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第3話:王宮での生活が始まりました
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「レティシア、ここ数日で随分やつれてしまったね。可哀そうに。王宮に着いたらすぐに食事にしよう」
「ありがとうございます。リアム様」
馬車の中でもリアム様はずっと私を抱きしめてくれている。その温もりが、物凄く落ち着く。王宮に着くと、一旦客間に案内された。
「レティシアの部屋は今急ピッチで準備しているから、今日はここで過ごして欲しい。明日には君の部屋に移れるからね。さあ、まずは食事にしよう。食欲がないかもしれないが、少しは食べないと。僕が食べさせてあげるよ」
そう言うと、近くに控えていたメイドに指示を出すリアム様。すぐにお料理が運ばれて来た。物凄く豪華なお料理が並ぶ。でも、やはり食欲がない。
「少しは食べないと。ほら、口を開けて」
リアム様が私の口に食べ物を運んでくれる。久しぶりに食べる食事は、正直美味しいかすらわからなかった。
「リアム様、ごめんなさい。もう食べられませんわ」
「もう食べないのかい?このままでは、レティシアが倒れてしまう。とにかく、食べられそうなものがあったら何でも言ってくれ」
「ありがとうござます。少し疲れましたので、休みますわ」
「分かったよ、すぐにベッドに運ぶから、レティシアはじっとしていて」
そう言うと、私を抱きかかえベッドに寝かせてくれた。何から何までお世話になって、本当に申し訳ない。
「それじゃあ、僕はもう行くから、ゆっくりお休み」
頬に口付けをして出て行ったリアム様。お忙しいリアム様の手をまた煩わせてしまったわ。私って本当にダメね…でも今は、どうしても心が付いて行かないのだ。こんなに弱くては、立派な王妃になれないわね。それでも今だけは、両親の事を考えていたいのだ。結局その日も、ろくに食事を摂る事が出来なかった。
翌日、王宮内に準備された私の部屋に移動した。リアム様に案内され部屋に入ると…
「これは…」
そう、公爵家にいた頃の部屋が再現されていたのだ。机やベッドの配置まで、全く一緒だった。
「王宮でもリラックスして欲しいから、公爵家の部屋と同じ作りにしたんだ」
少し恥ずかしそうにそう言ったリアム様。あぁ、この人はいつでもどんな時も私の事を思っていてくれているのね。これからはリアム様の幸せだけを考えて生きて行こう。こう強く心に誓った。
その後も、毎日毎日時間を見つけては私の傍にいてくれるリアム様。その優しが今の私に有難かった。それと同時に、どんどん自分がリアム様に依存していることが、なんだか恐ろしくも思うようになった。そんな日々を送ること1ヶ月。
未だ両親を失った悲しみが癒える事はないものの、リアム様のお陰で何とか普段通りの生活が出来ている。ただ、お父様と言う強力な後ろ盾を失った私は、王妃様から酷い暴言を受ける様になった。今日も
「いつまでそうやっているのかしら?いいご身分ね。あなたのせいでリアムは睡眠時間を削って仕事をしているのよ。本来であれば、未来の夫を支える立場でなければいけないあなたが、足を引っ張るなんて。やっぱりあの時、リアムの婚約者をあなたにしたのが間違いだったわ。最初からミランダ嬢にしておけばよかったのよ。そもそも、私はずっとミランダ嬢をリアムの婚約者にと思っていたのよ。それをあなたが横から奪ったのよ!正直、トンプソン公爵家が潰された今、リアムにとってあなたはただのお荷物でしかないの。その事を肝に銘じておいて頂戴」
そう言って去っていく王妃様。最近王妃様の口からよく出るミランダ嬢。彼女はガルシア侯爵の娘だ。ガルシア侯爵自身もかなり権力を持っているが、何よりミランダ嬢は絶世の美女と謳われるほど非常に美しい女性なのだ。
さらに教養もあり誰にでも優しい、まさに完璧な女性。そんな女性を、王妃様が気に入るのもよく分かる。それに、既に何の後ろ盾を持たない私より、美しく聡明で、さらに実家は権力者と言うミランダ様の方が、王妃にふさわしいのは確かだろう。でも…
私にとってリアム様は、命より大切な存在。もし彼を失ったら、私はきっと生きていけないだろう。それに、リアム様は私を愛してくれているはず!そうよ、リアム様を信じましょう。私が辛い時、ずっと寄り添ってくれていたリアム様を。
その日から、再び王妃教育の復習を行う事にした。たとえ後ろ盾がなくても、立派な王妃様になって見せる。そして何より、大切なリアム様の力になれるような女性になりたい。そんな思いから、いつも以上にレッスンに励む。先生からも
「レティシア様、随分と動きが洗練されてきましたわね。異国語も以前よりスムーズに話せていますわ」
そう褒めてもらった。そんな私を見てリアム様は
「レティシア、君はまだ傷心なんだ。無理をしなくてもいいんだよ」
そう言って心配してくれた。でも私は、もっと頑張りたいのだ。リアム様と結婚して、幸せな家庭を築く為に。それが、天国の両親への親孝行でもあると考えている。とにかく、今まで以上に頑張らなくっちゃね。
「ありがとうございます。リアム様」
馬車の中でもリアム様はずっと私を抱きしめてくれている。その温もりが、物凄く落ち着く。王宮に着くと、一旦客間に案内された。
「レティシアの部屋は今急ピッチで準備しているから、今日はここで過ごして欲しい。明日には君の部屋に移れるからね。さあ、まずは食事にしよう。食欲がないかもしれないが、少しは食べないと。僕が食べさせてあげるよ」
そう言うと、近くに控えていたメイドに指示を出すリアム様。すぐにお料理が運ばれて来た。物凄く豪華なお料理が並ぶ。でも、やはり食欲がない。
「少しは食べないと。ほら、口を開けて」
リアム様が私の口に食べ物を運んでくれる。久しぶりに食べる食事は、正直美味しいかすらわからなかった。
「リアム様、ごめんなさい。もう食べられませんわ」
「もう食べないのかい?このままでは、レティシアが倒れてしまう。とにかく、食べられそうなものがあったら何でも言ってくれ」
「ありがとうござます。少し疲れましたので、休みますわ」
「分かったよ、すぐにベッドに運ぶから、レティシアはじっとしていて」
そう言うと、私を抱きかかえベッドに寝かせてくれた。何から何までお世話になって、本当に申し訳ない。
「それじゃあ、僕はもう行くから、ゆっくりお休み」
頬に口付けをして出て行ったリアム様。お忙しいリアム様の手をまた煩わせてしまったわ。私って本当にダメね…でも今は、どうしても心が付いて行かないのだ。こんなに弱くては、立派な王妃になれないわね。それでも今だけは、両親の事を考えていたいのだ。結局その日も、ろくに食事を摂る事が出来なかった。
翌日、王宮内に準備された私の部屋に移動した。リアム様に案内され部屋に入ると…
「これは…」
そう、公爵家にいた頃の部屋が再現されていたのだ。机やベッドの配置まで、全く一緒だった。
「王宮でもリラックスして欲しいから、公爵家の部屋と同じ作りにしたんだ」
少し恥ずかしそうにそう言ったリアム様。あぁ、この人はいつでもどんな時も私の事を思っていてくれているのね。これからはリアム様の幸せだけを考えて生きて行こう。こう強く心に誓った。
その後も、毎日毎日時間を見つけては私の傍にいてくれるリアム様。その優しが今の私に有難かった。それと同時に、どんどん自分がリアム様に依存していることが、なんだか恐ろしくも思うようになった。そんな日々を送ること1ヶ月。
未だ両親を失った悲しみが癒える事はないものの、リアム様のお陰で何とか普段通りの生活が出来ている。ただ、お父様と言う強力な後ろ盾を失った私は、王妃様から酷い暴言を受ける様になった。今日も
「いつまでそうやっているのかしら?いいご身分ね。あなたのせいでリアムは睡眠時間を削って仕事をしているのよ。本来であれば、未来の夫を支える立場でなければいけないあなたが、足を引っ張るなんて。やっぱりあの時、リアムの婚約者をあなたにしたのが間違いだったわ。最初からミランダ嬢にしておけばよかったのよ。そもそも、私はずっとミランダ嬢をリアムの婚約者にと思っていたのよ。それをあなたが横から奪ったのよ!正直、トンプソン公爵家が潰された今、リアムにとってあなたはただのお荷物でしかないの。その事を肝に銘じておいて頂戴」
そう言って去っていく王妃様。最近王妃様の口からよく出るミランダ嬢。彼女はガルシア侯爵の娘だ。ガルシア侯爵自身もかなり権力を持っているが、何よりミランダ嬢は絶世の美女と謳われるほど非常に美しい女性なのだ。
さらに教養もあり誰にでも優しい、まさに完璧な女性。そんな女性を、王妃様が気に入るのもよく分かる。それに、既に何の後ろ盾を持たない私より、美しく聡明で、さらに実家は権力者と言うミランダ様の方が、王妃にふさわしいのは確かだろう。でも…
私にとってリアム様は、命より大切な存在。もし彼を失ったら、私はきっと生きていけないだろう。それに、リアム様は私を愛してくれているはず!そうよ、リアム様を信じましょう。私が辛い時、ずっと寄り添ってくれていたリアム様を。
その日から、再び王妃教育の復習を行う事にした。たとえ後ろ盾がなくても、立派な王妃様になって見せる。そして何より、大切なリアム様の力になれるような女性になりたい。そんな思いから、いつも以上にレッスンに励む。先生からも
「レティシア様、随分と動きが洗練されてきましたわね。異国語も以前よりスムーズに話せていますわ」
そう褒めてもらった。そんな私を見てリアム様は
「レティシア、君はまだ傷心なんだ。無理をしなくてもいいんだよ」
そう言って心配してくれた。でも私は、もっと頑張りたいのだ。リアム様と結婚して、幸せな家庭を築く為に。それが、天国の両親への親孝行でもあると考えている。とにかく、今まで以上に頑張らなくっちゃね。
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