18 / 33
第18話:お義母様の行動力はすごいです
しおりを挟む
翌朝、いつもの様に朝食を食べに食堂へと向かう。すると既に旦那様が座って本を読んでいた。ご両親はまだな様だ。
「おはようございます、旦那様」
「おはよう。昨日は色々と大変な思いをさせてすまなかった。今日からはゆっくりしてくれ」
「私は大丈夫ですわ。それに今日は、お義母様と一緒に、街に出る約束をしておりますし。せっかくなので、色々と見て回りたいと思っております」
ダニエルから婚約破棄をされてから、街に出る事はほとんどなくなっていた。せっかくなので、私も色々と見て回りたい。
「母上と街にだなんて、止めた方がいい!疲れるだけだ。俺から断りを入れておくから」
「でも…」
ものすごい勢いで迫って来る旦那様。正直ちょっと怖い。
「そんな怖い顔でマリアンヌちゃんに迫るのは止めなさい。怯えているじゃない、可哀そうに!グリム、女同士の約束に口を挟むものではないわ。別にあなたに付いてこいと言っている訳ではないのだから、いいでしょう?」
この声は、お義母様だ。
「彼女が行くなら、もちろん俺も行く!母上と2人きりになんて、恐ろしくて出来ないからな」
「あら、残念ね。今日はあなたはお父様と一緒に、グリース公爵家にご挨拶に行く予定になっているのよ」
ニヤリと笑ったお母様。さすがに公爵家に挨拶に行くとなると、旦那様も断れないだろう。でも、お義母様は行かなくていいのかしら?
「母上、わざと俺が来られない様にしたな!それなら街に行くのは別の日にしてもらう!いいな!」
「それはどうかしら?」
「とにかく、今日は街へはいかせないからな!」
お義母様に向かって叫ぶと、ものすごく不機嫌そうな顔で食事を初めた旦那様。相変わらず、旦那様のお父様は空気だ。
食後、旦那様と旦那様のお父様を見送る。
「いいか、絶対に彼女を連れ出すなよ。いいな、分かったな。お前たち、母上が暴走しそうになったら、体を張ってでも止めろ!念のため、護衛騎士を多めに付けておく」
お義母様と使用人たちに必死に訴えている旦那様。使用人たちは真剣に聞いているが、お義母様は、明後日の方向を向いている。これは聞いていないわね…
「やっぱり心配だ」
そう言うとなぜか私の手を引き、そのまま部屋へと戻ってきた。
「俺が帰るまで、申し訳ないが部屋から出ないでほしい。いいね、分かったね」
そう言うと、部屋から出て行った旦那様。旦那様に付いて部屋から出ようとしたのだが、護衛騎士が3人待機していて、外に出る事は出来なかった。
旦那様はそこまでして、私とお義母様を2人きりにしたくないのね…私は大丈夫なのだけれど…
窓の外を見ると、旦那様たちが乗った馬車が走り出すのが見えた。どうやら無事出掛けた様だ。
仕方ない、本でも読むか。そう思い本を読んでいると、誰かが窓を叩く音が…
でも、ここは2階よ。一体誰が…
それでも窓の外が気になって、窓を開けると
「マリアンヌちゃん、こんなところからごめんなさいね」
「え…お義母様」
なんと、上の部屋からロープを垂らして、私の部屋まで降りて来ていたのだ。
急いで部屋へと招きいれた。
「あぁ、手が痛いわ。やっぱり年甲斐もなくこんな事をするものではないわね。さあ、一緒に街に行きましょう」
どうやら私と街に行くために、わざわざロープを伝ってきた様だ。でも…
「お義母様、ここまでして私を誘いに来てくださったことは、とても嬉しいです。でも、もし万が一ロープが切れたり、支えきれずに落ちてしまったらどうするおつもりだったのですか?これからは、あまり危険な事はしないでくださいね」
そう伝えた。ちょっと生意気だったかしら?でも、お義母様にもしもの事があったら、旦那様に顔向けが出来ないし、何より私も悲しいわ。
「マリアンヌちゃん、あなた、私の心配をしてくれているの?ありがとう。本当に優しい子ね。そうね、次からは、騎士をなぎ倒して来る事にするわ。そっちの方が、効率がよさそうだものね」
え…騎士をなぎ倒して…なんだか発想がおかしすぎて、つい笑ってしまった。そんな私を見て、お義母様も笑っている。2人で笑っていると
コンコン
「奥様、どうかされましたか?」
外で控えていた騎士が、ドア越しに声を掛けてきたのだ。
「さあ、こんな事をしていても仕方ないわね。街に行きましょう」
「はい、では早速参りましょう」
2人で部屋から出ると、目玉が飛び出るのではないかと言うくらい、大きく見開いた騎士たちがいた。
そりゃそうだろう、いるはずのないお義母様がいるのだから。あまりの衝撃に、固まったまま私たちを見送る騎士たち。すると今度は、クリスに出くわした。
「大奥様、奥様を勝手に連れ出してはいけません」
「あら、どうして?ちゃんとマリアンヌちゃんの許可はとったわ。とにかく私たちは急ぐから」
そう言うと私の手を引き、足早にクリスの元を去っていく。
「お待ちください。大奥様は、本当に聞き分けのない人ですね。どうせロープでも伝ったか、壁を伝ったかして奥様の部屋に侵入したのでしょう。とにかく、私もお供いたします」
クリスも急いで私たちの後を付いてくる。それにしてもクリス、どうしてロープで伝って来たとわかったのかしら?さすが長年執事をやっている人は違うわね。
そのまま馬車に向かうと、もう1人お義母様付きのメイドも一緒に乗り込み、4人で街に出発したのだった。
「おはようございます、旦那様」
「おはよう。昨日は色々と大変な思いをさせてすまなかった。今日からはゆっくりしてくれ」
「私は大丈夫ですわ。それに今日は、お義母様と一緒に、街に出る約束をしておりますし。せっかくなので、色々と見て回りたいと思っております」
ダニエルから婚約破棄をされてから、街に出る事はほとんどなくなっていた。せっかくなので、私も色々と見て回りたい。
「母上と街にだなんて、止めた方がいい!疲れるだけだ。俺から断りを入れておくから」
「でも…」
ものすごい勢いで迫って来る旦那様。正直ちょっと怖い。
「そんな怖い顔でマリアンヌちゃんに迫るのは止めなさい。怯えているじゃない、可哀そうに!グリム、女同士の約束に口を挟むものではないわ。別にあなたに付いてこいと言っている訳ではないのだから、いいでしょう?」
この声は、お義母様だ。
「彼女が行くなら、もちろん俺も行く!母上と2人きりになんて、恐ろしくて出来ないからな」
「あら、残念ね。今日はあなたはお父様と一緒に、グリース公爵家にご挨拶に行く予定になっているのよ」
ニヤリと笑ったお母様。さすがに公爵家に挨拶に行くとなると、旦那様も断れないだろう。でも、お義母様は行かなくていいのかしら?
「母上、わざと俺が来られない様にしたな!それなら街に行くのは別の日にしてもらう!いいな!」
「それはどうかしら?」
「とにかく、今日は街へはいかせないからな!」
お義母様に向かって叫ぶと、ものすごく不機嫌そうな顔で食事を初めた旦那様。相変わらず、旦那様のお父様は空気だ。
食後、旦那様と旦那様のお父様を見送る。
「いいか、絶対に彼女を連れ出すなよ。いいな、分かったな。お前たち、母上が暴走しそうになったら、体を張ってでも止めろ!念のため、護衛騎士を多めに付けておく」
お義母様と使用人たちに必死に訴えている旦那様。使用人たちは真剣に聞いているが、お義母様は、明後日の方向を向いている。これは聞いていないわね…
「やっぱり心配だ」
そう言うとなぜか私の手を引き、そのまま部屋へと戻ってきた。
「俺が帰るまで、申し訳ないが部屋から出ないでほしい。いいね、分かったね」
そう言うと、部屋から出て行った旦那様。旦那様に付いて部屋から出ようとしたのだが、護衛騎士が3人待機していて、外に出る事は出来なかった。
旦那様はそこまでして、私とお義母様を2人きりにしたくないのね…私は大丈夫なのだけれど…
窓の外を見ると、旦那様たちが乗った馬車が走り出すのが見えた。どうやら無事出掛けた様だ。
仕方ない、本でも読むか。そう思い本を読んでいると、誰かが窓を叩く音が…
でも、ここは2階よ。一体誰が…
それでも窓の外が気になって、窓を開けると
「マリアンヌちゃん、こんなところからごめんなさいね」
「え…お義母様」
なんと、上の部屋からロープを垂らして、私の部屋まで降りて来ていたのだ。
急いで部屋へと招きいれた。
「あぁ、手が痛いわ。やっぱり年甲斐もなくこんな事をするものではないわね。さあ、一緒に街に行きましょう」
どうやら私と街に行くために、わざわざロープを伝ってきた様だ。でも…
「お義母様、ここまでして私を誘いに来てくださったことは、とても嬉しいです。でも、もし万が一ロープが切れたり、支えきれずに落ちてしまったらどうするおつもりだったのですか?これからは、あまり危険な事はしないでくださいね」
そう伝えた。ちょっと生意気だったかしら?でも、お義母様にもしもの事があったら、旦那様に顔向けが出来ないし、何より私も悲しいわ。
「マリアンヌちゃん、あなた、私の心配をしてくれているの?ありがとう。本当に優しい子ね。そうね、次からは、騎士をなぎ倒して来る事にするわ。そっちの方が、効率がよさそうだものね」
え…騎士をなぎ倒して…なんだか発想がおかしすぎて、つい笑ってしまった。そんな私を見て、お義母様も笑っている。2人で笑っていると
コンコン
「奥様、どうかされましたか?」
外で控えていた騎士が、ドア越しに声を掛けてきたのだ。
「さあ、こんな事をしていても仕方ないわね。街に行きましょう」
「はい、では早速参りましょう」
2人で部屋から出ると、目玉が飛び出るのではないかと言うくらい、大きく見開いた騎士たちがいた。
そりゃそうだろう、いるはずのないお義母様がいるのだから。あまりの衝撃に、固まったまま私たちを見送る騎士たち。すると今度は、クリスに出くわした。
「大奥様、奥様を勝手に連れ出してはいけません」
「あら、どうして?ちゃんとマリアンヌちゃんの許可はとったわ。とにかく私たちは急ぐから」
そう言うと私の手を引き、足早にクリスの元を去っていく。
「お待ちください。大奥様は、本当に聞き分けのない人ですね。どうせロープでも伝ったか、壁を伝ったかして奥様の部屋に侵入したのでしょう。とにかく、私もお供いたします」
クリスも急いで私たちの後を付いてくる。それにしてもクリス、どうしてロープで伝って来たとわかったのかしら?さすが長年執事をやっている人は違うわね。
そのまま馬車に向かうと、もう1人お義母様付きのメイドも一緒に乗り込み、4人で街に出発したのだった。
5
お気に入りに追加
2,228
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
お飾り王妃の愛と献身
石河 翠
恋愛
エスターは、お飾りの王妃だ。初夜どころか結婚式もない、王国存続の生贄のような結婚は、父親である宰相によって調えられた。国王は身分の低い平民に溺れ、公務を放棄している。
けれどエスターは白い結婚を隠しもせずに、王の代わりに執務を続けている。彼女にとって大切なものは国であり、夫の愛情など必要としていなかったのだ。
ところがある日、暗愚だが無害だった国王の独断により、隣国への侵攻が始まる。それをきっかけに国内では革命が起き……。
国のために恋を捨て、人生を捧げてきたヒロインと、王妃を密かに愛し、彼女を手に入れるために国を変えることを決意した一途なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:24963620)をお借りしております。

【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

【完結】溺愛婚約者の裏の顔 ~そろそろ婚約破棄してくれませんか~
瀬里
恋愛
(なろうの異世界恋愛ジャンルで日刊7位頂きました)
ニナには、幼い頃からの婚約者がいる。
3歳年下のティーノ様だ。
本人に「お前が行き遅れになった頃に終わりだ」と宣言されるような、典型的な「婚約破棄前提の格差婚約」だ。
行き遅れになる前に何とか婚約破棄できないかと頑張ってはみるが、うまくいかず、最近ではもうそれもいいか、と半ばあきらめている。
なぜなら、現在16歳のティーノ様は、匂いたつような色香と初々しさとを併せ持つ、美青年へと成長してしまったのだ。おまけに人前では、誰もがうらやむような溺愛ぶりだ。それが偽物だったとしても、こんな風に夢を見させてもらえる体験なんて、そうそうできやしない。
もちろん人前でだけで、裏ではひどいものだけど。
そんな中、第三王女殿下が、ティーノ様をお気に召したらしいという噂が飛び込んできて、あきらめかけていた婚約破棄がかなうかもしれないと、ニナは行動を起こすことにするのだが――。
全7話の短編です 完結確約です。

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

他人の婚約者を誘惑せずにはいられない令嬢に目をつけられましたが、私の婚約者を馬鹿にし過ぎだと思います
珠宮さくら
恋愛
ニヴェス・カスティリオーネは婚約者ができたのだが、あまり嬉しくない状況で婚約することになった。
最初は、ニヴェスの妹との婚約者にどうかと言う話だったのだ。その子息が、ニヴェスより年下で妹との方が歳が近いからだった。
それなのに妹はある理由で婚約したくないと言っていて、それをフォローしたニヴェスが、その子息に気に入られて婚約することになったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる