あなた達のお望みどおりにして差し上げますわ~追放聖女は絶体絶命王子と幸せになります~

Karamimi

文字の大きさ
上 下
42 / 53

第42話:かなり歓迎されている様です

しおりを挟む
「あの、皆様、私は…」

そんな立派な人間ではない。そう言おうとしたのだが…

「皆、ありがとう。まだまだ未熟な2人だけど、よろしく頼むよ。さあ、そろそろ時間だ。ジャンティーヌ殿、行こうか」

私の手を握り、歩き出したジルド殿下。後ろからシルビア殿下と、なぜかお兄様まで付いてくる。ちょっと待って、本来なら王族でもあるシルビア殿下がジルド殿下と一緒に並んで歩くものではなくって?

そう思ったのだが、時すでに遅し。皆の前まで来てしまったのだ。私達が姿を現した瞬間

「あれが聖女様か…なんてお美しいんだ」

「伝説の初代聖女様によく似ていらっしゃるわ」

「ジャンティーヌ様、やはりあなた様は聖女様だったのですね」

「ジャンティーヌ様、魔女を倒していただき、ありがとうございました」

あちこちから声援が飛ぶ。中には、何度か食糧を届けにいった、顔見知りの人たちの姿もある。皆元気そうでよかったわ。つい頬が緩んだ。

辺りを見渡すと、あちこちで撮影型魔道具が作動している。きっとグリーズン王国全土に、この映像が流れているのだろう。とりあえず私は、笑顔でいればいいのよね。

そして、いよいよジルド殿下の口から、魔女が居なくなったことを報告する。

「皆も既に知っていると思うが、昨日、ここにいるジャンティーヌ殿によって、魔女は倒された。魔女が居なくなったことで、12年ぶりに空は晴れ、魔物たちも姿を消した。この12年、沢山の人々が命を落とし、傷つき、涙を流した事だろう。我が王族のせいで、辛い思いをさせてしまい、本当に申し訳なく思っている。まずは謝罪をさせて欲しい」

そう言うと、ジルド殿下とシルビア殿下が深々と頭を下げたのだ。

「殿下、どうか頭を上げて下さい。私達は皆、亡くなられた陛下に非はない事を知っております。もちろん、ジルド殿下やシルビア殿下にもです」

「そうです!それに殿下たちは、一番危険な王都に残り、必死に戦って下さっていたではありませんか。感謝すれども、恨む人間などこの国にはおりません」

「「「「「そうです、どうか頭を上げて下さい」」」」」」


「「「「「「殿下たちが一番苦労されたのです。どうか謝らないで」」」」」」

集まった民たちが、一斉に叫んでいる。

「ありがとう、皆…それでもこの12年、魔女によって辛く苦しい日々を送ったのは事実だ。でも、その魔女はもういない。既に始まっているが、これからは再び昔の豊かなグリーズン王国に戻していこうと思っている。どうか皆、力を貸して欲しい」

「「「「もちろんです!私たちはジルド殿下とシルビア殿下、聖女様に付いていきます」」」」」

ここでもやっぱり私は、聖女の様だ。でも…民たちみんな、ジルド殿下とシルビア殿下の苦労を分かってくれて、本当によかったわ。2人はこの12年、私が想像も出来ない程の苦しみを味わって来たのだもの。

「それで、皆に報告がある。近々私が新国王として、就任する事が決まった。そして隣にいるジャンティーヌ殿を妻として迎えようと思っている。一から…いいや、マイナスからのスタートになるが、どうか手を貸して欲しい」

「聖女様とジルド殿下が結婚されるのですか?それはめでたい。これで我が国も安泰だ!」

「ジルド新国王陛下、聖女様、おめでとうございます」

「「「「「おめでとうございます」」」」」

会場中が沸き上がる。それにしても、凄い歓迎ぶりだ。

「皆、ありがとう。それから姉のシルビアだが、ジャンティーヌ殿の兄君、クリスティル王国のカルスティア公爵家の嫡男、ジャクソン殿に嫁ぐことも決まっている。どうかこちらも祝福してやって欲しい」

「シルビア殿下もご結婚なさるだなんて、これはめでたい!それも聖女様の兄君の元に嫁ぐだなんて。シルビア殿下、聖女様の兄君、おめでとうございます」

「「「「おめでとうございます」」」」

こちらも祝福されている。

「魔女が居なくなっただけでなく、お2人の王族方の結婚も決まったんだ。これは盛大に祝わないと!」

「そうだな、今日は祭りだ!」

ものすごく盛り上がる市民たち。こんなに祝福してくれるだなんて。

その後3日間、全国各地で、私たちを祝うお祭りが行われたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

二度目の婚約者には、もう何も期待しません!……そう思っていたのに、待っていたのは年下領主からの溺愛でした。

当麻月菜
恋愛
フェルベラ・ウィステリアは12歳の時に親が決めた婚約者ロジャードに相応しい女性になるため、これまで必死に努力を重ねてきた。 しかし婚約者であるロジャードはあっさり妹に心変わりした。 最後に人間性を疑うような捨て台詞を吐かれたフェルベラは、プツンと何かが切れてロジャードを回し蹴りしをかまして、6年という長い婚約期間に終止符を打った。 それから三ヶ月後。島流し扱いでフェルベラは岩山ばかりの僻地ルグ領の領主の元に嫁ぐ。愛人として。 婚約者に心変わりをされ、若い身空で愛人になるなんて不幸だと泣き崩れるかと思いきや、フェルベラの心は穏やかだった。 だって二度目の婚約者には、もう何も期待していないから。全然平気。 これからの人生は好きにさせてもらおう。そう決めてルグ領の領主に出会った瞬間、期待は良い意味で裏切られた。

【完結】長い眠りのその後で

maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。 でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。 いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう? このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!! どうして旦那様はずっと眠ってるの? 唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。 しょうがないアディル頑張りまーす!! 複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です 全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む) ※他サイトでも投稿しております ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです

公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌

招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」 毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。 彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。 そして…。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

【完結】断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~

古堂 素央
恋愛
【完結】 「なんでわたしを突き落とさないのよ」  学園の廊下で、見知らぬ女生徒に声をかけられた公爵令嬢ハナコ。  階段から転げ落ちたことをきっかけに、ハナコは自分が乙女ゲームの世界に生まれ変わったことを知る。しかもハナコは悪役令嬢のポジションで。  しかしなぜかヒロインそっちのけでぐいぐいハナコに迫ってくる攻略対象の王子。その上、王子は前世でハナコがこっぴどく振った瓶底眼鏡の山田そっくりで。  ギロチンエンドか瓶底眼鏡とゴールインするか。選択を迫られる中、他の攻略対象の好感度まで上がっていって!?  悪役令嬢? 断罪ざまぁ? いいえ、冴えない王子と結ばれるくらいなら、ノシつけてヒロインに押しつけます!  黒ヒロインの陰謀を交わしつつ、無事ハナコは王子の魔の手から逃げ切ることはできるのか!?

我慢するだけの日々はもう終わりにします

風見ゆうみ
恋愛
「レンウィル公爵も素敵だけれど、あなたの婚約者も素敵ね」伯爵の爵位を持つ父の後妻の連れ子であるロザンヌは、私、アリカ・ルージーの婚約者シーロンをうっとりとした目で見つめて言った――。 学園でのパーティーに出席した際、シーロンからパーティー会場の入口で「今日はロザンヌと出席するから、君は1人で中に入ってほしい」と言われた挙げ句、ロザンヌからは「あなたにはお似合いの相手を用意しておいた」と言われ、複数人の男子生徒にどこかへ連れ去られそうになってしまう。 そんな私を助けてくれたのは、ロザンヌが想いを寄せている相手、若き公爵ギルバート・レンウィルだった。 ※本編完結しましたが、番外編を更新中です。 ※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。 ※独特の世界観です。 ※中世〜近世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物など、その他諸々は現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

処理中です...