35 / 47
第35話:ふざけているのか?~アドレア視点~
しおりを挟む
正直レイリスの事は気になるが、今日は王宮で宴が行われただけと聞いている。お妃候補を選ぶのに、最低でも1週間はかかるから、その間はきっと、レイリスも大人しく屋敷で過ごせるだろう。
その間に、何とかケリをつけないと。そう思っていたのだが…
「公爵殿、アドレア殿、大変です。先ほど王家の騎士団の方たちがやって来て、レイリスを王宮に連れて行ってしまいました。レイリスが殿下のお妃候補に選ばれたという通知を頂き、レイリスを起こしに行ったのですが、中々起きなくて…そうこうしている間に、彼らが押しかけて来たのです」
「何だって?レイリス嬢が連れて行かれただって?あの恐ろしいほど強いレイリス嬢がかい?」
父上が目を丸くしている。確かにレイリスなら、王宮騎士団など、片手で倒してしまうだろう。それなのに、どうして…
「レイリスはちょっと体調が悪かったようで、体が思う様に動かなかったのです。それに何やらリングの様なものを付けられた瞬間、レイリスの意識が飛んでしまったのです。あの…レイリスは大丈夫でしょうか?あんな姿、初めて見たので…」
不安そうな顔の伯爵。
「レイリスは体調が悪かったのですか?そういえば最近、レイリスは体調があまり良くない時がありました。もしかして、命に関わる病気なのかもしれません。すぐに医者に診せないと」
「落ち着きなさい、アドレア。伯爵が言った、“リング”が気になるな。もしかしたら、魔力を無力化するリングかもしれない。詳しい話は魔術師に聞かないと。すぐに魔術師を連れて来てくれ」
魔力を無力化するリングだって?そんな物を付けられて、レイリスは大丈夫なのか?不安で胸が押しつぶされそうになる。
「旦那様、魔術師を連れてきました」
ちょうどタイミングよく、僕専属の魔術師がやって来たのだ。父上がレイリスの様子を細かく話した。すると…
「きっと魔力を無力化するリングで間違いないでしょう。それにしても、レイリス嬢はどうして意識を飛ばしたのでしょうか?通常リングを付けられたとしても、長期間リングを付けていない限り、体調を崩したり意識を飛ばすことはありません。魔力を持っていない人間と、同じ状況になるだけのはずですが」
不思議そうに首をかしげる魔術師。
「ちょっと待ってくれ。長期間リングを付けていると、体に異変がおきるのかい?」
「はい、魔力をリングに吸われ続けるので、体に大きな負担になります。最悪、命を落とすこともあります。とはいえ、定期的に付け外しすれば、そこまで危険な物ではありません」
「何が危険な物ではありませんだ!現にレイリスはリングを付けた瞬間、意識を飛ばしたのだろう?きっと体に大きな負担がかかっているに違いない。すぐにレイリスを助け出さないと!」
「落ち着いて下さい、坊ちゃま。と言いたいところですが、最近レイリス様の体調があまり良くなかったという事は、もしかしたら何らかの理由で、魔力が増減している可能性があります。一度診察をしてみないとわかりませんが、最悪命に関わる事も…」
「レイリスの魔力に異変がおきているという事か?そんな中変なリングを付けられた事で、レイリスの体に大きな負担がかかったとしたら…」
レイリスの命が危ない!
「父上、一刻も早くレイリスを助けに行きましょう。いくら何でも伯爵家に乗り込んで、令嬢を攫うだなんて酷すぎます!こんな事がまかり通っていたら、王族への忠誠心など、とてもではないが誓えない!」
「アドレアの言う通りだ。さすがに容認できないな。明日の朝、主要な貴族たちを呼んで協力を仰ごう。急げば3日程度で準備が整うだろう」
「父上、それは正気ですか?3日後だなんて、とても待てません。あの愚か者が、レイリスのリングを定期的に外させるとは思えません!本当なら今すぐ助けに行きたいが、もう夜ですし。明日には王宮に向かいます」
「待て、アドレア。早まるな!失敗したらレイリス嬢を助けられないどころか、アドレア自身も危険に晒されるのだぞ!」
「父上は昔、僕に言いましたよね。僕の持つ魔力には、国を良くも悪くもする事が出来ると。僕の力ひとつで、国を滅ぼすことも出来ると。それなら、僕にあの王族共を滅ぼさせてください。この力はレイリスを守るためにあるのです。今こそ、この魔力を使う時」
ずっと憎かった魔力、こんなもの、持って生まれなければ!そう願った日々もあった。でも、レイリスと出会い、彼女のお陰で魔力も悪くないと思えた。レイリスは絶望の中にいた僕を助けてくれたのだ。
今度は僕が、この魔力を使って彼女を助ける番だ。
その間に、何とかケリをつけないと。そう思っていたのだが…
「公爵殿、アドレア殿、大変です。先ほど王家の騎士団の方たちがやって来て、レイリスを王宮に連れて行ってしまいました。レイリスが殿下のお妃候補に選ばれたという通知を頂き、レイリスを起こしに行ったのですが、中々起きなくて…そうこうしている間に、彼らが押しかけて来たのです」
「何だって?レイリス嬢が連れて行かれただって?あの恐ろしいほど強いレイリス嬢がかい?」
父上が目を丸くしている。確かにレイリスなら、王宮騎士団など、片手で倒してしまうだろう。それなのに、どうして…
「レイリスはちょっと体調が悪かったようで、体が思う様に動かなかったのです。それに何やらリングの様なものを付けられた瞬間、レイリスの意識が飛んでしまったのです。あの…レイリスは大丈夫でしょうか?あんな姿、初めて見たので…」
不安そうな顔の伯爵。
「レイリスは体調が悪かったのですか?そういえば最近、レイリスは体調があまり良くない時がありました。もしかして、命に関わる病気なのかもしれません。すぐに医者に診せないと」
「落ち着きなさい、アドレア。伯爵が言った、“リング”が気になるな。もしかしたら、魔力を無力化するリングかもしれない。詳しい話は魔術師に聞かないと。すぐに魔術師を連れて来てくれ」
魔力を無力化するリングだって?そんな物を付けられて、レイリスは大丈夫なのか?不安で胸が押しつぶされそうになる。
「旦那様、魔術師を連れてきました」
ちょうどタイミングよく、僕専属の魔術師がやって来たのだ。父上がレイリスの様子を細かく話した。すると…
「きっと魔力を無力化するリングで間違いないでしょう。それにしても、レイリス嬢はどうして意識を飛ばしたのでしょうか?通常リングを付けられたとしても、長期間リングを付けていない限り、体調を崩したり意識を飛ばすことはありません。魔力を持っていない人間と、同じ状況になるだけのはずですが」
不思議そうに首をかしげる魔術師。
「ちょっと待ってくれ。長期間リングを付けていると、体に異変がおきるのかい?」
「はい、魔力をリングに吸われ続けるので、体に大きな負担になります。最悪、命を落とすこともあります。とはいえ、定期的に付け外しすれば、そこまで危険な物ではありません」
「何が危険な物ではありませんだ!現にレイリスはリングを付けた瞬間、意識を飛ばしたのだろう?きっと体に大きな負担がかかっているに違いない。すぐにレイリスを助け出さないと!」
「落ち着いて下さい、坊ちゃま。と言いたいところですが、最近レイリス様の体調があまり良くなかったという事は、もしかしたら何らかの理由で、魔力が増減している可能性があります。一度診察をしてみないとわかりませんが、最悪命に関わる事も…」
「レイリスの魔力に異変がおきているという事か?そんな中変なリングを付けられた事で、レイリスの体に大きな負担がかかったとしたら…」
レイリスの命が危ない!
「父上、一刻も早くレイリスを助けに行きましょう。いくら何でも伯爵家に乗り込んで、令嬢を攫うだなんて酷すぎます!こんな事がまかり通っていたら、王族への忠誠心など、とてもではないが誓えない!」
「アドレアの言う通りだ。さすがに容認できないな。明日の朝、主要な貴族たちを呼んで協力を仰ごう。急げば3日程度で準備が整うだろう」
「父上、それは正気ですか?3日後だなんて、とても待てません。あの愚か者が、レイリスのリングを定期的に外させるとは思えません!本当なら今すぐ助けに行きたいが、もう夜ですし。明日には王宮に向かいます」
「待て、アドレア。早まるな!失敗したらレイリス嬢を助けられないどころか、アドレア自身も危険に晒されるのだぞ!」
「父上は昔、僕に言いましたよね。僕の持つ魔力には、国を良くも悪くもする事が出来ると。僕の力ひとつで、国を滅ぼすことも出来ると。それなら、僕にあの王族共を滅ぼさせてください。この力はレイリスを守るためにあるのです。今こそ、この魔力を使う時」
ずっと憎かった魔力、こんなもの、持って生まれなければ!そう願った日々もあった。でも、レイリスと出会い、彼女のお陰で魔力も悪くないと思えた。レイリスは絶望の中にいた僕を助けてくれたのだ。
今度は僕が、この魔力を使って彼女を助ける番だ。
403
あなたにおすすめの小説
これで、私も自由になれます
たくわん
恋愛
社交界で「地味で会話がつまらない」と評判のエリザベート・フォン・リヒテンシュタイン。婚約者である公爵家の長男アレクサンダーから、舞踏会の場で突然婚約破棄を告げられる。理由は「華やかで魅力的な」子爵令嬢ソフィアとの恋。エリザベートは静かに受け入れ、社交界の噂話の的になる。
婚約破棄された氷の令嬢 ~偽りの聖女を暴き、炎の公爵エクウスに溺愛される~
ふわふわ
恋愛
侯爵令嬢アイシス・ヴァレンティンは、王太子レグナムの婚約者として厳しい妃教育に耐えてきた。しかし、王宮パーティーで突然婚約破棄を宣告される。理由は、レグナムの幼馴染で「聖女」と称されるエマが「アイシスにいじめられた」という濡れ衣。実際はすべてエマの策略だった。
絶望の底で、アイシスは前世の記憶を思い出す――この世界は乙女ゲームで、自分は「悪役令嬢」として破滅する運命だった。覚醒した氷魔法の力と前世知識を武器に、辺境のフロスト領へ追放されたアイシスは、自立の道を選ぶ。そこで出会ったのは、冷徹で「炎の公爵」と恐れられるエクウス・ドラゴン。彼はアイシスの魔法に興味を持ち、政略結婚を提案するが、実は一目惚れで彼女を溺愛し始める。
アイシスは氷魔法で領地を繁栄させ、騎士ルークスと魔導師セナの忠誠を得ながら、逆ハーレム的な甘い日常を過ごす。一方、王都ではエマの偽聖女の力が暴かれ、レグナムは後悔の涙を流す。最終決戦で、アイシスとエクウスの「氷炎魔法」が王国軍を撃破。偽りの聖女は転落し、王国は変わる。
**氷の令嬢は、炎の公爵に溺愛され、運命を逆転させる**。
婚約破棄の屈辱から始まる、爽快ザマアと胸キュン溺愛の物語。
悪意しかない王命結婚、確かに承りました。
ミズメ
恋愛
父が事業に失敗し、第一王子からは婚約破棄されてしまった侯爵令嬢アメリアは侯爵家没落五秒前の危機を迎えていた。そんな時、周囲を不幸にするという噂のある呪われた王子ユリシスと王命で結婚することになってしまう。
勝手に幸せになりますのでお気になさらず。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
愛しの第一王子殿下
みつまめ つぼみ
恋愛
公爵令嬢アリシアは15歳。三年前に魔王討伐に出かけたゴルテンファル王国の第一王子クラウス一行の帰りを待ちわびていた。
そして帰ってきたクラウス王子は、仲間の訃報を口にし、それと同時に同行していた聖女との婚姻を告げる。
クラウスとの婚約を破棄されたアリシアは、言い寄ってくる第二王子マティアスの手から逃れようと、国外脱出を図るのだった。
そんなアリシアを手助けするフードを目深に被った旅の戦士エドガー。彼とアリシアの逃避行が、今始まる。
【完結】ブスと呼ばれるひっつめ髪の眼鏡令嬢は婚約破棄を望みます。
はゆりか
恋愛
幼き頃から決まった婚約者に言われた事を素直に従い、ひっつめ髪に顔が半分隠れた瓶底丸眼鏡を常に着けたアリーネ。
周りからは「ブス」と言われ、外見を笑われ、美しい婚約者とは並んで歩くのも忌わしいと言われていた。
婚約者のバロックはそれはもう見目の美しい青年。
ただ、美しいのはその見た目だけ。
心の汚い婚約者様にこの世の厳しさを教えてあげましょう。
本来の私の姿で……
前編、中編、後編の短編です。
【完結】エレクトラの婚約者
buchi
恋愛
しっかり者だが自己評価低めのエレクトラ。婚約相手は年下の美少年。迷うわー
エレクトラは、平凡な伯爵令嬢。
父の再婚で家に乗り込んできた義母と義姉たちにいいようにあしらわれ、困り果てていた。
そこへ父がエレクトラに縁談を持ち込むが、二歳年下の少年で爵位もなければ金持ちでもない。
エレクトラは悩むが、義母は借金のカタにエレクトラに別な縁談を押し付けてきた。
もう自立するわ!とエレクトラは親友の王弟殿下の娘の侍女になろうと決意を固めるが……
11万字とちょっと長め。
謙虚過ぎる性格のエレクトラと、優しいけど訳アリの高貴な三人の女友達、実は執着強めの天才肌の婚約予定者、扱いに困る義母と義姉が出てきます。暇つぶしにどうぞ。
タグにざまぁが付いていますが、義母や義姉たちが命に別状があったり、とことんひどいことになるザマァではないです。
まあ、そうなるよね〜みたいな因果応報的なざまぁです。
地味令嬢の私ですが、王太子に見初められたので、元婚約者様からの復縁はお断りします
有賀冬馬
恋愛
子爵令嬢の私は、いつだって日陰者。
唯一の光だった公爵子息ヴィルヘルム様の婚約者という立場も、あっけなく捨てられた。「君のようなつまらない娘は、公爵家の妻にふさわしくない」と。
もう二度と恋なんてしない。
そう思っていた私の前に現れたのは、傷を負った一人の青年。
彼を献身的に看病したことから、私の運命は大きく動き出す。
彼は、この国の王太子だったのだ。
「君の優しさに心を奪われた。君を私だけのものにしたい」と、彼は私を強く守ると誓ってくれた。
一方、私を捨てた元婚約者は、新しい婚約者に振り回され、全てを失う。
私に助けを求めてきた彼に、私は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる