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第25話:ジャンティーヌ殿の家族に助けられました~ジルド視点~
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「この人たちは?」
「ジャンティーヌの父です。あなた様がジルド殿下ですね。娘をお助けいただき、ありがとうございました」
「ジャンティーヌの兄です。随分と苦労されたとジャンティーヌからは聞いております。俺たちに出来ることがあれば、何でも言ってください。それで、ケガ人はどこに?」
「ジャンティーヌ殿の父上と兄上でしたか!こちらこそ、ジャンティーヌ殿には本当にお世話になっていて。ジャンティーヌ殿が居なくなった途端、この有様です。本当に彼女がいないと、私は…」
私は一体何を言っているんだ。これじゃあまるで、私がジャンティーヌ殿がいないと、生きていけないみたいじゃないか?
「あの、そう言う意味では…」
「ジルド殿下は、ジャンティーヌを大切に思って下さっているのですね。ありがとうございます。娘は少し鈍いところがありますと言いますか…なんと申しますか…とにかく、これからもジャンティーヌの事をよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
私に向かって頭を下げるジャンティーヌ殿のご両親と兄上に向かって、私も頭を下げた。
「皆様、挨拶はこれくらいにして、すぐにケガ人の手当てを行いましょう。それで、ケガ人はどこにいらっしゃるのですか?」
後ろに控えていた男性たちが話しかけて来た。きっと家臣なのだろう。
「どうぞ、こちらです。何分地下で生活しておりますので、薄暗くて。足元にご注意ください」
そう伝え、ジャンティーヌ殿の部屋を出る。すると
「ジルド、一体誰と話を…あなた様達は、もしかして…」
扉を開けると、心配そうな姉上の姿が。
「姉上、彼らはジャンティーヌ殿のご両親と兄上だ。それから後ろにいらっしゃるのが…」
「私共は、ラッセル王国が誇る、優秀な王宮魔術師にございます。どうぞお見知りおきを」
すかさず自己紹介をしてくれた。どうやら魔術師の方たちだった様だ。
「まあ、ジャンティーヌちゃんのご両親とお兄様が、わざわざ訪ねて来てくださったのですか?お初にお目にかかります。私はジルドの姉の、シルビアと申します」
「シルビア殿下…なんてお美しい方なんだ…」
えっ?今なんて言った?皆が一斉にジャンティーヌ殿の兄上の方を見つめた。
「イヤ…その、何でもありません。私は、ジャンティーヌの兄の、ジャクソンと申します。シルビア殿下とおっしゃいましたね。12年もの間、この様な場所で生活を強いられていただなんて…とにかく今、ジャンティーヌがそれこそ必死に稽古に励んでおります。もちろん、俺たちもジャンティーヌのフォローをしております。ですから、ご安心を」
「ジャクソン…あなた…」
よくわからないが、急にジャンティーヌ殿の兄上が話し始めた。
「ジャンティーヌちゃんは、私たちの為にそんなに頑張ってくれているのですね。ジャクソン様、教えていただき、ありがとうございます」
「シルビア殿下…笑顔も美しい…」
じっと姉上を見つめるジャクソン殿。どうやら姉上に興味がある様だ。
「ジャクソン、落ち着いて。とにかくケガ人の治療を行いましょう」
「そうでしたね。シルビア殿下、俺が誰も死なせませんので、ご安心ください!」
「あ…ありがとうございます…」
ジャクソン殿が姉上の手をしっかり握り、そう訴えている。気を取り直して皆でケガ人の元へと向かった。
「これは酷い、とにかく、すぐに治療を。皆様、もう大丈夫ですわ」
ジャンティーヌ殿の家族や魔術師たちが、一斉に治療に入った。さすがジャンティーヌ殿の家族だ。あっという間に怪我人たちを治していく。
「あっという間に怪我が治ったぞ。あれ?あの人、ジャンティーヌ殿に似ていないか?」
「もしかして、ジャンティーヌ殿の家族か?」
皆もジャンティーヌ殿の母上を見て、彼らがジャンティーヌ殿の家族という事に気が付いた様だ。
「皆、彼らはジャンティーヌ殿のご家族とラッセル王国の魔術師の方だ。わざわざ来てくださった様だ」
「そうだったのですね。ありがとうございます。まさかご家族にまで助けられるだなんて。それで、ジャンティーヌ殿はお元気ですか?私共は、ジャンティーヌ殿に本当に助けられておりまして。彼女がいなくなってから、火が消えた様に暗くなってしまって」
「ジャンティーヌ殿は、私たちにとって太陽の様な存在ですから。ねえ、ジルド殿下」
なぜか私に振って来た家臣たち。
「ええ…彼女がいてくれるだけで、この地下も本当に明るくなるのです。彼女の笑顔は、女神の様に美しいし、何よりも私たち自身が、前向きになれるのです」
ジャンティーヌ殿が居なくなってから、まだ2週間しか経っていない。それなのに、もう何年も会っていない気がする。
「ジャンティーヌの事をそんな風に言って頂き、ありがとうございます。きっとジャンティーヌも喜びますわ。ジルド殿下、今ジャンティーヌは少し忙しくて。これから何かあれば、私たちを頼ってください。他に何か必要な物があれば、何なりとおっしゃって下さいね」
「何から何まで、本当にありがとうございます」
結局私たちは、ジャンティーヌ殿の家族に助けられてしまった。ジャンティーヌ殿が居なくなってもしっかりやって行こうと決めたのに、本当に情けない。
それにしても、ジャンティーヌ殿の家族は、本当に素晴らしい人たちばかりだな。こんな素敵な家族に囲まれて育ったから、きっとジャンティーヌ殿も素敵な令嬢なのだろう。
「ジャンティーヌの父です。あなた様がジルド殿下ですね。娘をお助けいただき、ありがとうございました」
「ジャンティーヌの兄です。随分と苦労されたとジャンティーヌからは聞いております。俺たちに出来ることがあれば、何でも言ってください。それで、ケガ人はどこに?」
「ジャンティーヌ殿の父上と兄上でしたか!こちらこそ、ジャンティーヌ殿には本当にお世話になっていて。ジャンティーヌ殿が居なくなった途端、この有様です。本当に彼女がいないと、私は…」
私は一体何を言っているんだ。これじゃあまるで、私がジャンティーヌ殿がいないと、生きていけないみたいじゃないか?
「あの、そう言う意味では…」
「ジルド殿下は、ジャンティーヌを大切に思って下さっているのですね。ありがとうございます。娘は少し鈍いところがありますと言いますか…なんと申しますか…とにかく、これからもジャンティーヌの事をよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
私に向かって頭を下げるジャンティーヌ殿のご両親と兄上に向かって、私も頭を下げた。
「皆様、挨拶はこれくらいにして、すぐにケガ人の手当てを行いましょう。それで、ケガ人はどこにいらっしゃるのですか?」
後ろに控えていた男性たちが話しかけて来た。きっと家臣なのだろう。
「どうぞ、こちらです。何分地下で生活しておりますので、薄暗くて。足元にご注意ください」
そう伝え、ジャンティーヌ殿の部屋を出る。すると
「ジルド、一体誰と話を…あなた様達は、もしかして…」
扉を開けると、心配そうな姉上の姿が。
「姉上、彼らはジャンティーヌ殿のご両親と兄上だ。それから後ろにいらっしゃるのが…」
「私共は、ラッセル王国が誇る、優秀な王宮魔術師にございます。どうぞお見知りおきを」
すかさず自己紹介をしてくれた。どうやら魔術師の方たちだった様だ。
「まあ、ジャンティーヌちゃんのご両親とお兄様が、わざわざ訪ねて来てくださったのですか?お初にお目にかかります。私はジルドの姉の、シルビアと申します」
「シルビア殿下…なんてお美しい方なんだ…」
えっ?今なんて言った?皆が一斉にジャンティーヌ殿の兄上の方を見つめた。
「イヤ…その、何でもありません。私は、ジャンティーヌの兄の、ジャクソンと申します。シルビア殿下とおっしゃいましたね。12年もの間、この様な場所で生活を強いられていただなんて…とにかく今、ジャンティーヌがそれこそ必死に稽古に励んでおります。もちろん、俺たちもジャンティーヌのフォローをしております。ですから、ご安心を」
「ジャクソン…あなた…」
よくわからないが、急にジャンティーヌ殿の兄上が話し始めた。
「ジャンティーヌちゃんは、私たちの為にそんなに頑張ってくれているのですね。ジャクソン様、教えていただき、ありがとうございます」
「シルビア殿下…笑顔も美しい…」
じっと姉上を見つめるジャクソン殿。どうやら姉上に興味がある様だ。
「ジャクソン、落ち着いて。とにかくケガ人の治療を行いましょう」
「そうでしたね。シルビア殿下、俺が誰も死なせませんので、ご安心ください!」
「あ…ありがとうございます…」
ジャクソン殿が姉上の手をしっかり握り、そう訴えている。気を取り直して皆でケガ人の元へと向かった。
「これは酷い、とにかく、すぐに治療を。皆様、もう大丈夫ですわ」
ジャンティーヌ殿の家族や魔術師たちが、一斉に治療に入った。さすがジャンティーヌ殿の家族だ。あっという間に怪我人たちを治していく。
「あっという間に怪我が治ったぞ。あれ?あの人、ジャンティーヌ殿に似ていないか?」
「もしかして、ジャンティーヌ殿の家族か?」
皆もジャンティーヌ殿の母上を見て、彼らがジャンティーヌ殿の家族という事に気が付いた様だ。
「皆、彼らはジャンティーヌ殿のご家族とラッセル王国の魔術師の方だ。わざわざ来てくださった様だ」
「そうだったのですね。ありがとうございます。まさかご家族にまで助けられるだなんて。それで、ジャンティーヌ殿はお元気ですか?私共は、ジャンティーヌ殿に本当に助けられておりまして。彼女がいなくなってから、火が消えた様に暗くなってしまって」
「ジャンティーヌ殿は、私たちにとって太陽の様な存在ですから。ねえ、ジルド殿下」
なぜか私に振って来た家臣たち。
「ええ…彼女がいてくれるだけで、この地下も本当に明るくなるのです。彼女の笑顔は、女神の様に美しいし、何よりも私たち自身が、前向きになれるのです」
ジャンティーヌ殿が居なくなってから、まだ2週間しか経っていない。それなのに、もう何年も会っていない気がする。
「ジャンティーヌの事をそんな風に言って頂き、ありがとうございます。きっとジャンティーヌも喜びますわ。ジルド殿下、今ジャンティーヌは少し忙しくて。これから何かあれば、私たちを頼ってください。他に何か必要な物があれば、何なりとおっしゃって下さいね」
「何から何まで、本当にありがとうございます」
結局私たちは、ジャンティーヌ殿の家族に助けられてしまった。ジャンティーヌ殿が居なくなってもしっかりやって行こうと決めたのに、本当に情けない。
それにしても、ジャンティーヌ殿の家族は、本当に素晴らしい人たちばかりだな。こんな素敵な家族に囲まれて育ったから、きっとジャンティーヌ殿も素敵な令嬢なのだろう。
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