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第39話:シャルルを各国に披露するそうです
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貴族学院に入学して早3ヶ月。すっかりこの生活にも慣れた。友達になったメアリーとはすっかり仲良くなり、今では何でも話せる親友だ。
先日王宮にも遊びに来てくれた。シャルルがメアリーにすっかり懐いてしまい、メアリーが帰るとき大泣きしていた。シャルルったら、私の大切な人とすぐに仲良くなるのだから…
そんなある日
「オリビア、再来月のシャルルの4歳の誕生日に、各国の王族たちを呼んで、お披露目をする事になった。美しいオリビアを参加させたくはないが…これも王族の義務みたいなもの。悪いが参加してくれるか?」
「まあ、シャルルのお披露目ですって。でも、王太子就任式は生まれてすぐに行ったではないですか?」
「あの時は、自国の民や貴族たちへのお披露目だったんだよ。シャルルも4歳になるし、そろそろ他国の王族に、シャルルを紹介したいと思ってな。ただ…王族には年頃の王子も沢山いる。いいか、オリビア。王族なんかに見初められるんじゃないぞ!他国なんかに嫁いだら、中々会えなくなるからな…」
お父様が私をギューギュー抱きしめながら、そんな事を言っている。相変わらず私を大切にしてくれているのだ。
「お父様、大丈夫ですわ。私は多分、レオナルド様の元に嫁ぎますので…」
私は出来たらレオナルド様の元に嫁ぎたいと思っている。ミシュラーノ公爵様もセリーヌ様も、歓迎してくれている様だし。でも、レオナルド様はどう考えているのかしら?当のレオナルド様が、私を娶る気がないと意味がないわ。
「オリビア!そんなにあの男の元に嫁ぎたいのかい?いいかい、オリビアはまだ14歳なんだ。まだまだお父様の傍にいておくれ。ただでさえ、オリビアとは9歳の時からしか一緒にいられていないのだよ」
私の頬に口づけしたり頬ずりしながらお父様が訴えてくる。
「私もすぐに嫁ぎたいなどとは考えておりませんわ。それに、レオナルド様と結婚できるかもわからないですし」
「そうか…向こうは大歓迎の様だが…まあいい、とにかく、他国の王族どもに可愛いオリビアを取られたら大変だからな。王子除けにレオナルドをオリビアの近くに置いておこう」
レオナルド様を王子除けに使うだなんて!でも、レオナルド様が近くにいてくれるなら、私も嬉しいわ。
「オリビア、あなた、夜会もまだでしょう?とりあえずこの2ヶ月間で、夜会デビューも行いましょう。場数を踏んでおくことも大切よ」
「えっ?夜会?」
「そうよ、シャルルのお披露目の後、夜会が開催されるの。その時にオリビアが恥をかかないようにね」
「シャリー、オリビアは優秀だ。別に夜会に参加などさせなくても、大丈夫だ!あまりオリビアを外に出そうとしないでくれ。そういえば君、夜会で他国の情報を仕入れていた様だね。もしかして、オリビアを他国に逃がすつもりかい?君がかつて、僕を置いて去ったように…」
お父様がお母様を真っすぐ見つめている。あの瞳、ヤバいときの瞳だわ。
「あの…私は別にそんな事は考えていないわ。ごめんなさい。わかったわ、あなたが言う通り、夜会に参加させるのは止めましょう。そもそも、もう2ヶ月しかないし…」
さすがにお母様もまずいと思ったのか、必死にお父様に訴えかけている。
「それじゃあ、そういう事だから。さあ、シャリー、私たちは部屋に戻ろうか」
そう言うと、お母様を連れてさっさと自室に戻ってしまったお父様。これはまたしばらくお母様は外に出てこないわね。たまにそういう事がある。それでも、大体2~3日すれば、出てくるけれど…
そういえばミシュラーノ公爵様がボソリと呟いていたわ。お父様はお母様が行方不明になったショックで、未だにフラッシュバックを起こすと。きっとまた、思い出したのだろう。
よほどお母様がお父様の元を去ったのがショックだったのだろう。もう5年以上たっているのに、未だに定期的にお母様を閉じ込めるのだから…
お父様がお母様を閉じ込めている様子、見てみたいわ…あぁ、せっかく近くに小説と同じ状況の夫婦がいるのに、直接見られないなんて残念ね。
それにしても、王族たちがたくさん来るだなんて、私、上手く立ち振る舞えるかしら?傍にはレオナルド様がいてくれるらしいけれど、やっぱり心配だわ…
翌日、早速レオナルド様に昨日の事を報告した。
「僕も父上から話しは聞いているよ。オリビアは何も心配する必要は無いよ。僕がずっと傍にいるからね」
「ありがとう。でも、やっぱり不安だわ。私、上手く出来るかしら?」
「そんなに心配なら、今日からダンスの練習をしよう。夜会の一番のネックはダンスだからね。王族たちはダンスが上手なんだよ」
「まあ、そうなの?それじゃあ、今日からしっかりダンスの練習をしないと」
「僕が相手になるよ。相手がいた方がいいだろう」
「嬉しいわ、ありがとう。それじゃあ、家で晩御飯を食べましょう。多分お母様もいないだろうし…」
「また陛下は王妃様をとじこめているのかい?好きだね、閉じ込めるの…」
「そうなのよ。でも、5年以上も経っているのに、未だにまだお母様に強い執着を抱いているなんて素敵よね。私もそれほどまで、愛されてみたいわ」
「大丈夫だよ…君もきっと、王妃様の様になるよ…そのために準備を整えているしね」
ニヤリと笑ったレオナルド様。その瞳、昨日のお父様の瞳とよく似ているわ。なんて素敵なのかしら?やっぱりメアリーが言っていた通り、レオナルド様もお父様と同じタイプなのかもしれないわ。
先日王宮にも遊びに来てくれた。シャルルがメアリーにすっかり懐いてしまい、メアリーが帰るとき大泣きしていた。シャルルったら、私の大切な人とすぐに仲良くなるのだから…
そんなある日
「オリビア、再来月のシャルルの4歳の誕生日に、各国の王族たちを呼んで、お披露目をする事になった。美しいオリビアを参加させたくはないが…これも王族の義務みたいなもの。悪いが参加してくれるか?」
「まあ、シャルルのお披露目ですって。でも、王太子就任式は生まれてすぐに行ったではないですか?」
「あの時は、自国の民や貴族たちへのお披露目だったんだよ。シャルルも4歳になるし、そろそろ他国の王族に、シャルルを紹介したいと思ってな。ただ…王族には年頃の王子も沢山いる。いいか、オリビア。王族なんかに見初められるんじゃないぞ!他国なんかに嫁いだら、中々会えなくなるからな…」
お父様が私をギューギュー抱きしめながら、そんな事を言っている。相変わらず私を大切にしてくれているのだ。
「お父様、大丈夫ですわ。私は多分、レオナルド様の元に嫁ぎますので…」
私は出来たらレオナルド様の元に嫁ぎたいと思っている。ミシュラーノ公爵様もセリーヌ様も、歓迎してくれている様だし。でも、レオナルド様はどう考えているのかしら?当のレオナルド様が、私を娶る気がないと意味がないわ。
「オリビア!そんなにあの男の元に嫁ぎたいのかい?いいかい、オリビアはまだ14歳なんだ。まだまだお父様の傍にいておくれ。ただでさえ、オリビアとは9歳の時からしか一緒にいられていないのだよ」
私の頬に口づけしたり頬ずりしながらお父様が訴えてくる。
「私もすぐに嫁ぎたいなどとは考えておりませんわ。それに、レオナルド様と結婚できるかもわからないですし」
「そうか…向こうは大歓迎の様だが…まあいい、とにかく、他国の王族どもに可愛いオリビアを取られたら大変だからな。王子除けにレオナルドをオリビアの近くに置いておこう」
レオナルド様を王子除けに使うだなんて!でも、レオナルド様が近くにいてくれるなら、私も嬉しいわ。
「オリビア、あなた、夜会もまだでしょう?とりあえずこの2ヶ月間で、夜会デビューも行いましょう。場数を踏んでおくことも大切よ」
「えっ?夜会?」
「そうよ、シャルルのお披露目の後、夜会が開催されるの。その時にオリビアが恥をかかないようにね」
「シャリー、オリビアは優秀だ。別に夜会に参加などさせなくても、大丈夫だ!あまりオリビアを外に出そうとしないでくれ。そういえば君、夜会で他国の情報を仕入れていた様だね。もしかして、オリビアを他国に逃がすつもりかい?君がかつて、僕を置いて去ったように…」
お父様がお母様を真っすぐ見つめている。あの瞳、ヤバいときの瞳だわ。
「あの…私は別にそんな事は考えていないわ。ごめんなさい。わかったわ、あなたが言う通り、夜会に参加させるのは止めましょう。そもそも、もう2ヶ月しかないし…」
さすがにお母様もまずいと思ったのか、必死にお父様に訴えかけている。
「それじゃあ、そういう事だから。さあ、シャリー、私たちは部屋に戻ろうか」
そう言うと、お母様を連れてさっさと自室に戻ってしまったお父様。これはまたしばらくお母様は外に出てこないわね。たまにそういう事がある。それでも、大体2~3日すれば、出てくるけれど…
そういえばミシュラーノ公爵様がボソリと呟いていたわ。お父様はお母様が行方不明になったショックで、未だにフラッシュバックを起こすと。きっとまた、思い出したのだろう。
よほどお母様がお父様の元を去ったのがショックだったのだろう。もう5年以上たっているのに、未だに定期的にお母様を閉じ込めるのだから…
お父様がお母様を閉じ込めている様子、見てみたいわ…あぁ、せっかく近くに小説と同じ状況の夫婦がいるのに、直接見られないなんて残念ね。
それにしても、王族たちがたくさん来るだなんて、私、上手く立ち振る舞えるかしら?傍にはレオナルド様がいてくれるらしいけれど、やっぱり心配だわ…
翌日、早速レオナルド様に昨日の事を報告した。
「僕も父上から話しは聞いているよ。オリビアは何も心配する必要は無いよ。僕がずっと傍にいるからね」
「ありがとう。でも、やっぱり不安だわ。私、上手く出来るかしら?」
「そんなに心配なら、今日からダンスの練習をしよう。夜会の一番のネックはダンスだからね。王族たちはダンスが上手なんだよ」
「まあ、そうなの?それじゃあ、今日からしっかりダンスの練習をしないと」
「僕が相手になるよ。相手がいた方がいいだろう」
「嬉しいわ、ありがとう。それじゃあ、家で晩御飯を食べましょう。多分お母様もいないだろうし…」
「また陛下は王妃様をとじこめているのかい?好きだね、閉じ込めるの…」
「そうなのよ。でも、5年以上も経っているのに、未だにまだお母様に強い執着を抱いているなんて素敵よね。私もそれほどまで、愛されてみたいわ」
「大丈夫だよ…君もきっと、王妃様の様になるよ…そのために準備を整えているしね」
ニヤリと笑ったレオナルド様。その瞳、昨日のお父様の瞳とよく似ているわ。なんて素敵なのかしら?やっぱりメアリーが言っていた通り、レオナルド様もお父様と同じタイプなのかもしれないわ。
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