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第43話:反撃開始です

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“確かに犯罪者が王宮で暮らす訳にはいきませんな”

大きな声でそう言いだしたのは、伯父様だ。

“珍しい事もあるものね。変り者のグラッセル侯爵がまともな事を言うだなんて”

そう言って笑っている王妃様。伯父様が変わっているだなんて、ふざけないでよ!増々怒りがこみ上げている。

“私はいつもまともですよ。ただ…王宮を去るのは、アンリ妃ではなくて、あなた様ですがね…”

そう言ってニヤリと笑った伯父様。

“おい、なんて失礼な事を言うのだ!王妃でもある妹に暴言を吐くだなんて。さすがに許せん。今すぐグラッセル侯爵をつまみ出せ!”

“そうよ、何なのよ一体!そもそもグラッセル侯爵家は、あの生意気な女の実家よ。ずっと目障りだったのよ。この際だから、侯爵家を潰してしまいましょう。今すぐグラッセル侯爵を牢に入れなさい!”

クディスル公爵と王妃様が、あまりにも横暴な事を言いだした。さすがに周りの貴族たちも、顔が引きつっている。

“さすがですな。王妃殿下、あなた様のやっている事は、権力の乱用に当たりますぞ。陛下、私はこの場で、カリフィース元侯爵家に対する冤罪事件に関与したクディスル公爵家を告発したいと思います。さらに我が妹でもあるシャラティア公爵元夫人殺害に関与した、シャラティア公爵もだ!”

伯父様が高らかに宣言した。伯父様、素敵よ!義伯母様も同じことを思ったのか、うっとりと画面を見つめていた。

“な…何をふざけたことを!とにかく…”

“いいだろう、実は私も、カリフィース元侯爵家の謀反には疑問を抱いしていたのだ。ぜひ話を聞かせてくれ”

“陛下!”

すかさずクディスル公爵と王妃様が抗議の声を上げるが

“やましい事がないのなら、別に構わないだろう。さあ、侯爵、続きを”

“はい、ではこちらの資料をご覧ください。当時、クディスル公爵家が提出した、証拠の品々です。この中で決定打になったのが、カリフィース元侯爵が王族を暗殺するために雇ったとされる、闇の組織との契約書です。そしてこの書類が、カリフィース元侯爵の文字です。おかしいと思いませんか?筆跡がまるで別人なのです。ちなみにこの筆跡とよく似た文字を書いているのが、クディスル公爵だという事が、筆跡鑑定の結果、分かりました。そう、この書類にサインをしたのは、あなたですね。クディスル公爵”

“な…そんな物が証拠になるか!もしかしたら、お前たちが偽造したのではないのか?”

“この資料は裁判所に保管されていた資料のコピーです。信じられないというのなら、裁判所で原本を確認し、筆跡鑑定をしてもらえれば分かります。そもそも、当時異例の速さで裁判が進みましたよね。調べた結果、裁判官に賄賂を渡して、有利な裁判をしていたという証拠も出てきましたよ”

そう、クディスル公爵家は裁判官をも買収していたのだ。

“そ…そんな筆跡だけで、私がカリフィース元侯爵家に無実の罪を着せたという証拠には…”

“わかりました、ではこれでどうですか?”

伯父様がある映像を流した。そこには若き頃のクディスル公爵が、闇の人間と会話をしている様子がうかがえる。そこにははっきりと、王族を亡き者にする様に依頼している姿が映っていた。そして、サインにはカリフィース元侯爵の名前を書いている映像がバッチリと残っていたのだ。

“この映像は、闇の組織が録画していたものです。後でこの映像をネタに揺すれると思って、録画していたそうですよ”

笑顔でそう伝えた伯父様。

“そんな…まさかあの時の様子を録画していただなんて…あいつら…”

真っ青な顔をしてその場にへたり込む公爵。

“それでは続いて、我が妹、マリオネットの毒殺に関する資料をご覧ください”

次々に資料を提示していく伯父様。そこには父がお母様を毒殺するため、毒を入手した証拠などが提示された。ただ、これらの情報だと、さすがに父を断罪する事は厳しいだろう。

案の定

“これだけの情報で私が妻を殺したと言いたいのですか?いくら妹が可愛いからと言って、毒を手に入れたというだけで、私がマリオネットを殺すだなんて。そもそも、私はマリオネットを殺す動機など何もない!”

そう怒りを露わにする父。

“本当に動機がなかったのでしょうか?そう言えば当時、あなた様はルイード殿下とマリーを婚約させたいと考えていたそうですね。それをマリオネットが猛反対したとか”

“確かに妻はルイード殿下とマリーを婚約させるのは嫌がっておりましたが、それは妻の我が儘だ。妻は王妃殿下の事を毛嫌いしておりましたので。その代わり、そこにいらっしゃるアンリ妃やエドワード殿下と仲良くしておりましたので、単純にマリーをエドワード殿下に嫁がせたかったのでしょう”

“本当にそうでしょうか?マリオネットはある理由から、マリーとルイード殿下の婚約をなんとしてでも阻止しようとしておりました。現にマリオネットは、自分にもしもの事があった場合、アンリ妃にマリーを匿ってもらう様に、手紙を送っていたくらいですから。でも…それは叶いませんでしたが…”

そう呟く伯父様。

「マリーちゃん、そろそろ行きましょう。ここからは、あなたも現場にいた方がいいでしょう?」

義伯母様に手を引かれ、会議室へと向かったのだった。
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