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第25話:私達家族に与えられたご褒美
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「ティア嬢、リベリオの件、本当にありがとう。呪いを解いてくれただけでなく、再びキャロル殿下にかけられそうになった呪いを跳ね返してくれた事、本当に感謝している」
改めて陛下からお礼を言われた。
「それでだな、午後には君の両親も呼んで、褒美について話をしようと思っているから、そのつもりで」
まあ、両親も来るの?という事は、きっと爵位も上がるのね。お父様たち、きっと大喜びするでしょうね。
「承知いたしました。それでは私はこれで失礼いたします」
自室に戻るため、部屋を出た。自室に戻ると、すぐに伯爵家に帰る準備を始めた。
「随分と長い時間この離宮にお世話になった気がするけれど、たった3ヶ月程度しかいなかったのよね。でも…」
この3ヶ月、今までにないほど充実した生活だった。今まで全くと言っていいほど、殿方との接触がなかった私が、まさかこの国一番の美青年、第三王子のリベリオ殿下と仲良くなるなんてね。
でも、もう彼の呪いも解けたし、キャロル殿下が再び襲ってくることもないだろう。そう、私の役目は終わったのだ。
なんだか胸の奥がチクリと痛む。
初めて会った時は、絶望に満ち溢れていたリベリオ殿下、その姿を見た時何とかしてあげたいと思った。最初は同情もあっただろう、でも、彼と過ごしていくうちに、いつしか心が温かい物で包まれる様な、そんな感覚に襲われた。
誰もが絶望する様な最悪な呪いをかけられながらも、それでも私の言う事を聞いてくれ、必死に呪いと立ち向かう彼の姿を見ていたら、何が何でも彼を助けたいと思う様になった。
だからこそ、ダラス様に最後の2つの呪いを解いてもらう様に、お願いしたのだ。本当は自分で解きたかった。でも…私にはその力がなかった。それが悔しかった。だからキャロル殿下が再び襲ってくるかもしれないと聞いた時、何が何でも彼を私の手で守りたいと思った。
そして、無事リベリオ殿下を守る事が出来た。それが嬉しくてたまらなかった。
そう、私はきっと、リベリオ殿下が好きなのだろう。でも彼は、国一番の美青年で、第三王子だ。そんな彼が、私を好きになる事はないだろう。それに、他に好きな人がいる様な口ぶりだったし…
とにかく私にできる事は、早く彼の傍から去る事。大丈夫よ、私には魔力がある。今回の件で、私はきっとこの国の王宮魔術師にしてもらえるだろう。だから…彼の事はきっぱり忘れて、王宮魔術師として頑張るまでだ。
一通り片付けが終わった頃には、ちょうどお昼だ。いつもの様に、リベリオ殿下と昼食を食べる。こうやって彼と食事をするのも、今回が最後だろう。そう思うと、やっぱり胸が苦しい。それでも笑顔で食べきった。
そして午後
「ティア、よくやったぞ。さすが我が娘だ!」
「ティア、あなたまた無理をして!それにしてもダラス様も水臭いわ。こちらに来ていたのなら、我が家に寄ってくれてもいいものを!」
「お父様、お母様、お久しぶりです。ダラス様も色々と忙しかったのでしょう。さあ、そろそろ陛下たちの元へと向かいましょう」
一足先に両親と合流し、一緒に陛下たちの待つ部屋へと向かう。
部屋に入ると、陛下、王妃殿下、王太子殿下、リベリオ殿下が待っていた。一気に両親の顔が引き締まるのがわかる。
「大変お待たせして申し訳ございません」
お父様がすかさず挨拶をした。
「よく来てくれたね、ファリスティ伯爵、夫人。君たちも知っていると思うが、ティア嬢が我が息子、リベリオの呪いを解いただけでなく、再び呪いをかけに来たキャロル殿下からも守ってくれた。これでリベリオは、これから先、ずっと平和に暮らせるだろう。本当にありがとう」
「勿体なきお言葉にございます」
「それでだな、まずファリスティ伯爵家には、今回ブルシャ王国から貰った慰謝料の3分の2を与える。そして爵位も、侯爵位を与えよう。もちろん領地も増やす予定だ。今のところ、南部の土地を与えようと思っているのだが、どうだい?」
「そんなにいただけるのですか?ありがとうございます。この上ない幸せでございます」
お父様の顔が、ぱぁぁっと明るくなったのが分かる。そりゃそうだろう、今回ブルシャ王国から頂いた慰謝料は、国家予算の2倍。その慰謝料の3分の2を頂けるだけでなく、土地までもらえるとなれば、喜ばない訳がない。
「それからティア嬢、君には当初の予定通り、王宮魔術師の地位を与えよう。それから…その…もし君さえよければだが…その…」
なぜか陛下がもごもご言っている。どうしたのだろう。
「父上、ここからは僕が話をします」
そう言うと、私の前までやって来たリベリオ殿下。一体どうしたのかしら?
※次回最終話です。
よろしくお願いします。
改めて陛下からお礼を言われた。
「それでだな、午後には君の両親も呼んで、褒美について話をしようと思っているから、そのつもりで」
まあ、両親も来るの?という事は、きっと爵位も上がるのね。お父様たち、きっと大喜びするでしょうね。
「承知いたしました。それでは私はこれで失礼いたします」
自室に戻るため、部屋を出た。自室に戻ると、すぐに伯爵家に帰る準備を始めた。
「随分と長い時間この離宮にお世話になった気がするけれど、たった3ヶ月程度しかいなかったのよね。でも…」
この3ヶ月、今までにないほど充実した生活だった。今まで全くと言っていいほど、殿方との接触がなかった私が、まさかこの国一番の美青年、第三王子のリベリオ殿下と仲良くなるなんてね。
でも、もう彼の呪いも解けたし、キャロル殿下が再び襲ってくることもないだろう。そう、私の役目は終わったのだ。
なんだか胸の奥がチクリと痛む。
初めて会った時は、絶望に満ち溢れていたリベリオ殿下、その姿を見た時何とかしてあげたいと思った。最初は同情もあっただろう、でも、彼と過ごしていくうちに、いつしか心が温かい物で包まれる様な、そんな感覚に襲われた。
誰もが絶望する様な最悪な呪いをかけられながらも、それでも私の言う事を聞いてくれ、必死に呪いと立ち向かう彼の姿を見ていたら、何が何でも彼を助けたいと思う様になった。
だからこそ、ダラス様に最後の2つの呪いを解いてもらう様に、お願いしたのだ。本当は自分で解きたかった。でも…私にはその力がなかった。それが悔しかった。だからキャロル殿下が再び襲ってくるかもしれないと聞いた時、何が何でも彼を私の手で守りたいと思った。
そして、無事リベリオ殿下を守る事が出来た。それが嬉しくてたまらなかった。
そう、私はきっと、リベリオ殿下が好きなのだろう。でも彼は、国一番の美青年で、第三王子だ。そんな彼が、私を好きになる事はないだろう。それに、他に好きな人がいる様な口ぶりだったし…
とにかく私にできる事は、早く彼の傍から去る事。大丈夫よ、私には魔力がある。今回の件で、私はきっとこの国の王宮魔術師にしてもらえるだろう。だから…彼の事はきっぱり忘れて、王宮魔術師として頑張るまでだ。
一通り片付けが終わった頃には、ちょうどお昼だ。いつもの様に、リベリオ殿下と昼食を食べる。こうやって彼と食事をするのも、今回が最後だろう。そう思うと、やっぱり胸が苦しい。それでも笑顔で食べきった。
そして午後
「ティア、よくやったぞ。さすが我が娘だ!」
「ティア、あなたまた無理をして!それにしてもダラス様も水臭いわ。こちらに来ていたのなら、我が家に寄ってくれてもいいものを!」
「お父様、お母様、お久しぶりです。ダラス様も色々と忙しかったのでしょう。さあ、そろそろ陛下たちの元へと向かいましょう」
一足先に両親と合流し、一緒に陛下たちの待つ部屋へと向かう。
部屋に入ると、陛下、王妃殿下、王太子殿下、リベリオ殿下が待っていた。一気に両親の顔が引き締まるのがわかる。
「大変お待たせして申し訳ございません」
お父様がすかさず挨拶をした。
「よく来てくれたね、ファリスティ伯爵、夫人。君たちも知っていると思うが、ティア嬢が我が息子、リベリオの呪いを解いただけでなく、再び呪いをかけに来たキャロル殿下からも守ってくれた。これでリベリオは、これから先、ずっと平和に暮らせるだろう。本当にありがとう」
「勿体なきお言葉にございます」
「それでだな、まずファリスティ伯爵家には、今回ブルシャ王国から貰った慰謝料の3分の2を与える。そして爵位も、侯爵位を与えよう。もちろん領地も増やす予定だ。今のところ、南部の土地を与えようと思っているのだが、どうだい?」
「そんなにいただけるのですか?ありがとうございます。この上ない幸せでございます」
お父様の顔が、ぱぁぁっと明るくなったのが分かる。そりゃそうだろう、今回ブルシャ王国から頂いた慰謝料は、国家予算の2倍。その慰謝料の3分の2を頂けるだけでなく、土地までもらえるとなれば、喜ばない訳がない。
「それからティア嬢、君には当初の予定通り、王宮魔術師の地位を与えよう。それから…その…もし君さえよければだが…その…」
なぜか陛下がもごもご言っている。どうしたのだろう。
「父上、ここからは僕が話をします」
そう言うと、私の前までやって来たリベリオ殿下。一体どうしたのかしら?
※次回最終話です。
よろしくお願いします。
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