余命3ヶ月を言われたので静かに余生を送ろうと思ったのですが…大好きな殿下に溺愛されました

Karamimi

文字の大きさ
上 下
14 / 46

第14話:ロイド様が訪ねてきました

しおりを挟む
「お嬢様、体調はいかがですか?今日から王宮に行く必要はありません。どうか心穏やかにお過ごしください」

 ロイド様に婚約解消を申し出た翌日。朝からメイドたちが、私を気遣ってくれる。恥ずかしい事に昨日、あの場で吐血してしまい、途中退場という事態になってしまった。

 執事経由でお父様から、“陛下には婚約解消届を渡しておいたから、近々受理されるだろう”との事だ。これでやっと、ロイド様とミーア様は結ばれるのだろう。

 出来れば私が生きている間は、ロイド様とミーア様が婚約したという知らせは、聞きたくないな…

 ふらつく体を起こし、窓の外を眺めた。今日もいい天気だ。

「今日は少しものを整理したいの、ロイド様から頂いた品の入っている箱を持ってきてくれる?」

「でもあの箱は…」

「大丈夫よ、最後だと思ったら見られるわ」

 ロイド様から頂いたプレゼントが入った箱を取り出し、そっと蓋を開けた。

「やっぱり私には、刺激が強すぎるわ…」

 そっと箱を閉じた。なぜかロイド様は、私の苦手な爬虫類を連想させるものをプレゼントしてくださるのだ。

 金色に輝く蛇の抜け殻、蛇の皮を使ったバック、金色のカエルの置物など。見た瞬間、悲鳴をあげそうになったのを必死に堪えた。

 正直これは嫌がらせかしら?そう思ったが、せっかく贈ってくれたのだから、文句は言えない。ただ、見るのも無理なので、そっと箱にしまってあったのだ。

「お嬢様、これらの品々は私共が処分いたします。それにしても、殿下はどうしてこのような物をお嬢様に…お嬢様は子供の頃、ピクニックで大きな蛇がカエルを捕食している姿をご覧になってから、爬虫類が大の苦手だというのに…」

「ロイド様は私が爬虫類が苦手という事を、ご存じないのよ」

 とはいえ、普通令嬢に、この様な物を贈らないだろう。きっと私の事が嫌いという、ロイド様の意思表示なのだ。

「とにかくこの箱は、処分いたしますね」

「待って、これらの品々は、私が亡くなった後処分してくれる?私が生きている間は、残しておいて欲しいの」

「しかし…」

「私ね、これでもロイド様が大好きなの。たとえ一生振り向いてもらえなくても、嫌がらせでこの様な物を贈って来たのだとしても、それでも私の事を考えて選んでくださったという事が嬉しいのよ。だからお願い」

 命を落とすまで恋焦がれるほど大好きだった人だ。たとえどんなものでも、ロイド様が私の為に贈って下さったものは、残しておきたいのだ。

 ロイド様の事を考えると、途端に胸が苦しくなった。会いたくてたまらない、たとえ嫌われていても、彼の顔を見るだけで私は幸せなのだ。でも、もうその願いも叶わないだろう。

 私はここで、ロイド様を思いながら静かに息を引き取るのだ。お父様を思い、息を引き取ったお母様の様に。

「少し苦しくなってきたわ」

 一気に息苦しくなり、そのままベッドに入った。

 私が苦しみだした事で、メイドたちも大慌て。この子たちにも、随分と迷惑をかけてしまったわ。私が亡くなったら、私の個人財産は、この子達に分配してもらえる様に遺言書を残しておこう。

 正直後3ヶ月も生きられる気がしない。お母様は亡くなる1週間前位から、ほぼベッドから起き上がれなくなっていた。私もきっと、近いうちに起き上がる事も出来なくなるだろう。

 そうなる前に、やっておきたい事をすべてやりたい。最期の時を迎える瞬間、悔いなく逝けるように。

「失礼いたします。お嬢様、ロイド殿下がいらしております」

「ロイド様が?わかったわ、すぐに行くわね。すぐに着替えをさせて頂戴」

 さすがにロイド様に会うのに、ワンピースでは申し訳ない。薬を飲み、急いで着替えを済ませた。

 そしてロイド様の待つ客間へと向かった。

「お待たせして申し訳ございません。わざわざ足を運んでいただき、ありがとうございます。ですが私はもう、余命あとわずかですから、どうか私の事は気にしないで下さい」

 まさかロイド様のお顔をもう一度見られるだなんて、思わなかった。嬉しくてたまらない。でも、いつまでもロイド様を縛り付けておく訳にはいかない事も、分かっている。

 だからこそ、もうロイド様には私の事を気にせず、愛する人と生きて欲しいのだ。

「セイラ、顔色が良くないね。わざわざドレスに着替えなくてもいいよ。これからはどうか、ラフな格好でいてくれ。それからこれ」

 ロイド様が机に置いたのは、婚約解消届だ。

「わざわざお持ちいただけたのですか?ありがとうございます。早速提出しておきますね」

 律儀なロイド様は、婚約解消届を持ってきてくれた様だ。

「いいや、このまま出しても、受理はされないよ。僕の欄が白紙だからね。この紙を提出するつもりはない。君の命が尽きるその瞬間まで、僕の婚約者でいて欲しい。それを伝えに来たのだよ。だからこれは、もう必要ない」

 その場で婚約解消届を、ビリビリに破いてしまったのだ。

 この人は何を考えているの?どうしてその様な事を?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約者は義妹の方が大切なので、ふたりが結婚できるようにしてあげようと思います。

櫻井みこと
恋愛
侯爵家令嬢アデラの幼い頃からの婚約者であるレナードは、いつしか義妹ばかり優先するようになっていた。まだ家族になったばかりなのだから、時間が必要なのだろう。アデラはそう思って、婚約者同士のお茶会に義妹が乱入してきても、デートの約束を一方的にキャンセルされても、静かに見守っていた。 けれどある日、アデラはふたりの会話を聞いてしまう。それはアデラを蔑ろにし、ふたりで愛し合っているかのような内容の、酷いものだった。 そんなに義妹が好きなら、彼女と結婚すればいい。 そう思ったアデラは、彼らを後押しするために動き出した。 ※以前掲載した短編の、長編版です。

【完結】恋は、終わったのです

楽歩
恋愛
幼い頃に決められた婚約者、セオドアと共に歩む未来。それは決定事項だった。しかし、いつしか冷たい現実が訪れ、彼の隣には別の令嬢の笑顔が輝くようになる。 今のような関係になったのは、いつからだったのだろう。 『分からないだろうな、お前のようなでかくて、エマのように可愛げのない女には』 身長を追い越してしまった時からだろうか。  それとも、特進クラスに私だけが入った時だろうか。 あるいは――あの子に出会った時からだろうか。 ――それでも、リディアは平然を装い続ける。胸に秘めた思いを隠しながら。

王太子殿下はきっと私を愛していない。

haruno
恋愛
王太子殿下の婚約者に選ばれた私。 しかし殿下は噂とは程遠い厳しい人で、私に仕事を押し付けてくる。 それでも諦めずに努力をするも、殿下の秘書が私を妬んでいるようで……

【完結】あなたは知らなくていいのです

楽歩
恋愛
無知は不幸なのか、全てを知っていたら幸せなのか  セレナ・ホフマン伯爵令嬢は3人いた王太子の婚約者候補の一人だった。しかし王太子が選んだのは、ミレーナ・アヴリル伯爵令嬢。婚約者候補ではなくなったセレナは、王太子の従弟である公爵令息の婚約者になる。誰にも関心を持たないこの令息はある日階段から落ち… え?転生者?私を非難している者たちに『ざまぁ』をする?この目がキラキラの人はいったい… でも、婚約者様。ふふ、少し『ざまぁ』とやらが、甘いのではなくて?きっと私の方が上手ですわ。 知らないからー幸せか、不幸かーそれは、セレナ・ホフマン伯爵令嬢のみぞ知る ※誤字脱字、勉強不足、名前間違いなどなど、どうか温かい目でm(_ _"m)

お認めください、あなたは彼に選ばれなかったのです

めぐめぐ
恋愛
騎士である夫アルバートは、幼馴染みであり上官であるレナータにいつも呼び出され、妻であるナディアはあまり夫婦の時間がとれていなかった。 さらにレナータは、王命で結婚したナディアとアルバートを可哀想だと言い、自分と夫がどれだけ一緒にいたか、ナディアの知らない小さい頃の彼を知っているかなどを自慢げに話してくる。 しかしナディアは全く気にしていなかった。 何故なら、どれだけアルバートがレナータに呼び出されても、必ず彼はナディアの元に戻ってくるのだから―― 偽物サバサバ女が、ちょっと天然な本物のサバサバ女にやられる話。 ※頭からっぽで ※思いつきで書き始めたので、つたない設定等はご容赦ください。 ※夫婦仲は良いです ※私がイメージするサバ女子です(笑) ※第18回恋愛小説大賞で奨励賞頂きました! 応援いただいた皆さま、お読みいただいた皆さま、ありがとうございました♪

【完結】愛しき冷血宰相へ別れの挨拶を

川上桃園
恋愛
「どうかもう私のことはお忘れください。閣下の幸せを、遠くから見守っております」  とある国で、宰相閣下が結婚するという新聞記事が出た。  これを見た地方官吏のコーデリアは突如、王都へ旅立った。亡き兄の友人であり、年上の想い人でもある「彼」に別れを告げるために。  だが目当ての宰相邸では使用人に追い返されて途方に暮れる。そこに出くわしたのは、彼と結婚するという噂の美しき令嬢の姿だった――。  これは、冷血宰相と呼ばれた彼の結婚を巡る、恋のから騒ぎ。最後はハッピーエンドで終わるめでたしめでたしのお話です。 第22回書き出し祭り参加作品 2025.1.26 女性向けホトラン1位ありがとうございます 2025.2.14 後日談を投稿しました

これ以上私の心をかき乱さないで下さい

Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。 そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。 そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが “君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない” そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。 そこでユーリを待っていたのは…

【完結】愛しの婚約者に「学園では距離を置こう」と言われたので、婚約破棄を画策してみた

迦陵 れん
恋愛
「学園にいる間は、君と距離をおこうと思う」  待ちに待った定例茶会のその席で、私の大好きな婚約者は唐突にその言葉を口にした。 「え……あの、どうし……て?」  あまりの衝撃に、上手く言葉が紡げない。  彼にそんなことを言われるなんて、夢にも思っていなかったから。 ーーーーーーーーーーーーー  侯爵令嬢ユリアの婚約は、仲の良い親同士によって、幼い頃に結ばれたものだった。  吊り目でキツい雰囲気を持つユリアと、女性からの憧れの的である婚約者。  自分たちが不似合いであることなど、とうに分かっていることだった。  だから──学園にいる間と言わず、彼を自分から解放してあげようと思ったのだ。  婚約者への淡い恋心は、心の奥底へとしまいこんで……。 ※基本的にゆるふわ設定です。 ※プロット苦手派なので、話が右往左往するかもしれません。→故に、タグは徐々に追加していきます ※感想に返信してると執筆が進まないという鈍足仕様のため、返事は期待しないで貰えるとありがたいです。 ※仕事が休みの日のみの執筆になるため、毎日は更新できません……(書きだめできた時だけします)ご了承くださいませ。 ※※しれっと短編から長編に変更しました。(だって絶対終わらないと思ったから!)  

処理中です...