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第20話:ダラス殿が気になる~リベリオ視点~
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完全に呪いが解けたその日の夜、王宮内で盛大なパーティーが行われた。ティア嬢はもちろん、ダラス殿も一緒だ。ダラス殿はキブリス王国の魔術師長と聞いている。我が国のパーティーなんかに参加していていいのだろうか?
今もティア嬢と楽しく話している。ティア嬢と同じ美しい水色の髪をしたダラス殿は、かなりの美青年。2人が楽しそうに話しをしている姿を見ると、胸が張り裂けそうになるのだ。そういえばダラス殿がこの国にやってきた時、嬉しそうにティア嬢を抱きしめていたな…もしかして2人は…
そんな事を考えてしまう。
「リベリオ殿下、そんな暗い顔をしてどうされたのですか?」
心配そうな顔で僕の元にやって来たのは、ティア嬢だ。彼女は相変わらず優しいな。僕が醜くて臭かった時から、ずっと同じ態度をとってくれている。それが嬉しくてたまらないのだ。
「何でもないよ。それよりダラス殿と何の話をしていたのだい?」
「えっと…大した話ではないですわ」
なぜかティア嬢が珍しく動揺している。もしかして僕には話したくない、2人の秘密があるのかもしれない。
「ティア嬢…」
「ティア、リベリオ殿下、こんばんは。そうそう、しばらく私もこの国に滞在する事になりましたので。久しぶりにティアとも、一緒に過ごしたいと思っておりますし。という訳で、リベリオ殿下、どうぞよろしくお願いします」
そう言うと、嬉しそうに微笑んだダラス殿。
「でもあなた様は、キブリス王国の王宮魔術師長をしていらっしゃるのですよね。魔術師長が留守にしてもよろしいのですか?」
「キブリス王国の魔術師とは、いつでも連絡を取り合えるので、私が少しくらい留守にしても問題ありませんよ。それにしてもこの国のお料理は、本当に美味しいですな。ティア、料理をありったけ持ってきてくれ」
「もう、ダラス様ったら、人使いが荒いのだから…リベリオ殿下、しばらくダラス様がお世話になります。どうぞよろしくお願いいたします」
魔法で料理を運びながら、僕に頭を下げるティア嬢。どうして彼女がわざわざ僕に頭を下げるのだ。まるで恋人か家族がお世話になるみたいじゃないか!
結局この日は、ティア嬢とダラス殿が気になって、全く楽しめなかった。
翌日
今日もティア嬢とお茶をしようと思い、部屋に誘いに行ったのだが…
「殿下、申し訳ございません。ティア様は、ダラス様と何やら魔力の勉強をしている様でして…」
「魔力の勉強をかい?一体何の勉強をしているのだ?」
「それは私には…」
僕の呪いが解けた今、何をまだ勉強をする必要があるのだ。もしかして、僕の呪いを全て自分で解けなかった事を後悔して、ダラス殿に色々と教えてもらっているのか?
でも…
昨日の仲睦まじい2人の姿が脳裏によぎった。もしかしたら魔力の勉強とか言って、2人で会っているのかもしれない。そう思ったらいてもたってもいられず、彼らの元へと急いだ。
確か魔術師塔の一室で勉強をしていると言っていたな。急いで魔術師塔の一室に向かうと…
「殿下、申し訳ございません。これより先は誰も中に入れるなとのご命令でして」
「どうして中に入れないのだい?中にはティア嬢とダラス殿がいるのだろう?それなら僕が入っても問題ないはずだ」
「それが、絶対に中に人を入れてはいけないと、きつく言われておりまして…」
そう言うと、困った顔をする騎士たち。どうして人を中に入れてはいけないんだ。増々怪しい。
「悪いが中に入らせてもらうよ」
「殿下!」
騎士たちをすり抜け、扉に手をかけようとした時だった。物凄い魔力に触れ、僕は吹き飛ばされた。
「殿下、大丈夫ですか?」
「ああ、僕は大丈夫だ。クソ、中に入れない様に魔法をかけているんだな…」
さすがキブリス王国の魔術師長をしているだけの事はある。触れただけで吹き飛ばされるだなんて…
仕方がない、ここで待つか。そう思って待っていたのだが、いつまでたっても出てこない。さすがに待ちくたびれた。一体中で何をしているのだろう…
そして日が暮れかけた頃、やっと出来て来た。
「リベリオ殿下、こんなところで何をなさっているのですか?」
「ティア嬢こそ、一緒にお茶をしようと誘いに行ったら、ここにダラス殿と籠っていると聞いて。それで待っていたんだよ。こんな時間まで、一体何をしていたのだい?」
「えっと…それは…」
何て答えていいか分からず、目を泳がせるティア嬢。彼女は本当に分かりやすい性格をしている。
「殿下には関係ない事ですよ。私とティアの、秘密の訓練ですよ。ね、ティア」
「もう、ダラス様、変な言い方はよしてください。リベリオ殿下、別に怪しい事をしている訳ではないですから、心配しないで下さい。ただ、これからしばらくは、ダラス様から改めて魔力の勉強を受けようと思っておりまして…」
「ティア嬢は十分魔力に詳しいではないか。それに僕の呪いも解けたし。それなのに、まだ勉強をするのかい?」
「ティアはまだまだ未熟者ですよ。私がいるうちに、しっかり鍛え上げようと思いまして。とにかく、しばらくティアは借りますから、どうか殿下はティアに構わないで下さい」
相変わらず美しい微笑を浮かべ、ダラス殿がそんな事を言っている。間違いない、この男もティア嬢が好きなのだろう。僕がティア嬢を好きな事を知って、邪魔しているのだな!
ティア嬢は絶対に渡さないからな!
今もティア嬢と楽しく話している。ティア嬢と同じ美しい水色の髪をしたダラス殿は、かなりの美青年。2人が楽しそうに話しをしている姿を見ると、胸が張り裂けそうになるのだ。そういえばダラス殿がこの国にやってきた時、嬉しそうにティア嬢を抱きしめていたな…もしかして2人は…
そんな事を考えてしまう。
「リベリオ殿下、そんな暗い顔をしてどうされたのですか?」
心配そうな顔で僕の元にやって来たのは、ティア嬢だ。彼女は相変わらず優しいな。僕が醜くて臭かった時から、ずっと同じ態度をとってくれている。それが嬉しくてたまらないのだ。
「何でもないよ。それよりダラス殿と何の話をしていたのだい?」
「えっと…大した話ではないですわ」
なぜかティア嬢が珍しく動揺している。もしかして僕には話したくない、2人の秘密があるのかもしれない。
「ティア嬢…」
「ティア、リベリオ殿下、こんばんは。そうそう、しばらく私もこの国に滞在する事になりましたので。久しぶりにティアとも、一緒に過ごしたいと思っておりますし。という訳で、リベリオ殿下、どうぞよろしくお願いします」
そう言うと、嬉しそうに微笑んだダラス殿。
「でもあなた様は、キブリス王国の王宮魔術師長をしていらっしゃるのですよね。魔術師長が留守にしてもよろしいのですか?」
「キブリス王国の魔術師とは、いつでも連絡を取り合えるので、私が少しくらい留守にしても問題ありませんよ。それにしてもこの国のお料理は、本当に美味しいですな。ティア、料理をありったけ持ってきてくれ」
「もう、ダラス様ったら、人使いが荒いのだから…リベリオ殿下、しばらくダラス様がお世話になります。どうぞよろしくお願いいたします」
魔法で料理を運びながら、僕に頭を下げるティア嬢。どうして彼女がわざわざ僕に頭を下げるのだ。まるで恋人か家族がお世話になるみたいじゃないか!
結局この日は、ティア嬢とダラス殿が気になって、全く楽しめなかった。
翌日
今日もティア嬢とお茶をしようと思い、部屋に誘いに行ったのだが…
「殿下、申し訳ございません。ティア様は、ダラス様と何やら魔力の勉強をしている様でして…」
「魔力の勉強をかい?一体何の勉強をしているのだ?」
「それは私には…」
僕の呪いが解けた今、何をまだ勉強をする必要があるのだ。もしかして、僕の呪いを全て自分で解けなかった事を後悔して、ダラス殿に色々と教えてもらっているのか?
でも…
昨日の仲睦まじい2人の姿が脳裏によぎった。もしかしたら魔力の勉強とか言って、2人で会っているのかもしれない。そう思ったらいてもたってもいられず、彼らの元へと急いだ。
確か魔術師塔の一室で勉強をしていると言っていたな。急いで魔術師塔の一室に向かうと…
「殿下、申し訳ございません。これより先は誰も中に入れるなとのご命令でして」
「どうして中に入れないのだい?中にはティア嬢とダラス殿がいるのだろう?それなら僕が入っても問題ないはずだ」
「それが、絶対に中に人を入れてはいけないと、きつく言われておりまして…」
そう言うと、困った顔をする騎士たち。どうして人を中に入れてはいけないんだ。増々怪しい。
「悪いが中に入らせてもらうよ」
「殿下!」
騎士たちをすり抜け、扉に手をかけようとした時だった。物凄い魔力に触れ、僕は吹き飛ばされた。
「殿下、大丈夫ですか?」
「ああ、僕は大丈夫だ。クソ、中に入れない様に魔法をかけているんだな…」
さすがキブリス王国の魔術師長をしているだけの事はある。触れただけで吹き飛ばされるだなんて…
仕方がない、ここで待つか。そう思って待っていたのだが、いつまでたっても出てこない。さすがに待ちくたびれた。一体中で何をしているのだろう…
そして日が暮れかけた頃、やっと出来て来た。
「リベリオ殿下、こんなところで何をなさっているのですか?」
「ティア嬢こそ、一緒にお茶をしようと誘いに行ったら、ここにダラス殿と籠っていると聞いて。それで待っていたんだよ。こんな時間まで、一体何をしていたのだい?」
「えっと…それは…」
何て答えていいか分からず、目を泳がせるティア嬢。彼女は本当に分かりやすい性格をしている。
「殿下には関係ない事ですよ。私とティアの、秘密の訓練ですよ。ね、ティア」
「もう、ダラス様、変な言い方はよしてください。リベリオ殿下、別に怪しい事をしている訳ではないですから、心配しないで下さい。ただ、これからしばらくは、ダラス様から改めて魔力の勉強を受けようと思っておりまして…」
「ティア嬢は十分魔力に詳しいではないか。それに僕の呪いも解けたし。それなのに、まだ勉強をするのかい?」
「ティアはまだまだ未熟者ですよ。私がいるうちに、しっかり鍛え上げようと思いまして。とにかく、しばらくティアは借りますから、どうか殿下はティアに構わないで下さい」
相変わらず美しい微笑を浮かべ、ダラス殿がそんな事を言っている。間違いない、この男もティア嬢が好きなのだろう。僕がティア嬢を好きな事を知って、邪魔しているのだな!
ティア嬢は絶対に渡さないからな!
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