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第15話:ロイド様は何を考えているのでしょうか
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「なんて事をなさるのですか?あの紙は、あなた様を自由にする紙なのですよ。私はもう、長くは生きられないのです。このまま婚約を続けても、私は…」
「君がなんと言おうと、僕は婚約を解消するつもりはない。それよりも、起きていていいのかい?部屋に戻ろう。それから、君には一度医者の診断を受けてもらいたくてね。今日は王宮医師団を連れて来たのだよ」
「王宮医師団ですって…」
後ろには、確かに王宮医師団の面々が並んでいた。いくら彼らが見たところで、私の病気は治らないのに…最後まで私に義理を果たすつもりなのだろう。
「せっかく来ていただきましたが、私の病気は治る見込みがないのです。優秀なお医者様に見ていただいても、一緒ですわ」
「たとえそうだとしても、やってみないとわからないだろう。とにかく一度検査をしよう。すぐに準備をしてくれ」
どうしても医師団に私を診せたいようだ。それでロイド様の気持ちがおさまるなのら。そう思い、言われた通りに検査を受ける事にした。
「殿下、ありとあらゆる検査をいたしましたが、セイラ様がどうしてここまで弱られているのか、全く原因が分かりません。ただ、ありとあらゆる臓器の機能が低下しております。心臓さえも弱っております。公爵家専属の医師が診察した通り、よくて後3ヶ月というところでしょう」
困り顔の医師団たち。どんなに精密な機械を使っても、優秀な医師を集めても、私の病気は治せない。私は恋煩いにかかっているのだから。もしこの病気を治せるとしたら、それはロイド様だけだ。
「ロイド様、お気持ちは嬉しいのですが、私は不治の病に侵されております。治療法は全くと言っていいほどないのです。ですからどうか、もうそっとしておいてください。私は残りの人生を、ひっそりと生きたいのです」
もう私のせいで、あなたの貴重な時間を奪いたくはない。どうか私の事は忘れて、ミーア様と幸せになって欲しい。
「近いうちに婚約解消届をまた準備して、父経由で王宮にお届けいたしますね。ロイド様も公務があるでしょうから、どうかもうお戻りください」
すっと立ち上がり、頭を下げた。
最後にもう一度、ロイド様の顔を見られてよかったわ。そんな思いで、にっこりとほほ笑んだ。
「今日はもう帰るよ。セイラ、また来るから」
そう言い残すと、ロイド様は帰って行った。また来るか…どこまでも律儀な方ね。
「お父様が帰ってきたら伝えてくれるかしら?“もうロイド様には気を使ってもらう必要はない。わざわざ我が家を訪ねてきてもらわなくてもよい”と。それから、婚約解消届を新たに持ってきて。今すぐ書くから」
「かしこまりました」
再び私は婚約解消届にサインをし、執事に託した。明日お父様が、殿下の元にこの届を持って行ってくれるだろう。
さすがにここまでしたのだ、ロイド様がもう、我が家を訪ねてくることはない、そう思っていた。
翌日
「今日は天気がいいから、中庭でお茶をしたいの。準備をしてくれるかしら」
「はい、すぐに準備を整えます」
使用人たちが、中庭にソファを準備してくれた。今日は少し冷えるが、それでもお日様の光が気持ちいい。午前中は弁護士を呼び、遺言書の準備もした。体が動くうちに、出来るだけの事はやっておきたい。そう思っている。
こうやって中庭でお茶が出来るのも、あとどれくらいかしら?
雲一つない青空をみつめながら、お茶を頂く。そっと立ち上がり、バラを一輪切り、テーブルに飾った。
平和ね…
「お嬢様、ロイド殿下がお見えになられております」
「え?またロイド様が」
おかしいわね、今日お父様経由で伝えたのだけれど。まさか婚約解消届を持ってきてくれたのかしら?どんな理由であれ、わざわざ来てくれたのだ。
会わない訳にはいかない。
そう思い、立ち上がろうとした時だった。
「君がなんと言おうと、僕は婚約を解消するつもりはない。それよりも、起きていていいのかい?部屋に戻ろう。それから、君には一度医者の診断を受けてもらいたくてね。今日は王宮医師団を連れて来たのだよ」
「王宮医師団ですって…」
後ろには、確かに王宮医師団の面々が並んでいた。いくら彼らが見たところで、私の病気は治らないのに…最後まで私に義理を果たすつもりなのだろう。
「せっかく来ていただきましたが、私の病気は治る見込みがないのです。優秀なお医者様に見ていただいても、一緒ですわ」
「たとえそうだとしても、やってみないとわからないだろう。とにかく一度検査をしよう。すぐに準備をしてくれ」
どうしても医師団に私を診せたいようだ。それでロイド様の気持ちがおさまるなのら。そう思い、言われた通りに検査を受ける事にした。
「殿下、ありとあらゆる検査をいたしましたが、セイラ様がどうしてここまで弱られているのか、全く原因が分かりません。ただ、ありとあらゆる臓器の機能が低下しております。心臓さえも弱っております。公爵家専属の医師が診察した通り、よくて後3ヶ月というところでしょう」
困り顔の医師団たち。どんなに精密な機械を使っても、優秀な医師を集めても、私の病気は治せない。私は恋煩いにかかっているのだから。もしこの病気を治せるとしたら、それはロイド様だけだ。
「ロイド様、お気持ちは嬉しいのですが、私は不治の病に侵されております。治療法は全くと言っていいほどないのです。ですからどうか、もうそっとしておいてください。私は残りの人生を、ひっそりと生きたいのです」
もう私のせいで、あなたの貴重な時間を奪いたくはない。どうか私の事は忘れて、ミーア様と幸せになって欲しい。
「近いうちに婚約解消届をまた準備して、父経由で王宮にお届けいたしますね。ロイド様も公務があるでしょうから、どうかもうお戻りください」
すっと立ち上がり、頭を下げた。
最後にもう一度、ロイド様の顔を見られてよかったわ。そんな思いで、にっこりとほほ笑んだ。
「今日はもう帰るよ。セイラ、また来るから」
そう言い残すと、ロイド様は帰って行った。また来るか…どこまでも律儀な方ね。
「お父様が帰ってきたら伝えてくれるかしら?“もうロイド様には気を使ってもらう必要はない。わざわざ我が家を訪ねてきてもらわなくてもよい”と。それから、婚約解消届を新たに持ってきて。今すぐ書くから」
「かしこまりました」
再び私は婚約解消届にサインをし、執事に託した。明日お父様が、殿下の元にこの届を持って行ってくれるだろう。
さすがにここまでしたのだ、ロイド様がもう、我が家を訪ねてくることはない、そう思っていた。
翌日
「今日は天気がいいから、中庭でお茶をしたいの。準備をしてくれるかしら」
「はい、すぐに準備を整えます」
使用人たちが、中庭にソファを準備してくれた。今日は少し冷えるが、それでもお日様の光が気持ちいい。午前中は弁護士を呼び、遺言書の準備もした。体が動くうちに、出来るだけの事はやっておきたい。そう思っている。
こうやって中庭でお茶が出来るのも、あとどれくらいかしら?
雲一つない青空をみつめながら、お茶を頂く。そっと立ち上がり、バラを一輪切り、テーブルに飾った。
平和ね…
「お嬢様、ロイド殿下がお見えになられております」
「え?またロイド様が」
おかしいわね、今日お父様経由で伝えたのだけれど。まさか婚約解消届を持ってきてくれたのかしら?どんな理由であれ、わざわざ来てくれたのだ。
会わない訳にはいかない。
そう思い、立ち上がろうとした時だった。
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