4 / 27
第4話:リアム様はやはりミランダ様がお好きな様です
しおりを挟む
王宮に来てから3ヶ月が過ぎた。私に小言を言っている事がリアム様にバレた為、最近は小言を言いに来なくなった王妃様。リアム様からも
「母上が本当にすまない。極力君に近付かせないようにするから」
そう言って何度も謝罪された。ただやはり私が気に入らない様で、時折物凄い形相でこちらを睨んでいる。何かあったらすぐに教えて欲しいとリアム様には言われているが、多少睨まれているくらいで報告するのも気が引けるので、気にしない様にしている。
そんなリアム様、最近公務が忙しいのか、あまり会いに来てくれない。以前はどんなに忙しくても、必ず毎日顔を見せに来てくれていたのに…でも、これ以上我が儘は言えないものね。
今日も1人、中庭で本を読む。実は私、子供の頃から本が好きで、暇さえあればよく本を読んでいたのだ。それに本を読んでいると、嫌な事も忘れられる。
集中して読んでいると、誰かの話声が聞こえて来た。誰かしら?気になって声のする方へと向かうと、そこには数名の貴族が。
「それにしても、殿下もお気の毒だな。さっさとレティシア譲と婚約破棄すればいいのに」
「バカ、レティシア嬢はご両親を亡くされて、まだ3ヶ月しか経っていないんだぞ。今婚約破棄なんかしたら、殿下が薄情者だと陰口をたたかれる。それを恐れていらっしゃるのだろう」
婚約破棄?一体どういう事なの?気になって、さらに耳をすます。
「そもそもリアム殿下は、ずっとミランダ嬢と恋仲だったんだろ?それをレティシア嬢が無理やり2人の仲を引き裂き、父親の力を使って婚約を結んだって有名な話だぞ。あの当時は、トンプソン公爵に逆らえる者はいなかったもんな。でも今はそのトンプソン公爵もいなくなった。だから殿下は今、婚約破棄に向けて動き出しているらしいぞ」
ミランダ嬢と恋仲だった?それを私が引き裂いたの?そんな…貴族たちの内容があまりにも衝撃で、その場を動く事が出来ない。
「とにかく、レティシア嬢が落ち着いて来た今、状況を見て婚約破棄を言い渡すつもりだろう。でも、レティシア嬢が首を縦に振るかどうかが問題だよな。下手をしたら、ミランダ嬢に危害を加えるかもしれないぞ」
「そうなったら、いくら優しい殿下も黙っていないだろう。そもそも、後ろ盾がないレティシア嬢がどんなに嫌だと言っても、婚約破棄して追い出されてしまったらもうどうする事も出来ない。まあ、レティシア嬢も美しい女性だからな。どこかの貴族の後妻ぐらいにはなれるんじゃないのか?」
「さすがにそれは酷いだろう。ハハハハハハ」
私、リアム様に婚約破棄されるの?そんな…でも、リアム様はそんな人ではないわ。きっと何かの間違いよ。だってあんなにも私を気に掛けて下さっているのですもの。とにかく、気を確かに持たないと。
そう思っても、貴族たちの話があまりにも衝撃的で、どうしていいのか分からずそのまま王宮の中庭をフラフラと歩く。気が付くと、随分と奥に来てしまった。こんなに奥まで来たのは初めてだ。でも、ここもとても奇麗なのね。その時、男女の話し声が聞こえた。
この声は…
恐る恐る声のする方に行ってみると、そこにいたのは、なんとリアム様とミランダ様だ。小さな机を挟んで向かい合わせに座っている2人。その姿に釘付けになった。時折嬉しそうに笑うミランダ様、そんなミランダ様に優しい眼差しで話をするリアム様。
はっきり言って、お似合いである。その時、強い風が吹いてミランダ様の頭に、花びらが付いてしまった。それを優しくとるリアム様。その姿を見た瞬間確信した。リアム様は、ミランダ様が好きなのだと。さっきの貴族たちが話していた話は、本当だったのだと。
最近私の元に全然会いに来てくださらなかった理由も、この時はっきりと分かった。興味のない私と一緒にいる時間があるなら、愛するミランダ様と一緒にいたいと思うのが普通だものね…
これ以上仲睦まじい2人の姿を見ていられず、急いでその場から立ち去った。気が付くと、瞳からは次から次へと涙が溢れ出ていた。リアム様はずっとミランダ様を愛していたのね。それなのに、お優しいリアム様は恋人との仲を引き裂いた憎い相手でもある私にも、優しく接してくれた。
そう、私は2人にとって、邪魔者以外何者でもない存在だったのだ。その事実を突きつけられた今、どうしようもない悲しみが体中を支配する。とにかくこんな姿、誰にも見られたくはない。そんな思いから、急いで自室に戻った。
お父様から以前プレゼントされたクマのぬいぐるみを抱きかかえ、その場で声を上げて泣いた。お父様やお母様だけでなく、リアム様まで失う事になるなんて。私はこれから一体どうやって生きて行けばいいのだろう…
「母上が本当にすまない。極力君に近付かせないようにするから」
そう言って何度も謝罪された。ただやはり私が気に入らない様で、時折物凄い形相でこちらを睨んでいる。何かあったらすぐに教えて欲しいとリアム様には言われているが、多少睨まれているくらいで報告するのも気が引けるので、気にしない様にしている。
そんなリアム様、最近公務が忙しいのか、あまり会いに来てくれない。以前はどんなに忙しくても、必ず毎日顔を見せに来てくれていたのに…でも、これ以上我が儘は言えないものね。
今日も1人、中庭で本を読む。実は私、子供の頃から本が好きで、暇さえあればよく本を読んでいたのだ。それに本を読んでいると、嫌な事も忘れられる。
集中して読んでいると、誰かの話声が聞こえて来た。誰かしら?気になって声のする方へと向かうと、そこには数名の貴族が。
「それにしても、殿下もお気の毒だな。さっさとレティシア譲と婚約破棄すればいいのに」
「バカ、レティシア嬢はご両親を亡くされて、まだ3ヶ月しか経っていないんだぞ。今婚約破棄なんかしたら、殿下が薄情者だと陰口をたたかれる。それを恐れていらっしゃるのだろう」
婚約破棄?一体どういう事なの?気になって、さらに耳をすます。
「そもそもリアム殿下は、ずっとミランダ嬢と恋仲だったんだろ?それをレティシア嬢が無理やり2人の仲を引き裂き、父親の力を使って婚約を結んだって有名な話だぞ。あの当時は、トンプソン公爵に逆らえる者はいなかったもんな。でも今はそのトンプソン公爵もいなくなった。だから殿下は今、婚約破棄に向けて動き出しているらしいぞ」
ミランダ嬢と恋仲だった?それを私が引き裂いたの?そんな…貴族たちの内容があまりにも衝撃で、その場を動く事が出来ない。
「とにかく、レティシア嬢が落ち着いて来た今、状況を見て婚約破棄を言い渡すつもりだろう。でも、レティシア嬢が首を縦に振るかどうかが問題だよな。下手をしたら、ミランダ嬢に危害を加えるかもしれないぞ」
「そうなったら、いくら優しい殿下も黙っていないだろう。そもそも、後ろ盾がないレティシア嬢がどんなに嫌だと言っても、婚約破棄して追い出されてしまったらもうどうする事も出来ない。まあ、レティシア嬢も美しい女性だからな。どこかの貴族の後妻ぐらいにはなれるんじゃないのか?」
「さすがにそれは酷いだろう。ハハハハハハ」
私、リアム様に婚約破棄されるの?そんな…でも、リアム様はそんな人ではないわ。きっと何かの間違いよ。だってあんなにも私を気に掛けて下さっているのですもの。とにかく、気を確かに持たないと。
そう思っても、貴族たちの話があまりにも衝撃的で、どうしていいのか分からずそのまま王宮の中庭をフラフラと歩く。気が付くと、随分と奥に来てしまった。こんなに奥まで来たのは初めてだ。でも、ここもとても奇麗なのね。その時、男女の話し声が聞こえた。
この声は…
恐る恐る声のする方に行ってみると、そこにいたのは、なんとリアム様とミランダ様だ。小さな机を挟んで向かい合わせに座っている2人。その姿に釘付けになった。時折嬉しそうに笑うミランダ様、そんなミランダ様に優しい眼差しで話をするリアム様。
はっきり言って、お似合いである。その時、強い風が吹いてミランダ様の頭に、花びらが付いてしまった。それを優しくとるリアム様。その姿を見た瞬間確信した。リアム様は、ミランダ様が好きなのだと。さっきの貴族たちが話していた話は、本当だったのだと。
最近私の元に全然会いに来てくださらなかった理由も、この時はっきりと分かった。興味のない私と一緒にいる時間があるなら、愛するミランダ様と一緒にいたいと思うのが普通だものね…
これ以上仲睦まじい2人の姿を見ていられず、急いでその場から立ち去った。気が付くと、瞳からは次から次へと涙が溢れ出ていた。リアム様はずっとミランダ様を愛していたのね。それなのに、お優しいリアム様は恋人との仲を引き裂いた憎い相手でもある私にも、優しく接してくれた。
そう、私は2人にとって、邪魔者以外何者でもない存在だったのだ。その事実を突きつけられた今、どうしようもない悲しみが体中を支配する。とにかくこんな姿、誰にも見られたくはない。そんな思いから、急いで自室に戻った。
お父様から以前プレゼントされたクマのぬいぐるみを抱きかかえ、その場で声を上げて泣いた。お父様やお母様だけでなく、リアム様まで失う事になるなんて。私はこれから一体どうやって生きて行けばいいのだろう…
55
お気に入りに追加
5,440
あなたにおすすめの小説
結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
婚約破棄でみんな幸せ!~嫌われ令嬢の円満婚約解消術~
春野こもも
恋愛
わたくしの名前はエルザ=フォーゲル、16才でございます。
6才の時に初めて顔をあわせた婚約者のレオンハルト殿下に「こんな醜女と結婚するなんて嫌だ! 僕は大きくなったら好きな人と結婚したい!」と言われてしまいました。そんな殿下に憤慨する家族と使用人。
14歳の春、学園に転入してきた男爵令嬢と2人で、人目もはばからず仲良く歩くレオンハルト殿下。再び憤慨するわたくしの愛する家族や使用人の心の安寧のために、エルザは円満な婚約解消を目指します。そのために作成したのは「婚約破棄承諾書」。殿下と男爵令嬢、お二人に愛を育んでいただくためにも、後はレオンハルト殿下の署名さえいただければみんな幸せ婚約破棄が成立します!
前編・後編の全2話です。残酷描写は保険です。
【小説家になろうデイリーランキング1位いただきました――2019/6/17】
ヤンデレ旦那さまに溺愛されてるけど思い出せない
斧名田マニマニ
恋愛
待って待って、どういうこと。
襲い掛かってきた超絶美形が、これから僕たち新婚初夜だよとかいうけれど、全く覚えてない……!
この人本当に旦那さま?
って疑ってたら、なんか病みはじめちゃった……!
最愛の婚約者に婚約破棄されたある侯爵令嬢はその想いを大切にするために自主的に修道院へ入ります。
ひよこ麺
恋愛
ある国で、あるひとりの侯爵令嬢ヨハンナが婚約破棄された。
ヨハンナは他の誰よりも婚約者のパーシヴァルを愛していた。だから彼女はその想いを抱えたまま修道院へ入ってしまうが、元婚約者を誑かした女は悲惨な末路を辿り、元婚約者も……
※この作品には残酷な表現とホラーっぽい遠回しなヤンデレが多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。
また、一応転生者も出ます。
恋心を封印したら、なぜか幼馴染みがヤンデレになりました?
夕立悠理
恋愛
ずっと、幼馴染みのマカリのことが好きだったヴィオラ。
けれど、マカリはちっとも振り向いてくれない。
このまま勝手に好きで居続けるのも迷惑だろうと、ヴィオラは育った町をでる。
なんとか、王都での仕事も見つけ、新しい生活は順風満帆──かと思いきや。
なんと、王都だけは死んでもいかないといっていたマカリが、ヴィオラを追ってきて……。
貴方が側妃を望んだのです
cyaru
恋愛
「君はそれでいいのか」王太子ハロルドは言った。
「えぇ。勿論ですわ」婚約者の公爵令嬢フランセアは答えた。
誠の愛に気がついたと言われたフランセアは微笑んで答えた。
※2022年6月12日。一部書き足しました。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
史実などに基づいたものではない事をご理解ください。
※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。
表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。
※更新していくうえでタグは幾つか増えます。
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
麗しのラシェール
真弓りの
恋愛
「僕の麗しのラシェール、君は今日も綺麗だ」
わたくしの旦那様は今日も愛の言葉を投げかける。でも、その言葉は美しい姉に捧げられるものだと知っているの。
ねえ、わたくし、貴方の子供を授かったの。……喜んで、くれる?
これは、誤解が元ですれ違った夫婦のお話です。
…………………………………………………………………………………………
短いお話ですが、珍しく冒頭鬱展開ですので、読む方はお気をつけて。
王女を好きだと思ったら
夏笆(なつは)
恋愛
「王子より王子らしい」と言われる公爵家嫡男、エヴァリスト・デュルフェを婚約者にもつバルゲリー伯爵家長女のピエレット。
デビュタントの折に突撃するようにダンスを申し込まれ、望まれて婚約をしたピエレットだが、ある日ふと気づく。
「エヴァリスト様って、ルシール王女殿下のお話ししかなさらないのでは?」
エヴァリストとルシールはいとこ同士であり、幼い頃より親交があることはピエレットも知っている。
だがしかし度を越している、と、大事にしているぬいぐるみのぴぃちゃんに語りかけるピエレット。
「でもね、ぴぃちゃん。私、エヴァリスト様に恋をしてしまったの。だから、頑張るわね」
ピエレットは、そう言って、胸の前で小さく拳を握り、決意を込めた。
ルシール王女殿下の好きな場所、好きな物、好みの装い。
と多くの場所へピエレットを連れて行き、食べさせ、贈ってくれるエヴァリスト。
「あのね、ぴぃちゃん!エヴァリスト様がね・・・・・!」
そして、ピエレットは今日も、エヴァリストが贈ってくれた特注のぬいぐるみ、孔雀のぴぃちゃんを相手にエヴァリストへの想いを語る。
小説家になろうにも、掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる