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第40話:話が進みすぎていて付いていけません
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「う…ん」
ゆっくり瞼を上げると、薄暗い部屋が目に入る。あら?ここは、地下の私のお部屋?でもなんだか雰囲気が違うわ。
「ジャンティーヌ様、目を覚まされたのですね。すぐに殿下を呼んで参ります」
見た事のない女性が、嬉しそうに部屋から出て行った。あの人は一体誰だろう。
「ジャンティーヌちゃん、目が覚めたのね。よかったわ。魔術師様の話では、明日の朝くらいに目を覚まされるとおっしゃっていたから」
嬉しそうにお部屋に入って来たのは、シルビア殿下だ。彼女が入って来ると同時に灯りが灯された。このお部屋は一体?
「シルビア殿下、ここは一体どこですか?」
「ここは地下があった場所の地上よ。ジャンティーヌちゃんのお陰で、魔女や魔物たちがいなくなったら、急遽地上に小さな屋敷を建てたの。まだ資材がなかったら、石や土のお家だけれどね」
「そうだったのですね。よく見たら窓もある。確かに地上だわ」
「ジャンティーヌちゃん、魔女を倒してくれて、本当にありがとう。その上、命がけでジルドを守ってくれたのでしょう?本当になんとお礼を言ったらいいか」
「私たちからもお礼を言わせてください。ジャンティーヌ様、いいえ、聖女様!我が国を救って下さり、本当にありがとうございました。お陰で私どもも、王都に戻って来られましたわ」
シルビア殿下や私と同じ歳の女性たちから、お礼を言われた。
「彼女たちは、皆貴族令嬢ですわ。魔物から身を守るため、地方に避難していたのですが、魔女がジャンティーヌちゃんによって倒されたと聞いて、家族と共に戻って来たのです。今後国外に避難している貴族たちも、続々と帰国する予定ですわ」
「まあ、この国の貴族の方たちでしたのね。あなた様達も、大変な暮らしをされていたのでしょう?戻って来て頂けて良かったですわ。それでその…ジルド殿下は?」
ジルド殿下の姿が見られないのだ。というより、男性陣の姿が一切見当たらない。
「ジルドは家臣や戻って来てくれた貴族たち、さらにジャンティーヌちゃんのご両親やジャクソン様と一緒に、今王宮や王都の街の復旧を行っているわ。ジャンティーヌちゃんのご両親から、沢山の資材と人員を援助してもらったのよ。本当に、何とお礼を言っていいか。今使いを出して、ジャンティーヌちゃんが目覚めたとジルドに伝えに言ったから、すぐに戻ってくると思うわ」
私が眠っている間に、色々と話が進められている様だ。
「あの、それで私はどれくらい眠っていたのですか?」
「そうね、半日も眠っていらっしゃらなかったのではないかしら?魔女をジャンティーヌちゃんが倒したのはお昼前くらいでしょう?今は夜の8時ごろなので」
まだ魔女を倒して1日も経っていなかったのか。それにしては、随分と復旧に関する動きが早いのね。
「ジャンティーヌちゃん、お腹が空いているのではなくって。すぐに食べ物を準備するわ」
そう言えば、お腹が空いているわ。ただ、この国に初めて来た時よりかはまだまだ余裕がある。という事は…
私、実は半分の魔力も使っていなかったのかしら?でも、私は十分魔力を使ったはずなんだけれど…
過ぎた事は仕方がない。魔女を倒したのだから、気にしない事にしよう。
「ありがとうございます、頂きますわ」
次々とお料理が運ばれてくる。どうやらかつて使用人として働いていた人たちも来てくれている様で、テキパキとセッティングしてくれた。ただなぜか皆
「さあ、聖女様、お料理の準備が整いました。どうか沢山召し上がってください」
と、私を聖女扱いするのだ。私は聖女ではないのだが…
そう言いたいが、あまりにも目を輝かせて言われるので、否定する事が出来ない。せっかくなので、美味しいお料理を頂いた。
その時だった。
「ジャンティーヌ殿、目覚めたのだってね」
急いでやって来たのは、ジルド殿下だ。後ろにはお兄様や両親の姿もある。そのままジルド殿下に抱きしめられた。
「私のせいで無理をさせてしまって、すまなかった。でもよかった、目覚めてくれて!」
「ジルド殿下、ご心配をおかけして申し訳ございません。私はこの通り、元気ですわ」
そう、思ったよりも元気なのだ。
「ジルド殿下、ジャンティーヌは魔力を最後まで使いこなせていなかった様なので、ぴんぴんしていますよ。ジャンティーヌ、魔術師の方たちが怒っていたぞ。自分たちが教えた事の半分も出来ていなかったと」
「まあ、魔術師の方たちがですか?」
やっぱり見破られていたのね。
「それでもジャンティーヌは、魔女を倒したのだからいいじゃない。ジャクソン、あまり妹を責めないであげて。それにジャンティーヌのお陰で、あなたもシルビア殿下と結婚できるのだから」
「えっ?お兄様とシルビア殿下が?」
ビックリして2人の顔を交互に見る。
「ああ、さっきシルビア殿下から、了承の返事をもらった。この国が落ち着いたら、クリスティル王国に戻って、シルビア殿下と結婚する予定だ」
「ちょっと待って下さい、クリスティル王国ではきっと、私のせいで皆指名手配されているはずですわ。国に戻ったら、確実に捕まります」
「その件ならきっと大丈夫よ。本当に愚かな国王だ事…恩を仇で返すのだから…」
お母様、一体何を言っているの?全く意味が分からない。
「そうそう、ジャンティーヌ殿、明日魔女を倒した事を正式に国民たちに知らせようと思っている。その時、君も紹介するつもりだから、どうか心の準備をしておいてくれ」
「えっ?私をですか?」
ゆっくり瞼を上げると、薄暗い部屋が目に入る。あら?ここは、地下の私のお部屋?でもなんだか雰囲気が違うわ。
「ジャンティーヌ様、目を覚まされたのですね。すぐに殿下を呼んで参ります」
見た事のない女性が、嬉しそうに部屋から出て行った。あの人は一体誰だろう。
「ジャンティーヌちゃん、目が覚めたのね。よかったわ。魔術師様の話では、明日の朝くらいに目を覚まされるとおっしゃっていたから」
嬉しそうにお部屋に入って来たのは、シルビア殿下だ。彼女が入って来ると同時に灯りが灯された。このお部屋は一体?
「シルビア殿下、ここは一体どこですか?」
「ここは地下があった場所の地上よ。ジャンティーヌちゃんのお陰で、魔女や魔物たちがいなくなったら、急遽地上に小さな屋敷を建てたの。まだ資材がなかったら、石や土のお家だけれどね」
「そうだったのですね。よく見たら窓もある。確かに地上だわ」
「ジャンティーヌちゃん、魔女を倒してくれて、本当にありがとう。その上、命がけでジルドを守ってくれたのでしょう?本当になんとお礼を言ったらいいか」
「私たちからもお礼を言わせてください。ジャンティーヌ様、いいえ、聖女様!我が国を救って下さり、本当にありがとうございました。お陰で私どもも、王都に戻って来られましたわ」
シルビア殿下や私と同じ歳の女性たちから、お礼を言われた。
「彼女たちは、皆貴族令嬢ですわ。魔物から身を守るため、地方に避難していたのですが、魔女がジャンティーヌちゃんによって倒されたと聞いて、家族と共に戻って来たのです。今後国外に避難している貴族たちも、続々と帰国する予定ですわ」
「まあ、この国の貴族の方たちでしたのね。あなた様達も、大変な暮らしをされていたのでしょう?戻って来て頂けて良かったですわ。それでその…ジルド殿下は?」
ジルド殿下の姿が見られないのだ。というより、男性陣の姿が一切見当たらない。
「ジルドは家臣や戻って来てくれた貴族たち、さらにジャンティーヌちゃんのご両親やジャクソン様と一緒に、今王宮や王都の街の復旧を行っているわ。ジャンティーヌちゃんのご両親から、沢山の資材と人員を援助してもらったのよ。本当に、何とお礼を言っていいか。今使いを出して、ジャンティーヌちゃんが目覚めたとジルドに伝えに言ったから、すぐに戻ってくると思うわ」
私が眠っている間に、色々と話が進められている様だ。
「あの、それで私はどれくらい眠っていたのですか?」
「そうね、半日も眠っていらっしゃらなかったのではないかしら?魔女をジャンティーヌちゃんが倒したのはお昼前くらいでしょう?今は夜の8時ごろなので」
まだ魔女を倒して1日も経っていなかったのか。それにしては、随分と復旧に関する動きが早いのね。
「ジャンティーヌちゃん、お腹が空いているのではなくって。すぐに食べ物を準備するわ」
そう言えば、お腹が空いているわ。ただ、この国に初めて来た時よりかはまだまだ余裕がある。という事は…
私、実は半分の魔力も使っていなかったのかしら?でも、私は十分魔力を使ったはずなんだけれど…
過ぎた事は仕方がない。魔女を倒したのだから、気にしない事にしよう。
「ありがとうございます、頂きますわ」
次々とお料理が運ばれてくる。どうやらかつて使用人として働いていた人たちも来てくれている様で、テキパキとセッティングしてくれた。ただなぜか皆
「さあ、聖女様、お料理の準備が整いました。どうか沢山召し上がってください」
と、私を聖女扱いするのだ。私は聖女ではないのだが…
そう言いたいが、あまりにも目を輝かせて言われるので、否定する事が出来ない。せっかくなので、美味しいお料理を頂いた。
その時だった。
「ジャンティーヌ殿、目覚めたのだってね」
急いでやって来たのは、ジルド殿下だ。後ろにはお兄様や両親の姿もある。そのままジルド殿下に抱きしめられた。
「私のせいで無理をさせてしまって、すまなかった。でもよかった、目覚めてくれて!」
「ジルド殿下、ご心配をおかけして申し訳ございません。私はこの通り、元気ですわ」
そう、思ったよりも元気なのだ。
「ジルド殿下、ジャンティーヌは魔力を最後まで使いこなせていなかった様なので、ぴんぴんしていますよ。ジャンティーヌ、魔術師の方たちが怒っていたぞ。自分たちが教えた事の半分も出来ていなかったと」
「まあ、魔術師の方たちがですか?」
やっぱり見破られていたのね。
「それでもジャンティーヌは、魔女を倒したのだからいいじゃない。ジャクソン、あまり妹を責めないであげて。それにジャンティーヌのお陰で、あなたもシルビア殿下と結婚できるのだから」
「えっ?お兄様とシルビア殿下が?」
ビックリして2人の顔を交互に見る。
「ああ、さっきシルビア殿下から、了承の返事をもらった。この国が落ち着いたら、クリスティル王国に戻って、シルビア殿下と結婚する予定だ」
「ちょっと待って下さい、クリスティル王国ではきっと、私のせいで皆指名手配されているはずですわ。国に戻ったら、確実に捕まります」
「その件ならきっと大丈夫よ。本当に愚かな国王だ事…恩を仇で返すのだから…」
お母様、一体何を言っているの?全く意味が分からない。
「そうそう、ジャンティーヌ殿、明日魔女を倒した事を正式に国民たちに知らせようと思っている。その時、君も紹介するつもりだから、どうか心の準備をしておいてくれ」
「えっ?私をですか?」
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