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第21話:この程度ではへこたれません

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「それじゃあ、こっちに来い」

騎士団長様と一緒に、団員の元へとやって来た。

「皆、集まってくれ、今日からしばらく俺たちと一緒に稽古をする事になった、えっと、名前はなんだ?」

「ジャンティーヌと申します。どうぞよろしくお願いいたします」

令嬢らしくカーテシーを決めた。しまった、ここでは令嬢を出す必要は無かったのだったわ。

「団長、こんな令嬢が俺たちと一緒に稽古だなんて、大丈夫なのですか?」

「どう見ても貴族の令嬢だろう?おいおい、俺、こんな令嬢と稽古なんて出来ないぞ」

そう言って他の団員たちが笑っている。

「私は確かに令嬢ですが、どんな辛い稽古にも耐えるつもりでおります。どうかよろしくお願いいたします!」

大きな声ではっきりと告げた。たとえ笑われようがバカにされようがからかわれようが、私には守りたい人たちがいるのだ。どんな事があっても、ここでしっかり稽古を受けないといけない!

「まあ、そういう事だから、よろしく頼む。それじゃあ、早速稽古を始めよう。まずはダッシュ50本、腹筋100回、腕立て伏せ100回を10セットから始めるか」

「えっ?攻撃魔法の練習をするのではないのですか?」

ビックリして団長様に聞き返した。

「お前、舐めているのか?攻撃魔法以前に、お前には基礎体力をつける必要がある。どんなに優秀な魔力を持っていても、基礎体力がなければ、持続性のある攻撃は出来ない!お前、そんな事も知らずにここに来たのか?」

眉間に皺をよせ、怖い顔で迫って来た団長様。あまりにも恐ろしいお顔で迫って来るので、これ以上逆らう事は出来ない。

「わ…分かりましたわ。よろしくお願いいたします」

早速団員たちと一緒に、基礎体力向上のためのトレーニングを行う。ただ…これがものすごくきつい。

「おい、女!真剣に走れ!罰としてダッシュ50本追加だ!」

容赦なく団長様の檄が飛ぶ。これでも一生懸命走っているのだが。それにしてもこの人たち、同じ人間なの?底なしの体力で、どんどんトレーニングをこなしていく団員達。それに比べ、私は…

「おい、女!誰が休憩していいと言った。そんなところで寝転がっていないで、次は腹筋だ!さっさとしろ!それとも、もうギブアップか?」

体力を使いすぎて倒れている私に、団長が激を飛ばす。もうギブアップですって?私はこんなところで寝転がっている暇はない!今もグリーズン王国では、ジルド殿下たちが必死に魔物たちと戦っているのよ。こんなところでへこたれていたら、私は何のためにラッセル王国まで来たのか分からないわ。

「まだまだですわ。次は腹筋とやらをすればいいのですね?」

どんなに辛くても、この程度で音を上げる訳にはいかない!必死に食らいついていき、何とか今日の稽古を終わらせた。と言っても、私は他の団員の10分の1もこなせなかったが…

それでもクタクタになりながら、王宮へと帰って来た。久しぶりに湯あみをし、夕食を頂く。夕食後は、王宮魔術師の方による、お勉強会だ。

せっかくなので、私の魔力も見てもらう事になった。既にクタクタで、早くベッドに横になりたいところだが、そんな事は言っていられない。ただ…

「ジャンティーヌ殿、大丈夫ですか?昼間は王宮騎士団の稽古に参加したとお伺いしております。お疲れの様ですので、私たちのお勉強は、また後日にしましょう」

あまりにも疲れた顔をしていた為か、魔術師の方たちがそんな提案をしてきてくれたのだ。

「いいえ…私は大丈夫ですわ。どうかお願いします」

「分かりました。それでは始めましょう」

早速魔力の勉強スタートだ。今日は魔力の基礎知識を習う。どうやら魔力と体力は、深く関係しているらしい。魔力を使うには体力がいるそうで、その体力がないと、いくら魔力が有り余っていても、すぐに息切れを起こしてしまうとの事。

だからこそ、王宮騎士団では、まずは体力向上を目指すのだと、魔術師の方に教えてもらった。なるほど、だからあの地味で厳しいトレーニングを行っているのね。

そう言えば魔物たちと戦っていた時も、魔力はあるのに息切れを起こしてしまった事があったわ。そうか、私には体力が足りなかったのね。

魔術師の方とのお勉強は、1時間程度で終わり、その日は早めに就寝した。

翌日、今日も朝から王宮騎士団の稽古場へと向かった。

「おはようございます、今日もよろしくお願いします」

元気に挨拶をすると…

「あの女、今日も来たぞ…絶対にもう来ないと思っていたのに…」

「本当だ。マジかよ…」

団員たちが私の姿を見ながら、ブツブツ呟いている。舐めてもらっては困るわ。私がどんな思いでこの場に来たと思っているのよ。ただ…体のあちこちが痛い。でも、そんな事は言っていられない。まずは基礎体力を付けないと!

早速今日も厳しいトレーニング開始だ。相変わらず他の隊員たちに付いていけない私に、騎士団長様が激を飛ばす。

この日もボロボロになりながらも、何とか稽古を終えたのだった。
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