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第2話:前世の記憶が蘇りました
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屋敷の外で、呆然と立ち尽くす。
そんな私に声を掛けてきたのは、ヴァンだ。
「お嬢様、大丈夫ですか?唇から血が出ています。すぐに手当てを」
そう言うと、手際よく手当てをしてくれた。私は叩かれることも慣れている。そのせいか、随分と痛みに鈍感になってしまった。
「ありがとう、ヴァン。とにかく、ここにいたらまたお父様に怒られるわ。屋敷から出ましょう」
再び馬車に乗り込み、向かった先は、海だ。私は嫌な事や悲しい事があると、必ず海に来る。ここに来ると、気持ちが落ち着くのだ。
まだお母様が生きていた頃、よく海に連れてきてくれた。5歳の時にお母様が亡くなってからも、よく1人で来ていたのだ。
海に来ると、砂浜に腰を下ろす。波の音が心地いいわ…波の音を聞いていると、なんだか亡くなったお母様に会えるような気がするのだ。この音を聞くと、心が落ち着く。それでも、ついため息が出てしまうのだ。
「はぁ~」
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「ありがとう、ヴァン。正直どうしたらいいのか分からないの。私だって、ネイサン様に振り向いて欲しいと思って、自分なりに一生懸命彼に尽くしてきた。けれど結局ネイサン様は、見た目も美しく可憐なカミラ様を愛してしまったのよ。でも、それは仕方ない事。私なんかが相手じゃあ、そりゃ他に好きな人を作りたくもなるわよね」
自分の気持ちもはっきり言えない様な暗い私がいくら頑張っても、ネイサン様を振り向かせる事なんて出来ない。それに私は、何の取柄もないし…
「そんな事を言わないで下さい。何度も申し上げておりますが、お嬢様は心優しい女性でございます。そもそも、いくらお嬢様の事がお好きではないと言っても、他の令嬢にうつつを抜かすなんて、王太子殿下は何を考えているのでしょうか」
「ありがとう、ヴァン。でも、それだけ私に魅力がないという事なのよ…」
考えれば考えるほど、ネガティブな方向へと行ってしまう。私って本当に駄目ね…
ふと美しい夕日が目に入った。そういえば…
「ねえ、ヴァン、覚えている?1年前、意識を失って倒れているあなたを、この海岸で見つけたのよね。あの日は今と同じように、夕日がとても綺麗だったわ」
ちょうど1年前、いつもの様に王妃様に嫌味を言われ、家族から暴言や暴力を振るわれた私は、ここに来ていた。その時、意識を失い、倒れていたヴァンを発見したのだ。波に流されてきたのか、体はぬれ、砂で汚れていた。
それでも美しい銀色の髪をした美青年だったヴァン。そんなヴァンを馬車に乗せ、屋敷に連れて帰ったのだ。
「そうでしたね、あの時お嬢様が助けてくれなかったら、今頃私の命はなかったでしょう。お嬢様が寝ずにずっと看病してくださったから、今この場所にいられるのです。ありがとうございます、お嬢様」
「お礼を言うのは、私の方よ…ヴァン、あの日から、ずっと傍にいてくれてありがとう。お母様が亡くなってから、ずっと独りぼっちだったから…私、自分の意見がはっきり言えないでしょう。だから…」
「お嬢様はあの時、旦那様にはっきりと告げたではないですか?“この人を家において欲しい。どうかお願いします”と。何度も何度も、私の為に頭を下げて下さった。それが嬉しかったのです。お嬢様、私は何があっても、あなたの味方ですから。それだけは、覚えておいてください」
そう言ってほほ笑んでくれたヴァン。その笑顔はとても美しかった。彼の笑顔を守りたい…その為にも、もっと頑張らなければ…私がもっとしっかりしないと、ヴァンが追い出されてしまうかもしれない。現に継母は、ヴァンの事をよく思っていない。
でも、今の私に何が出来るのかしら?
考えれば考えるほど、頭が痛くなってくる。その痛みは、なぜかどんどん強くなってきて…
「お嬢様、どうされたのですか?大丈夫ですか?」
あまりの痛みに、その場にうずくまった私を心配して、ヴァンが傍に駆け寄ってきた。
“大丈夫よ”そう伝えたいのに、あまりの痛さにその場を動く事が出来ない。そして次の瞬間…
今まで見た事のない光景が、走馬灯のように頭の中に浮かんでは消える…
“里奈、あなたまた旅行に行くの?”
“ええ、そうよ。今回は中東を回ってみようと思うの”
里奈って、誰?えっ?里奈…
そうだ、私のかつての名前は里奈…松宮里奈。日本で生まれ育ったのだったわ。
一気に前世の記憶が蘇る。日本で生まれ育った私は、大学を卒業と同時に、大手企業に就職した。でも、その後フリーランスとして独立、大好きだった旅行を楽しみながら、自由気ままに生きて来た。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
私の顔を心配そうに除きこむヴァン。その瞳は、酷く動揺していた。
「心配をかけてごめんなさい。私は大丈夫よ。さあ、随分と冷えてきたわ。屋敷に戻りましょう」
「でも、まだ旦那様のお怒りがおさまっていないのでは…」
確かにまだお父様の怒りはおさまっていないだろう。でも、もう私は、引っ込み思案で人見知りで、周りの顔色ばかり窺っているジェシカではない。そう、私は何に対しても物怖じしない、松宮里奈の時の記憶を手に入れたのだ。
「大丈夫よ。さあ、行きましょう」
あんな頑固おやじなんかに、負けてたまるものですか!そんな気持ちで、馬車に乗り込んだ。
「お嬢様、なんだか顔つきが変わった気がするのですが…」
さすがヴァン、いつも私の傍にいてくれるだけの事はある。私の変化を、一切見逃さない。
「さすがね、詳しい話は、屋敷に着いてから話をするわ」
そうヴァンに伝えたのであった。
そんな私に声を掛けてきたのは、ヴァンだ。
「お嬢様、大丈夫ですか?唇から血が出ています。すぐに手当てを」
そう言うと、手際よく手当てをしてくれた。私は叩かれることも慣れている。そのせいか、随分と痛みに鈍感になってしまった。
「ありがとう、ヴァン。とにかく、ここにいたらまたお父様に怒られるわ。屋敷から出ましょう」
再び馬車に乗り込み、向かった先は、海だ。私は嫌な事や悲しい事があると、必ず海に来る。ここに来ると、気持ちが落ち着くのだ。
まだお母様が生きていた頃、よく海に連れてきてくれた。5歳の時にお母様が亡くなってからも、よく1人で来ていたのだ。
海に来ると、砂浜に腰を下ろす。波の音が心地いいわ…波の音を聞いていると、なんだか亡くなったお母様に会えるような気がするのだ。この音を聞くと、心が落ち着く。それでも、ついため息が出てしまうのだ。
「はぁ~」
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「ありがとう、ヴァン。正直どうしたらいいのか分からないの。私だって、ネイサン様に振り向いて欲しいと思って、自分なりに一生懸命彼に尽くしてきた。けれど結局ネイサン様は、見た目も美しく可憐なカミラ様を愛してしまったのよ。でも、それは仕方ない事。私なんかが相手じゃあ、そりゃ他に好きな人を作りたくもなるわよね」
自分の気持ちもはっきり言えない様な暗い私がいくら頑張っても、ネイサン様を振り向かせる事なんて出来ない。それに私は、何の取柄もないし…
「そんな事を言わないで下さい。何度も申し上げておりますが、お嬢様は心優しい女性でございます。そもそも、いくらお嬢様の事がお好きではないと言っても、他の令嬢にうつつを抜かすなんて、王太子殿下は何を考えているのでしょうか」
「ありがとう、ヴァン。でも、それだけ私に魅力がないという事なのよ…」
考えれば考えるほど、ネガティブな方向へと行ってしまう。私って本当に駄目ね…
ふと美しい夕日が目に入った。そういえば…
「ねえ、ヴァン、覚えている?1年前、意識を失って倒れているあなたを、この海岸で見つけたのよね。あの日は今と同じように、夕日がとても綺麗だったわ」
ちょうど1年前、いつもの様に王妃様に嫌味を言われ、家族から暴言や暴力を振るわれた私は、ここに来ていた。その時、意識を失い、倒れていたヴァンを発見したのだ。波に流されてきたのか、体はぬれ、砂で汚れていた。
それでも美しい銀色の髪をした美青年だったヴァン。そんなヴァンを馬車に乗せ、屋敷に連れて帰ったのだ。
「そうでしたね、あの時お嬢様が助けてくれなかったら、今頃私の命はなかったでしょう。お嬢様が寝ずにずっと看病してくださったから、今この場所にいられるのです。ありがとうございます、お嬢様」
「お礼を言うのは、私の方よ…ヴァン、あの日から、ずっと傍にいてくれてありがとう。お母様が亡くなってから、ずっと独りぼっちだったから…私、自分の意見がはっきり言えないでしょう。だから…」
「お嬢様はあの時、旦那様にはっきりと告げたではないですか?“この人を家において欲しい。どうかお願いします”と。何度も何度も、私の為に頭を下げて下さった。それが嬉しかったのです。お嬢様、私は何があっても、あなたの味方ですから。それだけは、覚えておいてください」
そう言ってほほ笑んでくれたヴァン。その笑顔はとても美しかった。彼の笑顔を守りたい…その為にも、もっと頑張らなければ…私がもっとしっかりしないと、ヴァンが追い出されてしまうかもしれない。現に継母は、ヴァンの事をよく思っていない。
でも、今の私に何が出来るのかしら?
考えれば考えるほど、頭が痛くなってくる。その痛みは、なぜかどんどん強くなってきて…
「お嬢様、どうされたのですか?大丈夫ですか?」
あまりの痛みに、その場にうずくまった私を心配して、ヴァンが傍に駆け寄ってきた。
“大丈夫よ”そう伝えたいのに、あまりの痛さにその場を動く事が出来ない。そして次の瞬間…
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“里奈、あなたまた旅行に行くの?”
“ええ、そうよ。今回は中東を回ってみようと思うの”
里奈って、誰?えっ?里奈…
そうだ、私のかつての名前は里奈…松宮里奈。日本で生まれ育ったのだったわ。
一気に前世の記憶が蘇る。日本で生まれ育った私は、大学を卒業と同時に、大手企業に就職した。でも、その後フリーランスとして独立、大好きだった旅行を楽しみながら、自由気ままに生きて来た。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
私の顔を心配そうに除きこむヴァン。その瞳は、酷く動揺していた。
「心配をかけてごめんなさい。私は大丈夫よ。さあ、随分と冷えてきたわ。屋敷に戻りましょう」
「でも、まだ旦那様のお怒りがおさまっていないのでは…」
確かにまだお父様の怒りはおさまっていないだろう。でも、もう私は、引っ込み思案で人見知りで、周りの顔色ばかり窺っているジェシカではない。そう、私は何に対しても物怖じしない、松宮里奈の時の記憶を手に入れたのだ。
「大丈夫よ。さあ、行きましょう」
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さすがヴァン、いつも私の傍にいてくれるだけの事はある。私の変化を、一切見逃さない。
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そうヴァンに伝えたのであった。
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