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第6話:好きにさせてくれる様です
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緊張しながらお父様が来るのを待つ。
「やっぱりベッドの上でお父様を迎えるだなんて、よくないかしら?せめてソファに座った方が…」
「お嬢様は余命3ヶ月の重病に侵されているのです。ベッドのままで十分ですわ」
お医者様がそう言い放ったのだ。なんだかとげがある様ないい方なのが気になるが、お医者様がそう言ってくれているのだ。お言葉に甘えよう。
しばらく待っている、お父様がやって来た。私の姿を見るなり、大きく目を見開くと、そのまま視線を外したのだ。
相変わらず私に興味がないのだろう。
「ラファエル殿から、お前が吐血したと聞いた。体調でも悪いのか?」
俯きながらも、ポツリと呟いたお父様。
「お嬢様は奥様と同じ病に侵されております。既にかなり進行していた様で、後3ヶ月程度しか生きられないかと」
淡々と話すお医者様に対し、お父様はただ無表情で固まっている。
「お父様、私はあと3ヶ月で命を落とす運命です。どうか残りの余生は、ひっそりと生きさせては頂けないでしょうか?ロイド様との婚約も、すぐに解消したいと考えております。どのみち私は、王妃にはなれませんので」
役立たずな私は、残りの人生をひっそりと生きたいのだ。この3年、毎日王妃教育の為に王宮に通っていた。でも、それももうおしまいだ。もうロイド様とミーア様の姿を見て涙を流すことも、教育係にため息をつかれる事も、メイドたちの心無い噂話を聞く必要もない。
そう思うと、心が軽くなる。
「セイラがそうしたいのなら、私は何も言わない。明日にでも、陛下と王太子殿下に話しをしよう。それじゃあ、私はまだやり残した仕事があるから」
そう言うと、お父様は足早に部屋から去って行った。
「旦那様は、お嬢様の事が心配ではないのでしょうか?余命宣告をされたというのに…申し訳ございません。出過ぎた真似を」
「あなたが謝る必要はないわ。私の事を心配してくれて、ありがとう。お父様にとって私は、ただの政治の道具だから。道具として使えなくなった私を、屋敷に置いてくれるだけ有難いと思わないとね」
「気休めではありますが、この薬をお飲みください。少し体が楽になられます。奥様もよく飲んでいらっしゃいましたよ」
「お母様も飲んでいたのね。でも、もう私はこの家にとって、ただのお荷物でしかないから薬はいいわ。ただ、明日最後の話し合いの時だけ、薬を飲むわね。さすがに皆の前で、吐血する事は避けたいから」
「お嬢様は、何をおっしゃっているのですか?今でもかなり辛いはずです。少しでも楽になるのですから、どうかお飲みください」
そう言って私に薬を渡してきたお医者様。確かに胸が苦しいが、この苦しみにも慣れている。
この苦しみは、精神的な物だと思っていたけれど、まさか病気だったとは。
「お嬢様、お食事にしましょう。最近あまり召し上がられていないでしょう。まさかお病気だったとは。気が付かづに申し訳ございません。食べやすいスープや果物を準備いたしますね」
気が付くと辺りが暗くなっていた。こんな時間に屋敷にいるだなんて、新鮮ね。ロイド様と婚約を結んでからは、夜まで王宮にいるのが普通だった。居場所もないのに、夜まで王宮にいなければいけなかったのは、苦痛だったわ。
それでもロイド様と一緒に夕食を食べられたのは、幸せだった。ほとんど会話をする事はなかったけれど。
思い出せば思い出すほど、胸が締め付けられる。これは病気が原因?それとも気持ちの問題?どちらでもいいわ。私はもうすぐ、この世からいなくなるのだから。
スープと果物を頂き、メイドたちに支えられながら湯あみを済ませた。少し動くだけで、息切れを起こす。私、こんな状況で明日、話し合いが出来るのかしら?
どうしても無理だったら、手紙を書こう。そして婚約を解消してもらえばいいか。
そんな思いで、眠りについたのだった。
「やっぱりベッドの上でお父様を迎えるだなんて、よくないかしら?せめてソファに座った方が…」
「お嬢様は余命3ヶ月の重病に侵されているのです。ベッドのままで十分ですわ」
お医者様がそう言い放ったのだ。なんだかとげがある様ないい方なのが気になるが、お医者様がそう言ってくれているのだ。お言葉に甘えよう。
しばらく待っている、お父様がやって来た。私の姿を見るなり、大きく目を見開くと、そのまま視線を外したのだ。
相変わらず私に興味がないのだろう。
「ラファエル殿から、お前が吐血したと聞いた。体調でも悪いのか?」
俯きながらも、ポツリと呟いたお父様。
「お嬢様は奥様と同じ病に侵されております。既にかなり進行していた様で、後3ヶ月程度しか生きられないかと」
淡々と話すお医者様に対し、お父様はただ無表情で固まっている。
「お父様、私はあと3ヶ月で命を落とす運命です。どうか残りの余生は、ひっそりと生きさせては頂けないでしょうか?ロイド様との婚約も、すぐに解消したいと考えております。どのみち私は、王妃にはなれませんので」
役立たずな私は、残りの人生をひっそりと生きたいのだ。この3年、毎日王妃教育の為に王宮に通っていた。でも、それももうおしまいだ。もうロイド様とミーア様の姿を見て涙を流すことも、教育係にため息をつかれる事も、メイドたちの心無い噂話を聞く必要もない。
そう思うと、心が軽くなる。
「セイラがそうしたいのなら、私は何も言わない。明日にでも、陛下と王太子殿下に話しをしよう。それじゃあ、私はまだやり残した仕事があるから」
そう言うと、お父様は足早に部屋から去って行った。
「旦那様は、お嬢様の事が心配ではないのでしょうか?余命宣告をされたというのに…申し訳ございません。出過ぎた真似を」
「あなたが謝る必要はないわ。私の事を心配してくれて、ありがとう。お父様にとって私は、ただの政治の道具だから。道具として使えなくなった私を、屋敷に置いてくれるだけ有難いと思わないとね」
「気休めではありますが、この薬をお飲みください。少し体が楽になられます。奥様もよく飲んでいらっしゃいましたよ」
「お母様も飲んでいたのね。でも、もう私はこの家にとって、ただのお荷物でしかないから薬はいいわ。ただ、明日最後の話し合いの時だけ、薬を飲むわね。さすがに皆の前で、吐血する事は避けたいから」
「お嬢様は、何をおっしゃっているのですか?今でもかなり辛いはずです。少しでも楽になるのですから、どうかお飲みください」
そう言って私に薬を渡してきたお医者様。確かに胸が苦しいが、この苦しみにも慣れている。
この苦しみは、精神的な物だと思っていたけれど、まさか病気だったとは。
「お嬢様、お食事にしましょう。最近あまり召し上がられていないでしょう。まさかお病気だったとは。気が付かづに申し訳ございません。食べやすいスープや果物を準備いたしますね」
気が付くと辺りが暗くなっていた。こんな時間に屋敷にいるだなんて、新鮮ね。ロイド様と婚約を結んでからは、夜まで王宮にいるのが普通だった。居場所もないのに、夜まで王宮にいなければいけなかったのは、苦痛だったわ。
それでもロイド様と一緒に夕食を食べられたのは、幸せだった。ほとんど会話をする事はなかったけれど。
思い出せば思い出すほど、胸が締め付けられる。これは病気が原因?それとも気持ちの問題?どちらでもいいわ。私はもうすぐ、この世からいなくなるのだから。
スープと果物を頂き、メイドたちに支えられながら湯あみを済ませた。少し動くだけで、息切れを起こす。私、こんな状況で明日、話し合いが出来るのかしら?
どうしても無理だったら、手紙を書こう。そして婚約を解消してもらえばいいか。
そんな思いで、眠りについたのだった。
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