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第48話:まさかこんな事になるだなんて~アーロン視点~
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ジャンティーヌを追い出してから、まさに天国だった。僕にたてつく家臣たちは、全員クビにした。そして新たに、僕の言う事だけを聞く家臣たちを傍に置いた。
そして僕は、新たにマリアンと婚約し、毎日2人で贅沢三昧な生活を送った。口うるさいジャンティーヌはじめ、うるさい家臣たちがいなくなり、まさに天国だ。これからはずっと、こんな幸せが続く。
そんな中、父上が亡くなり、僕が新たに国王に就任した。就任式は盛大に行おう。早速家臣たちに、指示を出した。
ただ…
「陛下、どうかもう少し公務を。それから、東の街が干ばつで苦しんでおります。国から少し援助を…」
「何を言っているのだい?僕は国王なんだよ。公務なら、家臣たちで行えばいいだろう?それに干ばつ、そんな物、僕には関係ないよ。干ばつで苦しいから、税を減らせだなんてふざけたことを言う国民なんて、無視しておけばいい。もし支払えないなら、強制労働施設にでも送って、死ぬまでこき使えばいい!そんな事よりも、僕の国王就任式は、贅沢の限りを尽くしたものにしてくれ。いいな!」
「…はい、かしこまりました」
そうそう、そうやって素直に僕の言う通りにしておけばいいのだよ。
「ねえ、アーロン様。ドレスを後10着ほど新調したいのですが、いいですか?」
「もちろんだよ。君は僕の婚約者なんだから。好きな物を好きなだけ買えばいい。メイドたちも、気に入らなかったらクビにしたらいいからね」
「ありがとうございます!嬉しいですわ。さすがアーロン様」
嬉しそうに僕にくっ付いてくるマリアン。本当に可愛いな。
そんな幸せな日々がずっと続くと思っていた。でも…
「陛下、大変です。魔物たちが我が国に大量に発生しております。既に各地の村々は襲われ、王都にも大量の魔物が入り込んでいます」
「何だって!すぐに魔物を退治してくれ!一体どうして、魔物たちがやって来たのだ?グリーズン王国にいたのではないのか?」
「どうやら魔女はジャンティーヌ様によって倒された様です。魔女が居なくなり、ジャンティーヌ様の魔力に守られたグリーズン王国から、魔物たちは逃げ出してきたようです。居場所を無くした魔物たちは、結界も何もない我が国に流れ込んできた様で…」
「ジャンティーヌだと!あの女、なんて事をしてくれたんだ!」
なんて女だ!本当に、ろくなことをしないのだから。
「それなら、すぐに結界を張らせろ!とにかくさっさと魔物を退治してくれ。ここ最近、分厚い雲に覆われていたのも、魔物たちのせいだったのか!」
「それが、結界の柱を作れるジャンティーヌ様は、他国にいらっしゃいます。魔術師たちに結界を張らせることも出来ますが…」
「それなら魔術師たちに、結界を張らせろ!今すぐだ。これ以上僕の手を煩わせるな!」
「承知いたしました」
家臣たちを怒鳴りつけ、すぐに結界を張らせたのだが…
「おい、どうして魔物たちがまだ王都にいるのだ?数が増えているぞ。このままいけば、王宮までやって来る。とにかく、王宮だけは守ってくれ!民はいくら犠牲が出ても構わない。戦えるものは、全員戦わせろ!」
結界を張らせたにもかかわらず、魔物は減るどころか増え続けているのだ。
「何をおっしゃっているのですか?陛下。あなた様がジャンティーヌ様を追い出したから、こんな事になっているのでしょう。貴族はもちろん、平民たちからも陛下に対する不満の声が溢れていますよ!」
「うるさい、僕に口答えするつもりか?お前なんかクビだ!」
「クビで結構です。もうあなた様にお仕えなんて出来ません!それでは失礼いたします」
怒って出て行ってしまった家臣たち。使用人たちも、次々と王宮から去って行った。そしてついに、王宮にも魔物たちが乗り込んできた。
僕たちは王族のみ入る事が許される地下の安全な場所に避難し、何とか魔物の攻撃からのがれる。
「陛下、魔物たちと戦いましょう。幸い魔女はいません。きっと皆で力を合わせれば、魔物たちを倒すことが出来るのです。それに今陛下が魔物たちと戦わないと、きっとあなた様は…」
「僕に魔物と戦えだって!ふざけるな。僕は国王なんだよ。この国で一番偉くて、尊い存在なんだ。そもそも君たちは、僕を守るのが仕事だろう。死ぬ気で魔物たちを倒して来いよ!」
「今必死で倒しています。でも、相手が多すぎて。既にたくさんの民たちも犠牲になっております。こうなったらカルスティア公爵とジャンティーヌ様に頭を下げて、ジャンティーヌ様にこの国を助けてもらうべきです」
「ぶざけているのか?僕がどうして公爵やジャンティーヌに頭を下げないといけないんだよ。そもそもマリアンがいけないんだよ。“ジャンティーヌがこの国を滅ぼす”と言って、ジャンティーヌを追い出したから」
「そんな…私は…」
「そうだよ、マリアン。君がいけないんだよ。よくもあんな嘘を付いて、この国を滅ぼそうとしてくれたな。君が責任をとって、魔物を倒してきてよ!それか、ジャンティーヌを連れ戻してきてくれ!」
「アーロン様、なんて事を。私に死ねというのですか?私は魔物なんかと戦えませんわ」
「うるさい!君のせいで、こんな事になっているのだろう!」
「陛下、落ち着いて下さい。とにかく、ジャンティーヌ様に戻って来て頂く事が一番です」
ジャンティーヌか…確かにこのままの生活なんて耐えられない。幸いジャンティーヌは僕を愛している様だし、まあ、連れ戻してもいいか。口うるさく面倒だが、僕はこの国で一番偉い国王だ。
「分かった、そこまで言うなら、ジャンティーヌを呼び戻すことを許可しよう」
ジャンティーヌを呼び戻したら、とりあえず彼女を再び王妃にでもしてやろう。そうすれば機嫌も直るだろう。後はジャンティーヌに公務など面倒な事は全て押し付ければ完璧だ。
もし文句を言ったら、牢にでもぶち込み反省させればいいか。少しぐらい雑に扱っても、問題はないだろう。
なんたって僕は、この国で一番偉い国王なのだから。
※、次回、ジャンティーヌ視点に戻ります。
よろしくお願いいたします。
そして僕は、新たにマリアンと婚約し、毎日2人で贅沢三昧な生活を送った。口うるさいジャンティーヌはじめ、うるさい家臣たちがいなくなり、まさに天国だ。これからはずっと、こんな幸せが続く。
そんな中、父上が亡くなり、僕が新たに国王に就任した。就任式は盛大に行おう。早速家臣たちに、指示を出した。
ただ…
「陛下、どうかもう少し公務を。それから、東の街が干ばつで苦しんでおります。国から少し援助を…」
「何を言っているのだい?僕は国王なんだよ。公務なら、家臣たちで行えばいいだろう?それに干ばつ、そんな物、僕には関係ないよ。干ばつで苦しいから、税を減らせだなんてふざけたことを言う国民なんて、無視しておけばいい。もし支払えないなら、強制労働施設にでも送って、死ぬまでこき使えばいい!そんな事よりも、僕の国王就任式は、贅沢の限りを尽くしたものにしてくれ。いいな!」
「…はい、かしこまりました」
そうそう、そうやって素直に僕の言う通りにしておけばいいのだよ。
「ねえ、アーロン様。ドレスを後10着ほど新調したいのですが、いいですか?」
「もちろんだよ。君は僕の婚約者なんだから。好きな物を好きなだけ買えばいい。メイドたちも、気に入らなかったらクビにしたらいいからね」
「ありがとうございます!嬉しいですわ。さすがアーロン様」
嬉しそうに僕にくっ付いてくるマリアン。本当に可愛いな。
そんな幸せな日々がずっと続くと思っていた。でも…
「陛下、大変です。魔物たちが我が国に大量に発生しております。既に各地の村々は襲われ、王都にも大量の魔物が入り込んでいます」
「何だって!すぐに魔物を退治してくれ!一体どうして、魔物たちがやって来たのだ?グリーズン王国にいたのではないのか?」
「どうやら魔女はジャンティーヌ様によって倒された様です。魔女が居なくなり、ジャンティーヌ様の魔力に守られたグリーズン王国から、魔物たちは逃げ出してきたようです。居場所を無くした魔物たちは、結界も何もない我が国に流れ込んできた様で…」
「ジャンティーヌだと!あの女、なんて事をしてくれたんだ!」
なんて女だ!本当に、ろくなことをしないのだから。
「それなら、すぐに結界を張らせろ!とにかくさっさと魔物を退治してくれ。ここ最近、分厚い雲に覆われていたのも、魔物たちのせいだったのか!」
「それが、結界の柱を作れるジャンティーヌ様は、他国にいらっしゃいます。魔術師たちに結界を張らせることも出来ますが…」
「それなら魔術師たちに、結界を張らせろ!今すぐだ。これ以上僕の手を煩わせるな!」
「承知いたしました」
家臣たちを怒鳴りつけ、すぐに結界を張らせたのだが…
「おい、どうして魔物たちがまだ王都にいるのだ?数が増えているぞ。このままいけば、王宮までやって来る。とにかく、王宮だけは守ってくれ!民はいくら犠牲が出ても構わない。戦えるものは、全員戦わせろ!」
結界を張らせたにもかかわらず、魔物は減るどころか増え続けているのだ。
「何をおっしゃっているのですか?陛下。あなた様がジャンティーヌ様を追い出したから、こんな事になっているのでしょう。貴族はもちろん、平民たちからも陛下に対する不満の声が溢れていますよ!」
「うるさい、僕に口答えするつもりか?お前なんかクビだ!」
「クビで結構です。もうあなた様にお仕えなんて出来ません!それでは失礼いたします」
怒って出て行ってしまった家臣たち。使用人たちも、次々と王宮から去って行った。そしてついに、王宮にも魔物たちが乗り込んできた。
僕たちは王族のみ入る事が許される地下の安全な場所に避難し、何とか魔物の攻撃からのがれる。
「陛下、魔物たちと戦いましょう。幸い魔女はいません。きっと皆で力を合わせれば、魔物たちを倒すことが出来るのです。それに今陛下が魔物たちと戦わないと、きっとあなた様は…」
「僕に魔物と戦えだって!ふざけるな。僕は国王なんだよ。この国で一番偉くて、尊い存在なんだ。そもそも君たちは、僕を守るのが仕事だろう。死ぬ気で魔物たちを倒して来いよ!」
「今必死で倒しています。でも、相手が多すぎて。既にたくさんの民たちも犠牲になっております。こうなったらカルスティア公爵とジャンティーヌ様に頭を下げて、ジャンティーヌ様にこの国を助けてもらうべきです」
「ぶざけているのか?僕がどうして公爵やジャンティーヌに頭を下げないといけないんだよ。そもそもマリアンがいけないんだよ。“ジャンティーヌがこの国を滅ぼす”と言って、ジャンティーヌを追い出したから」
「そんな…私は…」
「そうだよ、マリアン。君がいけないんだよ。よくもあんな嘘を付いて、この国を滅ぼそうとしてくれたな。君が責任をとって、魔物を倒してきてよ!それか、ジャンティーヌを連れ戻してきてくれ!」
「アーロン様、なんて事を。私に死ねというのですか?私は魔物なんかと戦えませんわ」
「うるさい!君のせいで、こんな事になっているのだろう!」
「陛下、落ち着いて下さい。とにかく、ジャンティーヌ様に戻って来て頂く事が一番です」
ジャンティーヌか…確かにこのままの生活なんて耐えられない。幸いジャンティーヌは僕を愛している様だし、まあ、連れ戻してもいいか。口うるさく面倒だが、僕はこの国で一番偉い国王だ。
「分かった、そこまで言うなら、ジャンティーヌを呼び戻すことを許可しよう」
ジャンティーヌを呼び戻したら、とりあえず彼女を再び王妃にでもしてやろう。そうすれば機嫌も直るだろう。後はジャンティーヌに公務など面倒な事は全て押し付ければ完璧だ。
もし文句を言ったら、牢にでもぶち込み反省させればいいか。少しぐらい雑に扱っても、問題はないだろう。
なんたって僕は、この国で一番偉い国王なのだから。
※、次回、ジャンティーヌ視点に戻ります。
よろしくお願いいたします。
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