49 / 66
第49話:どうして私がこんな目に…~アナリス視点~
しおりを挟む
どうして…どうして私が平民たちから暴言を吐かれないといけないの?それもあんなにも沢山の人たちに。私は平民に嫌われる様なことなんて、していないわ。それなのにどうして…
全く理解できない状況の中、女騎士によって体を洗われ着替えさせられた。
「ちょっと、この衣装、一体何なの?まるで囚人の様じゃない」
私が着せられたのは、囚人が着る様なボロい服だ。
「あなたにはこの衣装が似合うでしょう?文句があるなら、裸で裁判に出たらどうですか?」
そう冷たく言い放つ女騎士。何なのよこの女!ギロリと女騎士を睨むと、向こうも睨み返してきた。
「あなた、自分が何をしたのか本当に分かっていないのですね。あなたがサンダードラゴンの子供を攫って来たことで、魔物たちが怒って街を襲ったのですよ!そのせいでどれだけの人々が傷つき命を落とし、涙を流しているか!私の夫も今、魔物討伐部隊で必死に戦っています。あなたさえあんな事をしなければ…」
目に涙を浮かべながら、女騎士がこちらを睨みながら叫んでくる。その瞳からは、かなりの怒りを感じる。
「落ち着きなさい。君の気持ちも分かるが、今は任務中だ。とにかく、冷静に対応しないと」
近くにいた騎士に宥められる女騎士。必死に女騎士が涙をぬぐっている。
「そろそろ裁判の時間です」
1人の男性が呼びに来たのだ。
「それでは参りましょう」
私の鎖を引っ張り、裁判所へと向かった。大丈夫よ、私は王女なのだから、きっと大丈夫…
そう自分に言い聞かせるが、先ほどの平民や女騎士の怒りの表情が頭から離れない。言いようのない不安が、私を襲ったのだ。
案内された部屋に入ると、そこにはたくさんの貴族が集まっていた。あれは、カルロス様だわ。カルロス様も私を心配して見に来てくれたのね。
ただ、私が部屋に入った途端、貴族たちから鋭い視線が飛ぶ。どうして…どうしてみんな私をそんな目で見るの?
「それでは今から、アナリス殿の裁判を行う。ちなみにアナリス殿だが、つい先ほど国王陛下によって、王族の権利をはく奪されました」
「何ですって!お父様が私を王族の権利を奪うはずがないわ。何かの間違いよ!」
とっさに裁判官に向かって叫んだ。すると
「アナリス、今の国王は私だ。父上は貴族会議で王位をはく奪され、新たに私が国王になったんだよ」
お兄様が冷たい眼差しで私を見つめながら、そう言ったのだ。ふと周りを見ると、お姉様たちの姿もある。でも2人とも、私を冷たい視線で見つめていた。
「そんな…」
その場に座り込んだ。
その後裁判官によって、私の罪が読み上げられた。あの女を崖から突き落とした事、闇の組織を使い魔物の子供を誘拐してきたことなどだ。
「これらの罪により、アナリスを極刑に処す」
裁判官が高らかに叫んだのだ。
極刑ですって…そんな、私は王女なのよ。この国で一番偉いお父様の子供なのよ。そんなの、あり得ないわ。
「裁判長、私は王女なのですよ。極刑なんてあり得ませんわ。ちょっと魔物を連れてきたくらいで極刑だなんて!それに、あの女も生きているではありませんか?傷だって、もう治ったのでしょう?それなのに、罪が重すぎます!」
死にたくない!絶対に死ぬなんて嫌よ!必死に裁判官に訴えた。
「アナリス殿、魔物に接触する事はこの国では重罪、一発で極刑に処される罪です。あなたはその罪を犯した。さらに侯爵令嬢の命まで狙ったのですよ。極刑以外の罪はありません」
厳しい表情で裁判官。さらに
「あなたのせいで、今国は大変な事になっている。極刑は当然な判決だ」
「そうだそうだ、そもそも裁判まで時間が掛かりすぎだ」
「自分のやった事をまだ理解できないだなんて、よくそれで王女なんてやっていられたな」
堰を切ったように、貴族たちが私に酷い暴言を吐く。
「嫌よ、私は死にたくないわ。お願い、お兄様、助けて」
お兄様に必死に訴えた。
「アナリス、僕はずっと君に忠告してきたよね。君を守るためにも、隣国の王太子殿下との婚姻を進めて来たのに…それをすべてダメにしたのは君だよ…」
「そんな…殺されるくらいなら王太子殿下に嫁ぎますわ。ですから、今からでも」
「相手がお断りだと言っている!それに君は、人としてやってはいけない罪を犯した。罪を償うのは当然だ」
「そんな…お姉様…」
「私たちもあなたには何度も忠告したわ。そもそもカルロス様を誘拐しようとした時点で、やはり修道院に入れておくべきだったのよ。それなのにお父様があなたを甘やかすから…恨むならお父様を恨みなさい!」
そんな…
そうだわ、カルロス様。
「カルロス様!私は…」
「俺の名前を気安く呼ばないでくれ!俺の大切な人を傷つけたあなたを、俺は一生許さない。本来なら、俺の手で八つ裂きにしたいくらいだ!」
今にも私に切りかかりそうな怖い顔で、カルロス様が私を睨んでいる。他の貴族たちも、虫けらでも見る様な目で私を見つめている…
どうして…どうしてよ…私の何がいけなかったの…
嫌、死にたくない…お願い、誰か助けて!
「今すぐ処刑場に連れて行け」
「はっ」
再び私を連れ出す騎士たち。処刑場ですって!嫌よ、死にたくない。
「私は死にたくない、お願い、誰か助けて!お願い…死にたくない!」
必死に泣きながら叫ぶが、誰も助けてくれない。
「どうして…どうして私がこんな目に合わないといけないのよ。どうしてよ!!」
死の恐怖と絶望の中、無理やり裁判所を連れ出されたのだった。
※次回、ルミナス視点に戻ります。
よろしくお願いします。
全く理解できない状況の中、女騎士によって体を洗われ着替えさせられた。
「ちょっと、この衣装、一体何なの?まるで囚人の様じゃない」
私が着せられたのは、囚人が着る様なボロい服だ。
「あなたにはこの衣装が似合うでしょう?文句があるなら、裸で裁判に出たらどうですか?」
そう冷たく言い放つ女騎士。何なのよこの女!ギロリと女騎士を睨むと、向こうも睨み返してきた。
「あなた、自分が何をしたのか本当に分かっていないのですね。あなたがサンダードラゴンの子供を攫って来たことで、魔物たちが怒って街を襲ったのですよ!そのせいでどれだけの人々が傷つき命を落とし、涙を流しているか!私の夫も今、魔物討伐部隊で必死に戦っています。あなたさえあんな事をしなければ…」
目に涙を浮かべながら、女騎士がこちらを睨みながら叫んでくる。その瞳からは、かなりの怒りを感じる。
「落ち着きなさい。君の気持ちも分かるが、今は任務中だ。とにかく、冷静に対応しないと」
近くにいた騎士に宥められる女騎士。必死に女騎士が涙をぬぐっている。
「そろそろ裁判の時間です」
1人の男性が呼びに来たのだ。
「それでは参りましょう」
私の鎖を引っ張り、裁判所へと向かった。大丈夫よ、私は王女なのだから、きっと大丈夫…
そう自分に言い聞かせるが、先ほどの平民や女騎士の怒りの表情が頭から離れない。言いようのない不安が、私を襲ったのだ。
案内された部屋に入ると、そこにはたくさんの貴族が集まっていた。あれは、カルロス様だわ。カルロス様も私を心配して見に来てくれたのね。
ただ、私が部屋に入った途端、貴族たちから鋭い視線が飛ぶ。どうして…どうしてみんな私をそんな目で見るの?
「それでは今から、アナリス殿の裁判を行う。ちなみにアナリス殿だが、つい先ほど国王陛下によって、王族の権利をはく奪されました」
「何ですって!お父様が私を王族の権利を奪うはずがないわ。何かの間違いよ!」
とっさに裁判官に向かって叫んだ。すると
「アナリス、今の国王は私だ。父上は貴族会議で王位をはく奪され、新たに私が国王になったんだよ」
お兄様が冷たい眼差しで私を見つめながら、そう言ったのだ。ふと周りを見ると、お姉様たちの姿もある。でも2人とも、私を冷たい視線で見つめていた。
「そんな…」
その場に座り込んだ。
その後裁判官によって、私の罪が読み上げられた。あの女を崖から突き落とした事、闇の組織を使い魔物の子供を誘拐してきたことなどだ。
「これらの罪により、アナリスを極刑に処す」
裁判官が高らかに叫んだのだ。
極刑ですって…そんな、私は王女なのよ。この国で一番偉いお父様の子供なのよ。そんなの、あり得ないわ。
「裁判長、私は王女なのですよ。極刑なんてあり得ませんわ。ちょっと魔物を連れてきたくらいで極刑だなんて!それに、あの女も生きているではありませんか?傷だって、もう治ったのでしょう?それなのに、罪が重すぎます!」
死にたくない!絶対に死ぬなんて嫌よ!必死に裁判官に訴えた。
「アナリス殿、魔物に接触する事はこの国では重罪、一発で極刑に処される罪です。あなたはその罪を犯した。さらに侯爵令嬢の命まで狙ったのですよ。極刑以外の罪はありません」
厳しい表情で裁判官。さらに
「あなたのせいで、今国は大変な事になっている。極刑は当然な判決だ」
「そうだそうだ、そもそも裁判まで時間が掛かりすぎだ」
「自分のやった事をまだ理解できないだなんて、よくそれで王女なんてやっていられたな」
堰を切ったように、貴族たちが私に酷い暴言を吐く。
「嫌よ、私は死にたくないわ。お願い、お兄様、助けて」
お兄様に必死に訴えた。
「アナリス、僕はずっと君に忠告してきたよね。君を守るためにも、隣国の王太子殿下との婚姻を進めて来たのに…それをすべてダメにしたのは君だよ…」
「そんな…殺されるくらいなら王太子殿下に嫁ぎますわ。ですから、今からでも」
「相手がお断りだと言っている!それに君は、人としてやってはいけない罪を犯した。罪を償うのは当然だ」
「そんな…お姉様…」
「私たちもあなたには何度も忠告したわ。そもそもカルロス様を誘拐しようとした時点で、やはり修道院に入れておくべきだったのよ。それなのにお父様があなたを甘やかすから…恨むならお父様を恨みなさい!」
そんな…
そうだわ、カルロス様。
「カルロス様!私は…」
「俺の名前を気安く呼ばないでくれ!俺の大切な人を傷つけたあなたを、俺は一生許さない。本来なら、俺の手で八つ裂きにしたいくらいだ!」
今にも私に切りかかりそうな怖い顔で、カルロス様が私を睨んでいる。他の貴族たちも、虫けらでも見る様な目で私を見つめている…
どうして…どうしてよ…私の何がいけなかったの…
嫌、死にたくない…お願い、誰か助けて!
「今すぐ処刑場に連れて行け」
「はっ」
再び私を連れ出す騎士たち。処刑場ですって!嫌よ、死にたくない。
「私は死にたくない、お願い、誰か助けて!お願い…死にたくない!」
必死に泣きながら叫ぶが、誰も助けてくれない。
「どうして…どうして私がこんな目に合わないといけないのよ。どうしてよ!!」
死の恐怖と絶望の中、無理やり裁判所を連れ出されたのだった。
※次回、ルミナス視点に戻ります。
よろしくお願いします。
57
あなたにおすすめの小説
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
【完結】公爵家の妾腹の子ですが、義母となった公爵夫人が優しすぎます!
ましゅぺちーの
恋愛
リデルはヴォルシュタイン王国の名門貴族ベルクォーツ公爵の血を引いている。
しかし彼女は正妻の子ではなく愛人の子だった。
父は自分に無関心で母は父の寵愛を失ったことで荒れていた。
そんな中、母が亡くなりリデルは父公爵に引き取られ本邸へと行くことになる
そこで出会ったのが父公爵の正妻であり、義母となった公爵夫人シルフィーラだった。
彼女は愛人の子だというのにリデルを冷遇することなく、母の愛というものを教えてくれた。
リデルは虐げられているシルフィーラを守り抜き、幸せにすることを決意する。
しかし本邸にはリデルの他にも父公爵の愛人の子がいて――?
「愛するお義母様を幸せにします!」
愛する義母を守るために奮闘するリデル。そうしているうちに腹違いの兄弟たちの、公爵の愛人だった実母の、そして父公爵の知られざる秘密が次々と明らかになって――!?
ヒロインが愛する義母のために強く逞しい女となり、結果的には皆に愛されるようになる物語です!
完結まで執筆済みです!
小説家になろう様にも投稿しています。
愛する夫にもう一つの家庭があったことを知ったのは、結婚して10年目のことでした
ましゅぺちーの
恋愛
王国の伯爵令嬢だったエミリアは長年の想い人である公爵令息オリバーと結婚した。
しかし、夫となったオリバーとの仲は冷え切っていた。
オリバーはエミリアを愛していない。
それでもエミリアは一途に夫を想い続けた。
子供も出来ないまま十年の年月が過ぎ、エミリアはオリバーにもう一つの家庭が存在していることを知ってしまう。
それをきっかけとして、エミリアはついにオリバーとの離婚を決意する。
オリバーと離婚したエミリアは第二の人生を歩み始める。
一方、最愛の愛人とその子供を公爵家に迎え入れたオリバーは後悔に苛まれていた……。
身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
【完結】氷の王太子に嫁いだら、毎晩甘やかされすぎて困っています
22時完結
恋愛
王国一の冷血漢と噂される王太子レオナード殿下。
誰に対しても冷たく、感情を見せることがないことから、「氷の王太子」と恐れられている。
そんな彼との政略結婚が決まったのは、公爵家の地味な令嬢リリア。
(殿下は私に興味なんてないはず……)
結婚前はそう思っていたのに――
「リリア、寒くないか?」
「……え?」
「もっとこっちに寄れ。俺の腕の中なら、温かいだろう?」
冷酷なはずの殿下が、新婚初夜から優しすぎる!?
それどころか、毎晩のように甘やかされ、気づけば離してもらえなくなっていた。
「お前の笑顔は俺だけのものだ。他の男に見せるな」
「こんなに可愛いお前を、冷たく扱うわけがないだろう?」
(ちょ、待ってください! 殿下、本当に氷のように冷たい人なんですよね!?)
結婚してみたら、噂とは真逆で、私にだけ甘すぎる旦那様だったようです――!?
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
王妃を蔑ろにし、愛妾を寵愛していた王が冷遇していた王妃と入れ替わるお話。
ましゅぺちーの
恋愛
王妃を蔑ろにして、愛妾を寵愛していた王がある日突然その王妃と入れ替わってしまう。
王と王妃は体が元に戻るまで周囲に気づかれないようにそのまま過ごすことを決める。
しかし王は王妃の体に入ったことで今まで見えてこなかった愛妾の醜い部分が見え始めて・・・!?
全18話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる