17 / 27
第17話:村での生活はとても楽しいです
しおりを挟む
この村に来て、3ヶ月が過ぎた。右も左も分からない私に、色々と教えてくれたリリアンさんのお陰で、今ではすっかり1人で生活できるようになった。
リリアンさんからは
「あなた、本当に何にも出来ないのね。もしかして、どっかのお嬢様だったりして」
そう言ってクスクス笑われた。まあ元公爵令嬢なので、あながち間違ってはいない。そしてリリアンさんの家族ともすっかり仲良くなった。
漁師をしている旦那さん、5歳の息子のダニー、3歳の娘のミリア。特にダニーとミリアはすっかり私に懐いてくれている。なんだか弟と妹が出来たみたいで、本当に可愛くて仕方がない。暇さえあれば2人と一緒に遊んでいる。
そんな私は今、アクセサリーを作る工場で働いている。見本を見ながらアクセサリーを作っていくのだが、ここでも親切なおば様達が色々とアドバイスをくれる。そのお陰で、今ではかなり上達して
「レティシアちゃんはもう立派な戦力だね」
そう言ってもらっている。さらに親切なおば様達が、私を何かと気遣ってくれている。
「レティシアちゃん、これ家で作った干物だ。美味しいから持って帰りな」
「これも持って帰りな。イカをイカスミで合えたんだ。美味しいよ」
そう言って色々なものをくれる。さすがに食べきれないので、リリアンさんの家におすそ分けをする事もしばしば…さらに村の若い男性たちもとても親切で
「レティシアちゃん、何か困った事があったら俺を頼ってくれていいよ!そうだ、家具で壊れていたりする事はないかい?あの家ボロだからな」
そう言って、色々と世話を焼いてくれる。ただ、男性たちが我が家に訪ねて来る度に、リリアンさんがなぜか追い返している。
「全く男共と来たら!美しいレティシアと結婚したくて、あの手この手で近付こうとするのだから。レティシア、好きな男性以外、ホイホイと家に入れては駄目だからね!」
そう言って怒っている。リリアンさんはああいっているが、きっと他からたった1人で移り住んで来た私を、気に掛けてくれているだけだと思うのだけれど…
今日もいつもの様にアクセサリーを作る工場で仕事をした後、家路へと向かう。すると大きな花束を持った男性に話しかけられた。確かこの人は、漁師の1人でよく新鮮な魚介類をくれる親切な人だ。一体どうしたのかしら?
「あの、レティシアちゃん。君を初めて見た時から、ずっと好きでした。よかった俺と、結婚を前提に付き合ってください!」
これは、まさかのプロポーズ?完全にパニックになる。そもそも私は7歳からずっとリアム様と婚約をしていた為、男性に関して免疫がほとんどないのだ。でも、こうやって真剣に気持ちを伝えてくれているのだから、私も真剣に答えないとね。よし!
「ごめんなさい。今は誰ともお付き合いするつもりはないので」
そう素直に答えた。正直まだリアム様の事を引きずっている。すぐに他の男性へといける程、切り替えが早くないのだ。
「そうか…分かったよ。でも、今は誰ともお付き合いするつもりがないという事は、俺にもチャンスがあるという事だな。よし、レティシアちゃんに振り向いてもらえる様頑張るよ」
なぜか嬉しそうに帰って行く男性。かなりポジティブな性格の様だ。その事をリリアンさんに話すと
「あいつ、やっぱりレティシアを狙っていたね。本当に油断も隙も無いんだから!」
そう言って怒っていた。
翌日は仕事が休み。リリアンさんに誘われ、村の女性たちと一緒にリリアンさん家でお茶やお菓子を楽しむ。実はリリアンさんが村の若い女性たちを紹介してくれたのだ。やはり歳が近いという事もあり、話しも盛り上がる。もちろん、話しの中心は恋の話だ。
そいえばパンドラ王国にいた時も、こうやって令嬢たちとよく恋のお話をしていたわね。
両親が亡くなってから、ずっと王宮で生活をしていた為、彼女達とは随分と会えない状況が続いていた。もしかしたら、私の事を心配してくれていたのかもしれない…そう思うと、胸がチクリと痛んだ。
「レティシア、どうしたの?何か嫌な事があったの?」
私が一瞬寂しそうな顔をしたのを見逃さなかったリリアンさんが、心配そうな顔で聞いて来た。
「いいえ、大丈夫ですわ」
「そう、それならよかった」
いつも気遣ってくれるリリアンさんは、私の姉の様な存在だ。彼女が居てくれるから、私は今こうして笑っていられる。そんな気がする。
結局この日は、夕方近くまで女性たちだけで話に花を咲かせたのであった。
リリアンさんからは
「あなた、本当に何にも出来ないのね。もしかして、どっかのお嬢様だったりして」
そう言ってクスクス笑われた。まあ元公爵令嬢なので、あながち間違ってはいない。そしてリリアンさんの家族ともすっかり仲良くなった。
漁師をしている旦那さん、5歳の息子のダニー、3歳の娘のミリア。特にダニーとミリアはすっかり私に懐いてくれている。なんだか弟と妹が出来たみたいで、本当に可愛くて仕方がない。暇さえあれば2人と一緒に遊んでいる。
そんな私は今、アクセサリーを作る工場で働いている。見本を見ながらアクセサリーを作っていくのだが、ここでも親切なおば様達が色々とアドバイスをくれる。そのお陰で、今ではかなり上達して
「レティシアちゃんはもう立派な戦力だね」
そう言ってもらっている。さらに親切なおば様達が、私を何かと気遣ってくれている。
「レティシアちゃん、これ家で作った干物だ。美味しいから持って帰りな」
「これも持って帰りな。イカをイカスミで合えたんだ。美味しいよ」
そう言って色々なものをくれる。さすがに食べきれないので、リリアンさんの家におすそ分けをする事もしばしば…さらに村の若い男性たちもとても親切で
「レティシアちゃん、何か困った事があったら俺を頼ってくれていいよ!そうだ、家具で壊れていたりする事はないかい?あの家ボロだからな」
そう言って、色々と世話を焼いてくれる。ただ、男性たちが我が家に訪ねて来る度に、リリアンさんがなぜか追い返している。
「全く男共と来たら!美しいレティシアと結婚したくて、あの手この手で近付こうとするのだから。レティシア、好きな男性以外、ホイホイと家に入れては駄目だからね!」
そう言って怒っている。リリアンさんはああいっているが、きっと他からたった1人で移り住んで来た私を、気に掛けてくれているだけだと思うのだけれど…
今日もいつもの様にアクセサリーを作る工場で仕事をした後、家路へと向かう。すると大きな花束を持った男性に話しかけられた。確かこの人は、漁師の1人でよく新鮮な魚介類をくれる親切な人だ。一体どうしたのかしら?
「あの、レティシアちゃん。君を初めて見た時から、ずっと好きでした。よかった俺と、結婚を前提に付き合ってください!」
これは、まさかのプロポーズ?完全にパニックになる。そもそも私は7歳からずっとリアム様と婚約をしていた為、男性に関して免疫がほとんどないのだ。でも、こうやって真剣に気持ちを伝えてくれているのだから、私も真剣に答えないとね。よし!
「ごめんなさい。今は誰ともお付き合いするつもりはないので」
そう素直に答えた。正直まだリアム様の事を引きずっている。すぐに他の男性へといける程、切り替えが早くないのだ。
「そうか…分かったよ。でも、今は誰ともお付き合いするつもりがないという事は、俺にもチャンスがあるという事だな。よし、レティシアちゃんに振り向いてもらえる様頑張るよ」
なぜか嬉しそうに帰って行く男性。かなりポジティブな性格の様だ。その事をリリアンさんに話すと
「あいつ、やっぱりレティシアを狙っていたね。本当に油断も隙も無いんだから!」
そう言って怒っていた。
翌日は仕事が休み。リリアンさんに誘われ、村の女性たちと一緒にリリアンさん家でお茶やお菓子を楽しむ。実はリリアンさんが村の若い女性たちを紹介してくれたのだ。やはり歳が近いという事もあり、話しも盛り上がる。もちろん、話しの中心は恋の話だ。
そいえばパンドラ王国にいた時も、こうやって令嬢たちとよく恋のお話をしていたわね。
両親が亡くなってから、ずっと王宮で生活をしていた為、彼女達とは随分と会えない状況が続いていた。もしかしたら、私の事を心配してくれていたのかもしれない…そう思うと、胸がチクリと痛んだ。
「レティシア、どうしたの?何か嫌な事があったの?」
私が一瞬寂しそうな顔をしたのを見逃さなかったリリアンさんが、心配そうな顔で聞いて来た。
「いいえ、大丈夫ですわ」
「そう、それならよかった」
いつも気遣ってくれるリリアンさんは、私の姉の様な存在だ。彼女が居てくれるから、私は今こうして笑っていられる。そんな気がする。
結局この日は、夕方近くまで女性たちだけで話に花を咲かせたのであった。
61
お気に入りに追加
5,440
あなたにおすすめの小説
結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
婚約破棄でみんな幸せ!~嫌われ令嬢の円満婚約解消術~
春野こもも
恋愛
わたくしの名前はエルザ=フォーゲル、16才でございます。
6才の時に初めて顔をあわせた婚約者のレオンハルト殿下に「こんな醜女と結婚するなんて嫌だ! 僕は大きくなったら好きな人と結婚したい!」と言われてしまいました。そんな殿下に憤慨する家族と使用人。
14歳の春、学園に転入してきた男爵令嬢と2人で、人目もはばからず仲良く歩くレオンハルト殿下。再び憤慨するわたくしの愛する家族や使用人の心の安寧のために、エルザは円満な婚約解消を目指します。そのために作成したのは「婚約破棄承諾書」。殿下と男爵令嬢、お二人に愛を育んでいただくためにも、後はレオンハルト殿下の署名さえいただければみんな幸せ婚約破棄が成立します!
前編・後編の全2話です。残酷描写は保険です。
【小説家になろうデイリーランキング1位いただきました――2019/6/17】
ヤンデレ旦那さまに溺愛されてるけど思い出せない
斧名田マニマニ
恋愛
待って待って、どういうこと。
襲い掛かってきた超絶美形が、これから僕たち新婚初夜だよとかいうけれど、全く覚えてない……!
この人本当に旦那さま?
って疑ってたら、なんか病みはじめちゃった……!
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。
婚約破棄寸前だった令嬢が殺されかけて眠り姫となり意識を取り戻したら世界が変わっていた話
ひよこ麺
恋愛
シルビア・ベアトリス侯爵令嬢は何もかも完璧なご令嬢だった。婚約者であるリベリオンとの関係を除いては。
リベリオンは公爵家の嫡男で完璧だけれどとても冷たい人だった。それでも彼の幼馴染みで病弱な男爵令嬢のリリアにはとても優しくしていた。
婚約者のシルビアには笑顔ひとつ向けてくれないのに。
どんなに尽くしても努力しても完璧な立ち振る舞いをしても振り返らないリベリオンに疲れてしまったシルビア。その日も舞踏会でエスコートだけしてリリアと居なくなってしまったリベリオンを見ているのが悲しくなりテラスでひとり夜風に当たっていたところ、いきなり何者かに後ろから押されて転落してしまう。
死は免れたが、テラスから転落した際に頭を強く打ったシルビアはそのまま意識を失い、昏睡状態となってしまう。それから3年の月日が流れ、目覚めたシルビアを取り巻く世界は変っていて……
※正常な人があまりいない話です。
最悪なお見合いと、執念の再会
当麻月菜
恋愛
伯爵令嬢のリシャーナ・エデュスは学生時代に、隣国の第七王子ガルドシア・フェ・エデュアーレから告白された。
しかし彼は留学期間限定の火遊び相手を求めていただけ。つまり、真剣に悩んだあの頃の自分は黒歴史。抹消したい過去だった。
それから一年後。リシャーナはお見合いをすることになった。
相手はエルディック・アラド。侯爵家の嫡男であり、かつてリシャーナに告白をしたクズ王子のお目付け役で、黒歴史を知るただ一人の人。
最低最悪なお見合い。でも、もう片方は執念の再会ーーの始まり始まり。
婚約者に好きな人ができたらしい(※ただし事実とは異なります)
彗星
恋愛
主人公ミアと、婚約者リアムとのすれ違いもの。学園の人気者であるリアムを、婚約者を持つミアは、公爵家のご令嬢であるマリーナに「彼は私のことが好きだ」と言われる。その言葉が引っかかったことで、リアムと婚約解消した方がいいのではないかと考え始める。しかし、リアムの気持ちは、ミアが考えることとは違うらしく…。
最愛の婚約者に婚約破棄されたある侯爵令嬢はその想いを大切にするために自主的に修道院へ入ります。
ひよこ麺
恋愛
ある国で、あるひとりの侯爵令嬢ヨハンナが婚約破棄された。
ヨハンナは他の誰よりも婚約者のパーシヴァルを愛していた。だから彼女はその想いを抱えたまま修道院へ入ってしまうが、元婚約者を誑かした女は悲惨な末路を辿り、元婚約者も……
※この作品には残酷な表現とホラーっぽい遠回しなヤンデレが多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。
また、一応転生者も出ます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる