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第29話:王宮から呼び出しがかかりました
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「レイリスが病気じゃなくてよかったよ。本当に心配したのだからね」
「ごめん、レア。でも、ちょっと喉に詰まらせただけで、レアも大げさなのよ」
そう、大げさなくらい私の事を心配してくれるレア。どうしてそんなに私の事を大切にしてくれるのだろう。
何だか胸の奥が、熱くなる。この気持ちは一体何なのかしら?
「レイリス、今日は色々とあって疲れているだろう?もうすぐ夕食の時間だ。食事は君の部屋で2人でゆっくり食べよう。病気ではなかったとしても、僕はやっぱり君が心配だから」
相変わらず私に甘々なレアが、すぐに使用人たちに指示を出す。さらに
「今日は僕が食べさせてあげるね。さあ、口を開いて」
なんと食事まで食べさせてくれるという、激アマっぷり。食後はいつもの様にマッサージ師を呼び、体中をマッサージしてもらった。なんて幸せなのかしら?
「レイリス、そろそろ帰る時間だね。僕が屋敷までしっかり送り届けるから、安心して欲しい」
そう言うと、抱きかかえて馬車まで連れて行ってくれるレア。本当に至れり尽くせりだ。こんなに私に尽くしてくれるだなんて、本当にレアは…
今までに感じた事のない感情が芽生える。この気持ちは一体何なのかしら?
「レア、いつもその…ありがとう…」
ついレアに向かってお礼を言ってしまった。私がお礼を言うだなんて!
「違うのよ、今のは…」
「どういたしまして。レイリスがお礼を言ってくれるという事は、僕に良いイメージを持ってくれているという事だよね。それがとても嬉しいよ。レイリス、ありがとう」
レアが、それはそれは嬉しそうに笑ったのだ。
どうしてよ、私はただ、お礼を言っただけなのに。どうしてレアがそんな嬉しそうな顔をするのよ。
「レア、私…」
「伯爵家に着いた様だね。すぐに運ぶから、待っていてね」
いつもの様にレアが手際よく私を抱きかかえ、部屋まで連れて行ってくれた。
「今日はゆっくり休んでくれ。また明日、迎えに来るから」
そう言い残すと、足早に去って行ったのだ。待って、もう少しだけレアと…
そう叫ぼうと思ったが、既にレアが部屋から出て行ってしまったのだ。まあいいか、明日またレアに会えるし。
そう思っていたのだが…
「レイリス、帰ってきたのだな!」
私が帰ってくるなり、お父様が部屋にやって来たのだ。
「お父様、レディの部屋にズカズカと入り込むとは、一体どういう神経をしているのですか?」
「そんな事はどうでもいい!大変なんだ、さっき王宮から使いの者が来て、明日の朝、レイリスと一緒に登城する様にとの通達が来た。どうやら王太子殿下の婚約者選びが、1ヶ月早く始まったらしい…」
「どういうことですか?勝手に予定を早めるだなんて。私は王宮なんて行かないわ。明日もレアの家に行くのだから!」
プイっとあちらの方向を向いた。
「それは無理だ、お妃候補選びが始まってしまった以上、私たちに拒否権はない。さっき公爵殿に相談に行ったが、公爵殿も知らなかった様でな。一応国王陛下に勝手な予定変更に関する抗議をするそうだが、既に動き出してしまった以上、公爵殿でももうどうにもならないかもしれないとおっしゃっていた」
「何なのよ、それは!ちょっと酷すぎるわ。とにかく私は行かないから」
「レイリスが行かなければ、殿下が我が家に足を運ばれるまでだ。だから早くアドレア殿と婚約を結んでおけばよかったんだ!それなのに、お前がグダグダと文句を垂れるから」
「誰が文句を垂れたですって!とにかくその王太子に嫌われたらいいのよね。明日王宮に行って、暴れてくるわ。そもそも私は伯爵令嬢よ。きっと公爵令嬢や侯爵令嬢が本命なのだから。そうよ、私が選ばれる訳がないわ」
しがない伯爵令嬢が、王太子殿下に気に入られる訳がない。それによく考えたら、天下の王宮よ。きっとお菓子やお料理も格段に美味しいはず。
美味しいものを食べて帰ってこればいいのだわ。
「ごめん、レア。でも、ちょっと喉に詰まらせただけで、レアも大げさなのよ」
そう、大げさなくらい私の事を心配してくれるレア。どうしてそんなに私の事を大切にしてくれるのだろう。
何だか胸の奥が、熱くなる。この気持ちは一体何なのかしら?
「レイリス、今日は色々とあって疲れているだろう?もうすぐ夕食の時間だ。食事は君の部屋で2人でゆっくり食べよう。病気ではなかったとしても、僕はやっぱり君が心配だから」
相変わらず私に甘々なレアが、すぐに使用人たちに指示を出す。さらに
「今日は僕が食べさせてあげるね。さあ、口を開いて」
なんと食事まで食べさせてくれるという、激アマっぷり。食後はいつもの様にマッサージ師を呼び、体中をマッサージしてもらった。なんて幸せなのかしら?
「レイリス、そろそろ帰る時間だね。僕が屋敷までしっかり送り届けるから、安心して欲しい」
そう言うと、抱きかかえて馬車まで連れて行ってくれるレア。本当に至れり尽くせりだ。こんなに私に尽くしてくれるだなんて、本当にレアは…
今までに感じた事のない感情が芽生える。この気持ちは一体何なのかしら?
「レア、いつもその…ありがとう…」
ついレアに向かってお礼を言ってしまった。私がお礼を言うだなんて!
「違うのよ、今のは…」
「どういたしまして。レイリスがお礼を言ってくれるという事は、僕に良いイメージを持ってくれているという事だよね。それがとても嬉しいよ。レイリス、ありがとう」
レアが、それはそれは嬉しそうに笑ったのだ。
どうしてよ、私はただ、お礼を言っただけなのに。どうしてレアがそんな嬉しそうな顔をするのよ。
「レア、私…」
「伯爵家に着いた様だね。すぐに運ぶから、待っていてね」
いつもの様にレアが手際よく私を抱きかかえ、部屋まで連れて行ってくれた。
「今日はゆっくり休んでくれ。また明日、迎えに来るから」
そう言い残すと、足早に去って行ったのだ。待って、もう少しだけレアと…
そう叫ぼうと思ったが、既にレアが部屋から出て行ってしまったのだ。まあいいか、明日またレアに会えるし。
そう思っていたのだが…
「レイリス、帰ってきたのだな!」
私が帰ってくるなり、お父様が部屋にやって来たのだ。
「お父様、レディの部屋にズカズカと入り込むとは、一体どういう神経をしているのですか?」
「そんな事はどうでもいい!大変なんだ、さっき王宮から使いの者が来て、明日の朝、レイリスと一緒に登城する様にとの通達が来た。どうやら王太子殿下の婚約者選びが、1ヶ月早く始まったらしい…」
「どういうことですか?勝手に予定を早めるだなんて。私は王宮なんて行かないわ。明日もレアの家に行くのだから!」
プイっとあちらの方向を向いた。
「それは無理だ、お妃候補選びが始まってしまった以上、私たちに拒否権はない。さっき公爵殿に相談に行ったが、公爵殿も知らなかった様でな。一応国王陛下に勝手な予定変更に関する抗議をするそうだが、既に動き出してしまった以上、公爵殿でももうどうにもならないかもしれないとおっしゃっていた」
「何なのよ、それは!ちょっと酷すぎるわ。とにかく私は行かないから」
「レイリスが行かなければ、殿下が我が家に足を運ばれるまでだ。だから早くアドレア殿と婚約を結んでおけばよかったんだ!それなのに、お前がグダグダと文句を垂れるから」
「誰が文句を垂れたですって!とにかくその王太子に嫌われたらいいのよね。明日王宮に行って、暴れてくるわ。そもそも私は伯爵令嬢よ。きっと公爵令嬢や侯爵令嬢が本命なのだから。そうよ、私が選ばれる訳がないわ」
しがない伯爵令嬢が、王太子殿下に気に入られる訳がない。それによく考えたら、天下の王宮よ。きっとお菓子やお料理も格段に美味しいはず。
美味しいものを食べて帰ってこればいいのだわ。
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