セイラが息を引き取るだなんて、そんなの嫌だ。だってまだ、きちんと話が出来ていないのに…それなのに!
「セイラ!」
セイラの部屋に入ると、使用人たちが声を上げて泣いていた。そして専属医師も、俯きセイラの手を握っている。
「そんな…セイラ」
急いでセイラの元に駆けつけ、彼女を抱き上げた。ぐったりとしているセイラ、でもまだ温かい。
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何度もセイラを揺すり、声をかけるが反応はない。
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「嘘だ!君、さっき言ったじゃないか。後3日程度は持つと。それなのに、どうしてセイラは…セイラは…」
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「セイラ、頼む…目をあけてくれ…まだ何も君に伝えられていないのに…セイラ」
僕はいつもそうだ、いつも一番大切な時に、何もできない。君を傷つけてばかりで…最期の時ですら、傍にいてあげられなかったのだから…
こんな男、セイラからしたら願い下げだよね。
でも僕は…
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