12 / 46
第12話:彼女の為に出来る事~ロイド視点~
しおりを挟む
僕の婚約者になったセイラは、毎日王宮に通った。どうやらセイラは、王妃教育がうまく行っていない様で、教育係から何度も叱責を受けていた。
人目を避けて泣いている姿を何度も目撃した。僕と婚約したばかりに、セイラが泣いている。それが辛くて苦しくてたまらなかった。
僕がセイラに出来る事は、一体なんだろう。そう考えた結果、極力彼女に関わらない事。せめて愛するラファエルとの時間を確保してあげる事。そう考えた僕は、極力セイラとの関りを避けようとした。
でも僕は、セイラが大好きだ。セイラの気持ちを知ってからも、僕の気持ちが色あせる事はない。
いいや、むしろ増々セイラの事が好きになっていく。セイラとの時間を少しでも取りたくて、毎日1時間お茶をする事を義務付けた。
この時間だけは、セイラと一緒にいられる貴重な時間。でも、セイラにとってこの1時間は、きっと苦痛でしかないだろう。そう思うと、上手くセイラに話し掛けられない。
本当はもっと傍にいたい、彼女の笑顔が見たい、隣で笑っていたい、そんな思いを抱きつつも、それは決して叶わない夢。
せめてセイラの好きな物を準備してあげたい、でも僕は、セイラの事を何も知らない。そこで僕は、ミーア嬢にセイラについて色々と相談した。
ミーアは僕に協力的で、セイラの好みを色々と教えてくれた。セイラは意外とワイルドで、蛇やカエルを好んでいるとの事。
彼女の誕生日には、大きな蛇の皮をプレゼントした。セイラ、喜んでくれているかな?ただ、セイラはプレゼントを受け取った瞬間、顔を引きつらせていた。
もしかして、愛するラファエルから受け取りたかったのかな?そう思い、落ち込んだ。それでも僕は、めげずにセイラが喜ぶプレゼント送り続けたが、どれも反応は微妙だった。
やはり僕からのプレゼントは、嬉しくないのだろう。
いっその事、婚約を解消してセイラを自由にしてあげたら…
いいや、無理だ。たとえセイラが僕を愛していなくても、僕はセイラと一緒にいたい。彼女と離れるくらいなら、僕は…
どんどん心が荒んでいく僕だったが、それでも僕は王太子だ。公務だけは完璧にこなした。上辺だけの貴族との付き合いも、上手くこなしていく。恋敵でもあるラファエルとも、それなりの関係を築いている。
「殿下、こちらの書類も目を通しておいてください」
いつもの様に、ラファエルが書類を置きにやってきた。相変わらず、表情一つ変えないこの男。
それでもセイラは、彼を愛している。
「ラファエルはいいね…僕は君になりたいよ」
ポツリと本音が漏れてしまった。ゆっくりこちらを向いたラファエル。
「殿下。何をおっしゃっているのですか?…私も代われるなら代りたいです」
切なそうに呟くラファエル。そうか、こいつもセイラが好きなんだよな。お互い愛し合っているのに、結ばれないのも辛いよな。
セイラ…
いっその事、ラファエルを排除してしまえば、セイラは僕の方に気持ちが動くかな?でも、ただでさえセイラは、王宮で辛い思いをしているのだ。唯一の心の支えでもある、ラファエルを失ったら…
悩んだ末、ミーア嬢に相談した。すると
「ラファエル様はセイラ様にとって、心の支えの様な方です。どうかセイラ様の為にも、ラファエル様を傍に置いて下さい」
そう言われたのだ。やはりセイラの事を考えると、ラファエルを排除するのは良くないか…
悩んだすえ、ラファエルをこのまま傍に置く事にした。それがどんなに僕にとって辛い事でも、セイラが少しでも喜んでくれるなら…それが僕にできる事だから。
セイラ、君が僕の事を好いていない事は知っている。だから僕は、君からラファエルを奪う事はしないよ。ラファエルとたくさん話をしてもいい、だからどうか、僕の傍にいて欲しい。
たとえ心が通じ合わなくても、それでも僕は君が大好きで傍にいて欲しいから…
でもいつか、もし願いが叶うのなら、僕の事も見てくれると嬉しいな…
人目を避けて泣いている姿を何度も目撃した。僕と婚約したばかりに、セイラが泣いている。それが辛くて苦しくてたまらなかった。
僕がセイラに出来る事は、一体なんだろう。そう考えた結果、極力彼女に関わらない事。せめて愛するラファエルとの時間を確保してあげる事。そう考えた僕は、極力セイラとの関りを避けようとした。
でも僕は、セイラが大好きだ。セイラの気持ちを知ってからも、僕の気持ちが色あせる事はない。
いいや、むしろ増々セイラの事が好きになっていく。セイラとの時間を少しでも取りたくて、毎日1時間お茶をする事を義務付けた。
この時間だけは、セイラと一緒にいられる貴重な時間。でも、セイラにとってこの1時間は、きっと苦痛でしかないだろう。そう思うと、上手くセイラに話し掛けられない。
本当はもっと傍にいたい、彼女の笑顔が見たい、隣で笑っていたい、そんな思いを抱きつつも、それは決して叶わない夢。
せめてセイラの好きな物を準備してあげたい、でも僕は、セイラの事を何も知らない。そこで僕は、ミーア嬢にセイラについて色々と相談した。
ミーアは僕に協力的で、セイラの好みを色々と教えてくれた。セイラは意外とワイルドで、蛇やカエルを好んでいるとの事。
彼女の誕生日には、大きな蛇の皮をプレゼントした。セイラ、喜んでくれているかな?ただ、セイラはプレゼントを受け取った瞬間、顔を引きつらせていた。
もしかして、愛するラファエルから受け取りたかったのかな?そう思い、落ち込んだ。それでも僕は、めげずにセイラが喜ぶプレゼント送り続けたが、どれも反応は微妙だった。
やはり僕からのプレゼントは、嬉しくないのだろう。
いっその事、婚約を解消してセイラを自由にしてあげたら…
いいや、無理だ。たとえセイラが僕を愛していなくても、僕はセイラと一緒にいたい。彼女と離れるくらいなら、僕は…
どんどん心が荒んでいく僕だったが、それでも僕は王太子だ。公務だけは完璧にこなした。上辺だけの貴族との付き合いも、上手くこなしていく。恋敵でもあるラファエルとも、それなりの関係を築いている。
「殿下、こちらの書類も目を通しておいてください」
いつもの様に、ラファエルが書類を置きにやってきた。相変わらず、表情一つ変えないこの男。
それでもセイラは、彼を愛している。
「ラファエルはいいね…僕は君になりたいよ」
ポツリと本音が漏れてしまった。ゆっくりこちらを向いたラファエル。
「殿下。何をおっしゃっているのですか?…私も代われるなら代りたいです」
切なそうに呟くラファエル。そうか、こいつもセイラが好きなんだよな。お互い愛し合っているのに、結ばれないのも辛いよな。
セイラ…
いっその事、ラファエルを排除してしまえば、セイラは僕の方に気持ちが動くかな?でも、ただでさえセイラは、王宮で辛い思いをしているのだ。唯一の心の支えでもある、ラファエルを失ったら…
悩んだ末、ミーア嬢に相談した。すると
「ラファエル様はセイラ様にとって、心の支えの様な方です。どうかセイラ様の為にも、ラファエル様を傍に置いて下さい」
そう言われたのだ。やはりセイラの事を考えると、ラファエルを排除するのは良くないか…
悩んだすえ、ラファエルをこのまま傍に置く事にした。それがどんなに僕にとって辛い事でも、セイラが少しでも喜んでくれるなら…それが僕にできる事だから。
セイラ、君が僕の事を好いていない事は知っている。だから僕は、君からラファエルを奪う事はしないよ。ラファエルとたくさん話をしてもいい、だからどうか、僕の傍にいて欲しい。
たとえ心が通じ合わなくても、それでも僕は君が大好きで傍にいて欲しいから…
でもいつか、もし願いが叶うのなら、僕の事も見てくれると嬉しいな…
1,001
お気に入りに追加
2,898
あなたにおすすめの小説

偽りの愛に終止符を
甘糖むい
恋愛
政略結婚をして3年。あらかじめ決められていた3年の間に子供が出来なければ離婚するという取り決めをしていたエリシアは、仕事で忙しいく言葉を殆ど交わすことなく離婚の日を迎えた。屋敷を追い出されてしまえば行くところなどない彼女だったがこれからについて話合うつもりでヴィンセントの元を訪れる。エリシアは何かが変わるかもしれないと一抹の期待を胸に抱いていたが、夫のヴィンセントは「好きにしろ」と一言だけ告げてエリシアを見ることなく彼女を追い出してしまう。
私の容姿は中の下だと、婚約者が話していたのを小耳に挟んでしまいました
山田ランチ
恋愛
想い合う二人のすれ違いラブストーリー。
※以前掲載しておりましたものを、加筆の為再投稿致しました。お読み下さっていた方は重複しますので、ご注意下さいませ。
コレット・ロシニョール 侯爵家令嬢。ジャンの双子の姉。
ジャン・ロシニョール 侯爵家嫡男。コレットの双子の弟。
トリスタン・デュボワ 公爵家嫡男。コレットの婚約者。
クレマン・ルゥセーブル・ジハァーウ、王太子。
シモン・ノアイユ 辺境伯家嫡男。コレットの従兄。
ルネ ロシニョール家の侍女でコレット付き。
シルヴィー・ペレス 子爵令嬢。
〈あらすじ〉
コレットは愛しの婚約者が自分の容姿について話しているのを聞いてしまう。このまま大好きな婚約者のそばにいれば疎まれてしまうと思ったコレットは、親類の領地へ向かう事に。そこで新しい商売を始めたコレットは、知らない間に国の重要人物になってしまう。そしてトリスタンにも女性の影が見え隠れして……。
ジレジレ、すれ違いラブストーリー

完結 女性に興味が無い侯爵様 私は自由に生きます。
ヴァンドール
恋愛
私は絵を描いて暮らせるならそれだけで幸せ!
そんな私に好都合な相手が。
女性に興味が無く仕事一筋で冷徹と噂の侯爵様との縁談が。 ただ面倒くさい従妹という令嬢がもれなく
付いてきました。

えっ「可愛いだけの無能な妹」って私のことですか?~自業自得で追放されたお姉様が戻ってきました。この人ぜんぜん反省してないんですけど~
村咲
恋愛
ずっと、国のために尽くしてきた。聖女として、王太子の婚約者として、ただ一人でこの国にはびこる瘴気を浄化してきた。
だけど国の人々も婚約者も、私ではなく妹を選んだ。瘴気を浄化する力もない、可愛いだけの無能な妹を。
私がいなくなればこの国は瘴気に覆いつくされ、荒れ果てた不毛の地となるとも知らず。
……と思い込む、国外追放されたお姉様が戻ってきた。
しかも、なにを血迷ったか隣国の皇子なんてものまで引き連れて。
えっ、私が王太子殿下や国の人たちを誘惑した? 嘘でお姉様の悪評を立てた?
いやいや、悪評が立ったのも追放されたのも、全部あなたの自業自得ですからね?
【完結】妖精姫と忘れられた恋~好きな人が結婚するみたいなので解放してあげようと思います~
塩羽間つづり
恋愛
お気に入り登録やエールいつもありがとうございます!
2.23完結しました!
ファルメリア王国の姫、メルティア・P・ファルメリアは、幼いころから恋をしていた。
相手は幼馴染ジーク・フォン・ランスト。
ローズの称号を賜る名門一族の次男だった。
幼いころの約束を信じ、いつかジークと結ばれると思っていたメルティアだが、ジークが結婚すると知り、メルティアの生活は一変する。
好きになってもらえるように慣れないお化粧をしたり、着飾ったりしてみたけれど反応はいまいち。
そしてだんだんと、メルティアは恋の邪魔をしているのは自分なのではないかと思いあたる。
それに気づいてから、メルティアはジークの幸せのためにジーク離れをはじめるのだが、思っていたようにはいかなくて……?
妖精が見えるお姫様と近衛騎士のすれ違う恋のお話
切なめ恋愛ファンタジー

騎士の妻ではいられない
Rj
恋愛
騎士の娘として育ったリンダは騎士とは結婚しないと決めていた。しかし幼馴染みで騎士のイーサンと結婚したリンダ。結婚した日に新郎は非常召集され、新婦のリンダは結婚を祝う宴に一人残された。二年目の結婚記念日に戻らない夫を待つリンダはもう騎士の妻ではいられないと心を決める。
全23話。
2024/1/29 全体的な加筆修正をしました。話の内容に変わりはありません。
イーサンが主人公の続編『騎士の妻でいてほしい 』(https://www.alphapolis.co.jp/novel/96163257/36727666)があります。
【完結】恋は、終わったのです
楽歩
恋愛
幼い頃に決められた婚約者、セオドアと共に歩む未来。それは決定事項だった。しかし、いつしか冷たい現実が訪れ、彼の隣には別の令嬢の笑顔が輝くようになる。
今のような関係になったのは、いつからだったのだろう。
『分からないだろうな、お前のようなでかくて、エマのように可愛げのない女には』
身長を追い越してしまった時からだろうか。
それとも、特進クラスに私だけが入った時だろうか。
あるいは――あの子に出会った時からだろうか。
――それでも、リディアは平然を装い続ける。胸に秘めた思いを隠しながら。

【完結】で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?
Debby
恋愛
キャナリィ・ウィスタリア侯爵令嬢とクラレット・メイズ伯爵令嬢は困惑していた。
最近何故か良く目にする平民の生徒──エボニーがいる。
とても可愛らしい女子生徒であるが視界の隅をウロウロしていたりジッと見られたりするため嫌でも目に入る。立場的に視線を集めることも多いため、わざわざ声をかけることでも無いと放置していた。
クラレットから自分に任せて欲しいと言われたことも理由のひとつだ。
しかし一度だけ声をかけたことを皮切りに身に覚えの無い噂が学園内を駆け巡る。
次期フロスティ公爵夫人として日頃から所作にも気を付けているキャナリィはそのような噂を信じられてしまうなんてと反省するが、それはキャナリィが婚約者であるフロスティ公爵令息のジェードと仲の良いエボニーに嫉妬しての所業だと言われ──
「私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
そう問うたキャナリィは
「それはこちらの台詞だ。どうしてエボニーを執拗に苛めるのだ」
逆にジェードに問い返されたのだった。
★★★★★★
覗いて下さりありがとうございます。
女性向けHOTランキングで最高20位までいくことができました。(本編)
沢山の方に読んでいただけて嬉しかったので、続き?を書きました(*^^*)
★花言葉は「恋の勝利」
本編より過去→未来
ジェードとクラレットのお話
★ジェード様の憂鬱【読み切り】
ジェードの暗躍?(エボニーのお相手)のお話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる