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第5話:さすがカミラ様です
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私がいかに浮気をする男が嫌いかをヴァンに話すと、顎に手を当てて考え込んでしまった。あら?私、変な事を言ったかしら?
一瞬不安になったが。
「確かに同じ男として、浮気というものをする男性の心理は、私にもわかりかねますね…それでしたら、そのままギュリネイ男爵令嬢とくっ付いてもらった方が、上手く殿下と婚約破棄ができるのでは?」
「う~ん、私は別に、ネイサン様とカミラ様がくっつく分には構わないのよ。ただ、カミラ様は男爵令嬢でしょう?身分的な事を考えると、やっぱりカミラ様は王妃にはなれないかなって…そうなると、王妃は必要でしょ?たとえ形だけでもあの男と結婚なんて、私は嫌よ。やっぱり私が婚約破棄されるべきなのよね…」
「なるほど。でも旦那様が許さないでしょう。万が一本当に殿下とお嬢様が婚約破棄なんて事になったら、最悪侯爵家を追い出されるのでは?」
「そうね、そうなったら、旅にでも出ようかしら?私ね、前世では旅が大好きだったの。国内旅行なら、車で寝た事もあるのよ。海外だって、1人で旅していたのだから」
前世で浮気男と別れてから、すっかり旅する事にハマった私は、日本中はもちろん、世界も旅する様になった。より自由に旅が出来る様、フリーランスになったのだ。きっとこの国にも、まだ見ぬ素敵な世界が広がっているのだろう。考えただけで、ワクワクするわ。
「車?よくわからない言葉が沢山出てきますね。それにしても、お嬢様も旅がお好きだったなんて…」
なぜか嬉しそうに微笑むヴァン。それに…
「お嬢様も?」
気になった言葉を聞き返した。すると、急にヴァンが慌てだす。
「いいえ、何でもありません。気にしないで下さい!それよりお嬢様、今後の計画等は立てているのですか?」
「そうね…あまり立てていないわ。私って出たとこ勝負が好きな人間でしょう?きっと何とかなるわ」
「今のお嬢様がどういう人間なのかは、まだ私は把握しておりませんが…ただ、非常に楽観的で、今までお嬢様とは正反対の性格という事だけはわかりました」
なぜか、ヴァンが呆れている。
「とにかく、これから色々と考えていこうと思っているわ。だって、貴族学院を卒業するまで、まだ1年半以上あるのですもの」
貴族学院を卒業したら、きっと本格的にネイサン様との結婚の準備に取り掛かるはずだ。それまでに、なんとかケリをつけないと。
翌日、いつもの様に学院に向かう。すると、なぜか教室が騒がしい。何かあったのかしら?
私が教室に入るなり、怖い顔のネイサン様が飛んできた。
「ジェシカ、君って子は、何て酷い女なんだ!昨日は僕とカミラの事を応援するなんて言っていたくせに、あんな酷い事をするなんて」
言っている意味がさっぱり分からない。
「ネイサン様、何を訳の分からない事をおっしゃっているのですか?」
「とぼけても無駄だ。カミラの教科書に落書きをしたり、ビリビリに破いただろう」
ふとカミラ様の方を見ると、シクシクと泣いていた。そしてカミラ様の机の上には、ビリビリにされた教科書が。ご丁寧に、ネイサン様が破られた教科書を見せてくれた。
「見ろ!“私の婚約者を奪おうなんて、図々しい女”“この泥棒!”と書いてあるだろう。こんな事を書くのは、僕の婚約者の君しかいない!」
なるほど…要するに、私を犯人にしたい“誰か”の仕業って訳ね…
「お言葉ですがネイサン様。こんな“私が犯人です”と言っている様な内容、いくら何でも私は書きませんわ…それにこの字、私の字ではありません。ほら、これが私の字です」
自分のノートをネイサン様に見せた。
「そ…そんなの、誰かに書かせればいいだろう」
「誰かとは誰ですか?貴族学院にはメイドや従者を連れてくることは禁止されております。それに私、自慢ではありませんが、友達がおりませんの。私の為に、誰が書いて下さるのですか?」
コテンと首を傾げ、そう伝えてやった。言い返せないのか、悔しそうに唇を噛むネイサン様。
「ジェシカ様、酷いです…私の事、そこまでお嫌いだなんて…こんな事をするのは、ジェシカ様しかいらっしゃらないでしょう?」
今度はカミラ様がそう叫んだ。瞳から涙をポロポロ流して。その姿を見たクラスメートたちは
「確かにこんな事をするのは、ジェシカ様しかいないのではなくって?」
「そうですわ、きっとジェシカ様に違いありません」
そう言われてしまったのだ。
ちょうどそのタイミングで、先生が入って来た。
「何の騒ぎですか?」
「先生、ジェシカがカミラの教科書に落書きをしたり、ビリビリに破いたりしたのです」
ネイサン様がすかさずそう叫んだ。
「これは酷いな…ファレソン嬢、放課後、職員室に来なさい」
有無も言わさず、そう言った先生。その時だった。私の方を見て、ニヤリとカミラ様が笑ったのだ。その姿をみて、確信した。きっとカミラ様の自作自演だと。悔しい!やられたわ!
カミラ様、ただ者じゃないと思っていたけれど、やっぱり性悪女だったね!
カミラ様に嵌められたことが悔しくて、唇を強く噛みしめるのであった。
一瞬不安になったが。
「確かに同じ男として、浮気というものをする男性の心理は、私にもわかりかねますね…それでしたら、そのままギュリネイ男爵令嬢とくっ付いてもらった方が、上手く殿下と婚約破棄ができるのでは?」
「う~ん、私は別に、ネイサン様とカミラ様がくっつく分には構わないのよ。ただ、カミラ様は男爵令嬢でしょう?身分的な事を考えると、やっぱりカミラ様は王妃にはなれないかなって…そうなると、王妃は必要でしょ?たとえ形だけでもあの男と結婚なんて、私は嫌よ。やっぱり私が婚約破棄されるべきなのよね…」
「なるほど。でも旦那様が許さないでしょう。万が一本当に殿下とお嬢様が婚約破棄なんて事になったら、最悪侯爵家を追い出されるのでは?」
「そうね、そうなったら、旅にでも出ようかしら?私ね、前世では旅が大好きだったの。国内旅行なら、車で寝た事もあるのよ。海外だって、1人で旅していたのだから」
前世で浮気男と別れてから、すっかり旅する事にハマった私は、日本中はもちろん、世界も旅する様になった。より自由に旅が出来る様、フリーランスになったのだ。きっとこの国にも、まだ見ぬ素敵な世界が広がっているのだろう。考えただけで、ワクワクするわ。
「車?よくわからない言葉が沢山出てきますね。それにしても、お嬢様も旅がお好きだったなんて…」
なぜか嬉しそうに微笑むヴァン。それに…
「お嬢様も?」
気になった言葉を聞き返した。すると、急にヴァンが慌てだす。
「いいえ、何でもありません。気にしないで下さい!それよりお嬢様、今後の計画等は立てているのですか?」
「そうね…あまり立てていないわ。私って出たとこ勝負が好きな人間でしょう?きっと何とかなるわ」
「今のお嬢様がどういう人間なのかは、まだ私は把握しておりませんが…ただ、非常に楽観的で、今までお嬢様とは正反対の性格という事だけはわかりました」
なぜか、ヴァンが呆れている。
「とにかく、これから色々と考えていこうと思っているわ。だって、貴族学院を卒業するまで、まだ1年半以上あるのですもの」
貴族学院を卒業したら、きっと本格的にネイサン様との結婚の準備に取り掛かるはずだ。それまでに、なんとかケリをつけないと。
翌日、いつもの様に学院に向かう。すると、なぜか教室が騒がしい。何かあったのかしら?
私が教室に入るなり、怖い顔のネイサン様が飛んできた。
「ジェシカ、君って子は、何て酷い女なんだ!昨日は僕とカミラの事を応援するなんて言っていたくせに、あんな酷い事をするなんて」
言っている意味がさっぱり分からない。
「ネイサン様、何を訳の分からない事をおっしゃっているのですか?」
「とぼけても無駄だ。カミラの教科書に落書きをしたり、ビリビリに破いただろう」
ふとカミラ様の方を見ると、シクシクと泣いていた。そしてカミラ様の机の上には、ビリビリにされた教科書が。ご丁寧に、ネイサン様が破られた教科書を見せてくれた。
「見ろ!“私の婚約者を奪おうなんて、図々しい女”“この泥棒!”と書いてあるだろう。こんな事を書くのは、僕の婚約者の君しかいない!」
なるほど…要するに、私を犯人にしたい“誰か”の仕業って訳ね…
「お言葉ですがネイサン様。こんな“私が犯人です”と言っている様な内容、いくら何でも私は書きませんわ…それにこの字、私の字ではありません。ほら、これが私の字です」
自分のノートをネイサン様に見せた。
「そ…そんなの、誰かに書かせればいいだろう」
「誰かとは誰ですか?貴族学院にはメイドや従者を連れてくることは禁止されております。それに私、自慢ではありませんが、友達がおりませんの。私の為に、誰が書いて下さるのですか?」
コテンと首を傾げ、そう伝えてやった。言い返せないのか、悔しそうに唇を噛むネイサン様。
「ジェシカ様、酷いです…私の事、そこまでお嫌いだなんて…こんな事をするのは、ジェシカ様しかいらっしゃらないでしょう?」
今度はカミラ様がそう叫んだ。瞳から涙をポロポロ流して。その姿を見たクラスメートたちは
「確かにこんな事をするのは、ジェシカ様しかいないのではなくって?」
「そうですわ、きっとジェシカ様に違いありません」
そう言われてしまったのだ。
ちょうどそのタイミングで、先生が入って来た。
「何の騒ぎですか?」
「先生、ジェシカがカミラの教科書に落書きをしたり、ビリビリに破いたりしたのです」
ネイサン様がすかさずそう叫んだ。
「これは酷いな…ファレソン嬢、放課後、職員室に来なさい」
有無も言わさず、そう言った先生。その時だった。私の方を見て、ニヤリとカミラ様が笑ったのだ。その姿をみて、確信した。きっとカミラ様の自作自演だと。悔しい!やられたわ!
カミラ様、ただ者じゃないと思っていたけれど、やっぱり性悪女だったね!
カミラ様に嵌められたことが悔しくて、唇を強く噛みしめるのであった。
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