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第42話:かなり歓迎されている様です
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「あの、皆様、私は…」
そんな立派な人間ではない。そう言おうとしたのだが…
「皆、ありがとう。まだまだ未熟な2人だけど、よろしく頼むよ。さあ、そろそろ時間だ。ジャンティーヌ殿、行こうか」
私の手を握り、歩き出したジルド殿下。後ろからシルビア殿下と、なぜかお兄様まで付いてくる。ちょっと待って、本来なら王族でもあるシルビア殿下がジルド殿下と一緒に並んで歩くものではなくって?
そう思ったのだが、時すでに遅し。皆の前まで来てしまったのだ。私達が姿を現した瞬間
「あれが聖女様か…なんてお美しいんだ」
「伝説の初代聖女様によく似ていらっしゃるわ」
「ジャンティーヌ様、やはりあなた様は聖女様だったのですね」
「ジャンティーヌ様、魔女を倒していただき、ありがとうございました」
あちこちから声援が飛ぶ。中には、何度か食糧を届けにいった、顔見知りの人たちの姿もある。皆元気そうでよかったわ。つい頬が緩んだ。
辺りを見渡すと、あちこちで撮影型魔道具が作動している。きっとグリーズン王国全土に、この映像が流れているのだろう。とりあえず私は、笑顔でいればいいのよね。
そして、いよいよジルド殿下の口から、魔女が居なくなったことを報告する。
「皆も既に知っていると思うが、昨日、ここにいるジャンティーヌ殿によって、魔女は倒された。魔女が居なくなったことで、12年ぶりに空は晴れ、魔物たちも姿を消した。この12年、沢山の人々が命を落とし、傷つき、涙を流した事だろう。我が王族のせいで、辛い思いをさせてしまい、本当に申し訳なく思っている。まずは謝罪をさせて欲しい」
そう言うと、ジルド殿下とシルビア殿下が深々と頭を下げたのだ。
「殿下、どうか頭を上げて下さい。私達は皆、亡くなられた陛下に非はない事を知っております。もちろん、ジルド殿下やシルビア殿下にもです」
「そうです!それに殿下たちは、一番危険な王都に残り、必死に戦って下さっていたではありませんか。感謝すれども、恨む人間などこの国にはおりません」
「「「「「そうです、どうか頭を上げて下さい」」」」」」
「「「「「「殿下たちが一番苦労されたのです。どうか謝らないで」」」」」」
集まった民たちが、一斉に叫んでいる。
「ありがとう、皆…それでもこの12年、魔女によって辛く苦しい日々を送ったのは事実だ。でも、その魔女はもういない。既に始まっているが、これからは再び昔の豊かなグリーズン王国に戻していこうと思っている。どうか皆、力を貸して欲しい」
「「「「もちろんです!私たちはジルド殿下とシルビア殿下、聖女様に付いていきます」」」」」
ここでもやっぱり私は、聖女の様だ。でも…民たちみんな、ジルド殿下とシルビア殿下の苦労を分かってくれて、本当によかったわ。2人はこの12年、私が想像も出来ない程の苦しみを味わって来たのだもの。
「それで、皆に報告がある。近々私が新国王として、就任する事が決まった。そして隣にいるジャンティーヌ殿を妻として迎えようと思っている。一から…いいや、マイナスからのスタートになるが、どうか手を貸して欲しい」
「聖女様とジルド殿下が結婚されるのですか?それはめでたい。これで我が国も安泰だ!」
「ジルド新国王陛下、聖女様、おめでとうございます」
「「「「「おめでとうございます」」」」」
会場中が沸き上がる。それにしても、凄い歓迎ぶりだ。
「皆、ありがとう。それから姉のシルビアだが、ジャンティーヌ殿の兄君、クリスティル王国のカルスティア公爵家の嫡男、ジャクソン殿に嫁ぐことも決まっている。どうかこちらも祝福してやって欲しい」
「シルビア殿下もご結婚なさるだなんて、これはめでたい!それも聖女様の兄君の元に嫁ぐだなんて。シルビア殿下、聖女様の兄君、おめでとうございます」
「「「「おめでとうございます」」」」
こちらも祝福されている。
「魔女が居なくなっただけでなく、お2人の王族方の結婚も決まったんだ。これは盛大に祝わないと!」
「そうだな、今日は祭りだ!」
ものすごく盛り上がる市民たち。こんなに祝福してくれるだなんて。
その後3日間、全国各地で、私たちを祝うお祭りが行われたのだった。
そんな立派な人間ではない。そう言おうとしたのだが…
「皆、ありがとう。まだまだ未熟な2人だけど、よろしく頼むよ。さあ、そろそろ時間だ。ジャンティーヌ殿、行こうか」
私の手を握り、歩き出したジルド殿下。後ろからシルビア殿下と、なぜかお兄様まで付いてくる。ちょっと待って、本来なら王族でもあるシルビア殿下がジルド殿下と一緒に並んで歩くものではなくって?
そう思ったのだが、時すでに遅し。皆の前まで来てしまったのだ。私達が姿を現した瞬間
「あれが聖女様か…なんてお美しいんだ」
「伝説の初代聖女様によく似ていらっしゃるわ」
「ジャンティーヌ様、やはりあなた様は聖女様だったのですね」
「ジャンティーヌ様、魔女を倒していただき、ありがとうございました」
あちこちから声援が飛ぶ。中には、何度か食糧を届けにいった、顔見知りの人たちの姿もある。皆元気そうでよかったわ。つい頬が緩んだ。
辺りを見渡すと、あちこちで撮影型魔道具が作動している。きっとグリーズン王国全土に、この映像が流れているのだろう。とりあえず私は、笑顔でいればいいのよね。
そして、いよいよジルド殿下の口から、魔女が居なくなったことを報告する。
「皆も既に知っていると思うが、昨日、ここにいるジャンティーヌ殿によって、魔女は倒された。魔女が居なくなったことで、12年ぶりに空は晴れ、魔物たちも姿を消した。この12年、沢山の人々が命を落とし、傷つき、涙を流した事だろう。我が王族のせいで、辛い思いをさせてしまい、本当に申し訳なく思っている。まずは謝罪をさせて欲しい」
そう言うと、ジルド殿下とシルビア殿下が深々と頭を下げたのだ。
「殿下、どうか頭を上げて下さい。私達は皆、亡くなられた陛下に非はない事を知っております。もちろん、ジルド殿下やシルビア殿下にもです」
「そうです!それに殿下たちは、一番危険な王都に残り、必死に戦って下さっていたではありませんか。感謝すれども、恨む人間などこの国にはおりません」
「「「「「そうです、どうか頭を上げて下さい」」」」」」
「「「「「「殿下たちが一番苦労されたのです。どうか謝らないで」」」」」」
集まった民たちが、一斉に叫んでいる。
「ありがとう、皆…それでもこの12年、魔女によって辛く苦しい日々を送ったのは事実だ。でも、その魔女はもういない。既に始まっているが、これからは再び昔の豊かなグリーズン王国に戻していこうと思っている。どうか皆、力を貸して欲しい」
「「「「もちろんです!私たちはジルド殿下とシルビア殿下、聖女様に付いていきます」」」」」
ここでもやっぱり私は、聖女の様だ。でも…民たちみんな、ジルド殿下とシルビア殿下の苦労を分かってくれて、本当によかったわ。2人はこの12年、私が想像も出来ない程の苦しみを味わって来たのだもの。
「それで、皆に報告がある。近々私が新国王として、就任する事が決まった。そして隣にいるジャンティーヌ殿を妻として迎えようと思っている。一から…いいや、マイナスからのスタートになるが、どうか手を貸して欲しい」
「聖女様とジルド殿下が結婚されるのですか?それはめでたい。これで我が国も安泰だ!」
「ジルド新国王陛下、聖女様、おめでとうございます」
「「「「「おめでとうございます」」」」」
会場中が沸き上がる。それにしても、凄い歓迎ぶりだ。
「皆、ありがとう。それから姉のシルビアだが、ジャンティーヌ殿の兄君、クリスティル王国のカルスティア公爵家の嫡男、ジャクソン殿に嫁ぐことも決まっている。どうかこちらも祝福してやって欲しい」
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「そうだな、今日は祭りだ!」
ものすごく盛り上がる市民たち。こんなに祝福してくれるだなんて。
その後3日間、全国各地で、私たちを祝うお祭りが行われたのだった。
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