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第21話:それでも僕はティア嬢が好きだ~リベリオ視点~
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ダラス殿が来てから、早2週間。この2週間、朝から晩までティア嬢とダラス殿は、ずっと2人で籠っている。ただでさえ美しくて優秀なダラス殿、もしかしたらティア嬢をこのままキブリス王国に連れて帰ってしまうのでは…
そんな不安が僕を襲う。
せっかく呪いが解けたのに、なんだか心が晴れない。ついため息が出てしまう。
「リベリオ、ため息なんてついてどうしたんだい?」
僕のところにやって来たのは、一番上の兄上だ。
「兄上か…」
「兄上か…はないだろう。もしかして、ティア嬢とダラス殿の事で悩んでいるのかい?それなら、君が悩むことは何もないよ」
「どうして兄上はそう言い切れるのですか?ダラス殿は美しいだけでなく、ティア嬢が大好きな魔力にも長けているのですよ。もしかしたらもう2人は恋仲になっているのかもしれない」
考えただけで倒れそうだ。僕にはもう、ティア嬢しかいない。彼女のいない人生なんて、考えられないのに…
「落ち着いてくれ、リベリオ。僕の口からは詳しくは言えないが…その…君が心配する様な事は何一つないよ。それよりも、今夜行われる夜会の準備は出来ているのかい?今日はティア嬢をエスコートするのだろう?」
そう、今日は王宮で行われる夜会に参加する事になっている。ティア嬢に頼んで、僕のパートナーとして参加してもらう事になっているのだ。最初は渋っていたが、必死にお願いしたら了承してくれた。
ティア嬢は本当に優しいから、結局僕のいう事を聞いてくれるんだよね。でも…もしティア嬢がダラス殿を愛しているのなら…そう考えると、僕がエスコートしてもいいものかと考えてしまう。
て、今更そんな事を考えても仕方がない。僕はどうやら呪いをかけられてから、自信というものが無くなってしまったのだ。昔は自信過剰なほど、自信家だったのにな…
まあ、今考えてみると、それはそれで問題だったのかもしれないな。
「とにかくそんな事で落ち込んでいないで、今日はティア嬢をしっかりエスコートしろよ。それじゃあ、僕は夜会の準備があるから、そろそろ行くね」
そう言って去って行った兄上。僕も夜会の準備をしないと。久しぶりに参加する夜会だ。
ふと鏡に映る自分を見る。昔と変わらない姿がそこには映っていた。少し前までは、鏡を見るのも辛いぐらい、醜かったんだよな。そんな醜い僕にも、1人の人間として接してくれたティア嬢。彼女がいたからこそ、今の僕の幸せがあるのだろう。だからこそ、やっぱり彼女と共に未来を歩んでいきたい。
「やっぱり僕は、ダラス殿にティア嬢を渡すつもりはない!今日の夜会で、ティア嬢に僕の気持ちを伝えよう。たとえ今は振り向いてもらえなくても、いつか必ず振り向いてもらえる様に…」
よし!やれるだけの事をしよう。どう転ぼうが、僕にはもう彼女のいない人生なんて考えられないのだから。
気を取り直して着替えを済ませる。今日はティア嬢の髪の色を意識して、水色のスーツにした。ちょっと露骨だったかな?いいや、露骨なくらいの方がちょうどいいんだ!
着替えが済むと、ティア嬢の部屋の前までやって来た。しばらく待っていると、ゆっくりと扉が開き、中からドレスアップしたティア嬢が出て来た。
緑色のドレスに身を包んだティア嬢は、本当に美しかった。彼女ってこんなに美しい女性だったんだ…
「リベリオ殿下、お待たせして申し訳ございません。今日の殿下のスーツ姿、とてもよく似合っておりますわ。それから、こんなにも素敵なドレスと宝石を贈って頂き、ありがとうございます」
「お礼なんていらないよ。僕は君に返しきれない程の恩があるんだ。それよりも、今日もティア嬢、本当に美しいね。さあ、そろそろ行こうか」
「はい」
僕が腕を出すと、スッと手を添えたティア嬢。こんな風に彼女と夜会に出られるなんて…嬉しくてつい頬が緩んでしまう。
「今日のリベリオ殿下、なんだか嬉しそうですね。最近元気がなかったので、心配していたのですよ」
どうやら僕の事を心配してくれていた様だ。なんだかんだ言って、ティア嬢はいつも僕の事を見てくれている。それがまた嬉しい。でも、それならどうして、ずっとダラス殿と籠っていたのだろう。ついそんな事を考えてしまう。
「ティア嬢、今日の夜会はずっと僕の傍にいてくれるかい?」
「ええ、もちろんですわ。殿下こそ、どうか私の傍を離れないで下さいね。絶対に!」
なぜかティア嬢が、真剣な表情で見つめてくる。一体どういう意味だろう?まあいいか、とにかく今日はずっと一緒にいてくれると言っているし。
「さあ、行こうか」
少し緊張気味のティア嬢を連れ、皆の元へとやって来た。
そんな不安が僕を襲う。
せっかく呪いが解けたのに、なんだか心が晴れない。ついため息が出てしまう。
「リベリオ、ため息なんてついてどうしたんだい?」
僕のところにやって来たのは、一番上の兄上だ。
「兄上か…」
「兄上か…はないだろう。もしかして、ティア嬢とダラス殿の事で悩んでいるのかい?それなら、君が悩むことは何もないよ」
「どうして兄上はそう言い切れるのですか?ダラス殿は美しいだけでなく、ティア嬢が大好きな魔力にも長けているのですよ。もしかしたらもう2人は恋仲になっているのかもしれない」
考えただけで倒れそうだ。僕にはもう、ティア嬢しかいない。彼女のいない人生なんて、考えられないのに…
「落ち着いてくれ、リベリオ。僕の口からは詳しくは言えないが…その…君が心配する様な事は何一つないよ。それよりも、今夜行われる夜会の準備は出来ているのかい?今日はティア嬢をエスコートするのだろう?」
そう、今日は王宮で行われる夜会に参加する事になっている。ティア嬢に頼んで、僕のパートナーとして参加してもらう事になっているのだ。最初は渋っていたが、必死にお願いしたら了承してくれた。
ティア嬢は本当に優しいから、結局僕のいう事を聞いてくれるんだよね。でも…もしティア嬢がダラス殿を愛しているのなら…そう考えると、僕がエスコートしてもいいものかと考えてしまう。
て、今更そんな事を考えても仕方がない。僕はどうやら呪いをかけられてから、自信というものが無くなってしまったのだ。昔は自信過剰なほど、自信家だったのにな…
まあ、今考えてみると、それはそれで問題だったのかもしれないな。
「とにかくそんな事で落ち込んでいないで、今日はティア嬢をしっかりエスコートしろよ。それじゃあ、僕は夜会の準備があるから、そろそろ行くね」
そう言って去って行った兄上。僕も夜会の準備をしないと。久しぶりに参加する夜会だ。
ふと鏡に映る自分を見る。昔と変わらない姿がそこには映っていた。少し前までは、鏡を見るのも辛いぐらい、醜かったんだよな。そんな醜い僕にも、1人の人間として接してくれたティア嬢。彼女がいたからこそ、今の僕の幸せがあるのだろう。だからこそ、やっぱり彼女と共に未来を歩んでいきたい。
「やっぱり僕は、ダラス殿にティア嬢を渡すつもりはない!今日の夜会で、ティア嬢に僕の気持ちを伝えよう。たとえ今は振り向いてもらえなくても、いつか必ず振り向いてもらえる様に…」
よし!やれるだけの事をしよう。どう転ぼうが、僕にはもう彼女のいない人生なんて考えられないのだから。
気を取り直して着替えを済ませる。今日はティア嬢の髪の色を意識して、水色のスーツにした。ちょっと露骨だったかな?いいや、露骨なくらいの方がちょうどいいんだ!
着替えが済むと、ティア嬢の部屋の前までやって来た。しばらく待っていると、ゆっくりと扉が開き、中からドレスアップしたティア嬢が出て来た。
緑色のドレスに身を包んだティア嬢は、本当に美しかった。彼女ってこんなに美しい女性だったんだ…
「リベリオ殿下、お待たせして申し訳ございません。今日の殿下のスーツ姿、とてもよく似合っておりますわ。それから、こんなにも素敵なドレスと宝石を贈って頂き、ありがとうございます」
「お礼なんていらないよ。僕は君に返しきれない程の恩があるんだ。それよりも、今日もティア嬢、本当に美しいね。さあ、そろそろ行こうか」
「はい」
僕が腕を出すと、スッと手を添えたティア嬢。こんな風に彼女と夜会に出られるなんて…嬉しくてつい頬が緩んでしまう。
「今日のリベリオ殿下、なんだか嬉しそうですね。最近元気がなかったので、心配していたのですよ」
どうやら僕の事を心配してくれていた様だ。なんだかんだ言って、ティア嬢はいつも僕の事を見てくれている。それがまた嬉しい。でも、それならどうして、ずっとダラス殿と籠っていたのだろう。ついそんな事を考えてしまう。
「ティア嬢、今日の夜会はずっと僕の傍にいてくれるかい?」
「ええ、もちろんですわ。殿下こそ、どうか私の傍を離れないで下さいね。絶対に!」
なぜかティア嬢が、真剣な表情で見つめてくる。一体どういう意味だろう?まあいいか、とにかく今日はずっと一緒にいてくれると言っているし。
「さあ、行こうか」
少し緊張気味のティア嬢を連れ、皆の元へとやって来た。
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