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第24話:まずはアモーレ王国の王都に向かいます

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温かくて心地の良い温もり…この温もりは…

ゆっくり目を開けると

「おはよう、レティシア」

目に飛び込んできたのは、リアム様の顔だ。それもかなり至近距離で…

「おはようございます。リアム様」

どうやらリアム様の腕に抱かれて眠っていた様だ。お互い何も着ていない為、ダイレクトで温もりを感じる。それにしても、リアム様は華奢な体だと思っていたけれど、実はしっかり筋肉が付いているという事が分かった。

特に胸板が凄い。ついスリスリしてしまう。

「レティシア、随分と積極的だね。昨日は無理をさせてしまったかと思ったけれど、意外と元気そうだし、今からもう一回抱こうかな」

「今からですか?」

何だかんだ言ってやっぱり根は優しいリアム様。昨日の夜は、それはそれは優しくしてもらった。そのお陰で朝から比較的元気だ。でも、まだ体に痛みが…

そう考えているうちに、唇を塞がれてしまった。そのままどんどん深くなっていく。結局朝からたっぷり愛されたのであった。


「…シア、レティシア。そろそろ起きて」

う~ん、この声は…
ゆっくり目を開けると、再びリアム様の顔が。でもまだ眠い…リアム様の胸に顔を埋め、再び目を閉じようとしたのだが…

「レティシア、目を開けて。もうお昼だよ!ほら、早く着替えて移動するよ」

えっ?もうお昼?窓の外に目をやると、確かに太陽が随分高くまで昇っていた。

「大変ですわ。お昼まで眠っているなんて、なんて事でしょう」

でも待って、私はちゃんと朝起きたわ。それなのにリアム様が、あんな事をするから…思い出したら一気に恥ずかしくなり、真っ赤な顔で俯いてしまった。

「レティシア、どうしたんだい?真っ赤な顔をして。さあ、服を持って来てあげるからここで待っているんだよ」

いつの間にか着替えていたリアム様に洋服を渡され、急いで着替える。着替えが終わると、なぜが首と腕に鎖を付けられた。

「どうして鎖を付けるのですか?昨日チップを埋め込みましたよね?」

さすがに抗議の声を上げるが

「何を言っているんだ!チップを埋めたからって油断できない。とにかくパンドラ王国に着くまで、移動するときは鎖で繋ぐからね。これも君が僕から逃げ出した罰だ!それに基本的に馬車移動だから、誰にも見られないよ。さすがにレストランに入るときは、外してあげるから」

と、きつめの口調で言われてしまった。昨日よりか少し顔色が良くなったリアム様。それでも怒ると目が血走るのが怖い。これ以上怒らせるのも正直怖いので、大人しく繋がれておく事にした。

そしてそのまま抱きかかえられ、馬車に乗せられた。もちろん抵抗する事は許されない。大人しくリアム様に抱っこされるしかない。

馬車に乗り込むと、もちろんリアム様の膝の上に座らされた。

「寝坊したから、朝昼兼用になってしまってごめんね。さあ、お腹が空いているだろう。馬車の中で悪いのだが、食事をしよう」

そう言うと、バスケットの中からサンドウィッチを取り出し、私の口に入れてくれた。分厚いお肉と新鮮な野菜がサンドされた、物凄く豪華なサンドウィッチだ。さらに野菜たっぷりのスープも準備してくれた。

もちろん私も、リアム様の口に運ぶ。たくさん食べてもらって、早く以前の様なリアム様に戻って欲しい。

「馬車の中で食べる食事も美味しいですわね。まるでピクニックに来たみたい」

「そうだね、パンドラ王国に着いたら、こうやって外で食事をする事も無いだろうから、今のうちに楽しんでおくといいよ」

そう言うと、にっこり笑ったリアム様。一体どういう事だろう。外で食べる事が無くなる?あぁ、そうか、私は次期王妃として公務をこなさないといけないから、こんな風に外でゆっくり食事をする事は出来ないと言う意味ね。

結果的に半年以上も好き勝手させて頂いたのだから、王宮に戻ったらしっかり働かないと。でも、こんな私を陛下や王妃様、他の家臣たちは認めてくれるのかしら?

「ねえリアム様、何の後ろ盾がない、それも黙って国を出た私が国に帰っても大丈夫かしら?皆に受け入れられるかしら?」

「まだそんなくだらない事を心配しているのかい?君がいなくなってから、僕が王太子の仕事も食事もままならない状況になった事を目の前で皆見ているんだよ!王宮総出で君を必死に探していたんだ。きっと今頃君が見つかったという事で、お祭り騒ぎになっているはずだよ」

確かに今のリアム様のやつれっぷりを見たら、何となく想像が付く。まさか私の誤解のせいで、こんな大騒ぎになってしまっていたなんて…なんだか申し訳ない事をしたわね。

この日もホテルに泊まり、翌日は朝から王都へと向かって出発した。馬車で直接向かっているので、2日程度で王都に着くとの事。

「ほらレティシア、もう王都が見えて来たよ」

ふと窓の外を見ると、そこには大きな街が見えてきた。たくさんの建物が立ち並び、人々であふれている。半年前、ここに来た時はとにかく必死で、街を見る余裕などなかった。街のつくりはパンドラ王国とほとんど変わらないわね。

あっ、あれは最初に泊まったホテルだわ。あそこは役所ね。1人なつかしさを感じているうちに、今日泊まるホテルに着いたようだ。私が最初に泊まったホテルと比べると、かなり立派だ。

いつもの様にリアム様に抱っこされ、ホテルの部屋へと向かう。

「今日はこのホテルに泊まって、明日の朝パンドラ王国に向かおう。とりあえず僕は今からアモーレ王国の王族たちに挨拶をしてくるから、レティシアはここでいい子に待っているんだよ」

「アモーレ王国の王族にですか?挨拶には、私は行かなくてよろしいのですか?」

そもそも、私を探すためにアモーレ王国の王族たちは動いてくれていたのだ。私が直接行ってお礼を言うのが筋というものだろう。そう思ったのだが…

「レティシアはそんなにアモーレ王国の王族に会いたいのかい?もしかして、アモーレ王国の王族に取り入って、僕から逃げようとしているのではないよね?」

ものすごく怖い顔でそう言い放ったリアム様。もう、どうしてそんな発想になるのよ!

「何をおっしゃっているのですか!私はただ、アモーレ王国の王族の方たちに私のせいでご迷惑をおかけしたので、そのお詫びをと思っただけです!そもそもアモーレ王国の王族の方の顔すら知らないのですよ」

さすがに抗議をしたのだが…

「君はこんなにも美しいんだぞ!万が一ということも考えられる。そもそも君は一度僕を裏切っているんだ!ありとあらゆる可能性を考えるのは当然のこと。とにかく君はここにいる事、いいね」

そういうと、私の手についていた鎖をベッドの足につないで、ベッドに寝かす。さらに口移しで何か薬の様なものを飲まされた。一気に瞼が重くなる。

「できるだけ早く帰ってくるから、いい子で待っているんだよ」

私の頭をなで、部屋から出ていくリアム様。もうダメ、眠い…
ゆっくり瞼を閉じたレティシアであった。
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