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第3話:リベリオ殿下とご対面です
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王太子殿下に連れられ、離宮の中へと入って行く。そして、ある扉の前にやって来た。
「ティア嬢、リベリオを見ても驚かないでくれよ。それから、なぜかリベリオの部屋に入ると、体調が悪くなるんだ。だから…その…もし万が一、無理だと思ったら素直に教えて欲しい」
体調が悪くなる?一体どういう意味かしら?
「それじゃあ、開けるよ」
ゆっくり扉を開けた王太子殿下。その瞬間、魔力を一気に感じる。この魔力は…
「リベリオ、今日は君の呪いを解くために、魔力の高い人間を連れてきたよ。彼女は、キブリス王国で2年間学んだ、優秀な…」
「この部屋に入るな!!」
太い声が聞こえたと思ったら、物凄い魔力が襲って来た。このままでは怪我をする。
「バリア!」
とっさにバリア魔法をかけた。それにしても、凄まじい魔力だ。それに、この部屋には人が嫌がる呪いで溢れている。さっき王太子殿下が言っていた、“リベリオの部屋に入ると、体調が悪くなる”と言っていたのは、この呪いのせいね。
それにしても、これほどまでに複雑に絡み合った呪いは、初めて見たわ。なんだか興奮してきた。まずはこの不快な呪いをなんとかしないと!
「ティア嬢、伯爵、大丈夫かい?それから、バリア魔法をかけてくれてありがとう。リベリオの攻撃を防ぐだなんて、さすがだね」
「お褒めの言葉、ありがとうございます。リベリオ殿下、急に押しかけて申し訳ございません。私は、ティア・ファリスティと申します。一旦失礼させていただきますね。皆様、この部屋から一度退席しましょう」
「え…ティア嬢、君は何を…」
困惑する王太子殿下や陛下、王妃殿下を連れ、一旦部屋から出る。
「ティア嬢、やはり君でも無理なんだね…」
どうやら私がすぐに部屋を出たことで、私がリベリオ殿下の呪いを解く事を諦めたと思った王太子殿下が、悲しそうに呟いた。
「急に外に連れ出して申し訳ございません。ですが私は、リベリオ殿下の呪いを解く事を諦めた訳ではありませんわ。どうやら呪いの中には、人間を寄せ付けないものが含まれている様です。その呪いのせいで、リベリオ殿下に近づく者たちの体調が悪くなるのかと。まずはその呪いを解く事から始めましょう」
リベリオ殿下に近づくためには、まずは人を寄せ付けない呪いを除去する必要がある。そうしないと、私たちの体が持たないわ。
「そんな呪いもかけられていたのか。それにしても、部屋に入っただけで、そんな呪いがかけられているとわかるだなんて。ティア嬢、それでどうすればいいのだい?」
「キブリス王国に留学していた時、解き方を勉強した事があります。私の荷物の中に入っている魔法書を取りに行って来てもよろしいでしょうか?」
「ああ、もちろんだ。すぐに取ってこさせよう」
王太子殿下の指示で、近くにいた使用人が急いで私の荷物を取りに行ってくれた。
「ティア嬢…その…リベリオの呪いは解けそうなの?あの子、本当に優しくていい子で。それなのにあんな事になってしまって、私、悲しくて…」
今まで一言も話さなかった王妃殿下が、涙を流して私に訴えかけてきた。きっと殿下の件がよほどショックだったのだろう。顔色も悪く、やつれてしまっている。
「王妃殿下、はっきり申し上げますと、リベリオ殿下には非常に複雑な呪いがかかっていると思われます。ただ…私は何とか呪いを解きたいと考えておりますわ。ですので、少しお時間を頂けないでしょうか?」
かなり複雑な呪いで、正直どう解いたらいいのか今の時点では分からない。でも、王妃殿下の顔をみたら、何とかしてあげたいと思った。
「ありがとう、ティア嬢」
涙を流しながら私の手を握る王妃殿下。そんな王妃殿下を心配そうな眼差しで見つめる陛下。辛そうに唇を噛んでいる王太子殿下、皆リベリオ殿下の事を心配しているのだろう。リベリオ殿下は、家族からとても大切にされているのね。これは何が何でも呪いを解かないと!
「お待たせいたしました。ティア様のお荷物です」
「ありがとうございます」
早速荷物を開き、魔法書を確認する。この魔法書は、キブリス王国にいた時に、師匠から頂いた大切なものだ。
手をかざし探したい魔法の内容を頭に抱き、魔力を込める。すると、その内容が浮き上がってくるのだ。
「あった、これだわ。それにしても、難しい魔法ね。陛下、王妃殿下、王太子殿下、
申し訳ございませんが、明日まで時間を頂けませんか?」
さすがに今すぐマスターするのは無理だわ。
「わかったよ、君の部屋は離宮に準備した。今日はゆっくり休んでくれと言いたいところだが、悪いがその魔法をマスターできるように頑張って欲しい。明日また来るから」
「もちろんですわ。とにかくまずは、殿下に近づける状況にならないと、殿下にかけられた呪いの詳細がわかりませんので」
一旦王族とは別れて、案内された部屋へと向かう。さすが離宮、すごい豪華ね…さらに私の為に、メイドが3人も控えている。
「ティア、お前、いつの間にそんな魔法書を手に入れたんだ?それにしても、お前がどうしてもキブリス王国に留学したいと駄々をこねるから行かせたが、まさかその時の経験が生かされるだなんて!キブリス王国に留学させておいてよかったな」
お父様がガハガハ笑っている。誰が駄々をこねてよ、本当に失礼な人ね。
「お父様、まだいらしたのですか?そろそろお帰り下さい」
「そうだな、そろそろ帰るよ。それじゃあティア、リベリオ殿下の呪いをさっさと解くんだぞ。それじゃあな」
そう言って笑顔で帰っていくお父様。呪いをさっさと解けだなんて、本当にあの人は何を考えているのだか…とにかく、まずは殿下に近づかないと…
「ティア嬢、リベリオを見ても驚かないでくれよ。それから、なぜかリベリオの部屋に入ると、体調が悪くなるんだ。だから…その…もし万が一、無理だと思ったら素直に教えて欲しい」
体調が悪くなる?一体どういう意味かしら?
「それじゃあ、開けるよ」
ゆっくり扉を開けた王太子殿下。その瞬間、魔力を一気に感じる。この魔力は…
「リベリオ、今日は君の呪いを解くために、魔力の高い人間を連れてきたよ。彼女は、キブリス王国で2年間学んだ、優秀な…」
「この部屋に入るな!!」
太い声が聞こえたと思ったら、物凄い魔力が襲って来た。このままでは怪我をする。
「バリア!」
とっさにバリア魔法をかけた。それにしても、凄まじい魔力だ。それに、この部屋には人が嫌がる呪いで溢れている。さっき王太子殿下が言っていた、“リベリオの部屋に入ると、体調が悪くなる”と言っていたのは、この呪いのせいね。
それにしても、これほどまでに複雑に絡み合った呪いは、初めて見たわ。なんだか興奮してきた。まずはこの不快な呪いをなんとかしないと!
「ティア嬢、伯爵、大丈夫かい?それから、バリア魔法をかけてくれてありがとう。リベリオの攻撃を防ぐだなんて、さすがだね」
「お褒めの言葉、ありがとうございます。リベリオ殿下、急に押しかけて申し訳ございません。私は、ティア・ファリスティと申します。一旦失礼させていただきますね。皆様、この部屋から一度退席しましょう」
「え…ティア嬢、君は何を…」
困惑する王太子殿下や陛下、王妃殿下を連れ、一旦部屋から出る。
「ティア嬢、やはり君でも無理なんだね…」
どうやら私がすぐに部屋を出たことで、私がリベリオ殿下の呪いを解く事を諦めたと思った王太子殿下が、悲しそうに呟いた。
「急に外に連れ出して申し訳ございません。ですが私は、リベリオ殿下の呪いを解く事を諦めた訳ではありませんわ。どうやら呪いの中には、人間を寄せ付けないものが含まれている様です。その呪いのせいで、リベリオ殿下に近づく者たちの体調が悪くなるのかと。まずはその呪いを解く事から始めましょう」
リベリオ殿下に近づくためには、まずは人を寄せ付けない呪いを除去する必要がある。そうしないと、私たちの体が持たないわ。
「そんな呪いもかけられていたのか。それにしても、部屋に入っただけで、そんな呪いがかけられているとわかるだなんて。ティア嬢、それでどうすればいいのだい?」
「キブリス王国に留学していた時、解き方を勉強した事があります。私の荷物の中に入っている魔法書を取りに行って来てもよろしいでしょうか?」
「ああ、もちろんだ。すぐに取ってこさせよう」
王太子殿下の指示で、近くにいた使用人が急いで私の荷物を取りに行ってくれた。
「ティア嬢…その…リベリオの呪いは解けそうなの?あの子、本当に優しくていい子で。それなのにあんな事になってしまって、私、悲しくて…」
今まで一言も話さなかった王妃殿下が、涙を流して私に訴えかけてきた。きっと殿下の件がよほどショックだったのだろう。顔色も悪く、やつれてしまっている。
「王妃殿下、はっきり申し上げますと、リベリオ殿下には非常に複雑な呪いがかかっていると思われます。ただ…私は何とか呪いを解きたいと考えておりますわ。ですので、少しお時間を頂けないでしょうか?」
かなり複雑な呪いで、正直どう解いたらいいのか今の時点では分からない。でも、王妃殿下の顔をみたら、何とかしてあげたいと思った。
「ありがとう、ティア嬢」
涙を流しながら私の手を握る王妃殿下。そんな王妃殿下を心配そうな眼差しで見つめる陛下。辛そうに唇を噛んでいる王太子殿下、皆リベリオ殿下の事を心配しているのだろう。リベリオ殿下は、家族からとても大切にされているのね。これは何が何でも呪いを解かないと!
「お待たせいたしました。ティア様のお荷物です」
「ありがとうございます」
早速荷物を開き、魔法書を確認する。この魔法書は、キブリス王国にいた時に、師匠から頂いた大切なものだ。
手をかざし探したい魔法の内容を頭に抱き、魔力を込める。すると、その内容が浮き上がってくるのだ。
「あった、これだわ。それにしても、難しい魔法ね。陛下、王妃殿下、王太子殿下、
申し訳ございませんが、明日まで時間を頂けませんか?」
さすがに今すぐマスターするのは無理だわ。
「わかったよ、君の部屋は離宮に準備した。今日はゆっくり休んでくれと言いたいところだが、悪いがその魔法をマスターできるように頑張って欲しい。明日また来るから」
「もちろんですわ。とにかくまずは、殿下に近づける状況にならないと、殿下にかけられた呪いの詳細がわかりませんので」
一旦王族とは別れて、案内された部屋へと向かう。さすが離宮、すごい豪華ね…さらに私の為に、メイドが3人も控えている。
「ティア、お前、いつの間にそんな魔法書を手に入れたんだ?それにしても、お前がどうしてもキブリス王国に留学したいと駄々をこねるから行かせたが、まさかその時の経験が生かされるだなんて!キブリス王国に留学させておいてよかったな」
お父様がガハガハ笑っている。誰が駄々をこねてよ、本当に失礼な人ね。
「お父様、まだいらしたのですか?そろそろお帰り下さい」
「そうだな、そろそろ帰るよ。それじゃあティア、リベリオ殿下の呪いをさっさと解くんだぞ。それじゃあな」
そう言って笑顔で帰っていくお父様。呪いをさっさと解けだなんて、本当にあの人は何を考えているのだか…とにかく、まずは殿下に近づかないと…
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