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第14話:ロイド様が訪ねてきました
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「お嬢様、体調はいかがですか?今日から王宮に行く必要はありません。どうか心穏やかにお過ごしください」
ロイド様に婚約解消を申し出た翌日。朝からメイドたちが、私を気遣ってくれる。恥ずかしい事に昨日、あの場で吐血してしまい、途中退場という事態になってしまった。
執事経由でお父様から、“陛下には婚約解消届を渡しておいたから、近々受理されるだろう”との事だ。これでやっと、ロイド様とミーア様は結ばれるのだろう。
出来れば私が生きている間は、ロイド様とミーア様が婚約したという知らせは、聞きたくないな…
ふらつく体を起こし、窓の外を眺めた。今日もいい天気だ。
「今日は少しものを整理したいの、ロイド様から頂いた品の入っている箱を持ってきてくれる?」
「でもあの箱は…」
「大丈夫よ、最後だと思ったら見られるわ」
ロイド様から頂いたプレゼントが入った箱を取り出し、そっと蓋を開けた。
「やっぱり私には、刺激が強すぎるわ…」
そっと箱を閉じた。なぜかロイド様は、私の苦手な爬虫類を連想させるものをプレゼントしてくださるのだ。
金色に輝く蛇の抜け殻、蛇の皮を使ったバック、金色のカエルの置物など。見た瞬間、悲鳴をあげそうになったのを必死に堪えた。
正直これは嫌がらせかしら?そう思ったが、せっかく贈ってくれたのだから、文句は言えない。ただ、見るのも無理なので、そっと箱にしまってあったのだ。
「お嬢様、これらの品々は私共が処分いたします。それにしても、殿下はどうしてこのような物をお嬢様に…お嬢様は子供の頃、ピクニックで大きな蛇がカエルを捕食している姿をご覧になってから、爬虫類が大の苦手だというのに…」
「ロイド様は私が爬虫類が苦手という事を、ご存じないのよ」
とはいえ、普通令嬢に、この様な物を贈らないだろう。きっと私の事が嫌いという、ロイド様の意思表示なのだ。
「とにかくこの箱は、処分いたしますね」
「待って、これらの品々は、私が亡くなった後処分してくれる?私が生きている間は、残しておいて欲しいの」
「しかし…」
「私ね、これでもロイド様が大好きなの。たとえ一生振り向いてもらえなくても、嫌がらせでこの様な物を贈って来たのだとしても、それでも私の事を考えて選んでくださったという事が嬉しいのよ。だからお願い」
命を落とすまで恋焦がれるほど大好きだった人だ。たとえどんなものでも、ロイド様が私の為に贈って下さったものは、残しておきたいのだ。
ロイド様の事を考えると、途端に胸が苦しくなった。会いたくてたまらない、たとえ嫌われていても、彼の顔を見るだけで私は幸せなのだ。でも、もうその願いも叶わないだろう。
私はここで、ロイド様を思いながら静かに息を引き取るのだ。お父様を思い、息を引き取ったお母様の様に。
「少し苦しくなってきたわ」
一気に息苦しくなり、そのままベッドに入った。
私が苦しみだした事で、メイドたちも大慌て。この子たちにも、随分と迷惑をかけてしまったわ。私が亡くなったら、私の個人財産は、この子達に分配してもらえる様に遺言書を残しておこう。
正直後3ヶ月も生きられる気がしない。お母様は亡くなる1週間前位から、ほぼベッドから起き上がれなくなっていた。私もきっと、近いうちに起き上がる事も出来なくなるだろう。
そうなる前に、やっておきたい事をすべてやりたい。最期の時を迎える瞬間、悔いなく逝けるように。
「失礼いたします。お嬢様、ロイド殿下がいらしております」
「ロイド様が?わかったわ、すぐに行くわね。すぐに着替えをさせて頂戴」
さすがにロイド様に会うのに、ワンピースでは申し訳ない。薬を飲み、急いで着替えを済ませた。
そしてロイド様の待つ客間へと向かった。
「お待たせして申し訳ございません。わざわざ足を運んでいただき、ありがとうございます。ですが私はもう、余命あとわずかですから、どうか私の事は気にしないで下さい」
まさかロイド様のお顔をもう一度見られるだなんて、思わなかった。嬉しくてたまらない。でも、いつまでもロイド様を縛り付けておく訳にはいかない事も、分かっている。
だからこそ、もうロイド様には私の事を気にせず、愛する人と生きて欲しいのだ。
「セイラ、顔色が良くないね。わざわざドレスに着替えなくてもいいよ。これからはどうか、ラフな格好でいてくれ。それからこれ」
ロイド様が机に置いたのは、婚約解消届だ。
「わざわざお持ちいただけたのですか?ありがとうございます。早速提出しておきますね」
律儀なロイド様は、婚約解消届を持ってきてくれた様だ。
「いいや、このまま出しても、受理はされないよ。僕の欄が白紙だからね。この紙を提出するつもりはない。君の命が尽きるその瞬間まで、僕の婚約者でいて欲しい。それを伝えに来たのだよ。だからこれは、もう必要ない」
その場で婚約解消届を、ビリビリに破いてしまったのだ。
この人は何を考えているの?どうしてその様な事を?
ロイド様に婚約解消を申し出た翌日。朝からメイドたちが、私を気遣ってくれる。恥ずかしい事に昨日、あの場で吐血してしまい、途中退場という事態になってしまった。
執事経由でお父様から、“陛下には婚約解消届を渡しておいたから、近々受理されるだろう”との事だ。これでやっと、ロイド様とミーア様は結ばれるのだろう。
出来れば私が生きている間は、ロイド様とミーア様が婚約したという知らせは、聞きたくないな…
ふらつく体を起こし、窓の外を眺めた。今日もいい天気だ。
「今日は少しものを整理したいの、ロイド様から頂いた品の入っている箱を持ってきてくれる?」
「でもあの箱は…」
「大丈夫よ、最後だと思ったら見られるわ」
ロイド様から頂いたプレゼントが入った箱を取り出し、そっと蓋を開けた。
「やっぱり私には、刺激が強すぎるわ…」
そっと箱を閉じた。なぜかロイド様は、私の苦手な爬虫類を連想させるものをプレゼントしてくださるのだ。
金色に輝く蛇の抜け殻、蛇の皮を使ったバック、金色のカエルの置物など。見た瞬間、悲鳴をあげそうになったのを必死に堪えた。
正直これは嫌がらせかしら?そう思ったが、せっかく贈ってくれたのだから、文句は言えない。ただ、見るのも無理なので、そっと箱にしまってあったのだ。
「お嬢様、これらの品々は私共が処分いたします。それにしても、殿下はどうしてこのような物をお嬢様に…お嬢様は子供の頃、ピクニックで大きな蛇がカエルを捕食している姿をご覧になってから、爬虫類が大の苦手だというのに…」
「ロイド様は私が爬虫類が苦手という事を、ご存じないのよ」
とはいえ、普通令嬢に、この様な物を贈らないだろう。きっと私の事が嫌いという、ロイド様の意思表示なのだ。
「とにかくこの箱は、処分いたしますね」
「待って、これらの品々は、私が亡くなった後処分してくれる?私が生きている間は、残しておいて欲しいの」
「しかし…」
「私ね、これでもロイド様が大好きなの。たとえ一生振り向いてもらえなくても、嫌がらせでこの様な物を贈って来たのだとしても、それでも私の事を考えて選んでくださったという事が嬉しいのよ。だからお願い」
命を落とすまで恋焦がれるほど大好きだった人だ。たとえどんなものでも、ロイド様が私の為に贈って下さったものは、残しておきたいのだ。
ロイド様の事を考えると、途端に胸が苦しくなった。会いたくてたまらない、たとえ嫌われていても、彼の顔を見るだけで私は幸せなのだ。でも、もうその願いも叶わないだろう。
私はここで、ロイド様を思いながら静かに息を引き取るのだ。お父様を思い、息を引き取ったお母様の様に。
「少し苦しくなってきたわ」
一気に息苦しくなり、そのままベッドに入った。
私が苦しみだした事で、メイドたちも大慌て。この子たちにも、随分と迷惑をかけてしまったわ。私が亡くなったら、私の個人財産は、この子達に分配してもらえる様に遺言書を残しておこう。
正直後3ヶ月も生きられる気がしない。お母様は亡くなる1週間前位から、ほぼベッドから起き上がれなくなっていた。私もきっと、近いうちに起き上がる事も出来なくなるだろう。
そうなる前に、やっておきたい事をすべてやりたい。最期の時を迎える瞬間、悔いなく逝けるように。
「失礼いたします。お嬢様、ロイド殿下がいらしております」
「ロイド様が?わかったわ、すぐに行くわね。すぐに着替えをさせて頂戴」
さすがにロイド様に会うのに、ワンピースでは申し訳ない。薬を飲み、急いで着替えを済ませた。
そしてロイド様の待つ客間へと向かった。
「お待たせして申し訳ございません。わざわざ足を運んでいただき、ありがとうございます。ですが私はもう、余命あとわずかですから、どうか私の事は気にしないで下さい」
まさかロイド様のお顔をもう一度見られるだなんて、思わなかった。嬉しくてたまらない。でも、いつまでもロイド様を縛り付けておく訳にはいかない事も、分かっている。
だからこそ、もうロイド様には私の事を気にせず、愛する人と生きて欲しいのだ。
「セイラ、顔色が良くないね。わざわざドレスに着替えなくてもいいよ。これからはどうか、ラフな格好でいてくれ。それからこれ」
ロイド様が机に置いたのは、婚約解消届だ。
「わざわざお持ちいただけたのですか?ありがとうございます。早速提出しておきますね」
律儀なロイド様は、婚約解消届を持ってきてくれた様だ。
「いいや、このまま出しても、受理はされないよ。僕の欄が白紙だからね。この紙を提出するつもりはない。君の命が尽きるその瞬間まで、僕の婚約者でいて欲しい。それを伝えに来たのだよ。だからこれは、もう必要ない」
その場で婚約解消届を、ビリビリに破いてしまったのだ。
この人は何を考えているの?どうしてその様な事を?
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